※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
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予言書解読編
【副題観測記録/観測ログNo.29】
フィクスマージ語 " - ComChiYoi - "
翻訳結果…… 『 心地いい 』
──ふっ! この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろうね!──
新たな日のスタートを教えるように
かたわれ時は私たちを迎えてくれる。
応接間の部屋の中で話し合っていた。
私たちがやるべき、いや出来ることは多い。
予言書の解読、記憶を読み取れる残滓の回収。
生存者の確認、敵の詳細調査にそれと……
シロくんの正体、世界と屋敷の謎、魔女とは何か。
ピックアップするだけでもこれだけある。
今回の目的は『予言書の解読』だね。
さっそく私たちは行動を開始することにした。
「今回はのあと…………」
「私が解読班だね」
「こちらがオカルトの調査をしてる間は
任せたよ。ノア、レイア」
「あぁ! 成果を期待していたまえ!ヒロくん!」
「前回はついお絵描きしちゃったから
……ちゃんとやるね?」
「あぁ、反省しているならいい」
朱色の花飾りを弄りつつ
ため息を吐き、委員長な彼女はそう言う。
そして昨日の情報を再度共有した上で
私を見つめてくるヒロくん。
「屋敷内はレイアたちが調査したし
私たちは屋敷の外を探索しよう」
「ならスプレーを借りよっか~」
小柄な彼女はそう言ってノアくんから
仄暗い赤に染まったスプレーを借りようとした──
「え……あれ?」
「どうしたの?」
その手はスプレーをすり抜け困惑するシロくんと
首をかしげるノアくん。
「……もしかして……」
何を思ったのかヒロくんは火かき棒を手に取って
私に渡そうとしてきた。意図を何となく読み取り
私もそれを受け取ろうと手を伸ばしたが……
「あれ?」
「やはり、そうか」
手は虚空を舞う。
「道具は固定されている……」
「そう……みたいだね」
お互いに道具を貸し借りできない状態みたいだ。
これは困ったね、ノアくんのスプレーで扉関係を
全て解決できると思っていたのだけれど……
どうやらノアくん自身でしか使えないようだ。
「なら時間を決めておこうか。
設定した時間にスプレーで開通するよ」
「そうだね。それなら問題ない」
集合時間を決め、ヒロくんとシロくんを見送った後
私たちは図書室向かう為に階段を上り始める。
階段を上り切った私たち。
その時、響いてくる音を聴いて足を止める。
誰かが口論している強い声だ。
この強い声には聞き覚えがあった。
間違いなくアリサくんだろう。
彼女の声は良く響くから耳が痛いんだよね……。
声の方向へと歩むと口論している正体を見た──
マーゴくんとナノカくんだ。
“また”ナノカくんが根拠ゼロの疑惑をアリサくんに
当てたのかなと気になり会話を聞いてみる。
「んなもんにウチを巻きこむんじゃねぇ!!」
「しょうがないじゃない。
この儀式にはあなたの力が必要なのよ」
口論の原因は……
あぁ、オカルト関係の話みたいだ。
「ここにはライターがないし、火が必要なの」
「あなたの魔法ならそれができるでしょ?」
「たしかにウチの【発火】なら可能だ」
「だが、おめぇらを手伝う義理はねぇ!
他を当たれ」
「桜羽やハエ女なら喜んで手伝ってくれんだろ」
「ウチに関わんじゃねぇ」
うんざりした様子で二人を追い払い
階段を下りていくアリサくん。
その非協力的な態度を見て元から
期待していなかったのだろう。
ナノカくんはすでに諦めた顔をしている。
「彼女の説得は桜羽エマに任せましょう」
「私たちが説得しても反発を招くだけよ」
「あらぁ? リボンの件で学んだのかしら~」
「…………」
「あなたのその態度、変えた方がいいわよ」
「あらあら……それは誉めているのかしら?」
「…………」
「…………」
一瞬の沈黙が周囲に漂う。
相変わらずこの二人は相性が悪そうだね。
女性特有の睨みあいが両者の合間に
火花を散らしていた。
この光景は色々と昔を思い出して
ある意味懐かしい感じがするね。
役者同士の軋轢とかでよく見かけた光景だ。
仲悪いなら個別に行動すればいいのにどうして……
……いや、ここまで一緒に居るのを見ると意外と?
