※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
クリアしてない方はクリア後推奨!
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議論 その1編
<追記 11/29>
制作中の進行度を活動報告にて、
逐一更新しております。
投稿日付が気になる方は確認してくださいね。
【副題観測記録/観測ログNo.17】
フィクスマージ語 " - Firellu - "
翻訳結果…… 『 燃える 』
──この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろう──
「あっ、裁判前に一つ伝えることがありました」
ゴクチョーの一言で空気が困惑に変わる。
「食堂にあった時計に誤作動がありましたので、
現在メンテナンス中です」
空気がわずかに揺らぐ、
『今それ言う? 』
顔を見合わせ共通の疑念が空気中に漂う──。
「看守はしばらく修理のために食堂にいます。
事後報告ですが、一応伝えておきましたよ」
と、羽を広げ、唐突に毛繕いを始めるゴクチョー。
どうでもよさげに再び翼を閉じ、目を細める。
再度“開廷”の宣言をしようと口を開こうとし──
「ちょっと待ってください!」
不意に良く響くあの声が開始を止めた。
橘シェリーの声だ。
「ゴクチョーさん!ハンナさんがいません!
看守さんにお願いして連れてきてくれませんか?
たしか焼却炉に行くと言っていたはずです!」
──遠野ハンナ。
裁縫道具を取りに行った彼女か。
なぜいない?
ゴクチョーは深いため息をつき、
看守に『連れてくるように』と静かに命令する。
急いで裁判所の扉を開け走り去る看守。
『バタンッ』と、扉が閉まる音が重く聞こえた。
静寂が空気を支配する。
「……はぁ、では今度こそ──」
「魔女裁判、開廷です」
その一言に、皆の表情は強張りを隠せず、
冷たい緊張を走らせた。
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「さて、まずは私から話そう。
大まかな死体の状況を説明をさせてもらうよ」
率先して手を上げ、進行役を務めるレイア。
その声は冷静であり、張り詰めていた。
「殺されたのは城ケ崎ノア君。
監房部屋で奥側にうつ伏せに倒れていた」
「死因は心臓への大きな傷。
折れた矢が凶器だと思うけど──」
「矢だとしたら傷が合わないわね?
別の凶器を使った可能性が高いわぁ」
マーゴの添えた一言に頷くレイア。
「死体を動かす許可は出なかったから
確定ではないけど……複数の痕跡から考えて、
刺された方向は後ろからの可能性が高いね」
「廊下側に頭を向けて死んでいたことから
ノア君は──犯人を見た可能性が非常に高い」
レイアはふと、手を顎にあてる。
「あと死体の状況からおそらく──、
“2時間より前”に殺されたと思う」
「え~!検視できるんですか?レイアさん!」
橘シェリーの声が裁判所に響く。
「あぁ、以前役作りの時に鑑識役を頼まれたことが
あってね。その時に検視のやり方を学んだんだ。
素人の真似事だから『おおよそ』の時間だけど」
「私たち、いい探偵コンビに
なれますよ~レイアさん!」
「それは遠慮しておこうかな……」
手を頭に置き、レイアは緩んだ空気を戻す。
「次に……死体の周辺の説明をしようか」
「部屋の床に、白い塗料が塗られている」
「犯人の足跡は残って──
「はいはい! 私わかっちゃいました!」
視界の端でノアの体が微妙に動いた。
ふと、レイアの説明を遮るシェリー。
彼女はなにか確信を持った態度で、
手を『ピーン』と挙げていた。
自信満々そうなシェリーを見た私の感想は──
『絶対間違っているだろう』という
根拠のない感情だった。
「犯人はマーゴさんです!! 」
「えぇ!シェリーちゃん、どういうこと? 」
頬に手をあて、マーゴは“くすっ”と笑う。
「あら? 私が犯人なの? 」
「はい!死体に描かれた蝶は犯人を示した
ダイイングメッセージだったんですよ!」
決め顔のシェリー。
「つまりぃ~服に蝶があしらわれてる
宝生マーゴさんが犯人です! どうですか! 」
「あらあら私が犯人だったのね?
