※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
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鏡 編
【副題観測記録/観測ログNo.32】
フィクスマージ語 " - SayNaji - "
翻訳結果…… 『 同じ 』
──ふっ! この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろうね!──
鏡は自分を見ることができる優れた代物だ。
アイドルや役者は特に日々眺める道具であり
自分の美しい角度を研究するときにも使う。
鏡は観客より厳しい。今の自分の状態を……
つまり【嘘がない自分】を再確認できるからね。
舞台に上がる者として、自分の容姿を
気に掛けるのは当然の責務と言えるだろう。
素顔も美しい私だが、メイクをすることで
さらに……【美しくなれる】。
牢屋敷に閉じ込められたときも使っていて
いつも通り鏡で自分の顔を確認していた……
だからあのとき、私だったから気がつけた。
いつもと違う自分の姿に【何か】引っかかる感覚。
身だしなみを整えるときに感じた何らかの視線。
よく鏡を見ると何かが少し違うような……
本当にこの鏡は私を映しているのだろうか。
鏡の中の自分でない【何か】を見て不気味に思い
2回ほど隅々まで観察してようやく気が付く。
いや、気がつきたくなかった、が正しいかもね。
割れた鏡は私を映してないかもしれないなんて
そんなバカなことを……幻覚だろうと目を擦った。
再度見て、それが嘘でないと再認識してしまった。
この割れた鏡が映しているのは……
【私の姿】なのに……【私ではない】ことを。
目を開けるタイミングのズレ、髪飾りの位置。
ああ……どうして気づいてしまったのか……
鏡に映る【私の姿】は左右反転していなかった。
食堂での会話が終わったあと私たち4人は
シャワールームに集まっていた。
先送りしていた例の問題について行動するためだ。
そう、あの液体状の敵……化け物たちの対処をね。
オカルトの儀式で対応できていなかったのもあり
数が増えてきているとヒロくんが伝えてくれた。
たしかこう言っていたような……と思い出す。
────────────────────
「その化け物って今何体いるの?」
「確認できた敵は13体だ。
あの化け物たちが存在することで
こちらにどんな悪影響があるかは未知数……。
私個人の意見として放置するリスクは
高いと言えるだろう。何体かは倒しておきたい」
「そんなにいるのかい……厄介だね」
「うーん、じゃあ簡単な敵から倒していこうよ」
「食堂にいたあの化け物なら……」
「あれはそもそも本体が……」
……それから紆余曲折の会話があって──
「なら懲罰房にいた二体はどうだろう」
「む~、のあは部屋にいた一匹を倒したいな~」
「いや、それよりもっと倒しやすい敵がいる」
「それって……レイアちゃんが気がついた?」
「シャワールームにいたあの動かない──」
────────────────────
とまあ、そんな議論をした結果ここで確認できた
【鏡の化け物】を倒すことにしたってわけだね。
あの異常発生した時間は拘束される直前だったと
思い出しつつも鏡の前までゆっくりと歩いていく。
割れた鏡を覗くと今は私をちゃんと映している。
今のところ【は】異常を見つけられないね。
10時前でまだ拘束時間じゃないからなのかな。
まぁ今はそう考えるしかないかもしれない。
けどこれだけははっきりと言える。
間違いなくあのとき見えた鏡は怪しかったと。
あの反転していない姿を見たときは自分の目が
おかしくなったのかと疑ってしまったけど……
絶対気のせいじゃないと心で感じているんだ。
「レイアちゃん……あれから本当に──
……本当に体に異常はないの? 何にも?」
シロくんから後遺症がないか心配する震えた声。
