※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
クリアしてない方はクリア後推奨!
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儀式 編
【副題観測記録/観測ログNo.31】
フィクスマージ語 " - Flam - "
翻訳結果…… 『 炎 』
──ふっ! この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろうね!──
日は沈み三日月の光が地面を照らす。
あたりは蝋燭の火だけが揺らめき
静寂の中響くのは土を踏む音と木を揺らす風。
あれから一日が経過し私たちは
木々の間を縫うように石畳の上を歩いていた。
今夜、降霊術を実施するらしい。
どうやら冗談ではなく本当に儀式をするみたいだ。
様々な食物を抱えているエマくんと
シェリーくん、ハンナくんが先頭を歩く。
「本当に……無事に呼び出せるのかな」
「大丈夫ですエマさん! 何がでても~
私の【怪力】の魔法でどうにかするので!」
「むしろ貴方の方が何かやらかさないか
心配ですわ……大人しくしててくださいまし」
対して懐疑的な表情で後ろを歩くのはミリアくんと
アンアンくん、メルルくんの三人。
それぞれワインや紅色の塗料、複数の種類の花を持っていた。
「死者を呼び出すって、おじさん危険だと
思うんだけどな~それに怖いし……」
『だからわがはいたちが監視につくんだろう』
「怪我人が出ないか心配です……」
次に儀式の主催者であるあの本を持ったマーゴくん
とうんざりした顔で渋々ついてきてるアリサくん。
「言っておくが宝生。ウチは手伝わねぇからな」
「それでいいわ。
外の見張りだけお願いねアリサちゃん」
「外出禁止時間になるまでに終わらせろ」
そして最後に……私を含めた死者の四人。
ヒロくんにノアくん、そして魔女疑惑のシロくん。
「こんな非科学的で何の根拠もない
儀式をするなど……正しくない」
「まぁまぁヒロくん。私たちも監視するんだし」
「早く終わらないかな~」
「ノアちゃん……まだ始まってもないよ?」
雑談をしているとついに3棟の屋根が見えてくる。
木々の合間から抜ける風が先程より強く吹き
空は雲が全くなく綺麗な星がはっきりと見えた。
「さて、入りましょう」
マーゴくんによってノームの間の扉が開かれ
みんなは次々と部屋へ入っていく。
私たちもそれに続くように入ると床に見えるのは
敷かれた大きな紙と赤色の儀式円。
木と紙の上に描かれた塗料の匂いが混ざりあう。
円の内側には天秤のような印が特徴的で
中央には椅子に私を模した人形が座っていた。
結構私に似ていてつい欲しくなる完成度だね。
さらに円の外側には人数分の蝋燭がそれぞれ置かれ
誰かが作成したのか手作りの台座があった。
周囲を見渡すと端に置かれた祭壇のようなものと
その上に複数の腐りかけの果物とキャンドル。
窓には外の光を遮断する紫色のカーテンも見えた。
「結構本格的なんだね……」
部屋を見渡したミリアくんがそうつぶやく。
「みんなで準備したのよ?
エマちゃんたちは特に働いてくれたわ」
持ってきた本を台座に置き返答するマーゴくんは
テキパキと他の者に指示を出し始め……ってあれ?
彼女が置いた本の表紙には見覚えがある。
(あれは……たしか【予言書の本】だったね)
わざわざ目立つ台座の上に置いているけど
今回の儀式と何か関係でもあるのかな……。
少し思考を働かせてみるけど……
(……うん、私が考えてもわからないな!)
