※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
クリアしてない方はクリア後推奨!
ネタバレは嫌な方はブラウザバック!
初投稿です
↑のように赤文字で出てくる単語は
キャラクター達が反応する箇所になります。
どこに反応するか考えながら見ていただけると
この小説をさらに楽しめると思います。
【副題観測記録/観測ログNo.2】
フィクスマージ語 " -DArime - "
翻訳結果…… 『 断罪 』
──この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろう──
私とシロは玄関ホールの大階段から
2階ホールに上がり別の部屋に移動していた。
その部屋の扉はなぜか閉まっていない。
部屋に足を踏み出すと、
柔らかそうなカーペットが出迎えてくれた。
(随分、柔らかい素材だ……)
私は部屋全体をざっと観察する。
天井中央に大きなシャンデリアがある。
壁際に置いてある棚の中には
様々なものが所狭しと入っているようだ。
くつろげそうなソファーやクッションと
柔らかそうな椅子とチェスのテーブル。
あとはボードゲーム、ビリヤード台もあった。
さらには大型スクリーン、プロジェクターやら
娯楽品の種類が妙に豊富だ。
……妙にホラー関係が多いな。
案内してくれたシロは真っ先にビリヤード
テーブルの上にある淡い光に右手を突っ込み
私に来て欲しそうに左手を振っている。
それに応えるように私は近づく。
「はい、ヒロちゃん! これに触れて」
「……え? あぁ」
(この淡い光は一体なんだ)
(よくわからない代物だが……
これに接触して大丈夫なのか?)
笑顔で言っているから彼女に
悪意はないのだろうが……
まだ私は彼女のことを詳しく知らない。
「……どうしたの? ヒロちゃん」
キョトンとした顔をしているシロ。
本当に無垢な笑顔しか向けてこない。
(あまりに純粋な顔を向けられると、
疑ってるこちらが申し訳ないな)
心では何の根拠もないのに「信じる」
なんてバカがすること、と考えている。
…だが、今回は『信じて』みても
良いかもしれない。
どうせ私は死んでしまった後だし
リスクはかなり少ないだろう。
私はその淡い光に違和感を抱きつつ触れる。
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2階 →娯楽室 図書室 ???
1階 医務室 倉庫 トイレ ラウンジ
シャワールーム 中庭 玄関ホール
食堂 厨房 ???
地下 懲罰房 監房 焼却炉
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「……っ!」
少し驚いたが、すぐに立ち直る。
頭の中にこの牢屋敷の全体図が強制的に
インプットされたかのような頭痛が走り
ここは2階の娯楽室だと教えてくれた。
(近くに名前のない部屋と図書室があるな)
(シロの案内が終わったら図書室に行ってみよう。
何か情報を引き出せるかもしれない)
シロは触れたのを見届けた後、
嬉しそうにこの光に関して説明してくれた。
「至る所にね〜淡い光があって触れると
誰かの記憶を見れるようになるんだ〜
不思議だよね〜」
「──────」
と、いつのまに移動したのだろうか、
ビリヤード台上の淡い光に触れながら
言う彼女の呑気さに、私は絶句する。
(不思議の一言で片付けて良いのか……)
原理は全くわからない。わからないが……
この淡い光はうまく利用できそうだ。
現在の私は死んでしまった後で、
シロの魔法の影響下にある状況だ。
このような状況では現状できることが少ない。
今できることを私は精一杯やるべきだ。
それが『正しい』あり方だろう。
シロの魔法影響下から抜け出せれば、
私の【魔法】が発動することは予想できる。
問題ない……はず。
「まあ、何となくだが分かった。
今後はこの【淡い光】を見つけ次第
触れていけばいいということか、助かるよ」
「うん!そうだよ〜」
彼女はビリヤード台から離れて
こちらに近寄り、私の左手に触れてくる。
「みんな私のこと見えてなかったからね〜
ヒロちゃんが来たからもう寂しくないんだ〜
ありがとうね! ヒロちゃん」
シロはそんな事を言って抱きついてきた。
もし彼女に尻尾があったらかなりの勢いで
振っているように見えるだろう。
勿論、幻覚なのはわかっているが……
などと、どうでもいいことを思考していたが、
先程のセリフに私は違和感を覚えた。
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「君、いやシロ、いつから此処に?」
「うーん、ついさっきかな〜。
気づいたらあの薄暗いところにいたよ?」
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(この違和感……証言と証言の矛盾……!
