魔法少女ノ魔女裁判 ─君の為に〇ぬ時─   作:プッチーノ

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 ※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
  重大なネタバレが含まれています!
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  図書室とスプレー編

 【副題観測記録/観測ログNo.27】
  フィクスマージ語 " - ShirO - "
  翻訳結果…… 『 シロ 』

 ──ふっ! この観測記録は、
 チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
 読者はこの記録を通して、死後の視界を
 垣間見ることになるだろうね!──


- ShirO -

 

ヒロくんから衝撃の事実を知った以上、

私たちは休んでるわけにはいかない。

 

時刻は12時、私が処刑された日の翌日。

早速私たちは行動を開始しようと

図書室前の扉まで来ていた。

 

ヒロくんが図書室で何か見せたい“モノ”があると

言っていたが……一体なんだろうか。

 

ノア。この扉に描いてくれ」

 

わかった! 『丸のように』だよね?」

 

あぁ、頼む」

 

頼まれたノアくんはスプレーを取り出し、

図書室の扉に向かい合う。

 

そして丸……円を描くように扉にお絵描きした。

 

すると不思議なことに仄暗い赤色の

渦巻きが現れ、背筋を凍らす。

 

なんだ……この血液のような色の渦は……

正直言ってかなり気味が悪い……。

 

うぅ……気持ち悪いね……」

 

あぁ、そうだね」

 

正直見た目は悪いが……

 利用できるものは限られている。

 この状況では仕方ないだろう」

 

顔色を悪くしたシロくんとは対照的に

ヒロくんは落ち着いた表情でそう答えた。

 

その反応に違和感を抱いた私は慌てて質問する。

 

色がその……入って大丈夫なんだろうね?」

 

その心配はいらない。

 私が試した後だ、危険はないよ」

 

た、試したのかい?」

 

あぁ、安全かどうかも検証済みだ」

 

これで“扉は通り抜けられる”」

 

……勇気があるんだね……ヒロくんは。

 

のあができることがあってよかったー」

 

まぁ、使いすぎには気を付けてくれ」

 

補充手段がまだわからないもんね……」

 

そうか……扉が通り抜けられないと

ヒロくんは言ってたけれど……

解決手段はノアくんのスプレーか……。

 

ふふ、早速活躍しているね……ノアくん。

私も皆の役に立たないと!

 

じゃあ私が先に入ろうじゃないか!」

 

私のその台詞になにか思うところが

あったのかヒロくんがゆっくりと口を開く。

 

レイア……無理してないか?」

 

私の心配をしてくれているのかい?

……面倒見がいいのかもしれないね。

 

大丈夫さヒロくん、私も役に立ってみせるよ」

 

そう宣言して、渦の前に立つ。

 

レイアちゃんかっこいい~騎士みたい」

 

……啖呵を切ったはいいものの、

この紅い渦、やっぱり怖いね……。

けど、役に立つと宣言したばかりだ。

 

足踏みしている場合じゃない。

先陣を切るのは“私の役割”だ。

 

手を強く握りしめて中に入る。

 

入った途端気持ち悪い感覚に襲われる。

何かを吐きたくて仕方ない……

頭の中を掻きまわされるような感覚。

 

暫く時間が経ってその感覚は消えた。

……うぅ、やっぱり……

普通の渦じゃないみたいだね。

 

深く息を吸って、気持ちを落ち着かせる。

やがてノアくん、シロくん、

最後にヒロくんが渦を通り抜けてきた。

 

ヒロくんが最後尾か……、

……引率の先生みたいだね……。

 

いや、むしろ保護者かな……。

 

何か……余計なことを考えてないか?」

 

い、いや?」

 

………………」

 

何か抗議をするような目で

私を見つめてくるノアくんと──

 

……? …………?」

 

ヒロくんと私を交互に見て困惑してる

シロくんから目をそらし、前を向く。

 

 

図書室内は風で窓を揺らす音だけ……

舞台のカーテンが上がった直前の静けさ。

 

私たちの足音は空気を揺らす。

 

本棚を次々と通りすぎ、

古い紙の匂いが徐々に強くなってゆく。

 

そしてヒロくんがついに立ち止まる。

 

視線をずらし目線を本棚へとうつすと、

そこにあったのは

大量の残滓が光る分厚い本だ。

 

少し高めの位置にあるね。

以前シロくんと来た時は触れずに保留したらしい。

 

応接間で話した例の本のようだ。

これを私に見せたかったのかな?

 

見せたかった本ってこれかい?」

 

あぁ、その通り」

 

記憶が流れすぎる問題をどう解決するか。

すでにヒロくんは考えてあるようで、

自信満々の顔をしている。

 

これを……4人で触ろう」

 

あーそういうことだねー?」

 

え、どういうことだい?」

 

ノアくんには答えが分かったらしい。

その様子を見て答え合わせの為に

解説を頼んだ。

 

以前訪れたときは2人だったから、

 ヒロちゃんは触らなかったけど……」

 

今回は“のあとレイアちゃん

 含めて4人で触れられる」

 

そうすれば、気絶せずに

 記憶だけを読み取れるってこと?」

 

シロちゃん大正解ーー」

 

たしかにそれなら上手くいきそうだね」

 

なら皆で同時に触れてみよっか~」

 

ならば、っと私は右手を真っ先に出し

ノア君の手を握る。

少し、頬が赤くなった表情をしていた。

 

君たち二人は右から、

 私とシロは左から触れる」

 

シロ君を軽々と持ち上げ、

肩車の状態になったヒロ君が言う。

……やはり保護者じゃないか?