「ふたりとも図書室に入っていったよ?」
赤と黄金の瞳は【私をしっかり見ていた】。
「あぁ、そうだね。私たちも入ろう」
ノアくんの手をしっかりとつないで
図書室へと入っていく。
図書室の中の読書スペースに先ほどの二人がいた。
その二人をスルーし桜の木の下を通り過ぎ
さっそく私たちは予言書の解読作業に入る。
ヒロくんが解読した続きからスタートしよう。
まずはヒロくんが解読したところを読んでみて
進捗もついでに確認してみようか。
紙をペラペラとめくり翻訳した箇所を見てみる。
えーとAdo Jiell DaRk rai LowhEllは……
『この闇の地獄牢から出るんだ』か。
この本を書いてくれた人は味方と
思っていいのだろうか。
翻訳をひとつひとつ確認していく。
そしてrAwTell pray・lee Iz'u Nii Was・Daは……
『あなたの祈りは無駄じゃない』だね。
「のあたちの味方ってことでいいのかな?」
私が思っていたことと一致していてつい微笑む。
「そうだね。今のところは
私たちを助けてくれそうな人物だね」
「私たちも解読頑張ってみようか」
「うん!」
「ヒロくんが言うには……全パターンの
頻出する組み合わせを見つけてから……」
解読作業をしていると……
「ねぇねぇレイアちゃん。
シロちゃんって何者だと思う?」
「ん?」
約一時間くらい経ったときに
ノアくんは私に疑問を投げかけてきた。
「ヒロちゃんが言うには
【魔女】の可能性が高いんだって」
「あぁ、ヒロくんがそんなこと言っていたね」
「それがどうかしたのかい?」
「もしシロちゃんが【魔女】だったら
何か問題でもあるのかな?」
納得いってないと言わんばかりの
ふくれっ面な顔を覗かせていた。
「姿かたちだってノアたちとなんにも
変わらないし……のあは『どうでもいいなー』
って思ってるんだけど」
「そうだね……」
あの純粋無垢な彼女。
『シロくんの正体に関して』か……。
たしかに彼女の周辺情報はよく残滓で見れたけど
彼女の出自に関する情報は出てきてないね……。
「正体に関してはノアくんと同意見かな」
「【人間】だろうと【魔女】だろうと
正直言ってどちらでもいいよ」
「今のところ敵ではないみたいだしそれに
記憶喪失って嘘をついてる様子もなかった」
「うん。のあもそう思うよ」
「人間か魔女かどうかはともかく
【私たちの味方】ではある」
「これだけは【正しい】と思うんだ」
「特に根拠はないけど、私は信じてみたい」
「まぁ、それに嘘が得意には見えないし……ね」
「たしかに『下手くそ』だったね……」
ヒロくんと話してるときの彼女は
とても楽しそうにしていた。
すぐバレるような嘘をいちいち挟んでヒロくんに
構ってもらうような態度を見せていたし。
それにもし『あれが演技だったら』
私を超える逸材ってことになる。
その可能性は流石にないと思うからね。
……もしそうだとしたら弟子にしたいくらいだ。
「ただ……一つ気になることがあって」
「気になること?」
「あぁ、それは──」
こちらの世界に来たときにすぐ理解した。
シロくんと初対面のとき感じた違和感。
私が生きていたときの周囲から感じた視線の正体。
その正体は……
『死後の世界にいるシロくん』だったことを。
「彼女はよく『私をみている』んだ」
「レイアちゃんを? どうして?」
「いや、私にもわからない」
「表現するとしたら──
『懐かしいような視線』……かな」
「懐かしいって……前に会ったこと、あるの?」
「ない……と思う」
脳内で考えてもシロくんのようなかわいい子供に
一度会っていたとしたら、さすがに
忘れるわけない……はずだ。
「じゃあなんでそんな顔を向けてたのかな?」
「もしかしてシロちゃんの母親と
レイアちゃんの顔が似てる~とか?」
「はは、そんな単純じゃないと思うけどね」
ただ、なんとなく言ったノアくんの一言は何かが
引っ掛かったようなそんな感覚が残り続けた。
紙をめくる音が静かに室内に響く。
ゆっくりと解読を進める私と
ぼやけた光、記憶を回収するノアくん。
解読を進めていくうちにノアくんに
ふと聞きたかったことを思い出す。
それはあの殺人事件の絵に関してだ。
丁度後ろにいたノアくんに声をかける。
「聞きたいことがあるんだけど。いいかな」
「ん~? なぁに~?」
私の隣まで移動し顔を覗いてくるノアくんの瞳。
「なぜ私を最後に描こうとしたんだい?」
「あぁ~そのことか~」
「ん~とね~4日間ね?
