魔法少女ノ魔女裁判 ─君の為に〇ぬ時─   作:プッチーノ

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 ※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
  重大なネタバレが含まれています!
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  ヒロ考察 その2 前半

 【副題観測記録/観測ログNo.33】
  フィクスマージ語 " - 0 - "
  翻訳結果…… 『 0 』
  翻訳担当者:二階堂ヒロ

 ──この観測記録は、
 チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
 読者はこの記録を通して、死後の視界を
 垣間見ることになるだろう──


ヒロ考察 その2前半

 

時刻は12時直前。

 

レイアを背負ったままラウンジにいる化け物と

遭遇するのはどう考えても戦えない上、危険と

判断し迂回して部屋に戻ることにした。

 

あれから私たちはレイアを応接間まで運び終える。

ソファにその体をゆっくりと下ろしていく。

いつもの凛々しい顔つきとは違い

穏やかな表情のまま目を閉じている。

 

「……レイアちゃん……」

 

ノアは無言のままレイアの手を握り続けている。

心配8割、怒り2割といった顔を見せていた。

直近で2回気絶したのもあってか、あれから

ずっとレイアの近くを離れようとしない。

 

そんな様子のノアを見つつも私は淡々と……

思うところがないわけではないが、レイアの

身体に何らかの異常がないかを調べていた。

 

どう? 何かわかった……?」

いや、まだだ」

 

あの鏡との遭遇後、レイアは気絶したように

眠っている……脈を確認したが反応はない。

それは当然だ、私たちはすでに……今だに

生きていたときの感覚が抜けてないみたいだ。

 

他に何か確認できないかと耳を澄ませていると

不思議なことに微小の呼吸音が聞こえてくる。

もう心臓は動いていない、にもかかわらず

呼吸音だけは聞こえる……一体どういう事だ?

 

呼吸はあるみたいだ」

呼吸?

え? あぁそうか。簡単に言うと……

 命を維持する為に必要な動きのことだ」

へぇ~そうなんだ~寝ることと同じくらい?」

「……少しずれているが、大体合っている」

 

呼吸をする際、必要な酸素を体に取り込む。

そしてそれは心臓と密接に働くことにより

私たちは生命を維持している……学生なら

ある程度は知れるはずの人間としての知識。

 

(それなのに……【心臓は動いていない】……)

 

どちらかが欠けると、もう片方も機能を停止する。

それにもかかわらず肺は正常に動いたまま……。

体の法則と矛盾する動きを私は観測してしまった。

 

まるで人間の機能をそれっぽく見よう見まねで

模倣させた……未完成の機械のような──

……そんな気持ち悪い仮説を考えてしまう。

 

この考え方は良くない……【正しくない】。

それにこれがあっていたとして信じたくない。

 

まだ見えてないことも当然あるだろう。

結論を出すには材料が足りてない可能性が高い。

最悪の仮説は一旦置き、別の角度からも思考する。

 

私たち3……いや4人はすでに死亡済みのはず。

それなのに五感の少なくとも視覚、聴覚、嗅覚は

残ったままこの世界を探索することができている。

 

一体このズレは何が原因で発生した、のか……

それとも【発生してしまった】のか……。

その原因は、と思考を加速させていると

ふと忘れていたあることを思い出す。

 

(可能性が高いのは……【魔法】だろうか)

 

物理法則を変えれることができる唯一の事象……。

【魔法】も未だにわからないことが多い。

 

なぜこの奇妙な世界が魔法により発生したのか?

なぜ私たち以外化け物しか存在していないのか?

そもそも魔法とは何が原因で生まれたのか?

少し考えただけでもこれほどの疑問が生まれる。

 

蜘蛛の巣のようにそれぞれが何かで繋がっている

事象のような気はするが、私だけで解決できるほど

簡単な話ではない。あまりにも……複雑すぎる。

 

そして、シロもその謎の一つに上がるだろう。

 

ん、なに?」

いや……何でもない」

 

【死に戻り】を阻害する魔法を持っている

可能性が高いという、本人からの話だが──

あれからいくら調査してもわかったことは

たったの……1つだけ。

 

(シロは……何らかの【モルモット】だった)

 

一体、【何の】モルモットだったのか……。

寒気が走ると同時に感じたものはその

実験を実行した黒幕がいることへの嫌悪感。

 