「後遺症みたいなのは特にはない……かな」
「え~~あれだけ顔色悪かったし……
絶対何かあるとのあは思うけど……」
眉を八の字にさせたノアくんも同様の声を出す。
「心配してくれるのは嬉しいけど本当に大丈夫さ」
瞳を見つめつつ安心させるよう穏やかに伝える。
それでもやはりまだ納得いってないのだろう
左頬を膨らませ、不満そうな表情のノアくん。
「なら、検証してみればいいんじゃないか」
横からそう聞こえてくるハッキリとした声。
「どうやって?」
人差し指を顎に当てつつ疑問を返す彼女。
「質問してみるんだ」
「今までのこと?」
「あぁそうだ」
それから3人の質問に答える流れが始まった。
ある意味注目されているようで少し頬が熱くなる。
多種多様な質問に普通に答えていくと……
「シロ。少しだけ耳を閉じていてくれないか」
「ん? いいよ」
両手を使って耳に蓋をするシロくん。
なぜか目までつぶってしまっている。
ちゃんと聞こえない状態になっているのを
確認したヒロくんは再度こちらに目線を合わせ……
「図書室で話した内容は覚えているか」
「勿論覚えているよ、それがどうしたんだい」
「シロは……魔女だと思うか?」
えっと……その話題は聞いたことがないね。
嘘をつく理由もないし正直に答えようか。
「【まだわからない】……んじゃないかな」
「……ん……あれ? 違うね」
「記憶……あぁ、そうか」
二人は訝しげな表情をしたあと
不可解そうに目線を泳がせている。
何か間違ったことを言っただろうか。
「あとでシロが居ないときにまた話そう」
「今じゃダメな話題って事だね。わかったよ」
「……やっぱり大丈夫じゃなかった……」
そう言って話題を切り上げるとヒロくんは
もういいぞとシロくんに合図を出すが……
「……ん? シロ、どうした」
目をつぶってるからか合図を見ていないみたいで
必要以上に指示を守っていた。
ちょっと過剰じゃないかな……。
「シロちゃんちょっとピントがズレてるよね~」
ノアくんがそれを言うのかい……意外だね。
微笑ましそうな顔をしつつ彼女の肩を軽く叩くと
ワンテンポ遅れてゆっくりと目を開けるシロくん。
「話は終わった?」
「あぁ、終わったよ」
「別に目を閉じろとは言ってないんだが……」
「ちゃんと聞こえないようにしてたよ?
それにしっかり【見てない】もん」
「そういう意味じゃなくてだな……」
そうして話していると“あの時間”が近くなる。
化け物たちが出現する……らしい時間だ。
3人は何回か化け物に襲い掛かられた経験が
あるらしく、少しだけこの時間の対処に
不本意ながら慣れはじめているらしい。
私は3人と違い化け物と遭遇したことがないから
それがどんな見た目をしているかも知らない。
さらに今武器を持っていない事も不安要素だ。
(素手で制圧できるくらい弱い敵なら
倒せるはず──それに目立てるチャンスで
私としても【都合が良い】んだけど)
自分の呼吸がいつもより早い気がしてならない。
3人とも一言も喋らないまま時間は過ぎていく。
一滴の汗が頬に流れるのを感じつつ待っていると
遠くから聞こえてくる鐘の音。
期待と恐怖が入り混じった複雑な感情を抱きつつ
鏡から気味の悪い音が少しずつ……響いてくる。
血液よりさらに濃い赤色の蝶と液体が
にじみ出るように床を汚していく。
ベタベタとした不快感が足を伝わってきて
何かに掴まれているような恐怖を感じてしまう。
そして……その鏡に映るのは……
私の姿……いや、何かが決定的に違う
【真っ黒な何か】だった。
全身に無数の……穴? だろうか……
そこから大量の赤黒い液体が零れ落ちている。
片手のようなものは曲がれないはずの方向に
自由に動くようで見ていられない。
ただその姿は本当に私と似ている気がした。
なぜか……そう感じてしまっていた。
どうして既視感があったのか……
その答えは嫌でもわかってしまう。
化け物の後ろ……その鏡の端にチラッと
黒い無数の手が集まっているのが見えた。
見えてしまった。
