※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
クリアしてない方はクリア後推奨!
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新しい部屋の応接間の紹介、シロ関係回。
評価して頂いた5名の読者様と
誤字脱字の指摘して頂いた方、
ありがとうございます。
【副題観測記録/観測ログNo.13】
フィクスマージ語 " - ievil JIO - "
翻訳結果…… 『 魔女 』
──この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろう──
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22時直前……ミリア、レイア、ココ、
メルルが監房へと足早に戻ってくる。
……鼻をつまみながら急いで部屋に
戻っていくのを私達3人は確認した。
4人ともノアの死体には気付かなかったらしい。
(なぜ気が付かない?塗料の匂いのせいか?)
私はそれに呆れつつ現場の死体を見る。
13人分の絵を完成させたかっただろう
スプレーを握りしめたまま死んでいるノア……。
私は死体の状況を探る為に近づく。
白い塗料の上に乗るが足跡は残らない……
死んでしまったから関係ないのだろうな。
ゆっくりとその死体を隅々まで観察していく。
そうして見ていると誰かの走ってくる音。
足音は隣の部屋にギリギリで入ったようだ。
隣の部屋は確か……あぁ、エマか。
「……はぁ……」
その足音から気を逸らす。
私は彼女の死体に触れてみようとしたが、
手はすり抜け、ノアの死体に触れることはない。
私達はやはり現実の世界には干渉できないようだ、
目視で死体の状況を確認するしかないな。
私はその場でしゃがみ、死体の顔を横から覗く。
その顔色は蒼白になっていた。
(殺された直後……ではなさそうか……)
死んでどのくらい時間経過したのかわからない。
私は検視の知識は持ってないからだ。だが警察の
知り合いが言っていたことを必死に思い出す。
死亡して2時間経過で『死後硬直』が始まると、
それと『
顔色が蒼白な状態なら死亡時刻はおそらく……。
色々考えていて……つい時間を忘れていた。
今の時刻が22時直前であることを。
「ヒロちゃん!よけて!!」
シロの初めて聞く強い声に反応し正面を見る。
何か鋭利なものが私に振られようとしていた。
私を殺そうとする凶器を見て、身を
「っ!?」
咄嗟に後ろに下がり、凶刃をギリギリ避ける。
急に動いたからか、足が悲鳴をあげた。
服に引っ掛けていた武器を手に取り、
火かき棒を構え、真正面を向く。
そうか……化け物が現れる時間帯だった。
私の視界に写る化け物には既視感があった。
黒い液体で覆われた謎の化け物、ラウンジや懲罰房
で倒したあの化け物たちと同じ得体のしれない者。
「ヒ……ヒロちゃんな、なにこの化け物……」
怯えたノアの震える声が監房に響く。
床が赤い液体で満たされて、ヌメヌメと
足を取られる感触が私に襲い掛かる。
「ーーーーーーーーーーー」
化け物は再度、私に向かって凶器を横にふるう。
ふるわれる凶器に対し両手で火かき棒を構え
防いで応戦、手にしびれるような感覚がはしる。
次の攻撃を避けてノア達のいる監房廊下に逃げる。
「っ……」
「大丈夫!? ヒロちゃん!」
「あぁ! 平気だ!」
床を思いっきり蹴ったおかげか、化け物と
距離を取れた。恐怖を抑えつつゆっくりと、
私は化け物の全体像をやっと捉えることができた。
黒い液体で分かりづらいが、ノアと同じ姿形を
している。不気味な笑顔を浮かべ私を覗いてくる。
そして右手に持った矢と……左手の火かき棒。
「ーーーーーーーーー!!」
右手に持った矢を持って何かしようとしている。
全身を使ってまるで野球のピッチャーのような
その構えに嫌な予感がして……。
「伏せろ!!」
「うっ!」「わぁ!」
二人を近寄らせ伏せさせると
すぐ近くに風を切り裂くように
矢が数本勢いよく飛んできた。
恐る恐る先ほど私達がいた場所を見ると
数本の矢が突き刺さっていた。
このまま此処にいては誰かが犠牲になる!