目立つことと関係のない思考は得意じゃない。
うんうん、こういう頭脳労働はヒロくんが得意だし
彼女に任せようと切り替えた。
その直後、近くに気配を感じ振り返ってみる。
すると荷物を多く持っていたシェリーくんが
ドサッと置くのが見え、周囲にほこりが舞う。
「大きいモノは私が運びました! 偉いです~私!」
「自分でそれ言いますの……」
「誉めてくれたっていいじゃないですか~」
いつもと似た掛け合いをする二人をスルーしつつ
周囲を見渡していると、ふと皆の反応が気になり
儀式円の反対にいるヒロくんを見つめる。
すると明らかに訝しげな表情をしていた。
「なんだ?」
視線に気が付いた彼女はゆっくりと近寄ってくる。
「何か聞きたいことでも?」
赤く鋭い目がしっかりと私を見ていた。
「あぁ、一つあってね」
(さっきの本について聞いてみようかな)
「あの本、私たちが触れた本だよね?」
先程の本に向かって指を指しつつ問いかけた。
「あぁ。間違いない」
「なぜマーゴくんが持ってるんだい?」
「それはわからないが……多分彼女も
私たちと同じように見つけたんだろう。
マーゴはよく図書室に居たし不思議じゃない」
どうして持ってきたのか気になっていると、丁度
エマくんが本に目線を向け疑問の表情をしていた。
代わりに聞いてくれると思いそちらに注目する。
「あれ……その本……」
「図書室にあった本よ」
準備中のエマくんたちはマーゴくんへと近づく。
床の軋む音は少しだけだった。
「うーん、以前見た本とは違うみたいですね」
「あの本とは別の本ね。私が発見したの」
「へ~どんな内容でした? 気になりますぅ!」
質問が来るのを予測していたのかマーゴくんは本を
ペラペラとめくり、とあるページで手を止めた。
ページには独自の言語で書かれた文字……
外国語とも一致しない謎の言語。
魔女たちが使用していたのかもしれない。
さらに文字の下には追加で私たちの母国語が
メモ書きされていた。彼女が翻訳したのかな。
「この牢屋敷から脱出する手段でも載ってないかと
思って私は翻訳をしたのだけれど……」
少しため息を吐きつつも口元はにやりとしていた。
「実際には全く違うものだったの」
「もしかして今回のって……」
「そうよ。せっかく翻訳したのだし
やらなきゃ勿体ないじゃない~」
なるほどね、解読したときの副産物だったのか。
……ということは私の遺言を弄ったのは彼女かも
しれないね。部屋にも出入りしていたらしいし。
「それにウチらを巻き込むんじゃねーよ」
「監視だけでいいのよアリサちゃん?」
「チッ……早く終わらせろ。ウチは外で待ってる」
そう言って扉から出て行こうとするが……
「あらごめんなさいアリサちゃん。
重要なことを伝え忘れていたわぁ」
マーゴくんに引き止められる。
「あぁ? まだなんかあんのか」
律儀に振り返ってくるアリサくん。
「キャンドルに炎をお願いね」
「そこにある蝋燭でいいだろ」
「【魔法】じゃないとダメらしいのよ」
アリサくんははぁーと長い溜息をしつつ
躊躇いがちに指先をキャンドルに近づける。
そして指先から手品のように炎が上がった。
「アリサさんの魔法って【発火】なんですね!」
「うるせえ」
キャンドルに炎が灯り部屋は多少明るくなる。
「あとはオメェらで勝手にしろ」
そうして外へと出ていってしまった。
『眠い……』
「アンアンちゃん、まだ何もやってないよ……」
「ここに来てからなぜか眠いんだ」
視界の端でまぶたが沈みかけているアンアンくんを
片手で支えてるミリアくんが見えた。
「それでわたくしたちは何をすれば?」
「そうね、始めましょう。
まずこの糸を指に絡めてちょうだい」
手には細く赤い糸がありみんなに手渡していく。
そして生存者は糸を人差し指に括り付ける。
そのとき垂れ下がっていた糸が急に意思を
持ったように少し動いた気がした。
確認するとその糸は中央にある椅子の人形と
キャンドル両方とつながっているみたいだ。
「これでいいんでしょうか……?」
「いいわ。外側の蝋燭の後ろにそれぞれ座って」
渋々移動する者と積極的に動く人がいて
生存者たちの対応は明らかにバラバラだった。
『こんなので本当に話せるのか』
「さぁ? 私にもわからないわ」
「え、えぇ……」
糸を切らないよう慎重に移動し各自配置につく。
マーゴくんだけは円の外側にある先程
炎を付けたキャンドルを人形の前に置いた。
なぜか炎がさっきより揺らめいている気がする。
風があるとはいえ、あまりにも不規則すぎるんだ。
「エマちゃんカーテンを閉めてくれる?」
「あ、うんわかったよ」
窓に近いエマくんがしっかりとカーテンを閉め
外から入る風の音が無くなり静寂と化す。
風が無いのに炎はさっきより揺らめいていて
私たちは一言も喋らずに警戒していた。
「何が起きるかわくわくしますね! ハンナさん!」
「えぇ~わたくしはむしろ怖いんですけど……」
小声のつもりだろう彼女の声はよく響く。
静かにしてほしいのかマーゴくんはわざと咳き込み
改めて部屋は沈黙し、呼吸音だけが場に流れる。
「……死者への儀式を始めるわ」
部屋の中はマーゴくんの詠唱だけが聞こえてくる。
「Ado Jiell DaRk rai LowhEll」
その言葉は聞き覚えがあった。
「rAwTell pray•lee Iz'u Nii Was──」
たしかヒロくんが解読した文章だったような?
