※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
クリアしてない方はクリア後推奨!
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新たな敵、お披露目回。
【副題観測記録/観測ログNo.5】
フィクスマージ語 " - PaiTum - "
翻訳結果…… 『 痛み 』
──この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろう──
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牢屋敷に囚われて1日目夜。
ラウンジの地面は赤色の液体で満たされている。
私達はラウンジに入る手前の廊下にいた。
化け物を視認した私はすぐにシロを連れて
音を立てないように、
相手からは見えないトイレ内に隠れる。
(なんだ……あの化け物は……)
看守とはまた違った不気味な化け物……
話が通じる相手にはとても思えない。
幸い、まだ私達のことに
気づいていないみたいだ。
どうやらラウンジ内をウロウロしている。
「ヒ、ヒロちゃん?痛い……」
「あぁ、すまない」
小声で彼女に対し謝っておく。
私が彼女の手を強く握り締めすぎたのか
少し痛かったようだ。
トイレに隠れた私は黒い化け物に
見つかっていないことに少し安堵する。
鼓動がうるさく感じて仕方ない。
(落ち着け……はぁー……はぁ……よし)
少しずつ落ち着き始め、冷静になる。
化け物への対処を考えなければ。
私達はあの化け物に対する抵抗手段を
今は持っていない。
もし見つかったら逃げなければダメだ。
ただ、逃げる為には医務室の扉か若しくは
ホールに繋がる遠回りの通路どちらかを
通らなければならない。
だが、先ほど私達はその道に行くための
扉は閉まっていた事を確認済み。
(つまり、今ここは袋小路の場所……
バレてしまうとどうなるか想像したくない)
相手の動向を探るべく
扉の隙間から黒い化物を観察した。
体が真っ黒な液体で覆われた化け物。
胴体だけの化け物はラウンジの暖炉前で
誰かを待っているように佇んでいる。
手の様な部位は……武器だろうか?
何かしら鋭利な武器を持っていた。
観察しているとある感覚が脳裏をよぎる。
(なぜ私は既視感がある……?)
思考していると私の腕の下から
シロが顔を覗かせて化け物を観察している。
そして一言ぽつりと零す。
「……誰かの胴体に見える……」
「誰かの……?」
その言葉に何か心当たりがある気がした。
ただ今はあの化け物から逃げるか、
隠れ続けるか考えなければならない。
そうして私は思考していたら、
「あっ……」
シロが足音を立ててしまった。
遠くから化け物が歩いてくる。
私達のいる通路の方に歩んできたのだろう。
咄嗟に隠れ続ける方を選択した私は
声を押し殺し、過ぎ去るのを待つ──
ギィ……ギィ……とした足音は──
私達のいるトイレを──
過ぎ去り、医務室がある廊下の方へと
歩いて行く音が聴こえる。
戻ってくる可能性がある為、
まだ息を殺して隠れ続ける──
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ある程度の時間が経ち──
あの足音は戻ってこない為
私は扉の隙間から周囲を見渡していた。
通路には先程の化け物は見当たらない。
トイレ入り口の扉の隙間から体を出し、
私達はゆっくりラウンジに入った。
警戒しながらラウンジを見渡してみたが、
こちらにもいない様だ。
一旦危機は去ったのだろう。
シロは手を膝につけ、深呼吸している。
「ふぅ〜〜危なかったね……」
「あぁ……一体なんだ、あの化け物?」
私も同様に深呼吸をつき、
先程の化け物に関して話し合う。
「看守のような『なれ果て』とは
何もかもが違う化け物に見えた……」
「う〜ん、黒色でベトベトしてたね?」
「あぁ、あと鋭利な武器を持っていたな」
(胴体だけの化け物と鋭利な武器か……)
「どう見ても友好的な相手ではない。
次に相対した時、こちらを攻撃してくる事は
念頭においたほうがいい」
「そうだね、私達は武器を持ってないし〜
なるべく気をつけないとね〜」
さすがに少し怖かったのだろう、
彼女の額に冷や汗が垂れていた。
笑顔を頑張って出そうとはしているが、
やや引きつり気味の不自然な笑顔だ。
今後はあの『黒い液体状の化け物』に
見つからないように気をつけながら、
探索しなければいけない……か。
(何か対抗手段が見つかればいいが……)
あの化け物に遭遇してつい忘れていた。
地下の監房へ続く道とは違う道、懲罰房への
道の扉が開いていた事を思い出した。
(あそこなら……何か手に入らないだろうか)
そう思い彼女に提案する。
「シロ、地下にあったもう一つの道に