……矛盾は、指摘するべきだ)
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ついさっき
反論 →寂しい とはならない。
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……なぜか、ステンドグラスが割れるような
音が響いた気がするが、気のせいだろうか。
「その言葉には矛盾があるね、シロ」
「……え?」
「私達が玄関ホールにいたとき……
私が君にした質問を覚えているか?」
彼女は少し驚いた顔をしている。
私から離れ、口に人差し指を当てていた。
「えーと、たしか『いつから此処に?』
だったような気がするけど────
「その通りだ。シロ」
「えーとそれがどうかしたの? ヒロちゃん」
「その質問に対して君はこう答えたんだ、
『ついさっきかな〜』とね」
「でもこの発言は、先程の君の言った
『もう寂しくない』の発言と
矛盾してしまってるよね?」
意識外から攻撃されたかのように、
うっ……とシロは困った顔をしてしまった。
「何か、私に隠してないかな?
正直に話してくれると私も嬉しい」
う〜、と考え込みながら下を向いたが、
すぐに顔を再度こちらに見せてくれる。
「……分かったよ……別に隠してたつもり
じゃないもん……恥ずかしいからだよ」
「本当は『ついさっき』じゃなくて
『12時間前』位……ヒロちゃん達が
此処に運ばれてきた時くらいの時間帯だよ」
「……結構前の時間じゃないか?
どうしてそんな嘘をついたんだ?」
「……見栄……」
ボソリと彼女はそう呟く。
「……見栄?」
「寂しいなんて子供っぽいでしょ、
私は早く大人になりたいんだよ……」
随分と可愛らしい理由で嘘をついたらしい。
それに少し和んだ私の表情をみて彼女は、
「ほ、ほらっ〜次の場所案内するよ〜」
と、慌てた様子で部屋を出ていった。
隠すことが苦手な性格なのだろうなと感じつつ、
私はそれに続いて部屋を出る事にした。
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娯楽室から出た私達は、頭の中にある
マップに表示されているはずの2階の部屋を
目指していたが、それに続く筈の扉がない。
あるはずの扉が見当たらない部屋は
流石に怪しいと考え調査を開始した。
私とシロは壁が怪しいと念入りに
確認した……がやはり扉の存在を確認できない。
「うーん、この部屋はまだ入れなさそう〜」
「そうだな、ここは一旦諦めるしかないか、
他の場所を先に調べてみよう」
進展しない事をこだわってもしょうがない。
ここは後回しにしようと後ろを見たら、
彼女は先に階段を降り始めている。
「シロ!先に図書室に寄ってみないか?」
彼女は階段途中の手すりを掴み、
こちらを見て楽しそうに返答を返してくる。
「うーん、そうしたいけど、扉が閉まってて
私たちだと入れないよ〜」
「え、それはどういう事だ?」
と彼女に質問したが、何となく図書室には
入れなさそうな雰囲気を私も感じている。
この感覚の理由をシロは明確に
知っていそうだった為、あえて聞いた。
「私たちは実体がないからね〜実体のある扉には
干渉できないんだ〜不便だよねこの体〜」
「そういうことか……」
シロは手を横に振りながら残念そうに語る。
それを聞いた私は合点がいった。
彼女の後に続き、階段を降り始める。
「娯楽室の扉は元から開いていたから考えずに
入れたが、図書室は閉まっていて入れないか」
「そうだよ〜誰かが
開けてくれないと私達は入れないんだよ〜」
階段を降り切ったシロは振り返って
後ろ向きで歩き始めている。
そして顔、というか頬を膨らませていた。
その表情は不満だらけのようだ、
この体は思ったより不便なのだろう。
(ほぼ幽霊なのに、扉に阻まれるのか……)
推測だが、私たちが閉じ込められる前を
考えると殆どの扉は施錠されていたことは
容易に想像できる。
(施錠された状態では、ラウンジと玄関ホール
しか行けない事になる。そう考えると、
シロがラウンジにいた事も納得がいく)
あの時看守のすぐ後ろについて行った事は、
理にかなった行動であることが証明できる。
外に出るには大扉のある玄関ホールから
もしくは、医務室の二つの扉。
どちらかを必ず通らなければならない。
看守は私の死体を外に持って行く。
その時必然的に玄関ホールの大扉は開かれる。