うふふ、面白いわぁシェリーちゃん」
犯人と言われた宝生マーゴ。
その余裕たっぷりな表情は、
犯人とは到底思えない。
つまり、シェリーの推理に矛盾がある。
私は周囲を観察するため、チラッと見た。
視界の端で何か言いたそうなアンアンの顔、
頑張ってスケッチブックに走り書きしている。
その反応に気づいた人物がいた。
エマがアンアンに目線を向け
手を差し伸べたその瞬間──、
“ごぉーん”と鐘が鳴る音と同時に
ステンドグラスが割れる音。
──また……この音か。
傍観しているシロとノアの反応を見ても
特に聞こえた様子はない。
音自体を聞くのは四回目なのに相変わらず
これに対して誰も反応もしないという事は、
私しか聞こえてないのだろう。
正直この鐘の音が味方なのかはわからない。
だが【正しい時しか鳴らない】なら利用してやる。
「アンアンちゃん。何か知ってる? 」
エマの声に頷いたアンアンは
スケッチブックにすらすらと記入していく。
『その蝶の絵はマーゴと関係ない』
ペラッとページがめくられ、
きれいな蝶の絵と13人分の絵のラフスケッチが
見えた。ノアの丸っこい筆跡がとても印象的だ。
『これは勝手にノアが描いていった絵。
それと監房壁に描いた絵の“下書き”である』
「蝶はノアから貰ったお守りだ。
マーゴを示していないことは明白」
合点がいったのか、
シェリーは満面の笑みを浮かべる。
「そうだったんですか!では
この推理は間違ってますし、撤回します! 」
「いや、撤回ハヤッ! 」
すかさず突っ込むココの声。
「とゆーかさ、なんでノアっちは
死ぬ間際に蝶の絵を描いたわけ? 」
「凡人のウチらに、
天才の【バルーン】が描く理由なんか、
わかるわけねぇだろ、沢渡」
「凡人扱いすんなし! 」
睨むココ。
しかし、アリサの威圧感ある目に睨み返され
あっさり敗北した。
「つーか死体の件だが、後ろから刺されたって
言ってたな、だとしたら死体は
『壁側に倒れる』だろーが。
なんで『廊下側に向かって倒れて』んだ? 」
「確かにおかしいですね……。
後ろから刺されて倒れる場合、
壁側にうつ伏せでないと矛盾が発生します……」
ミリアは数秒の沈黙のあと、口を開いた。
「おじさんは現場みてないけど……、
一回刺されたときは死んでなくて犯人を見ようと
振り返ったときにもう一度刺された……とか? 」
「いや、それだと塗料を超えられねぇ。
塗料が乾いてないのを
佐伯以外全員確認してる上、
犯人の往復分の足跡が残るはずだろ」
(つまり、犯人が何度もノアに近づいたなら
足跡が“往復分”残らないとおかしい、か)
補足するようにマーゴも口を開く。
「それに足跡以外の痕跡も3つあるのよ?
その推理では説明できないわねぇ」
「うぅ……そっかぁ」
今まで傍観していたナノカが口を開く。
「なんにせよ、矢で刺したときには死ななかった。
その可能性を考える必要があるわね」
「まぁ、ともかく。
死体周辺は様々な痕跡が残ってる。だが、
殺害するには火かき棒だとリーチが足りない。
まずは矢を使った方向から議論してみようか」
(赤文字が頭の中に浮かんでくる……)
※タップして議論を進めよう!※
──── ⚖ 審問開始 ⚖ ────
「死体の状況をよく見てくれ。
まず、ノア君の死体は廊下側に頭を向け、
「つまり壁に描いていた時に一度
矢で刺されたが、ノア君はその時死ななかった」
「犯人を見ようとして
ノア君は再度、矢で心臓を貫かれて倒れる」
「これなら死体の状況は一致するよ」
「それだと現場にノアちゃんの足跡が
振り返るときにのこるんじゃないかな? 」
ないと成立しないような……? 」
「確かに足跡が残っちまうな。
ただ、ウチたちは死体を持ち上げてねぇから、
体の下に足跡が残ってる可能性はある」
「だがな蓮見、
それだと死体周辺の引きずられた跡と、
引っ搔いた痕跡はどう説明するつもりだ? 」
「三つの痕跡との矛盾が残ってる。
元からあったとかつまんねーこと言うなよ? 」
「それは、私にもまだわからないが……」
「うーん確かにレイアさんの推理だと
三つの痕跡に説明がつきませんね……」
「犯人は白い塗料に触れずに
ノアさんを刺した後『何故か』痕跡を残した? 」
「情報が足りてない気がしますぅ!」
『矢で殺されたとしても
あまりにもリーチが足りなさすぎるな』
「いやいや、アリサさん~。
矢をそんな風に投げても貫通しませんてば~」
「じゃあどーやって使ったんだよ!