だとすると……だめだ。彼女を見ながら思考を

していると最悪の想定ばかり浮かんでくる。

人は一度決めたことに固執して考えて

しまいがちだ。私も気を付けなければ。

 

この散らかったままの思考を整理したい。

鐘の音が鳴り、私はシロたちの目が届かない

場所へ移動しようと足を動かす。

 

お出かけ?」

あぁ、少しだけ一人になりたい」

もう化け物さんはいないけど……

 時間までには戻ってきてね」

勿論、そのつもりだ。レイアのことを頼む」

「……いってらっしゃ〜い」

 

部屋の外へと、目的地を決めずに歩き始めた。

 

 

 

私は図書室へゆっくりと足を踏み入れる。

 

ここなら思考の邪魔にならないだろうと考えて

来たが……その考え方は正しかったようだ。

部屋の中は本をめくる音だけが支配している。

 

先客の宝生マーゴと黒部ナノカがチラッと見えた。

どうやらマーゴもナノカも別々の本を解読している

ようで……二人の合間に会話は一切ない。

とても集中しているようで、一滴の汗が

頬から垂れても気にしていないようだった。

 

その様子を横目に、私は思考の海へと潜っていく。

 

【シロ関係の情報と魔法への考察】

 

さて、あれから色々と情報は更新された。

 

まずは、脳内で分かりやすくまとめてみよう。

このところ情報が濁流のように押し寄せていた、

整理整頓することで何か見えてくるかもしれない。

 

まずは彼女に関連する情報から整理していこう。

 

一番古い情報、シロの母親に関する情報だ。

 

私たちが一時的に拠点としているあの応接間──

レイアとこちらの世界で初めて会話したときに

足元から花が咲きはじめた現象……。

 

この現象に関しては、何もわからないままだった。

 

図書室の桜や、外の虹のように魔法が使われて

その場に留まり続けているという……

私の憶測のみが一人歩きしている状況だ。

 

シロの発言を信じるなら魔法の可能性が高いが……

彼女の記憶だけが根拠であり、それだけで結論

できる程確信を持てた訳じゃない。つまり魔女

“かもしれない”という疑惑のみが先行している。

 

それにその考えの根拠と【反証】がある。

 

根拠は魔法が使われたとして【何年前】から今まで

効果を発揮しているのかを確認できないこと。

 

実際に確認したのはノアの魔法が持続していること

だけであり、桜や虹はいつ誰がどこでどんな理由で

【魔法】を使ったのかが謎のままだ。

 

さらにノアは血を蝶に変える【条件付きの魔法】。

それなのに花が咲く魔法は応接間にいると近くに

無条件で生えるため妙に条件が緩い……異常だ。

 

反証はそもそも母親の魔法だとして私たちと同じ

連れてこられた虜囚の一人だった可能性がある。

 

つまり初めてあの部屋に行ったときの推理で

母親が【魔女だった】という決めうちは

私らしくない早計な判断と言わざるを得ない。

 

まあ、この姿で確認できる情報も限界がある。

今のところ、魔女もしくは虜囚のどちらとも

言えてしまう……天秤が釣り合った状態だ。

 

私としては虜囚説の方が納得はできるが──

魔法の存在から魔女である可能性を

完全には否定しきれないのも難しいか。

 

(ただ、進展はあった……)

 

以前4人で図書室に入った時に手に入れた……

魔女因子が付着した痕跡、記憶の【残滓】から

私は重要な情報を手に入れることができた。

 

それは……いつものどうでもいい情報とは違う

異質な記憶、【実験体と書かれたシロの写真】。

 

この情報はまだレイアたちには共有していない。

 

(もちろん当事者であるシロにも……だ)

 

共有すべきではない危険な情報と判断したからだ。

 

もし仮に、仮にこの情報が正しいとしたら──

一体シロは……彼女は【何者】なんだろうか。

 

魔女でも人間でもない可能性を知ってしまったら?

一体誰に何を目的とした実験体にされていたのか?

そもそもこの情報自体の真偽は?

 

考えれば考える程、シロにとっては残酷で……

彼女の全てを覆しかねない劇薬になりえる情報だ。

 

あの純粋な目で見てくる彼女に

【君は実験体】だったんだ──と

無慈悲に突きつけることができるのか?