「二人とも! いったん逃げるぞ!」
「わかった!」「うん!」
急いで二人を起き上がらせて、手を取り走る。
また化け物は何本もの矢を投げてくる。
私はその攻撃を武器を使ってはじき、
襲い掛かってくる化け物から必死に逃げた。
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22時30分……娯楽室の時計は告げる。
私達はあの化け物から逃げてきたところで、
まだ追いかけてくると思い、遊具に隠れていた。
しばらく時間が経っても化け物は来なかった……。
どうやら逃げ切れたらしい。
化け物と遭遇し初見だったノアは青ざめ、
あの黒い敵に関して私に質問を投げかけてきた。
「ヒロちゃん……あの化け物、何者なのかな?」
「私もわかってない、私達と同じ姿をしていて、
襲い掛かってくる得体のしれない化け物としか」
その質問に簡易的に返答する。追いかけられる
恐怖を体感したからか、ノアとシロの顔色は悪い。
化け物に追われる経験など誰もしたくない。
だが、追いかけられてやっと判明したこともある。
一定の範囲までしか追いかけてこないことだ。
化け物たちは部屋から出てこないとわかった。
図書室、ラウンジ、懲罰房と部屋基準で出現する。
さっきは、運悪く新しい敵と遭遇したようだ。
(シロとノアの様子はどうだろうか)
「二人とも、ケガは?」
「ヒロちゃんが伏せろって言ったおかげで何も!」
「のあも無事だよ~」
「よかった、ところで二人の意見を聞きたいんだ」
「なぁに?」
私は先ほどの化け物に関して一つの推理が、
頭の中に浮かんできた。
「先ほど襲い掛かってきた化け物……あれは液体で
見づらいとは言え、ノアに非常に似ていたよね」
その発言に同調するように返答してくれるノア。
「のあと随分似てたよね~黒いペンキのような色で
全身をコーティングしてるみたいだけど~」
「確かに似ていたけど……それが
どうかしたの?ヒロちゃん」
「あぁ、あれを見て一つ……仮説がある」
仮説を二人に伝える。
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「のあ達が間違った結末を辿った姿?」
ノアはそう疑問を浮かべた表情で私を見る。
「ん~突拍子のない仮説だけど……ヒロちゃんは
根拠の無い事は言わないし、あるんだよね?」
「あぁ、勿論さ」
シロに返答され、私は過去に経験した私の魔法
【死に戻り】による過去の出来事を伝えた。
何年か前に私は水難事故で何度か死んでいる。
【死に戻り】の魔法によって忌々しくはあるが、
今生きているのはこの魔法のおかげだ。
(もし、私が死んだ時間軸があるなら……
これをα世界と仮定して考えてみよう)
私が死んだα世界が今も時間がそのまま
進んでいるとしたら……化け物たちは、
私達の誰かが死んだ姿ではないか。
その化け物は何らかの原因でこちらに迷い込んで、
私達を排除しようとしているのかも……
と推測する事ができるかもしれない。
(無論、この仮説は私の魔法ありきの主観による
考察だから、細部は間違っている可能性は高い。
けど、二人は信用できるし伝えておきたかった)
「う〜ん、難しいSFみたいな話だね~
……のあにはわかんないな~」
タチの悪いSF小説みたいな考え方だ。
私の魔法を伝えるリスクはあるが、今この状況
自体奇怪だし、伝えないデメリットの方が上回る。
「ヒロちゃんのいう仮説がもし正しいとしたら、
図書室の本や食堂の肉塊も元は誰かの姿だった
ってことにならないかな……?」
「え、そんな化け物もいたの? シロちゃん」
うんと言い、ノアに発見した化け物の時間帯
と特徴また出現する場所を伝えてくれるシロ。
「そうなんだ……ならヒロちゃんが倒した
ラウンジと懲罰房にいた化け物も、元は……」
私達囚人の誰か……と二人は賢く
言わなくても理解したみたいだ……。
別の時間軸にいるとはいえ、自分が死んだ
かもしれないなど……考えたくはない。
ふと、何か思い詰めたかのように私を見る二人。
「……ねぇ、ヒロちゃん、そういえば。
確認のために聞いておきたいんだけど──
そのノアの言葉に、以前のような嫌な予感が走る。
「娯楽室で誰か死んでたりしないよね?」
引きつった顔をしながら私を見ている。
(……あぁ、嫌な予感とは的中する物だ)
「……ナノカとアリサが一度死んだな」
その言葉にシロは素早く反応する。
「じゃ、じゃあ後ろにいるのって……」
シロの反応に違和感を覚え、後ろを振り返る。
すると、いつの間にか床には
赤く紅く赤黒い液体が部屋に溢れていて──
赤い液体から出現した銃を構えた化け物と
炎の手をこちらに向けている化け物。
顔が潰れている……あの二人の化け物か!!
