私、悪い入間じゃないんです! 信じてください!!   作:かりん2022

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次話は超越者と主人公と一般人になります。


私、悪い入間じゃないんです! 信じてください!!13

 仄暗い、すでに廃墟となったマンションの一室。

 元は高所得者のファミリー向けだった、広いその部屋でノートパソコンを見つめる呪詛師と呪霊達がいた。

 

「いやぁー参ったね! まさかこんな形で呪力が消えるなんてね、ワクワクしてきたよ!」

 

 印刷された入間の魔法使いの漫画に囲まれ、羂索は笑う。

 

「我らが消えるだと、ばかな……とても信じられん」

 

 漏瑚が呆然と呟く。

 

「エイリアンって怖いねぇ。ダーリンを甦らせる為だっけ? 凄いよね、地球より重い愛だ!」

「どうにかならぬのか。エイリアンにやられるなど、人間に滅ぼされるより受け入れ難い」

「もちろん、どうにかするさ。まずは天元の結界を拡張し、地球全体を覆う。そして呪力の拡散を防ぐ。次に、情報を拡散して魔法文明への恐怖、宇宙への恐怖を煽る。そして大儀式を行なって、巨大な呪霊を作り出す。日本人を生贄にする準備なら元から進めていたしね。エイリアンとガチで戦う事になるなんて思わなかったよ。とっても楽しみ!」

 

 はしゃいで羂索は言う。

 

「アメリカは飲むのか?」

「9割の確率で飲むさ、日本の犠牲で地球が救われるならね。超越者を売り渡せば飲む確率120%!」

 

 ケラケラと笑って羂索。

 

「もちろん、君たちも手伝ってくれるよね。消えたくはないだろう?」

「……もちろんだ」

 

「新しい時代へ突入だ。ああ、すごく楽しみだよ」

 

 羂索は漫画をつつっとなぞる。

 

「それにしても、入間。愛しの君は、いつ表舞台に出るのかな」

 

 愛と憎しみは似ていると羂索は思う。

 初めは入間の魔法使いの作者に対する苛立ちだった。

 こんなにコケにしてくれる人は初めてで、だんだんと面白く感じてしまった。

 引っ掻き回すだけ引っ掻き回して放置というこの態度。そんな預言者気取りの愚物を表舞台に引き摺り出して蹂躙する時を思うと、うっとりとしてしまう。

 そして入間の魔法使いもまた魅力的だ。羂索でさえ、彼ほど突き抜けてはいない。おそらく作者の入間と入間の魔法使いは別人だろうが、同一人物でももちろん構わない。

 

 入間達は羂索すら及ばぬ邪悪だった。こんなにも惹かれるのに、こんなにも嬲りたいと思うのに、こんなにも話したいと思うのに、あまりにも邪悪で、近づく事も出来ない。彼らほど邪悪で不可思議な存在がどこにいようか。入間の事を考えると、腑が煮え繰り返り、羂索が生きていると教えてくれる。

 彼にも羂索を知ってほしい。

 彼は無駄な犠牲を嫌うから、日本人を丸ごと捧げたらきっと怒ってくれるだろうか。そうしたら両思いになれる。それはきっと素敵なことだ。

 乙女のように胸の高鳴りを感じながら、羂索は笑った。

 

「本当に、ワクワクしちゃうね」

 

 羂索は動きださんとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、ある教団の信者達は自主的に集まり、大きなスクリーンでネット中継を見ていた。彼らは入間の魔法使いの漫画ファンでもあった。というか漫画のファンだから入信したもの達である。

 

 今頃、教祖夏油様は五条教師と一緒にこの歴史的瞬間を見ているに違いない。

 教祖と一緒に歴史的瞬間を見れないのは残念だが、猿なので後回しは仕方がないし、翌日はスペシャル説法との事なので文句はない。五条先生×女体化教祖様は正義だし。

 

 そして、もう直ぐだとざわざわしていると、光がふっと消えるのを見た。

 見逃した者もいて、何が起きたの? と慌てている。

 

『雷光1〜10号、黒呪1から5号、全て沈黙です! 雷光は結晶による内部からの破壊、黒呪は爆発が確認されました!!』

『魔法が使えるかどうかはまだわからん! ただ一つ言える事は、あの流星群が地球に落ちたら電気製品が全て破壊される! あと、呪術師は爆散するかもしれない……』

 

「えっ 夏油様爆散!?」

「教祖様爆散!!?」

「花火ー!」

「ええええええええええええええええええええ!!!!!」

「夏油様が何をしたって……いっぱいしてますけど! 村一つ滅ぼしてお金持ちぶっ殺してますけど!! でも爆散ってひどいですー!」

「神は死んだ!」

「愛は地球より重いをマジですんなー!」

「蹂躙される地球の人々や動物達にも、家族はいるんですよ!!!!」

 