 

余計なこと考えてないで触れるぞレイア」

 

な、なぜバレたんだい?」

 

口元がにやけているだろう。

 いいから合わせるぞ」

 

ヒロ君を見るのをやめ、

私たちはほぼ同時にその本に触れる。

 

 

───────────────────────

 

「やっほぉ~ココたんだよ~!」

 

「今日はなんと!あの!

 芸能人、蓮見レイアとのコラボ実現回だよ~!」

 

 

「なんで……?

 なんでノアちゃんを殺したの?」

 

「わかんないよ……ノアちゃんは何も

 悪いことなんてしていなかった

 じゃないか……! なんで!?」

 

 

「わ、わがはいは、弱くない……。

 ノアが、わがはいに絵をくれた……」

 

「ノアは、蝶の絵だけは魔法を

 コントロールさせて

 自由に描けると言っていた……」

 

 

「他の処刑方法にしよう!!

 これはダメだ!!

 だって皆に見えないじゃないか!!」

 

──────────────────────

 

ぐぁぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!

があぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁ!

 

はぁ…………はぁ…………

な、なんだ……この記憶は……。

 

頭の中が割れるような痛み。

対処しようがない痛みが襲い掛かってきた。

 

鋭いナイフで頭を刺され、

その穴から記憶を無理やり注入されたような感覚。

 

冷や汗が止まらない忌まわしい記憶。

 

私であって、【私のじゃない記憶】……。

 

この記憶は……一体なんだ……?

 

私は……以前もノアくんを…………?

 

くっ……やはり、人が足りなかったか?」

 

っ…………今回は……記憶の量が

 結構多かったみたいだね……」

 

頭がぁ……うぅーー」

 

私以外のメンバーも頭を抱えつつ

文句を言っていた。もしかして、

私が一番ダメージが少なかったのだろうか。

 

私以外全員座り込んでいた。

 

皆! 大丈夫かい?」

 

うぅー痛いけど……気絶するほどじゃないよ」

 

あぁ、こちらも大丈夫だ」

 

もっとメンバーが居れば……

 もう少し抑えられたかな……」

 

痛みはあるが……収穫もあった」

 

頭を押さえつつ、立ち上がり

ヒロくんはその分厚い本を開く。

 

そのとき本から大量の赤い何かが飛んでいく。

 

それは『ほの暗い赤い蝶』。

 

淡く、紅い蝶が本から大量に溢れだし、

図書室の中心の桜へと一度集まる。

 

そこから再び蝶は飛びたち

別の本へ、また違う本棚へと

吸い込まれるように入っていった。

 

どうやらこの本にも魔法がかかっていたのだろう、

牢屋敷は不思議なことばかり起きるね。

 

ヒロくんはその本を注視していた、

二人も続くようにのぞき込んでいる。

 

私も気になってその本に近づいていく。

 

3人の後ろから本を覗くと

そこに書かれてあったのは……

 

変わらず読めない言語で綴られた文章だ。

だが、私たちが見ているのはそちらではない。

 

挿絵の方は私たちの想像を超える

“あるモノ”が描かれていた。

 

 

『人形が“歪な即席の槍”で刺し、

 もう一つの人形を“確実に〇す絵”だった』

 

 

これは……どういうことだい?」

 

…………」

 

……それを見た私はわからなかった。

 

これって……のあとレイアちゃんかな……」

 

え? それって……一体……」

 

いや、“咄嗟にわからないフリ”をしてしまった。

 

この『歪な即席の槍』の絵、棒立ちの人形。

胸の刺し傷に、ほどけたリボンの絵。

 

この人形は、『犯行現場の自分だ』と。

そして……刺された人形はノア君を示した絵だと

嫌でも理解した。理解させられてしまった。

 

あの【後悔の原因となった記憶と酷似している】。

 

安易な推測は危険だが……

 聞いてくれないかレイア」

 

ヒロくんが真剣な表情で私を見てくる。

それにこたえるように顔を上げ頷く。

 

正直言うと……

 あまり聞きたくはない、けど……」

 

ヒロくんの推測は多分、当たってる……と思う」

 

聞かせてくれ」

 

勿論だ

 

私の返答を聞いたヒロくんは息を吸い、

ゆっくりと吐いた後、

覚悟を持った顔をして話始める。

 

以前、“パラレルワールドの話をした”んだ」

 

えっと、確か化け物から逃げてるとき

 に話した内容だよね?」

 

そうだ、その話題の続きと思っていい」

 

この本に書かれてるのは……」

 

 

別世界

 『レイアとノアの結末』……だと思う」

 

 

やっぱり、そうだよねー」

 

その推測を聞いて、納得した様子のノアくん。

 