吹き矢で殺したとか? 」
「えっと……秘境の原住民かな? 」
を使ったんじゃないかしら」
「ボウガンはいつ誰が取ったとしても
おかしくないわね。十分あり得ると思うわ」
「えっと、腕が伸びる人がいるとか?」
「格ゲーの話してんじゃねぇーぞ!」
──── ⚖ 審問終了 ⚖ ────
(様々な意見があるが、答えはシンプルだ)
(使われた可能性があるのは
間違いなく“アレ”だろうな)
(火かき棒が使われた可能性が一番高い。
その話に持っていくには、
矢の可能性をなくさないと……)
(とっとと、議論を発展させろ……エマ)
──── ↑ 議論に戻る ↑ ────
──────────────────────
──────────────────────
「ちょっと待って! ほんとにうつ伏せだった? 」
「おい!桜羽! おめぇウチとほぼ同タイミングに
死体を発見しただろ、忘れてんじゃねーぞ! 」
「エマさん。もしかして、もう疲れてませんか?
無理そうなら議論中休んでてもいいですよ? 」
「うぅぅ気づかなくてごめんなさい~エマさん」
「今のところ貴方は
疑惑をかけられてない、休みなさい」
「みんなに心配されちゃった……」
──── ↑ 議論に戻る ↑ ────
──────────────────────
──────────────────────
「それだ! 二本あったんだ! 」
「それで? 二本あった証拠は? 」
「え?」
「いや、『え? 』じゃないシ……」
「エマ君、根拠がないなら一々突っついて
議論を止めるのやめてくれないかな……」
「代わりに私が突っついてあげましょうか? 」
「突っつかれちゃう! ……」
──── ↑ 議論に戻る ↑ ────
──────────────────────
──────────────────────
「矢を投げて殺したんだ! 」
「あははダーツみたいに……ってこと? 」
「さすがに矢を投げただけじゃ、力はいらないし
体を貫通できないって! エマっち! 」
「たとえダーツのプロがいたとして、矢だけでは
近接攻撃じゃないと致命傷にならない。
その上、塗料を超えられないと思うわね」
『真面目に考えろ、やり直し』
「正論で返されちゃった……」
──── ↑ 議論に戻る ↑ ────
──────────────────────
──────────────────────
“ごぉーん”と鐘が鳴る音と同時に
聞き覚えのあるステンドグラスが割れる音。
やはり私しか聞こえてないな……この音。
【正しい】選択を選んだ時しか鳴らない
ことはわかった。利用価値は高そうだ。
「ボウガンを使った可能性はあるよ! 」
「やっぱり、そうよねぇエマちゃん。
監房廊下にあった機械のパーツでしょ? 」
「うん! 、マーゴちゃんの言う通り、
監房廊下に4日目の17時頃、メルルちゃんと
ボクはバケツの中に機械パーツがあったのを
目撃してるんだ」
『パーツ?』
「アレ?でもそれって
バラバラになってませんでした?
使われた可能性は低そうですけど」
「はぁ?、なんで
使われてないッテ言い切れんのさぁ? 」
「ボウガンを持ち出したの
……私なんで! 」
「────は?」
(────なんだと?)
「だからぁ! ボウガンを
バラバラにしたんですってば」
「シェリーちゃん?!
なんでそんなこと! 」
「だってあぶないじゃないですかぁ!
人を殺せる道具が誰でも触れられるところに
あるんですよ?当然使われないようにするべき
じゃないですか」
「えっとボウガンを持ち出したのは
わかったよ。でも結局、ボウガンを使うことは
できなかったってことでいいのかな? 」
「うん! 17時頃にパーツを見た後、
ボクはノアちゃんと一度会話してるんだ。
その頃にはバケツ内にパーツはあったから
使うことはできないってことだね 」
(“ボウガンのパーツを見た段階では
ノアは生きていた”これは重要だな)
「組み立て直した可能性はねぇのか?」
「いえ、それもないと思います。
私パーツの大部分をいくつか持っていったので
不可能だと……」
「そうか、ならいい」
「つまり矢だけを使用した可能性がある
ってことだね。でも結局矢だけを使ったところで
ノア君の体には届かないね」
「なら次は火かき棒を使った方向で
議論しましょう。本命はこっちだと思うわ」
そういえば火かき棒はいつから無かったんだ……?
注意深く聞いておくべきだろう。
「いや、その前に一つ
思い出したんだけれど皆聞いてくれないかな」
(……なんだ?)