という事は、シロは一度外に出たかった
のにそれを私が止めてしまった事になる。
階段を降りた直後、シロに近づいていく。
「そうだとすると、私は君の屋敷外に
出るチャンスを潰してしま──
「え〜?ヒロちゃんと会話できたから
十分プラスだよ〜屋敷外に出る
タイミングはそのうちあるし、いいよ?」
「…………ありがとう」
今回本人は特に気にしてないからいいものの、
今後トラブルに繋がりそうだ。
十分気をつけなければならない。
シロに追いつき横並びに歩き始める。
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私たちは食堂前廊下に来たが、
食堂は閉まっていた。
諦めて地下の薄暗い監房、
私が最初に監禁された場所へ向かう事にした。
地下につながる階段をシロ、私の順に
二人で降り始める。
「それはそうと、今できる事は扉が開いている
箇所を先に探索するということか」
「そうだよぉヒロちゃん賢いね!」
「当たり前だ、私はジャンル問わず
ある程度は学んでいてね、
問題なくこなせるんだよ」
私はシロに褒められて、
少し自尊心が満たされた気がした。
「……でも、そんな優秀なヒロちゃんが
殺されちゃったとしたら他の子達は
脱出できるのかな……心配だな……」
階段を降りきった後先に歩くシロは
そんな事をぽつりと呟いた。
私も階段を降り切り、歩きつつも
それを聞いてみんなのことを思う。
(レイア、ハンナ、シェリー、メルル、
ココ、ミリア、マーゴ、アリサ、
アンアン、ナノカ、ノア……そしてエマ)
(私以外の皆は、無事に出られるのだろうか)
確かに一人を除いて初対面しかいない。
だとしても同じ被害者達だ。
その点はどうしたって気になる……。
(せめて一人でも多く生き残ることを祈ろう)
(こんな悪趣味な牢屋に閉じ込めた、
奴らの仲間や運営側を私は……『断罪』する)
どんな手段を使ってでも裁く。
敵から貰った
覚悟はできた。
私は──【悪を裁く】……それだけだ。
そう心に誓い、両手を強く握り締めた。
「……ヒロちゃんまた考え事?」
監房へと繋がる扉は開いていたようで、
顔だけが見える立ち位置で扉に手をかける
ようにシロはこちらを覗き込んでいる。
「あぁ、悪いね、考えることが今は
たくさんありすぎて困っているところだ」
私は懲罰房への扉も開いていることを、
確認しつつシロと共に移動を────、
そう思った矢先にふと気づく。
今まで会話の中にあった一つの
違和感を解決したくてシロに問う。
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娯楽室の扉は元から開いていた
→(疑問)なぜ元から開いていた?
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「娯楽室はなぜ開いていた?」
「……うん?」
「本来娯楽室も施錠されるはずじゃないか?
どうしてそこは施錠されてないんだ?」
当然の疑問だ。
2階の図書室への施錠はされていた。
ならば娯楽室への施錠も普通はされるはず
特殊な理由でもあるのだろうか?
「……説明漏れしてたね……。
【娯楽室】と【焼却炉への道】は
施錠されてないよ〜」
「それは何か理由が?」
「どうやら虜囚達に任せてるみたいだよ。
実際、娯楽室の棚も管理してないし
意外と管理が甘いのかもね?」
もしかして……管理が緩い可能性があるな。
……管理体制大丈夫か、ここは?
少し呆れながら私達は監房廊下へと移動する。
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?????
「どこにある戸棚の鍵でしたっけ?」
<ヒロの脳内メモ>
→今現在の状況
死んだはずの私は謎の少女シロと行動中
彼女の記憶、牢屋敷の秘密、私の状態……
まだわからないことが多い。
シロも私も扉を通り抜けられない。
まさかほぼ幽霊の状態になってるのに
扉という壁に阻まれてしまうとは……。
▶︎解決策は今のところ思いつかない。
せめて普通の扉くらい動かせないと不便だ。
→牢屋敷関係
どうやらある程度の規則があるようだ。
一定の時間に施錠される箇所は多い。
が、いつも娯楽室は開いたままらしい。
→シロ関係
純粋な性格、
かなり人懐っこく犬に見えてくる。
ただ運営側の可能性あり。
昔の牢屋敷を知っている可能性が高い。