※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
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【副題観測記録/観測ログNo.11】
フィクスマージ語 " - Ligh-Luw Meif - "
翻訳結果…… 『 軽い命 』
──この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろう──
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部屋中の眩しい光は徐々に消えていく。
(この現象をみるのは2回目だ。
巻き戻りの発動条件はどうなっているんだ? )
ぼやけた視界を治す為、目を擦り前を向く。
「あなたよね、泥棒は」
「人の顔見ていきなり泥棒ってなんだよ!?ふざけてんのかテメェ!!」
映像を巻き戻したかのように
目の前の場面は直近の光景に戻っていた。
口論を始めているアリサとナノカ。
一触即発という言葉が似合う光景……。
仲裁に入ろうとしたエマを牽制するように
アリサは近くにあるチェステーブルを蹴り、
チェスの駒を周辺に散乱させてしまう。
アリサのキレた様子に怯んでしまうエマ。
ナノカに近づいて行ったアリサは胸倉を掴む。
二人の距離は間近で、睨み合っていた。
「はわわゎ、わわわゎ……」
「大変ですわ!暴力沙汰になりますわぁ!」
メルルとハンナも先程と同じようなシーンだ。
エマとシェリーも何やら小声で話していて、
最終的にエマは首をぶんぶんっと横に振っていた。
「喧嘩なんてしたら、トラブルを起こした
人達は懲罰房に拘束されるかもしれない……
二人とも……いい加減にして」
エマは静かに言い放つと
アリサとナノカは意外と素直に距離を置いた。
ふと後ろに気配を感じて振り返ると宝生マーゴが
椅子に座っていた。今までは傍観していた様子
だったが立ち上がり、エマ達の方に近寄ってくる。
「あら、案外すごいのね、エマちゃん」
マーゴはエマ達の近くまで来た。
「ナノカちゃんの言う泥棒が誰のことかは知らない
けれど……この牢屋敷では自分の持ち物なんて
一つも持ち込めなかったはずじゃないの?
誰が何を持って行っても構わないと思うけれど」
「あなたは娯楽室から色々と持ち込んでいた。
もしリボンが落ちていたなら自分の物にして
しまってるんじゃないかしら。宝生マーゴ」
「もし素敵な物だったら、自分のものにして
しまってるかもねぇ、見つけたのが私ならね?
まあ勿論、私ではないわよ? フフッ」
「返して」
先程のアリサの件はもう解決したばかりなのに、
今度はナノカとマーゴが睨み合いをはじめた。
(はぁ……決めつけで泥棒扱いするナノカに
煽りや茶々を入れるマーゴやキレやすいアリサ、
馬鹿力のシェリー、そして悪ノリするエマ)
(もしかして牢屋敷にいるメンバー殆ど
手間がかかる奴しかいないんじゃないか?)
「うぅ、こういう雰囲気苦手……」
喧嘩が発生しそうな雰囲気に呑まれているシロ。
彼女にこの光景を見せるのはあまり良くない。
「気分が悪いなら、他の場所に行こうシロ」
「うん……そうしよ〜」
私はこの雰囲気に耐えられないシロを心配して、
手を繋ぎ、一緒に娯楽室を後にした。
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囚われてから4日目20時50分。
私達が室内の探索でまだ行ったことがない場所は
シャワールームと裁判所だ。
アンアンがシャワールームに入ったのを確認し
それに合わせる形で私達は中に足を踏み入れる。
アンアンは怠そうにしながらシャワーを使い、
バスタブにお湯を入れ始めていた。風呂自体が
嫌いなのだろうか機嫌が悪そうに見える。
(体が弱いのだろうか、辛そうな顔だ)
夏目アンアンから視線を外し、
中に入った私達は周囲を見渡す。
部屋の中は破けた簡易的なカーテン
端にカビの生えたバスタブ、割れたガラス。
色褪せた石鹸や、使い古されたダストシュートなど
衛生面的に管理が甘いと言わざるを得ない場所だ。
またシャワールームには張り紙があった。
『17〜22時の間でなければお湯は出ませんので
ご注意を。ゴクチョー』と記載されている。
上半身をバスタブに寄りかかり、中を覗くシロ。
「バスタブの中に残滓があるよ、ヒロちゃん!」
「あぁ見つけてくれたのか、ありがとう」
そう言い、一緒に前のめりになって、
残滓に触れる私達の頭の中に、
いつものように記憶は流れてきた。
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「お風呂嫌い」
「……私に洗ってもらっているのに
失礼じゃないかい? ノアくん」
「3日に1回で良くないかな……」
「えぇ!? 流石にそれは汚いよ」
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バスタブの中に入り背中を洗ってもらって
いるのに文句をたれているノアと、
石鹸を使って泡立てた手でノアの背中を
念入りに洗っているレイアだった。
非常に微笑ましい光景だ。
情報としてはどうでもいい光景だが……。
(……両者共に裸なので、詳細は省こう)
「レイアちゃんって体鍛えられてて細いね〜
有名人なんだっけ? 運動とか得意そう……」
横からシロが疑問を投げかけてくる。
「彼女は芸能人だ。
舞台やテレビ、女優など幅広く活躍している。
体型を維持する為に鍛えているんだろう」
「へぇ〜すごい人なんだね。舞台役者かぁ〜
ここで劇とか見れないかなぁ……? んんっ
この化け物は私が退治してやるぅ〜なんて!」
シロは蓮見レイアのモノマネをしつつ
嬉しそうに色々と語っている。
レイアに少し憧れているのだろうか?