そこから先はまだ解読していなかったけれど
まさか詠唱呪文だったとは思ってもな……っ、う!
「─────」
だんだん自分の足から頭までひっくり返され
重力を反転させられたかのような慣れない衝撃。
急に自分のすべてが失われたように
気持ち悪い感覚がふつふつと沸き上がってきた。
「──なっ、おい!レ ──」
「レイアち──」
ダメだ……この気持ち悪さから逃げたい。
逃げる手段はないかと手探りであたりを触る。
すると目の前の人形からとても眩しい光が見えた。
足元をふらつかせながらその人形に触れると
さっきまでの不快な感覚が徐々に消えていく。
何かをやり遂げたような達成感と心地よさ
それと……謎の喪失感が私を包んでくれる。
最後に感じたのは……誰かの温かい手だった。
遠くから誰かの声が聞こえてくる。
この声になぜか懐かしい感覚を覚えた。
「大丈夫 ──アちゃん」
「レイア! ──か!」
ふと気が付くと私以外が取り乱した様子だった。
「えっと……一体?」
「急に倒──けたんだ。平気──」
まだ意識がはっきりとしないが心配してくれている
声だけ聞こえてくる。ノアくんとヒロくんの声だ。
消えていた全身の感覚が少しずつ戻ってきて
何となく状況を理解する。
『これはうまくいった……のか?』
「そうね……【成功】と言っていいのかしら」
生きてる皆の困惑した声が聞こえてきた。
何とも言えない空気を感じ取る。
「どうして動きますの……」
「ドッキリじゃない、よね……」
「これは……」
そして視界がクリアになると見えたのは──
私を模した人形が二本足で動いている姿だ。
人形劇のように糸があるが誰も動かしていない。
みんなその現象に集中していて口を開かず
不思議なこの状況を理解しようとしていた。
その場でクルッと回ると人形と同じように動く。
片手を上にあげても、レイピアを構えるポーズも
こちらのモノマネをするように華麗に動いた。
これは一体なんだい? まるで鏡じゃないか。
「試しに……何か喋ってみたらどうかな?」
色々試しているといつの間に近くに居たシロくんが
そう言ってくる。含みがある言葉に少し違和感を
感じたが今は目の前の人形に集中したかった。
「私の名前は【蓮見レイア】だ」
言葉を発しても人形は動かなかったが、代わりに
風が急に吹いたように本のページがめくられる。
すると真っ白なページに文字が浮かび上がった。
「えっと……なんて書いてあるの?」
彼女の疑問は当然でその理由は簡単だ。
なぜならそこに書いてあるのは
私たちの知らない独自の言語なのだから。
「こっちも……解読が必要なのね……」
そう言って深いため息をつくマーゴくんだった。
「はぁ~? 人形が動いたあぁ?」
翌日の早朝。食堂に集まったみんなは
不参加メンバーに情報共有をしていた。
「んなテキトーな嘘、だれが信じんだよ!」
「でもココさん、ここにいる6人が見てますの」
「そうですよ! 少数じゃないんです」
一部のテーブルは非常に騒がしかった。
それも当然だろう。
昨日のアレを目撃していない人からすれば
胡散臭い話にしか聞こえないからね。
私が見てない立場ならその話を信用できない
理由も何となくわかるし、無理もない。
実際他のテーブルに座る人物も疑った顔を
しつつ話はしっかり聞いて食事をしていた。
そして食器をゆっくりと置くナノカくん。
「たとえその話が本当だとして
この牢屋敷の黒幕とは何の関係もない」
「た、たしかに関係はないけど……」
『すくなくとも嘘は言ってないぞ』
取り付く島もない彼女に苦戦していた。
「ならこの話は終わりね」
明らかに興味のない話題だったのだろう
話を切り上げられてしまった二人。
言い返す言葉がないのか黙ってしまった。
「それで、その荒唐無稽な話を信じろってか?」
