私、悪い入間じゃないんです! 信じてください!!   作:かりん2022

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この時空の夏油、絶対揺らがなそう。


俺たち(内政)最強!5

夏油くんが、両手をお祈りの形に組む。

 

「目玉の魔女様、ありがとう」

 

「これ、呪霊に持って行かせれば遠隔操作できんじゃん。通話料掛かんねーし、ずっと繋ぎっぱにしようぜ」

「ああ、素晴らしい呪文を教えてもらった」

「私も攻撃呪文教えてもらった!」

 

 ムフー! と硝子くんも嬉しそうだ。

 

「生兵法は怪我のもとなんだから、硝子は無茶しないようにね。じゃあ、納得いったかな? 納得いったら、夏油くんにはこの時計をプレゼントしよう」

「懐中時計?」

「そう。一番忙しい時は秒刻みのスケジュールになるからね。とにかく、畑を耕せる能力を持つ呪霊を10,000体欲しい。じゃあ、行こうか」

「行ってくるよ、悟、硝子!」

 

 夏油くんと共に一番便利な中継地点にあるホテルまで行き、帰還位置設定魔法を唱える。

 後は、ここを起点に呪霊退治だ。

 

「夏油くん、夏油くんには超越者にならずともなろうとも、一つの地区を任せたいと思ってる。これはその予行演習と思ってくれ」

 

 そして、徹底的に扱いた。

 

「夏油くんには、私の弱みを見せておこう。逆流現象というものがある。未来視魔法の逆流現象は精神の幼児化だ。ひどい時は乳児まで巻き戻る。未来視魔法は元から魔力消費も大きく、頭脳に多大な負担を掛ける術式だが、精神幼児化のデメリットも中々大きくてな。使った時はしばらく休まなくてはならない。それに、吸血を死なせてしまった事からもわかる通り、未来視を持っていても見えないものは多い。未来が見えてもどうにもならない事だって多い。未来は驚くほど容易く変わるが、どうあっても変えられぬ未来もある。災害とかは当然として、例えば、ある人が死ぬのを防いだとして、単なる偶然から救うならともかく、命を狙われている場合、原因を解決しないと一度助けた程度では遠からず死んでしまう、とか」

「なるほど。赤ちゃんプレイはそれだったんですね。頭への負担、物凄そうですね?」

 

 夏油くんは心配そうに気遣ってくれる。

 

「すごい。なので、俺の護衛は頼んだ。民衆を守る練習だとでも思ってくれ」

「わかりました。任せてください」

「後、もう1人転生した疑惑がある。それが入間だったら2024年問題を待たずして、今度こそ世界が滅びるかもしれない。あとで改めて注意喚起するが、気をつけてくれ」

 

 夏油くんは真剣な顔で頷いた。

 

「傀儡魔法ですっけ」

「そうだ。入間を大好きになって入間に忠誠を誓うようになってしまう。その人の人格はそのままだから、記憶や技術を遺憾なく発揮して献身的に入間に仕え、それまで親しかったものを容易く騙したり敵対したり差し出したりしてくる。解放するには命を奪うしかない。正しくは心臓を止めればいいんだが、心臓を止めれば人は死ぬ。一応、解除魔法もあるが発音不可音が混じっているから、私か吸血しか解放できない。あのクソガキは超天才でマッドサイエンティストで真性のクズ。解剖に交配実験、口にできないような凄惨な実験も数え切れないほど。操られていた者達は皆自殺した」

 

 あれは本当に酷かった。

 

「未来ってほんとクソみたいですね」

「だから良くするんだ。夏油くんは心臓を持たない呪霊を操れるから、君には本当に期待してる」

 

 夏油くんは決意を秘めた顔で深く頷いた。

 

「嫌な事ばかり考えても効率が落ちる。どんな未来を引き寄せたいかも考えておくといい。未来は若者のものなのだからな」

 

「思いつかなくて。未来視先輩は理想の未来ってありますか?」

 

「あるさ。前世からの望みは平和なスローライフ。それに加えて、俺は吸血さえいればって耳にタコができるほど聞かされたからな。未来視がいてくれて良かったって言われる事が密かな目標なんだ。一度でいいから吸血よりもチヤホヤされたい」

 

 夏油くんは不思議そうだ。

 