 

(……感情は一旦置いて、仮説を考えてみようか)

 

【一つ目の仮説】はこうだ。

私たち魔女候補のような感染者を治すために

治験のような人為的に魔女因子を入れられた人間。

 

(シロが人間だと仮定して考えてみたが

 部分的には【正しく】思える仮説だ)

 

ただこの仮説には大きな問題がある。

彼女の魔法に説明がつかない点が多すぎることだ。

 

私たち魔女候補は一人一人種類は違うが

【制限付き】の魔法を使うことができる。

 

例えば【死に戻り】はその日の朝まで遡る制限。

ノアの【液体操作】は絵にするだけという制限。

アンアンの【洗脳】は相手が納得しないと効果なし

などそれぞれ何かしらの制限があるように思える。

 

(勿論レイアの魔法、【視線誘導】のように

 制限が少ない魔法もあるにはあるが……)

 

対して、シロの魔法はどうだろう。

【死に戻り】の発動を阻止、阻害する魔法だ。

そう。私たちのような固有の魔法と違う

【他者の魔法への干渉が可能な魔法】だ。

 

つまり【明らかに系統が違う魔法】を

彼女は持っていて、しかも無意識に使っている。

いや……制御できていない可能性もあるだろう。

 

さらに【制限が見当たらない】のもおかしい。

私たちが見逃しているだけの可能性もあるが──

何か前提の情報が抜け落ちているかもしれない。

 

……少なくとも私たちのような魔女候補とは

何かが決定的に違う存在……と考えておこう。

 

そう考えていると解読作業をしている二人の

ヒソヒソと静かな会話が聞こえてくる。

 

そういえば予言の本に魔女の儀式が描かれた絵。

あの二人は解読を進めていたし少々気になった。

目線を声がする方へと移動させる。

 

ナノカちゃん♪ 解読は進んでる?」

「……えぇ、ある程度は」

 

テーブルに散乱した筆記具とスマホ。

マーゴはサバトが描かれた本に文字を書いている。

一方ナノカは儀式後の予言書を解読中のようだ。

 

ならよかったわ……それで……」

貴方の言いたいことはわかる。

 『浮かび上がった文字』は何か、よね」

察しが良いわ。なんて書いてあったのかしら」

 

レイアが気絶したあの時の本に関する話だろう。

オカルトの儀式で現れた文字……結局、

あの本は発言通りに翻訳してくれたのだろうか。

気になってその話を聞き逃さないように集中する。

 

正直、確実にあっているかは保障できない」

それは勿論よ。後で自分でも確認するわ」

なら信用できるか判断して」

 

 

翻訳の結果……【蓮見レイア】だった」

 

 

(……その翻訳、本当に【正しい】のか?)

 

「…………やっぱり、そうなのね」

「…………驚かないの?」

 

こちらのレイアとあの人形での儀式によって

『向こうの世界と意思疎通ができる便利な道具』

──と短絡的に結論づけるのは危険すぎる。

 

……化け物に会う前、あの鏡と遭遇する前の会話。

レイアと共有した筈の【記憶】が消えるデメリット

を確認しているし、ノーリスクとは言えない。

 

(だが、少なくとも向こうに対して伝達手段が

 できたと考えれば、リスクは承知の上で

 どうにか利用できるかもしれない)

 

予想通り、と言った反応に見えるけれど」

そんなことないわ、勿論驚いているわよ」

【その顔で】、本当に思って言っているの?」

ふふ、どうかしらね? ナノカちゃん」

「…………はぁ

「……うふふ

 

二人の合間に緊張感が漂っている気がした。

 

予言書……ナノカの翻訳ミスでなければ、確かに

向こうと繋がることができる手段の一つだが、

レイアのあの苦しんでいた表情を思い出す。

もし私もアレの対象と考えると、気乗りはしない。

 

(……嫌な予想ばかりしてしまうな)

 

結局、予言書自体も何を目的に作られたのか。

予言書はなぜ外れた未来を見せてくるのか。

オカルト儀式でどうして向こうとつながれたのか。

便利であり、不気味なこの感覚……魔女に魔法。

結論づけられる根拠も証拠も揃っていなかった。

 

(いや、さっきから悪い方向に考えすぎている。

 私の悪い癖だ。別の観点から考察してみよう)