「みんな一つ忘れていることがあるね。
この牢屋敷内では“魔法”が存在するように
私たちにもそれぞれ固有の魔法があるだろう? 」
「結局何が言いてぇんだ? 」
「この場にいないハンナ君の【浮遊】魔法だよ。
彼女の魔法なら、足跡が無くても説明がつく。
一応議論しておくべきかと思ってね」
遠野ハンナの魔法は“浮遊”だったのか。
覚えておこう。
そう頭の中を整理していたとき
裁判所の扉がゆっくり開かれる
──────現れたのは、
「はぁ……お待たせしましたの……はぁ」
手に“何か”を持った“灰まみれのハンナ”だった。
──── ↓ 次の話へ ↓ ────
捜査ファイル 【証拠まとめ】
<死体現場周辺>
▶︎ 城ケ崎ノアの死体写真
城ケ崎ノアの死体を撮影した写真。
自室の部屋で『うつ伏せ』に倒れ、
血を流して死んでしまっていた。
胸の大きな刺し傷が一箇所、
矢で刺した割には傷が大きい。
部屋の床一面に白い塗料が塗られている。
体ごと擦られたような痕跡がある。
また服が少し焼けた痕跡も見つかった。
▶︎ 真っ二つに折れたボウガンの矢
城ケ崎ノアの死体発見時、
ノアの死体の足元に折れていた矢。
矢の真ん中で真っ二つに割れている。
先端の形状は死体の傷と一致せず、
血液が付着している。
▶︎ 壁に描かれたメンバー13人の絵
ノアとアンアン監房部屋の壁に、
牢屋敷に囚われたメンバー13人分の絵。
この絵はほぼ完成間近だった。
塗っている最中に殺された可能性が高い。
▶︎ カラースプレー (白色)
城ケ崎ノアの死体発見時、
近くに転がっていたカラースプレー。
強い異臭を放つ白の塗料で、
乾くにはある程度の時間がかかる。
ほとんど使用してしまったのか、
残り僅かしか残っていない。
※【この商品は木材に付着すると洗い
落とせなくなります。取り扱い注意!】
▶︎ カラースプレー (??色)
蓋がついていてまだ新品のようだ。
※【この商品は木材に付着すると洗い
落とせなくなります。取り扱い注意!】
▶︎ 床に描かれた蝶
城ケ崎ノアの死体発見時、
床に描かれていた蝶のような模様。
大量の血液で描かれていて、
ノアの魔法によって蝶になったようだ。
▶︎ 床の傷跡
死体の近くの床にあった傷。
何かで引っかけたような黒い傷。
白い塗料が剥げ落ちていた。
▶︎ 何か引きずったような痕跡
死体の近くの床にある引きずった痕跡。
灰のような黒い物が少量残っている。
<監房廊下>
▶︎ 分解されたパーツ
廊下のバケツに入っていた、分解されたパーツ。
ボウガンのパーツで間違いない。
バラバラになっていて修復困難、
メルルが捨てた筈のハンカチがない。
▶︎ 綺麗な火かき棒
元々はラウンジに置かれてある火かき棒。
生きてるヒロが化け物を刺した後の武器。
最近誰かが拭いたのか綺麗な状態だ。
持ち手だけ何かで汚れている。
メルル監房前バケツに入れてある。
▶︎ 変色したロープ
元々は焼却炉室に置いてあったロープ。
ロープ全体が茶色に変色している。
マーゴナノカ監房前バケツに捨ててあった。
<玄関ホール>
▶︎ ただの箒
特に触られた形跡はない。
<シャワールーム>
▶︎ ダストシュートの歪み
何時からかわからない……が、
ダストシュートのフタが歪んでいた。
<ラウンジ>
▶︎ 配信アーカイブ
沢渡ココが行っていた配信動画記録。
佐伯ミリア、蓮見レイアが出演。
レイアがレイピアを使いリンゴを
串刺しにするシーンが見どころだ。
途中、機材トラブルがあったのか
スマホを支えるスタンドが転倒。
<湖畔方面>
▶︎ ナノカのリボン
紫藤アリサが湖付近で発見したリボン。
発見時びしょ濡れになっていた為、
アリサが中庭に干すため移動していた。
リボンの端をよく観察すると、
血液が付着し、拭いた痕跡がある。
<医務室>
▶︎ 使用済みの睡眠薬
メルルが『何か』と間違えて
アンアンに誤飲させた『らしい』。
色は【鮮やかな青色】
一体『何』と睡眠薬を間違えた……?
▶︎ 不足した包帯
何回見ても絶対減っている包帯の数。
医務室に出入りしたメンバーは全員怪しい。
出入りしたメンバー「不明」
<食堂前廊下>
▶︎ エマら3人とマーゴの証言
中庭に消えたはずの黒部ナノカ。
地下を調査していて階段を上るマーゴと
全く会わずに地下から一階に『後から来た』。
一体どういうことだ?