私、悪い入間じゃないんです! 信じてください!!   作:かりん2022

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俺たち(内政)最強!6

「見ててくれ、悟! 硝子! XXXクナック、スパスハス、トシァーチャ(教えてくれ、来月も満月か?) えっ 悟? さとゆ、げんきない? ないてゆ? ぼく、いるよ。いっしょにいる」

「傑ー!」

「受ける。逆流現象すっご」

 

 硝子がガラガラを振って夏油をあやす。

 

 五条の指をチュッチュする夏油を容赦なく撮る硝子。

 

「傑ー! いや、逆流現象すごいな! これ超危険じゃん。それになんか気になること言ってるし!」

 

「およーふく、いやー!」

「すぐるーwww!!!!! ちょ、撮るなって硝子!!」

 

 慌てて暴れる夏油を寝かしつける五条。

 

 そう、夏油は呪霊を使って発音不可音の発声に成功したのだ。

 これを持って、夏油の重要性は飛躍的に上昇した。

 それに、吸血や未来視の壮大な夢に目を輝かせるようになったのも知ってる。

 夏油の術式は多彩な利用ができる。

 夏油は呪術規定さえなければ、日の当たる場所へ爆走できる。

 

 だから。

 

 だから。

 

 規定なんて、ずっと変更されなければいい。

 

 実際に、親友から助けを求められたら、そりゃあ協力するけど。

 そうだよ。未来視が危惧する通り、俺は孤独を感じてる。傑に置いていかれたくない。でも、俺はどこまで行っても呪術師だ。

 

 

 翌朝、傑が起きる。

 

「おはよ、傑。もう元気になった? 因数分解できる?」

「元から苦手かな……。おはよう、悟。聞いてほしいことがあるんだ」

「うん」

 

 絶対ないとは思うけど、もう会えないって言われたらどうしよう。

 俺らしくなく不安に思う。

 

「私、この呪霊は秘匿しようと思う。未来視先輩にも言わない」

「えっ」

「私は赤ちゃん返りなんて嫌だよ。絶対に嫌だ。未来視先輩には悪いけど、私のプライドが許さない。硝子にはこのあとすぐに写真消させるようにお願いする。それに、肝心の未来を見た記憶も曖昧だし、意味ないよ」

「プライドが問題なのかよ」

「吸血も自尊心は大事だって言ってたよ。それに、なんか閉じ込められてひたすら未来予知させられるし、嫌な未来でも出たのか罵倒されてるっぽいし、悟の顔色もすごく悪かったし、もう散々だったよ。1ヶ月であそこまで事態って悪化するんだ。あれだったら、まだ呪霊に畑を耕させた方がマシだよ」

「そうかよ」

「私は君と一緒にいたいんだ」

 

 ごつんと頭を俺の胸にぶつけて、かあっと顔が赤くなる。

 どうやら、逆流現象はまだ影響を残していたらしい。

 

「悟。さっきのは言いすぎた。忘れて」

「絶対忘れない。さ、硝子に写真消してもらいにいこうぜ」

「そうだね、急がなきゃ」

 

 それから、傑は思い出したように言った。

 

「それでも、君と硝子の未来だけは定期的に見るよ。君があんな顔するほど追い詰められる事あるんだって知っちゃったし、なんだか不安だから」

「ちゃんとお前の未来も見ろよ」

 

 それから、しばらくして。

 九十九が夏油を訪ねてきた。

 その時、五条は目玉の使い魔を繋ぎっぱなしにしていた。

 夏油は灰原に、吸血や未来視先輩にあちこち連れまわされてるのを心配されていた。

 

『呪霊は非術師から生まれるんだ』

 

 その言葉に、五条は夏油が引いてるのを察する。

 不確かな事、それも非術師に敵意を持たせるような事の断言。

 

『じゃあ、非術師殺しちゃえばいいんじゃないですか?』

『それはアリだ』

 

 おい。

 おいおいおいおいおい。

 夏油の笑えない冗談に力強い肯定。

 夏油に何してくれちゃってんの?