行ってみよう。行き先の扉も開いていたし、
確認しておきたい」
「うん! いいよ〜行こうヒロちゃん」
私達はあの黒い化け物を警戒しながら
食堂前、地下階段、通路へと歩む。
幸い道中では遭遇しなかった。
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私達は地下のもう一つの道を通って
懲罰房へとたどり着いた。
部屋全体は監房より暗く見づらい。
足元が特に暗く、もし小物を落としたら
見えないかもしれない。
奥まった通路に重厚な扉と小さい覗き窓
監房より厳戒な南京錠で閉ざされている。
シロは懲罰房の一つの扉に近寄っていた。
「のぞき窓から何か見えないかな〜」
などと、のぞき窓を背伸びしながら、
頑張って中を覗こうとしているシロ。
身長が少し低い為、ギリギリ届いていない。
「うぅ〜、もう少し身長が高ければな〜〜」
と、こちらを複数回チラチラ見てくる。
どう見ても手伝って欲しい顔をしていた。
小動物のような挙動をしてるな……
などと余計な思考は置いておこう。
微笑ましい表情を向け、彼女に近づく。
「仕方ないな。少し、持ち上げるよ」
そう言って彼女の脇を持ってあげる。
ちょうどのぞき窓が届く高さに固定した。
持ち上げたが随分とシロは軽……いや、
いくら私と身長差があるとはいえ……
体重が軽すぎるような……
「……【残滓】はあるけど……っ!」
「何か見えたか?」
「…………うん、怖そうな物がいっぱい」
と何かに気づいた様子のシロ。
彼女の手が若干震えている様に見えた。
(怖い物でも見たのだろう)
懲罰房という場所だし、痛めつけるような
道具があってもおかしくはない。
「ん〜、あとは暗くてよくわからないな〜
持ち上げてくれてありがとう、ヒロちゃん!」
「あぁ、今降ろすよ」
一旦下ろし、私も一度のぞき窓から見る。
(まあ……想像通りというべきか、
拷問器具が色々と置かれている)
拷問器具など様々な道具に光が付着していた。
……3つの【残滓】が見えるが、
扉が開いていない為、回収できない。
どうにかここを開ける手段があれば……。
などと考えていると、私達が通ってきた
通路から騒がしい声が聞こえてくる。
「離せよ!オイ!ぶっ◯ぞ!」
この騒がしい声は……生きているアリサだな。
看守に捕まったのだろう。
懲罰房入り口から現れたアリサは、
予測していた通り看守に捕まっていた。
ジタバタと抵抗しているが看守の手はアリサを
ガッチリと拘束し、固められている。
「これは……チャンスかもしれないな」
「チャンスって」
「懲罰房に入るチャンスだよ、
看守が扉を開けてくれるかもしれない」
(懲罰房の鍵を持っているのが
看守なら丁度開けてくれるはずだ)
アリサを拘束するのに多少時間は
掛かるし、3つの【残滓】を回収するだけ。
十分な時間はあるだろう。
想定通り、看守は懐から鍵を取り出した。
懲罰房の鍵と扉を開けてくれる。
看守はアリサを連れて磔刑台に歩いて行った。
「……中に入ってくるの?」
「あぁ、3つ回収してくる」
「え!? ちょっと一気に回収し──
シロの言葉を置き去りに、
私はそれぞれ置いてある【残滓】を
回収しに懲罰房内の部屋に入る。
のぞき窓からは見えなかった位置に
拷問器具と道具が複数個置いてあった。
三角木馬、磔刑台、ペンチなど正直
悪趣味としか言いようがないものだ。
(道具の何個かに【残滓】が残っている)
看守がアリサを拘束している間に、
私はテキパキと複数個の【残滓】を
一気に回収していった。
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『ぎゃあぁあ!痛いぃ!ああぁぁぁっ!』
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「……っ!」
場所が懲罰房のせいだろう、
嫌な記憶ばかり私の脳内に入ってくる。
自分の記憶ではないとはいえ、
過去にいたであろう人物の苦痛が……
ダイレクトに私の頭に訴えかけてきた。
痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い
イタイタイタイタイタイタイタイタイタイタイタ
いたいいたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ────
「ヒロ──ん? ──ゃ──!」
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「──ちゃん! 大────」
(うぅぅ……気持ち悪い……)
「ヒロちゃん! 大丈夫……?」
割れる痛みが徐々に引いていき、
シロの声が鮮明に聞こえるようになる。
「ヒロちゃん……」
「うっ……なんだ、ここは?」
「ヒロちゃん、起きた? ……起きた!