いつもより楽しそうにしている様子だ。
そう見ていると、他の場所から音がした。
私は音がなった方向へと視線を向けると
もう着替え始めているアンアンがいる。
さっきの音はハンドルを回しきった音か。
(……入ったばかりではなかったか?)
それは鴉の行水のような速さで
風呂を終えたアンアンだった。
やはり風呂が嫌いなのだろうな彼女は
ため息をこぼしていた。
着替え終わった彼女は服を持ちながら移動を……
「はぁ……ん?」
服をダストシュートに入れようとしていた
アンアンの動きが停止してしまっている。
「……うぐっ……硬い……」
錆ついたダストシュートの取手に手を当てたが
思ったより硬く開けづらかったようだ。
(経年劣化……フタが歪んでしまったのか?)
苦戦している彼女はやっと開けることができて
ホッと息を漏らした。服をダストシュートの中に
放り投げ、わかりやすくイライラした様子で
シャワールームの扉を開け出て行った。
アンアンを見送った私は、
彼女が触れたダストシュートを確認する。
フタを確認すると明らかに歪んでいた。
シロもダストシュートのフタを見る。
「随分古いみたいだね〜このフタ……
アンアンちゃん、開けづらそうにしていたし」
「あぁそうだな。定期的に替えたりはして
いないのだろう……衛生的に良くない」
牢屋敷の管理について愚痴をこぼしていたら
またシャワールームの扉がゆっくり開く。
入ってきたのは、エマ、シェリー、ハンナだ。
先程の騒動に巻き込まれたメンバーで、
フラフラと足元が覚束なく、疲れた様子だ。
私はエマ達から視線を逸らし、
シャワールームを見渡したが他にどこにも
見る場所も無く残滓もないように見える。
「ここはもう回収したし、そろそろ出よう」
「そうだね〜出よっか」
私達はエマ達をシャワールームに置いて
他の場所へと移動する。
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21時の鐘が響く。
メルルが医務室に入ったのを見て
便乗し私たちも入る。
もう一度外に出るチャンスがないか伺う為
医務室の中で待機していた。
部屋の中にはベットに座っているアンアンと
彼女の看病をしているメルルだ。
ティーポットの中から湯気が漏れていて、
ベット横のテーブル上にハーブティーがある。
メルルはアンアンと会話していた。
「アンアンさん、ちゃんと体洗いました?」
「……」
スケッチブックに何かを書いているアンアン。
(スケッチブックで筆談か、わざわざ使うという
ことは、魔法と何か関係でもあるのだろうか)
「きちんと洗わないと、余計悪くなりますよ」
書き終わった彼女はスケッチブックを見せる。
『お風呂は嫌いだ。着替えるのは面倒だし
髪を乾かさないといけない。 3日に1回でいい。
入っただけでも、わがはいは偉い』
「それでも健康のために、ちゃんと入るべきです」
『嫌だ、拒否する』
頑ななアンアンに苦笑いを浮かべるメルル。
メルルは心配で言っているのだろうな。
風呂に入らないと病気になるリスクが高まる。
元々病弱なアンアンなら尚更だ。
シロに服の端を引っ張られた。
「アンアンちゃん、病気なの?」
その疑問に私は答える。
「いや多分、体が弱いんだろう」
「そうなんだ……」
ふと、廊下から足音が聞こえてきた。
医務室の扉が開けられ、入ってきたのはアリサだ。
「……氷上、睡眠薬持ってるか?
眠れなくてな……1日分だけでいい」
ありますよー準備しますね〜と言い、
メルルは医務室の棚を開き、薬を探し始めた。
その間にアリサはアンアンのベットの近くに来る。
意外だな……本来、優しい性格なのかもしれない。
アリサは心配そうにアンアンを見つめ、
一言、口を動かす。
「……体は平気か? 夏目」
アリサの声を聴いたアンアンはペンを走らせ、
そしてスケッチブックを見せた。
『前よりは動けるようになった』
「気をつけろよ夏目、体弱えぇんだから」
準備していたのか、ページを捲るアンアン。
『アリサこそ、眠れてない癖に』
少しイラッとした表情を見せるアリサ。
「ほぉ、言うじゃねぇか……夏目」
「……ストレスでも溜まっているのか」
「まあ、イライラする事が増えたからな
……泥棒扱いしやがって……」
アンアンは少し考えた様子を見せ、
こほんと一呼吸置き、別のページを見せる。
『わがはいの魔法を使えば、眠れるかもしれない』
「……それ……本当か?」
訝しげな表情を浮かべるアリサ。
(アンアンの魔法か、睡眠に関係する事だろうか)
「わがはいの魔法は軽度の【洗脳】──
何度も使わなければ害はない」『試すか?』
「……まあ試してみる価値はある……か?