 五条は吸血に一報を入れて、急いで呪霊を吹っ飛ばし、慌てて飛んだ。

 

「傑!!」

 

 五条は夏油にぎゅっと抱きつく。

 

「おや、五条くん」

「呼んだ? 呪霊強化の原因の五条悟でーす!」

「悟!!! それはただの説だろう!?」

「そうだな。ただの説だ。非術師が呪霊を産むっていうのもな」

「興味深いね。ぜひ知りたいな」

「術師の強力な呪力こそが呪霊を産むって説だよ。天元様の結界が原因って説もあるな。とにかくいろんな説があって、本当のところは知らねー。証明する方法もないしな。不確かな説を囁いてそそのかして、何が目的?」

「嫌われちゃったかな」

「俺ら子供なんで、すでに大人に通報済みでーす」

「悟。確かにこの人やばいとは思ったけど、私は大丈夫だよ」

 

 五条は夏油にぎゅうぎゅうと抱きついて九十九を警戒の眼差しで睨む。

 

「特級術師の子供に危険思想刷り込むのはやばすぎだろ。全然大丈夫じゃねーよ」

「私も際どい事を聞いちゃったしね。ただのブラックジョークさ」

 

 五条の脈打つ心臓の音が、夏油に伝わる。

 

 最近、吸血に派閥の事を教わっている2人である。

 甘言を弄す者の怖さはきちんと学んでいる。吸血は単なる理想論者ではない。綺麗事しか知らない相手に魔女達を御せるはずもない。

 

 帰れ帰れ通報したぞと五条がいい、夏油も一見宥めつつも、それを一切否定しないことで五条に同意する。

 

 九十九を追い返した日から、後輩防衛チャレンジがはじまった。

 

始まりは唐突だった。

 

「五条。今すぐ灰原の所に行け。場所は……」

 

 本間先輩の言葉に、五条は急いだ。未来視先輩の忠告する事態はマジでやばい事態なのである。

 五条がたどり着いた時、灰原は死ぬ一歩手前だった。

 

 蒼で吸い込んで、七海を抱えて逃げ出した。それから、体制を整えて再度アタック。一級案件? そんなまさか。特級案件である。

 

 夏油もまた深刻な顔をしていた。

 五条と家入の未来は見てたのに、七海と灰原の未来は見てなかった。

 未来視先輩はちゃんと見てたのに。

 そして、未来視先輩が五条を使って灰原を助けたのだ。

 

 どこまで守るのか。難しい問題である。

 

 以前夏油が見た、五条の辛い顔。それは灰原達の死が前提だったのかもしれない。未来視はあくまでシーンを見るだけで、声が聞こえたりするわけでもない。未来視とはとても使いこなすのが難しい技術なのだ。

 

「どうやら、派閥の全面戦争が起こりそうだ。夏油くんにも手伝ってほしい」

 

 吸血が言う。

 大変なことになりそうだった。

 

「俺は? 俺も手伝う」

「君はあくまでも上の命令に従う感じでいてくれ。上の座は死ぬ気で私が奪うから、信じて待っててくれ。君までこちらにつくと、危機感を煽りすぎてしまうんだ。もちろん、自分の身を守るのなら構わないし、身近な範囲で助けを求められて応えるのもかまわない」

 

 未来視先輩が夏油に言う。

 

「夏油くん。君らの学年と灰原くん、七海くん、伊地知くんは、夏油くんに任せていいか。未来視できる事は知ってる。身を守る目と力と技の揃ってるお前らに手は割いてやれん。非術師の仲間も多いからな。むしろ力を貸してくれ」

「っ わかりました」

「傑。俺もいる。頼ってくれ」

「悟」

 

 夏油の責任は重大になった。しかもこれに通常任務が重なる。

 夏油は休暇の時はほぼ無防備になり、五条は必死にその夏油を守った。

 そして、五条は夏油に相談を受けた。

 疎外感を感じていた五条は、夏油に頼られた事がたとえようもないほど嬉しかった。

 

「悟。私、来月、秘匿死刑受ける。どうしよう……。それでも、助けたい子達がいるんだ」

「まかせろ、傑!」

 

 この時、五条は初めて五条家に生まれた事を感謝した。

 六眼としての五条悟。五条家当主としての五条悟。全部使って、全部を守るのだ。




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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最初、最後の転生者は竜の魔女に決めてたのですが、入間もいいかもと思い始めてきました。
なのでアンケートを取ってみることにします。

入間が勝ったらどうしよう? ドキドキ。

入間って誰? と思ったらぜひ完結した原作「崩壊世界の魔法杖職人」をお読みください。
竜の魔女も入間の魔法使いもめっちゃ突き抜けたキャラです!

好みの話は

  • 俺たち(内政)最強!
  • 俺たち(内政)最強!番外編
  • 最後の転生者が入間編
  • 無名叙事詩の知識持ち転生者編
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