だって……さっき流れてきた

 記憶の中のレイアちゃんと」

 

今ここに居るレイアちゃんは

 “ちょっと違う”もんね」

 

ノアくん……」

 

だってレイアちゃんの動機も、

 それに凶器だって全然違うし……」

 

それに~のあは即席の槍で

 死んでなんかいないよ?」

 

ノアくんは哀愁漂う顔で私を覗きこんできた。

まるで私を励ますような……

懐かしいあの頃の母親のような顔をして──。

 

んんっ!」

 

ヒロ君がせき込むふりで、空気はリセットされた。

 

ヒロちゃん、もしかして、

 【そういう雰囲気】苦手……?」

 

なっ……そういうわけでは──」

 

ま、ヒロちゃんはもっと

 “大切な人がいる”もんねぇ~」

 

……っシロ!」

 

あ! ヒロちゃんが焦った顔、

 初めて見た!」

 

……はぁ……全く、どうして、

 『いたずらっ子』になった?」

 

からかうシロ君の表情と対照的に

呆れた様子のヒロくん。

2人は親子のように仲がよさそうだった。

 

 

話を元に戻すと、

 これは『予言書』のようなモノだと思う」

 

レイアの犯行、絵の場所が

 それを物語っている」

 

けど、この本は“完全じゃない”みたいだね」

 

あの記憶の中の私の動機は

 【自分より目立つ奴が許せなかった】」

 

けど、私の動機は

 【ノアくんに見ててほしかった】」

 

この時点で、予言は外れているよ」

 

つまり……この予言に抵抗すること

 自体は可能、という事だろう」

 

じゃあ、この本ってもう外れた予言だよね?」

 

だとするとさ……“誰が何のために”

 これを“図書室に置いた”のかな?」

 

のあたちがわざわざ見れる位置に

 予言書が置いてあったってことは」

 

何か……のあたちに

 “助けてほしいから”なのかな」

 

「………………」

 

議論すればするほど謎は深まるばかりだった。

一つの謎を解決できたと思ったら、

新しく出てきたこの分厚い本の謎。

 

先の見えない森の中を

地図もなく彷徨(さまよ)うような感覚だった。

 

…………」

 

ねぇねぇ、先も見てみようよ」

 

ふとシロくんが提案すると、それに答えるように

ヒロくんは手を動かし一枚、

また一枚とめくり続ける。

 

そして挿絵があるところで一度、手を止めた。

 

のぞき込むと、その絵は──

 

“人形が磔にされ、腹と心臓を何度も刺される姿”。

 

つまり……この予言がある程度

 正しいとしたら?」

 

次死んじゃう人物は……この状態に──」

 

「…………」

 

その光景を想像したくないのだろう。

3人は黙ってしまった。

 

……こういうときこそ、私の出番だろう!

 

こほん!」

 

「…………!」

 

3人の手を取って集める。

 

3人とも、この絵は

 まだ決定された未来じゃない」

 

なら、私たちはこの未来を

 避けることができるはずだ」

 

諦めるのは早いんじゃないかな?」

 

しっかりと皆の手を握って励ます。

 

レイア……」

 

やっぱりレイアちゃんかっこいい……」

 

2人の顔色は少し良くなった。

そしてなぜか呆れ顔のノア君。

 

レイアちゃんだけ魔法使ってない?」

 

それはないよノアくん。

 “この世界だと使えない”のはわかっているさ!」

 

…………」

 

これが……カリスマってやつなのかな?」

 

 

それから私たちは本へと消えた蝶を探すと、

それぞれの本にまとまった残滓を確認した。

 

大量にあるから暫くは別作業になりそうだね、

手分けして回収することになったよ。

 

ヒロくんとシロくんは分厚い本の解読。

私とノアくんは残滓回収と役割を分けてね。

 

私は左側の本棚の残滓を回収する。

 

色々な情報が私の頭の中に入ってくるけど、

正直いって有益な情報は少ない。

 

誰の記憶かわからないからね。

手数がもっと欲しいところだよ。

 

ふと何気なく触った最後の記憶は

今まで見た記憶とちょっと違った。

 

 

───────────────────────

 

実験レポート No09

 

実験対象 ─────

 

経過観察

 

──────────────────。

 

───────────────────────

 

……えーっと、この記憶はなんだろう。

 

実験……レポート?

 

……よくわからなかった。

私たちを閉じ込めた黒幕の持つ情報だろうか?

 

そう考えていると、手を叩く音が図書室に響く。

 

ヒロ君の例の合図、

敵が出てくる五分前の時間切れの合図だ。

 

私は一度考えるのを止めて、図書室入口を目指す。

 

再度ノアくんがスプレーで渦を作り

シロくんと一緒に外へと先に出た。

 

私も出ようとするとヒロくんが慌てて

渦に近づいてくる……なぜか

顔色が明らかに悪いことに気が付いた。

 

ヒロ君?」

 

心配して、声をかける。

 

あ、あぁ、図書室を出よう」

 

ヒロくんの態度に違和感を覚えたけど……

今は化け物から逃げる方が先決だ。

後で改めて聞くことにしよう。

 







どうして……シロが……」

レポートに……?」


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