「ーーーーーー!」「ーーーーーー」
その構えからこちらを攻撃してくる事は
明白だった。化け物は何かを投げる動き、
既視感のあるモーションを取ろうとしていた。
「っ!二人とも隠れろ!」
「もう!」「またぁ!?」
すぐに全員ビリヤードテーブルに隠れる。
瞬間、ビリヤードテーブルに銃弾(?)と
赤黒い炎のような物がぶつかり衝撃が加わる、
ビリヤードテーブルに感謝すべきだな……。
テーブルの横から顔を確認し、攻撃してこない
隙を伺って娯楽室から私達は逃げる。
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23時00分……古時計の鐘は轟かせる。
私達は1階玄関ホールに逃げてきていた。
流石に初見で倒せるほど甘い化け物達じゃ無い。
「はぁ……」「うぅ……」「つ、疲れた……」
急にまた走らされた影響で
疲労が積み重なっていっている。
何か対策を練って倒していかないと
安全地帯がどんどん減っていくだろう。
(この火かき棒もどこまで持つかわからないし、
慎重に動かなくてはいけない。せめて確実な
セーフゾーンでもあればいいが……)
そんなことを考えていたら、
シロが何処かを一点……注視していた。
いつもの笑顔は消え、真剣な表情で見ている。
「シロ……何かあったか?」
「……ヒロちゃん、あの部屋に入ってみよう?」
シロはその部屋に向かって歩き出した。
ノアは息を切らしながらシロを見る。
「えぇ?……シロちゃんどこ行くの?」
ノアは心配そうにシロの後に続く。
私も二人の後を追うようにその部屋に向かう。
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その部屋は応接間だった。
入口は残滓と同じような美しい光が溢れ出し、
幻想的な紅色の蝶が飛んでいく。
ここからだと内部が暗くて全く見えない。
紅く光る扉を何の疑問も抱かずに入っていくシロ。
「シロちゃん! ……一体どうしたの?」
ノアもシロの心配をしてるのか、
シロの後を追って入っていく。
私も覚悟を決め、その扉を通り抜ける。
そこは本来の応接間とは思えない光景だった。
部屋のすべてが鮮やかな彩る部屋で奥が暗く、
とても広い……どこまで続いているのか……。
周囲を観察すると、椅子やテーブル、本棚や
シャンデリアなど至る所に花が咲いていて、
ほぼ無色の花ばかり……。
この花たちは一体何の意味があるのだろうか?