氷上、隣のベット借りるからな」
わかりました〜と棚の方向から声がした。
アリサは横のベットに横たわり、目を瞑る。
少し魔法を使うのを躊躇いながら……
スケッチブックをベットに放り投げた。
「アリサ、…………【眠れ】」
「夏目、ありが……と……ぅ……」
(これが……アンアンの魔法か……、
【洗脳】の魔法……強くなったら厄介そうだ)
私がそんな事を考えていたら、棚の方向から
睡眠薬を持つメルルが歩いてきた。
「アリサさーん、お薬……あれ?寝てますね」
『わがはいの魔法で眠らせた、静かに寝てるな』
「可愛い顔してますね、アリサさん」
アンアンとメルルは寝ているアリサの寝顔を
じーっと見つめて微笑んでいる。
本人が起きていたらキレているシーンだろうな。
と、またシロに服を引っ張られた。
「ねえねえヒロちゃん、メルルちゃんが持ってた
ティーポットに【残滓】があるよ〜」
「あぁ、ありがとう」
私はティーポットに近づき【残滓】に触れる。
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「……このハーブティーは美味しいな」
「中庭にあるハーブを取って作ってるんですよ」
『わがはいも作れるようになりたい』
「あとで作り方を教えますねアンアンさん」
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数日前の会話か。情報としてはどうでもいいが
心が温まるいい記憶だった。
「メルルちゃんは、医学に詳しいのかなぁ?」
「どうだろうな……薬の種類はわかっている
みたいだし、詳しいんじゃないか?」
「へぇ〜賢いんだね〜こほん……、
この病気は風邪ですねぇ、こちらの薬で──」
「その演技だと、レイア成分が多いぞシロ」
そっかぁ…と練習し始めるシロ。
……憧れている対象が死ぬ可能性が高いと、
わかっているから気を逸らしているのだろうか?
気を逸らしていたのはシロだけではなかった。
こんな光景が長続きするはずがないことに、
心の隅ではわかっていたのに。
私はその事実を受け止める準備は、
まだ、できていなかった。
誰かが医務室の扉を開く、キィーという小さな音。
そこに現れた存在は、
私を残酷な現実へと引き戻す。
「あ、ヒロちゃんだ」
耳元で聞こえる、どこか聞き覚えのある声。
呼びかけに反応し、振り返る。
その声の正体はシロではない
「ヒロちゃん、ここどう言う場所なのかな? 」
こちらを見ている城ケ崎ノアだった。
城ケ崎ノアは確かに私達を、認識している。
それは、とある事実を示していた──
城ケ崎ノアは──どこかで死んでいる……と。
ヒロの脳内メモ
→今現在の状況
ついに私以外の犠牲者が出てしまった。
城ケ崎ノアは……どこかで死んでいる。
扉という壁に阻まれてる問題
▶︎現在解決方法を模索中。
→牢屋敷関係
娯楽室はいつも空いている
食堂の料理は期待できそうにない。
10時〜12時、15時〜17時、22時〜翌日6時、
囚人全員が監房に拘束される時間で、さらに
私たちにとっては化け物が出現する時間。
囚人達が見つかった場合は看守に追いかけられる。
▶︎捕まったら懲罰房に拘束され2日間動けない。
→シロ関係
人懐っこい中型犬のような性格。
運営側の可能性あり。
昔の牢屋敷を訪れたことがある。
人間?魔女?大魔女?不明のまま。
「死ぬ可能性が高い人物」のみ見える。
レイア、メルル、エマ
現在はこの3人を認識可能。
彼女の魔法は現在特定不可。
魔女因子の痕跡を【残滓】と発言。
この【残滓】を集めると
彼女の魔法は強化されていくらしい。
もしシロが敵側だとすると、
敵を強化していることになるが……
純粋無垢で嘘がつけ無さそうな
彼女は本当に敵なのか?
チャンネル0
▶︎城ケ崎ノア
私の次に死んでしまった少女。
チャンネル1
▶︎宝生マーゴ
妖艶な雰囲気の少女。
▶︎夏目アンアン
スケッチブックを持つ少女。
今回【洗脳】の魔法を持つことが判明。
『シロ』についてどのような印象を持ちましたか?
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無邪気、無垢な少女
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賢い少女
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ミステリアスな少女
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自由奔放な少女
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その他