そう……私が処刑されたときの……
私を拘束していたあの道具の一部だと。
そう理解させられてしまったんだ。
そしてその化け物は……
「────NoA……──」
「えっ……?」
…………たしかに、声を出した。
「どういぅ~こと?」
当然の疑問がシャワールーム内に反響する。
シロくんを除く私たちは少し離れた位置にいた。
「こちらが聞きたいくらいだ」
警戒と困惑が場を支配していた。
すぐ駆け付けられる位置に立つヒロくんも
私と同じ気持ちらしく今だに警戒を解いていない。
「敵ではない……のかな。
襲う様子は今のところないけど……」
「どうだろうな……意思疎通ができても
危険が無くなったわけじゃない」
返事がいつもよりワンテンポ遅い。
ヒロくんの片手は武器を力強く握りしめていた。
鏡に映る化け物が手のようなモノを動かすたび
つい私たちの体もビクッと動いてしまう。
あの化け物と話そうとするシロくんを見ると
その表情は不安に包まれ、手を震わせている。
必死に相手の言葉を理解しようとしているようだ。
彼女には難しいのか……頬の雫が床に落ちていく。
私の隣に立つノアくんはその様子を不安そうに
見つめていた。安心させるために話しかけると
少し驚いた目を見せつつも遅い返事をしてくれる。
「あの真っ黒な手とか……
怖くないのかな……シロちゃん」
「……怖いけど必死に我慢してるんだと
思うよ……勇気があるね……」
「……のあにも武器があればな……」
スプレーをため息交じりに見つめるノアくん。
色々話していると、私たちから見えない範囲……
鏡の外側へズルズルと音を立て歩く化け物。
「なっ、どこにいく!」
「待って! ヒロちゃん」
鏡に映る化け物に言い放つヒロくんの腕を掴み
止めるシロくんは何か言いたそうにしていた。
赤黒い液体は向こう側の床に残されたままだ。
「なぜ止める……」
化け物を見逃すのかと不満を漏らすヒロくん。
半ば強引に振りほどき向こう側に干渉できないか
鏡に直接触って確かめていた。
「なんて言ってたかは自信はないけど……待って」
その言葉に引っかかることがあるのかヒロくんは
振り返ってシロくんの目を見つめはじめる。
「…………納得はしないが、待つ意味は?」
「役に立つ……って言ってたと思うんだ」
「えっと……役に立つ……って……?」
「【持ってくる】って聞こえたんだ」
持ってくるって……私の姿に似たあの化け物が?
シロくんの言ったことを疑っているわけじゃない。
が……どうしても嫌悪感が私を襲っていた。
(あの化け物が……助けに本当になるのか……?)
疑念はあの化け物が戻ってくるまで続いていた。
そうしてある程度の時間が経つと……
また少しずつ気味の悪い音が響いてくる。
血に似た色の蝶と液体が溢れるように出てきて……
さっきと同じ化け物が鏡に映しだされてしまう。
一度見たはずの姿なのにも関わらずこの場から
去りたいという忌避の感情が襲い掛かってきた。
ただ最初に見たときとの違いが一つだけある。
それは化け物が手にしていた……見慣れた武器。
赤褐色の強い光で武器の周囲を覆っていた。
先端から液体が零れ落ち、蝶となり飛び去る。
その蝶は空中でバラバラに崩れ落ちていく。
この身に覚えのある武器は……
私がここで身に着けていた【レイピア】だ。
「……綺麗だよね? 蝶……」
「きみのその感性だけは共感できないな」
「えぇ~綺麗だよねぇ~?」
その会話を聞いていた私は返事ができない。
いや……ほかのものに気を取られていて
反応する余裕がなかったが正しい。
レイピアの柄に巻かれたリボンを見ていた。
私がやってしまった事件……
白い塗料とノアくんの血液が付着したあの証拠。
犯行に利用したナノカくんのリボンが決して
外れないように、しっかりと巻かれてあった。
このレイピアは私の罪の証だと主張するように……
眩しく……赤い、紅い光は私に向けられていた。
「レイアちゃん……取らないの?」
シロくんのその言葉で私の意識が戻る。