最初から懐疑的なアリサくんもさっきの
ナノカくんと同じような態度だった。
「信じるかは別よ、けど実際に目撃者がいるの。
【無価値な情報ではない】と思わない?」
「うん。ボクたちは見たんだ。アリサちゃん」
詳細に話してもやはり信じられないのか
彼女の眉間は明らかに下がり続けていた。
「馬鹿馬鹿しい。つーか
脱出方法を探す方が優先だろ。
変なことに首突っ込んでんじゃねぇ」
嘲笑したあと彼女は食堂から出て行ってしまった。
また先ほどまで騒がしかったテーブルの方から
ココくんも後に続くように去ってしまう。
「桜羽エマ。昨日自室に銃を忘れたわね」
「あっ……」
「こちらで勝手に回収した。以上よ」
去り際のナノカくんもそう言い食堂を後にする。
しょんぼり顔のエマくんは席にゆっくり戻った。
そんな食堂の様子をぼーっと眺めていると
ずっとこちらを見てくるノアくんと目があう。
「あれから平気? レイアちゃん」
あの倒れかけたときからずっと心配そうな表情で
私を見続けるオッドアイの彼女。
「あぁ。異常は今のところないかな」
「ほんとう?」
「嘘じゃないよ、ノアくん」
実は嘘だ。何か失われた感覚は確かにあった。
なんとなく昨日より体が重い気がするだけで
私の気のせいであってほしい。
そんな気持ちで……つい嘘をついてしまった。
「……ならいいけど」
何を失ったかわからないがまぁ取り戻せるはずだと
そんな風に楽観的に考えてしまっていた。
後で面倒くさいことになるとも知らずに。
【今回判明した事】
→今回の儀式で向こう側と意思疎通を
測れるかもしれない手段を手に入れた。
まあ……翻訳が必須になるけどね。
毎回あの気持ち悪い感覚に襲われるの
だけどうにかならないかな……。
前回ナノカくんも儀式に関わってると
思って書いたけど訂正……
ナノカくんは準備だけ手伝ったらしい。
【特筆すべきところ】
→シロの目に映る人物。
エマ、ハンナ、シェリー、メルル
アンアン、アリサ、ナノカ 7名。
→扉という壁に阻まれてる問題
ノア君のスプレーで【一時的に】壁を
通り抜けることができる。
ただ、毎回あの頭の中を
掻き回されるような気持ち悪い感覚に
襲われるため、あまり使用したくない。
それぞれ道具を固定されてしまっている。
ヒロくんの火かき棒やノアくんのスプレーを
交換したりはできないようだ。
→牢屋敷関係
娯楽室はいつも空いているよ。
食堂の料理は期待できないね、
まぁ、食べれるだけマシだろうか。
10時〜12時、15時〜17時、22時〜翌日6時、
囚人全員が監房に拘束される時間で、さらに
私たちにとっては化け物が出現する時間。
見つかった場合は看守にずっと追跡される。
捕まったら懲罰房に拘束され2日間動けない。
そんな愚かな行動は慎むべきだね。
→シロ関係
知り合いらしき人物が見えた。
誰かはわからないが……
美しい顔をしていたね。
母親が【魔女】の可能性が高いみたいだ。
彼女の母親……花に随分詳しいね。
応接間の環境を変えた人物に思える。
ほぼ、【魔女】だろうと予想している……
と、ヒロ君は言っていた。
彼女の魔法は現在特定不可。
魔女因子の痕跡を【残滓】と発言したらしい。
この【残滓】を集めると
彼女の魔法は強化されていくらしい。
→──? ──?
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作者からご連絡。
はい、儀式をどう書くか悩んだ結果
結局それっぽく書くのが精一杯でした。
リアルオカルト知識が乏しいのが
本当に苦労させられました。
ただ元ネタは複数存在しています。
書きづらい場所を乗り越えたので少し
投稿ペースは回復していく予定です。
今後ともよろしくお願いします。