よかった! 心配したんだよ!」
彼女を相当心配させてしまったのだろう。
見上げた顔面は蒼白になってしまっていた。
私が起きたのを見て彼女は笑顔に戻る。
ベットに寝かされていたのだろう。
なぜか体の節々が痛い気がする。
(ここは……懲罰房ではないな。
風通しがよくいい匂いがする部屋だ)
「ここは医務室だよ、ヒロちゃん! 」
「医務室……ここまで運んでくれたのか」
「そうだよ! 重かったけど頑張ったよ!
引きずっちゃったから……痛いかも……」
「シロ、ありがとう……助かった」
お礼を言うと、彼女はとてもわかりやすく
嬉しそうな顔を返してくれた。
尻尾を振っている様にも見えてしまう。
私は彼女を撫でながら部屋全体を見渡した。
室内に日差しが入りやすい構造になって
いて外に出る扉もある、換気も容易だ。
病人の看護をするのに最適な部屋だろう。
ベッドにイス、テーブル、暖炉にポット、
棚には複数個の薬剤があるように見えた。
隣のベットには静養中のアンアンと
甲斐甲斐しく、看病をしているレイアがいた。
先程のいい匂いは紅茶の匂いの様で、
丁度部屋の隅にポットを持ったメルルがいる。
湯気が立ちあがっていて、
どうやら紅茶を作っている最中みたいだ。
生きている時に戻れたら飲んでみたいと、
少し感傷的な気分になってしまう。
あぁ、そうだあの後……私は……。
「懲罰房で気絶してしまったのか」
「うん、複数個の【残滓】に触れたから
記憶が一気に襲ってきたと思うよ〜」
「……さすがに沢山の記憶を一気に見て
しまったから処理しきれなかったのか」
(看守に扉を締められたら閉じ込められて
しまうと、焦って一気に回収したのは
【正しく】なかったな)
心の中で自己反省をする。
急ぎすぎるのはよくない、慎重になるべきだ。
「でもね、収穫もあったよ、ヒロちゃんの
おかげで……ラウンジにあったこれとか」
「収穫? いや、なんだそれは?」
彼女が持っているのは淡い……
いや、何かいつもと違うような──
淡い光じゃない【濃い赤褐色の光】で──
赤い蝶が漏れ出てきている【残滓】だった。
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ヒロの脳内メモ
→今現在の状況
化け物とラウンジで遭遇。
今回は運良く見つからなかったが、
今後は何か対抗策が欲しい。
扉という壁に阻まれてる問題
▶︎現在解決方法を模索中。
懲罰房にて複数の残滓を回収したが私は
気絶した。医務室に運んでくれたようだ。
道中、よくあの化け物に会わなかったな。
→牢屋敷関係
ある程度の規則がある。
一定の時間に施錠がされる。
(娯楽室は開いたままだ)
食堂の料理は期待できそうにない。
15時〜?時 に一旦施錠、監房にて確認。
▶︎これを破ると看守に追いかけられる。
捕まったら懲罰房に送られる。
→シロ関係
人懐っこい犬のような少女。
運営側の可能性あり。
昔の牢屋敷を訪れたことがあるらしい。
「死ぬ可能性が高い人物」のみ見える。
レイア、ノア、メルル、エマ
現在はこの4人を認識可能。
彼女の魔法は現在特定不可。
魔女因子の痕跡を【残滓】と発言。
この【残滓】を集めると
彼女の魔法は強化されていく……らしい。
もしシロが敵側だとすると
敵を強化していることになるが、
今は利用する事にしよう。
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