 

別の仮説を考えるため私は図書室から移動する。

 

 

 

誰もいない場所を探していると中庭へたどり着く。

 

中庭はいつもより強い風が吹いているようで

冷たい風を肌で感じてしまう。ここも誰にも

邪魔をされないだろうと、考察を再開する。

 

一つ目の仮説は【人間と仮定した場合】だった。

今度はそれと真逆。シロが人間じゃない可能性……

つまり、魔女側の人物だと仮定して考えてみよう。

 

二つ目の仮説はこうだ。

魔法に対抗する対抗策や魔女の撲滅を目的として

開発するため何らかの実験体にされた魔女。

 

さてこの仮説はどうだろう。

この仮説が浮かび上がる理由は複数あった。

 

【魔女化の進行具合】を見れる目。

 

彼女の目は死に近い人物のみを映している……

魔法とも何か違う、まるで超能力のような目。

あれが元からあった彼女の力とは到底思えない。

勿論、ただの憶測で証拠は持っていないが……。

 

そして、今までの行動に関して。

 

シロの行動は一つ一つがかなり特徴的だ。

以前確認したことを順に思い出していく。

 

・魔女因子が付着した物体を少しだけ浮かせた。

・誰かが死亡した瞬間を無かった事にする現象。

・私の【死に戻り】を阻害、停止させていること。

・シロの体全体が異常に軽いこと。

 

これは前に私自身が挙げた前提条件だ。

そして、観察していて判明したことは……

 

・記憶の中にある魔女らしき人物と友達だった。

・化け物らしき鏡の言語を少し理解していた。

・オカルト儀式のとき、何か知っている素振。

・記憶喪失中を感じさせない花への知識量。

 

以上が今の前提条件だ。

 

この複数の情報から、ある共通点を見つけた。

 

(【魔法そのものに干渉している】……?)

 

魔女因子に謎の現象、私の死に戻りや記憶喪失。

全てに【魔法が原因で発生している】と考えて

みるとピースがピタリとはまった気がする。

 

決めつけは良くないと反証を考えてみるが……

これといった反証をあまり思いつかない。

いや、むしろここにたどり着くように

推理を誘導されているような……そんな

不気味な感覚だけが残り続けていた。

 

(そう簡単に結論付けてしまっていいのか?)

 

納得はできる。できるが……ここまで条件が

揃ってしまうとむしろ不自然でないだろうか。

 

先程まで強く感じていた風を感じなくなる。

後もう一歩で辿り着きそうなのに、一歩手前で

意図的に推理を止められているようで気持ち悪い。

 

(……いや、むしろ説明がつきすぎていて──)

 

ハンナさんエマさん! こっちです~」

 

扉の方から大きな声が聞こえてくる。

 

(思考が途切れてしまったが、仕方ない……)

 

シェリーちゃん、話って?」

わざわざ中庭で話さなくても……」

 

振り返って確認するまでもない、知っている声。

ハンナとシェリーに…………桜羽エマ。

 

ゴクチョーさんが言ってたじゃないですかぁ」

えぇと……どの話です?」

魔女の話です!」

魔女が暮らしてたっていう話……だっけ?」

そうですエマさん!」

 

(全く、この3人はいちいち騒がしい……)

 

私たちはもぉっと仲良くなれます!」

……それはどういう意味で?」

つぅまぁりぃぃぃ~」

 

なんだ、随分と勿体ぶっているが……?

 

ここで、お茶会を開きましょう!」

 

「………… えっ?

「…… は…… は~~ぁぁ?」

 

場が静まり返る。

考えていた考察をうっかり忘れるくらい

強い風がその場に吹いていった。

 

脱出計画を練るって話じゃないんですの!?」

そうだよシェリーちゃん、その話を──」

勿論忘れてませんよ! ですが……」

 

虫眼鏡をエマに向けムムッとした顔のシェリー。

 

エマさん、あれからずっと元気ないですよね」

うっ……そ、そんなことないよ?」

下手くそな嘘やめてくださぁ~い」

 

図星だったのか、エマの目線は宙を舞っていた。

 

一度休息をとるべきです! エマさん」

で、でもボクがやれることはまだ……」

ほら! またすぐ無茶しようとしてます!」

エマさん? その行動力には感心しますけど、

 体に嘘をついてまで動くのは禁物ですわ」

ふたりとも……うん。ありがとう」

 