一緒に居て楽しかったからだよ?」
「たの……しかった?」
その言葉を聞いても納得はできなかった。
私はノアくんに何かしていただろうか?
「うん。のあをあの監房の部屋から
連れ出してくれたでしょ?」
「お風呂にいれてくれたり~映画をみたり~」
「多分連れ出してくれなかったら
あのままあの部屋でお絵描きしてたと思う」
「レイアちゃんのおかげで
楽しそうな場所も見つけたし」
「ありがとう、レイアちゃん」
……私が殺した可能性もあるのに……きみは……
こんな私に『感謝』を返してくれるんだね……。
「ありがとう……のあくん」
「ん~? よくわかんないけど……
どういたしまして?」
「きみのことは、私が護ってみせるよ」
「そう? なら約束しよ?」
そう言って右手の小指をこちらに向けてくる。
それに合わせるように私も小指を絡ませた。
「あぁ。約束しよう」
子供がやるようなかわいい約束。
私は必ず護ることを誓った。
それからさらに時間が経って
私たちは応接間の前まで戻ってきた。
ヒロくんたちとの約束の時間なので
スプレーを使って玄関を開通する。
その赤い渦から入ってきたヒロくんとシロくん
ふたりとも怪訝そうな顔をしていた。
「おかえり~シロちゃん、ヒロちゃん」
「ただいま~」
「あぁ、ただいま」
「そちらに進展はあったかい?」
「うーん、あんまりかな~」
「一応屋敷外の探索は一通り終わった」
「それくらいかな」
お互いの作業進捗と探索を共有していく
すると思いもよらない情報が出てきた。
「結論から言うと。
間違いなく儀式の準備をしている」
「だが『具体的に何を準備しているか』
はわからないままだ」
「場所はログハウス……
あの3つ並んだ一番右の【ノームの部屋】だ」
その場所は私が探索したときに違和感を感じて
遺言に残した……はずだった。
ただ一点。私が書き残した場所が
【サラマンダーの部屋】なことを除いて。
【特筆すべきところ】
→シロの目に映る人物。
エマ、ハンナ、シェリー、メルル
アンアン、アリサ、ナノカ 7名。
→扉という壁に阻まれてる問題<解決?>
ノア君のスプレーで【一時的に】壁を
通り抜けることができる。
ただ、毎回あの頭の中を
掻き回されるような気持ち悪い感覚に
襲われるため、あまり使用したくない。
【追加情報】
それぞれの道具を固定されてしまっている。
ヒロくんの火かき棒やノアくんのスプレーを
交換したりはできないようだ。
→牢屋敷関係
娯楽室はいつも空いているよ。
食堂の料理は期待できないね、
まぁ、食べれるだけマシだろうか。
10時〜12時、15時〜17時、22時〜翌日6時、
囚人全員が監房に拘束される時間で、さらに
私たちにとっては化け物が出現する時間。
見つかった場合は看守にずっと追跡される。
▶︎捕まったら懲罰房に拘束され2日間動けない。
そんな愚かな行動は慎むべきだね。
→シロ関係
知り合いらしき人物が見えた。
誰かはわからないが……
美しい顔をしていたね。
母親が【魔女】の可能性が高いみたいだ。
彼女の母親……花に随分詳しいね。
応接間の環境を変えた人物に思える。
ほぼ、【魔女】だろうと予想している……
と、ヒロ君は言っていた。
彼女の魔法は現在特定不可。
魔女因子の痕跡を【残滓】と発言したらしい。
この【残滓】を集めると
彼女の魔法は強化されていくらしい。
→敵か?味方か?
敵ならば私たちは敵を強化していることになる。
味方ならば心強い味方になりそうだ。
まぁ、いくら強大な敵だろうと
私が皆を護って見せよう!