手を伸ばせば届きそうな鏡の向こうにレイピアを
渡そうと待機している化け物……【私】が見えた。
いや……見えた気がした。
ゆっくりと手を伸ばして鏡に手を合わせる。
【私】も手を合わせると蝶が集まっていく。
蝶たちは割れた鏡を元に戻してしまったようで
いつの間にか手は鏡の向こう側まで侵入していた。
そして、レイピアの柄に手が触れると……
私の視界は真っ白に包まれた。
─────────────────────
私は……──即席の三節根で────を刺した。
私は……ハン──んに罪をかぶ──うとした。
私は……ナノカ──のリボ──偶然使用した。
私は……コ──んとミリア──すら利──た……。
私は……皆を守──として……誰も守れ──った。
しかも一───に殺人事──起こした魔──った。
きみは私の──に──んじゃない……
そ──器を使い皆を護──だ……
皆が生き──るエン──ングを──せ。
道は困──ろうけど……そっ──界の
きみなら辿り──るはずだ。
予言は──に外れ──る──ろう? なら大──。
【正しい】──へ進むんだ、蓮見レイア。
─────────────────────
「……っ!!」
目の前が元に戻った途端に襲ってくる強烈な頭痛。
頭を直接殴られているようで、気持ち悪い。
「レイアちゃん!? 」
「おいレイア!」
立っていることすら困難で、睡魔に耐えられない。
「─────!!」
……シロくんたちが何か言っている気がするが
呼吸すら辛い。手足の感覚はもうすでになかった。
(あぁ……これは……まだ気絶してしまうな……)
またノアくんたちに心配かけさせてしまうなと
気絶前に後悔しつつ瞼は重くなっていく。
……誰かに背負われ運ばれる感覚……その
僅かな衝撃だけが私の意識を繋ぎ止めていた。
いや【正しい】──ってどこにあるんだい……。
そんな抽象的すぎるナニカが心に残ったまま
大人しくどこかへと運ばれていく私だった。
【今回判明した事】
→ヒロくんとノアくんの2人は
私の何らかの異常に気付いたみたいだった。
何か間違ったこと言ったかい? 私は。
結局相手が誰だったのかはわからない。
最初は化け物に見えてたんだけどね。
最後らへんは記憶が曖昧で
もうほとんど覚えてないけど……
正しい──を目指すって言葉は覚えてる。
【特筆すべきところ】
→シロの目に映る人物。
エマ、ハンナ、シェリー、メルル
アンアン、アリサ、ナノカ 7名。
→扉という壁に阻まれてる問題
ノア君のスプレーで【一時的に】壁を
通り抜けることができる。
ただ、毎回あの頭の中を
掻き回されるような気持ち悪い感覚に
襲われるため、あまり使用したくない。
それぞれ道具を固定されてしまっている。
ヒロくんの火かき棒やノアくんのスプレーを
交換したりはできないようだ。
→牢屋敷関係
娯楽室はいつも空いているよ。
食堂の料理は期待できないね、
まぁ、食べれるだけマシだろうか。
10時〜12時、15時〜17時、22時〜翌日6時、
囚人全員が監房に拘束される時間で、さらに
私たちにとっては化け物が出現する時間。
見つかった場合は看守にずっと追跡される。
捕まったら懲罰房に拘束され2日間動けない。
そんな愚かな行動は慎むべきだね。
→シロ関係
────────────
──────────
────────────
母親が【魔女】の可能性が高いみたいだ。
彼女の────────────
応接間の環境を変えた人物に思える。
ほぼ、────────────
─────────。
彼女の魔法は現在特定不可。
魔女因子の痕跡を【残滓】と発言したらしい。
この【残滓】を集めると
彼女の魔法は強化されていくらしい。
───────────────
作者からご連絡。
魔法少女ノ因習村のキャラクターたちと
シロの【本当の名前】、一切被ってませんでした。
もし被っていたら名前を変更せざるを得ない
状況になるので……本当に一安心です。
「よかったですね、─────」
「うん!」