嬉しそうに笑うエマを見て、何となく胸に

チクリと棘が刺さったような感覚がはしる。

エマの笑顔を久々に見ることができた……と

同時にその場に存在できない……死者の私。

 

(私のいないところで、そんな顔を見せるんだな)

 

それで? なんでお茶会なんですの?」

それはですねぇ~

 仲良しグループを作るんですよ、私達で!」

仲良しグループ??」

はい!私たち全員仲良しだって

 見せつけてやるんです!」

 

……この自称探偵の発言には驚かされるな。

自分で言ってて恥ずかしくならないのか?

 

全く、貴方は頼りになりますわね。

 けど恥ずかしくないんですの?

 そんなうすら寒い事を言って……」

うすら寒いって言いすぎですよ!」

誉めてるつもりですわ?」

誉め言葉だったんですか!? なら

『シェリーちゃんかわいい大好きえらいね

 すごいね天才』とか言ってくださいよ!」

誰がいうかぁ!」

 

口喧嘩を始めた二人を頑張って止めに入るエマ。

微笑ましい光景から視線を外し……

どうにか考察の再開をしようとするが──

 

 

あっ、そういえばエマさん。

 きのう拘束時間中、抜け出してません?」

 

 

シェリーのその一言に、私は違和感を覚えた。

 

なっ、なんでそれを……」

監房部屋から見えましたよ〜」

 

あぁ、シェリーとアリサは監房廊下に入ってすぐ

手前の部屋だったな。それなら部屋から抜け出す

エマを偶然目撃していても不思議ではない。

 

(それにしても、なぜわざわざ拘束時間中に?

 看守に拘束されるかもしれない時間だろう。

 【正しくない】……)

 

エマさんは何をしてたんですの?」

えっと……それは……」

私たちの間でぇ、隠し事は~ダメですよ?」

う、うん。わかった、言うよ」

 

アンアンちゃんとミリアちゃんが

 見つけてくれた手紙があって……」

 

そういうと折りたたまれた手紙を取り出し

エマはその紙を二人に見えるように開いていく。

知らない情報かもと気になり、その紙を覗くと

書かれてあるのはどうやら屋敷外の地図らしい。

 

いろんな場所にバツ印があって、

 ボクは気になって確認しに行ったんだ」

 

ふむ……確かに複数のバツ印が書いてある。

牢屋敷を出てすぐの所と湖畔の奥……だろうな。

あとログハウスの近くに【何か】があるらしい。

 

おぉ! ミステリーにありがちな謎の手がかり!」

ここぞとばかりに嬉しそうですわね……」

えぇ? ワクワクしませんかぁ~?」

 

……いや、これを調べるのは自由時間でもいい。

なぜわざわざ一人で調べようとしたんだエマは。

 

それで? なんでわざわざそんな時間に」

何があるかわからないし、

 他のみんなに迷惑をかけたくなくて──」

 

(……はぁ、あれからエマは何も変わっていない)

 

意志薄弱で、誰かに嫌われたくない一心で動き

優れた仲間がいるのに無駄な配慮や遠慮をする。

やはり君は……【正しくない】。

 

(いやまて。エマは今、間違いなく誤魔化した。

 結局拘束時間に動いた説明にはなっていない。

 一体エマはなぜ……この手紙に何か理由が?)

 

んもー、水臭いですよぉエマさん」

えぇ、そうですわ。

 わたくしたちを頼ってくださいまし」

ふたりとも……じ、じゃあ」

あ! でもお茶会の準備が先ですよ~」

え? でも」

でもじゃありませんわよ。

 さっき休息と言ったでしょう、まったく……」

 

そう言って中庭から出ていく三人。

先程まで騒がしかった中庭は急速に静かになった。

 

(……ここまで考えたが、この仮説は逆に怪しい。

 あまりにも【出来すぎている】。

 まるで誘導されているような気分だ)

 

気味の悪さを感じつつ、私は中庭を後にした。

 








───早く帰ってこないかな~ヒロちゃん。

───もしかして……寂しいの?

───え!? あ、う、そんなこと……ないけど。

───あ! 慌ててる! 面白~い。

───む~。
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