私は一つの花が気になって見ていた。
ここに生えている花……彼岸花だろうか。
本来彼岸花は赤色がメジャーだがこの花は白い。
花だらけなこの部屋はとても不思議な空間だ。
「シロちゃん……どうしたの?」
ノアは相変わらず心配そうにシロを見ていた。
「……この部屋になにか……忘れちゃいけない
大切なことがあった、そんな気がして……」
部屋の中央奥に佇んでいるシロの目線が気になり、
私はシロに近づいて目線の先を見る。
そこには綺麗に並んだ花達だ。
青い花を中心に白い花が囲むように咲いて、
複数の花の端には銀色の葉が添えられている。
(一般的な花なら知っているが流石に全ては……)
「内側からポピー、カルミア、アネモネ、水仙
そして……銀色のユーカリだよ、ヒロちゃん」
「随分詳しいな……どうしてわかったんだ?」
淡々と応えるシロに私は質問をさらに返した。
「私の……母親から教えてもらった知識……」
「シロちゃんの母親?」
ピンポイントな情報だな……この状況に
関係あるかはわからないが……
一応、頭の片隅に置いておこう。
「ガーデニングが好きだったんだ……母は」
「……そうなんだ」
シロのその言葉を聞いてノアは頷いた。
その言葉を聞いて一つ思いつくことがある。
牢屋敷の外の虹のかかった花畑……。
もしかすると……
「君の母親があの花畑を作ったんじゃないか?」
私の推測をシロに伝えるとシロの頭が少し動く。
横目で見たノアは疑問で一杯な顔をしていた。
「ヒロちゃんの言う通り……私の母親だと、
思う、でもその花畑は……一度──」
悲しそうにその花をみてポツリと呟いた。
シロのその表情は何かを懐かしむような……、
反応を見ていた私の服の袖が引っ張られる。
引っ張ってきたのはノアだった。
「ねえねえ、ヒロちゃん。シロちゃんの
今見てる花ってもしかして……のあを
モチーフにした花じゃないかな……?」
「それは……どういうことだ?」
芸術家のノアだから分かることがあったのだろう。
何か知っていそうなノアに詳しく聞いてみる。
「カルミアって花はねー2月20日の誕生花だよ〜
のあの誕生日なんだー、自分の誕生日の花って
調べたことないかなー? ヒロちゃん」
「ふうん、誕生花か……そうだとすると……」
ノアの意見を聞いた私は周囲を見渡して
色がついている花を探した。そして私は見つける。
美しい紅色の花は私の誕生花に該当する……
「赤い……色の……フリージアか……
それにこっちは彼岸花……私のモチーフか」
花を見つめていると不思議と心が落ち着いて、
この部屋にいつまでも居たい感覚があった。
そして……推理するパズルのピースが
徐々に揃っていく感覚もあった。
応接間をこのような環境に変えたシロの母親は、
ほぼ間違いなく……『魔女』だろう。
親が『魔女』の一人であるなら……シロは……
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ヒロの脳内メモ
→今現在の状況
化け物に遭遇し、死体調査は一時中断。
安全だと思っていた娯楽室にも化け物が出現する。
逃げ回る私達の前に現れた謎の応接間……。
応接間の内部は花だらけの謎空間になっていた。
ここは他の部屋と違って安心する不思議な空間だ。
扉という壁に阻まれてる問題
▶︎現在解決方法を模索中。
もしかしたら……ノアのスプレーは……。
→牢屋敷関係
娯楽室はいつも空いている
食堂の料理は期待できそうにない。
応接間の不思議な空間は時間があるとき
調査をしたい……だが今は死体調査を
先にして犯人を突き止めなければ……。
10時〜12時、15時〜17時、22時〜翌日6時、
囚人全員が監房に拘束される時間で、さらに
私たちにとっては化け物が出現する時間。
囚人達が見つかった場合は看守に追いかけられる。
▶︎捕まったら懲罰房に拘束され2日間動けない。
→シロ関係
人懐っこい中型犬のような性格。
運営側の可能性あり。
昔の牢屋敷を訪れたことがある。
人間?魔女?大魔女?不明のまま。
彼女の魔法は現在特定不可。
魔女因子の痕跡を【残滓】と発言。
この【残滓】を集めると
彼女の魔法は強化されていくらしい。
もしシロが敵側だとすると、
敵を強化していることになるが……
純粋無垢で嘘がつけ無さそうな
彼女は本当に敵なのか?
彼女の母親……花に随分詳しいようだ。
応接間の環境を変えた人物に思える。
ほぼ、【魔女】だったのだろうと推測。
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ヒソヒソ話 <作者から>
今後、応接間は『死亡キャラを表現した花』
……無色が別の色に変化して、咲いていきます。
基本、誕生花+2or3つの花+αで描写しますね。
この部屋は唯一セーフゾーンでヒロ達の
憩いの場……掛け合いを書いていきます。
ストーリーの合間に書く予定です。
最後に一言、次回は、
第1章裁判 捜査パート!お楽しみに。
『シロ』についてどのような印象を持ちましたか?
-
無邪気、無垢な少女
-
賢い少女
-
ミステリアスな少女
-
自由奔放な少女
-
その他