 ざわざわざわざわざわ

 

「という事はヒヨリちゃんは」

「NEXT最強!」

「入間の魔法使いは」

「現れますねぇ!」

「青梅は」

「大⭐︎全⭐︎滅!!!」

「うわーーーーーー!!!」

「リアルで洗脳いくない! いくない!!」

「かわいそうなのは抜けないんだぞ!」

「見えるだけの人は術師に入りますか? 死にたくないー! 爆散なんていやー!」

 

 阿鼻叫喚である。

 

「私引っ越します! 吸血の自宅ってどこだっけ」

「吸血は2024年は官邸に缶詰だって」

「それマ? ありえないでしょ。作中で農作物の会社じゃなくて政府守ったの失敗だったって言ってたじゃん」

「流石に食糧関係の会社は対策取るってさ。それに解決方法もすでに知ってるし」

「大利様ってどうなってんの?」

「なんか胃を壊すレベルで人嫌いなのは分かってるから、人知れずサポートしているらしい。技術力が上がるような難しい依頼したり、そのお礼って事で必要物資援助したり。あと、最悪大利様いなくてもなんとか出来るように、工具の開発とか技術者養成はするって言ってた」

「でもなんか超越者様誘拐案件絶えないらしい。今は一般人だから。自衛隊とか警察が警護してるって」

「マジかよ自衛隊と警察がんばれ超頑張れ」

 

「みんな〜!! 夏油様の明日のスペシャル説法ライブ、ゲストで五条先生呼んで、オンラインでも公開して参加人数増やすから落ち着いてって〜!」

「えっ明日ってスペシャルライブなん!?」

「それを聞いて落ち着いてられるかー! うおおおおおおおお!!」

「参加費は!?」

「オンライン無料、追加の席は立ち見で10万円だってー」

「うおおおおおお夏油様ーーーーーー!」

「大変なのは2024年の私であって今の私ではないから、別に関係ないか!」

「今はこの喜びを受け止めるべし!」

「やったー!!!」

 

 

 

 

 

 

 夏油は電話を切った。

 

「もう取り消せないよ? 悟」

「いいよ、傑いつも楽しそうだし、一回ぐらい参加したげる。歌は歌えないけど、漫才とか一度やってみたかったなって。ネタは伊地知お願い」

「最後だしね。なんでも試してみよっか。頼むよ、伊地知」

「それマジで言ってます?」

 

 伊地知はゲンナリとした顔で言う。すでに関係各所からの電話で高専の事務はおおわらわな状態である。多分大統領からも話し合いの要請が来るだろう。遊んでる場合か。いいや、人心を鎮めるための仕方ない事なのである。

 

「せんせー! 俺も立ち見席、出たい!」

「私は行きたくないわ。いいわね死なない悠仁は気楽で!」

「俺は行きたい。悔しいけど人気なんだよ、スペシャル説法ライブ」

「仲間外れは許さないわよ! 私も行くから!」

 

 わちゃわちゃと一年生。ショッキングすぎるオンライン実験中継については誰も触れない。分かっていたし覚悟していた事だが、それなりに心に来る映像だった。

 だが、事前予告されていて、その為に遊ぶ時間も資金も与えらえているのだ。

 パーっとやっちゃうか! モードに入って術師達のやる事は、遊ぶ方面での現実逃避なのである。

 

「それで傑。最期の夜なんだけどさ。一緒にくっついて星見ない?」

「マジでくっつく可能性あるから嫌だ」

 

 何せ電気ナマズと融合して人魚になった魔女がいるのである。

 

「仲間を何人揃えても、死ぬ時は1人なんじゃなかったですっけ」

「それはそうだけどさー! 最期なんだから手ぐらい握ってたいじゃん!」

「ごめんね。私のパーソナルスペースは広いんだ。美々子と菜々子からもお願いされてるしね」

「えー! ヤダヤダヤダ!」

 

 子供のように駄々をこねる五条から目を逸らし、業者が持ってきてくれる楽しい事ファイルをめくって野薔薇が声を上げる。

 

「あっ 来週チョコレートフェアするんですって。付き合いなさいよ、伏黒、虎杖」

「チョコか。津美紀に買うかな」

「俺チョコ好き!」

 

 なんにせよ、呪術師が言える事はこれだけ。

 

「超越者頑張れ!」

 

 アメリカの要請や羂索の企みを知らない呪術師達の、束の間の平和である。

 




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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好みの話は

  • 俺たち(内政)最強!
  • 俺たち(内政)最強!番外編
  • 最後の転生者が入間編
  • 無名叙事詩の知識持ち転生者編
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