「未来視先輩の方が術式良さそうに思えますけど。吸血さんは確かに強かったですけど、怪獣には敗れたし早期に亡くなったんですよね?」

 

 ああ、若いな。物理的な力が全てだと思ってるのか。

 

「力が必要ないとは言わない。けどな。力には色々ある。政治力、いや、分かりやすく言うと皆で力を合わせられる力。それも必要だよ。人間は機械じゃない。結局人を動かすのは人だ。吸血がいた時は出欠率100%でスムーズに進んだ物事が、吸血1人いなくなった途端何もうまくいかなくなった。吸血の頼みは皆聞いても、俺の話は全然聞いて貰えなかったよ。俺に出来たのはなんとか説得可能な人間に利を示してお願いすることだけ」

「……私は未来視さんも凄いと思います」

「ありがとう。納得いってなさそうだけど、政治力って本当、マジで大事だぞ。特に君や五条くんの場合、政治から逃れるのは無理だ。露骨に力が統治に影響するからな。無残に殺されるか、奴隷として酷使されてすり潰されるか、英雄としてチヤホヤされながら大活躍して平和に引退出来るか、全て政治に掛かってる」

「そんな大げさな」

「自分で言ったろ。俺のほうが術式凄いって。でも実際、評価されたのはいつでも吸血で、俺は睡眠時間平均2時間で奉仕しても罵倒される事も多かった。味方も沢山いたけど、少数の不満の方が不思議とよく聞こえるんだ。弱った時は特にな。よく落ち込んだよ」

「……」

「まあ、これは実感しないとわからないか。君自身が政治力を持つ必要はないし、全部出来る必要もない。非効率だしな。けど、君の不足を補える人は絶対必要だ。どの超越者コミュニティも、一般人の参謀……官僚は必ず抱えてた。竜の魔女すらな」

 

 そして、竜の魔女の面白強欲話を伝えていく。

 夏油くんは笑ってくれた。

 

「夏油くんの望む未来を早めに教えてくれ。それによってプランを変えないとだしな」

「私は……どんな形でも悟と肩を並べたいです」

「じゃあ、五条くんの手を離さないようにしないとな」

「はい。どんな事してでも追いつくつもりです」

「夏油くん。君はいずれ頂点に立つ。五条くんも不可視も最強の盾持ちだしまあ立てるだろう。でもそこは同じ山ではないよ。一騎当千と1人軍隊なのだからね。だから橋を掛けることが必要になる。君達は同じ高さに立てても、同じところに立てない」

 

 夏油くんは気まずそうな顔をする。

 

「分かってはいるつもりです」

「……まあ、呪術界がまず特殊な場所だからね。少なくとも私が五条くんだったら、君に劣等感を抱くと思うよ。五条くんのケアも考えないとって思ってたところだ」

「私に? まさか。ありえない」

「ありえなくないよ。君らの土俵は全然別物で、五条くんの土俵で戦ったら、それは負けるよ。専門外なのに戦えちゃってる事自体がおかしい」

「専門外」

「君は俺に似ている。褒められるのが好きで、本来後衛なのに前線で戦わせられている。そして、優れたライバルがいる」

「先輩、私は後衛では」

 

 まだいうか。夏油くんは自分のことを知る事から始めないとダメだな。

 適性は断然後衛だよ、君は。前線でも戦えるほど出鱈目なだけだ。

 

「まず、呪術規定を変えないと君の場合はどうしようもないんだけど。それさえ出来たら君は表舞台に一直線だ。その時ちゃんと羽ばたけるよう、しっかり準備しよう」

「はい」

「それと、自分がチヤホヤされても五条くんの事を忘れちゃダメだよ」

「忘れるなんて無理ですよ」

 

 夏油くんは笑う。

 

「ん、そろそろつくな。さあ、片っ端から取り込んでいこうか」

「はい!」

 

 

 廃墟に夏油くんと共に向かう。

 呪霊達が、ゴロゴロと呪霊玉に変わって夏油くんの元に殺到した。

 

 この凄まじさ。なのに劣等感を抱くんだから、夏油くんは欲深……理想が高い。

 




マシュマロ
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好みの話は

  • 俺たち(内政)最強!
  • 俺たち(内政)最強!番外編
  • 最後の転生者が入間編
  • 無名叙事詩の知識持ち転生者編
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