魔法少女ノ魔女裁判 ─君の為に〇ぬ時─   作:プッチーノ

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 ※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
  重大なネタバレが含まれています!

  クリアしてない方はクリア後推奨!
  ネタバレ嫌な方はブラウザバック!

  また、選択肢のお時間です。
  雰囲気を大切にしたい方は是非。

 【副題観測記録/観測ログNo.6】
   フィクスマージ語 " - WAirTell - "
   翻訳結果…… 『 私 』

 ──この観測記録は、
 チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
 読者はこの記録を通して、死後の視界を
 垣間見ることになるだろう──


- WAirTell -

 

気絶から回復した私は、

シロが持っている不気味な【残滓】を見ていた。

 

彼女が持っている【残滓】はいつもの残滓と違い

赤褐色の光と、赤い蝶が漏れ出ている

 

手からこぼれ落ちるように赤い液体は

地面に落ち、赤い蝶になって飛んでいく。

 

正直言って……かなり不気味だ。

 

彼女は普段通りの顔で【それ】を持っている。

 

(気持ち悪くならないのか、それを見て……)

 

「シロ……これはどこにあったんだ?」

 

ラウンジの暖炉の近くにあったよ?」

 

「暖炉の近くか」

 

私が死んだ場所とほぼ同じ箇所……。

 

「最初はね、赤い蝶じゃなかったよ?」

 

「それは、どういうことだ?」

 

「え〜とね──ドロドロの液体だったかな〜、

 あんまり直視したくない赤色の液体で、

 大量に流れていたかな?」

 

気味が悪い色の【残滓】を見せられ

気分は陰鬱になっていく。

血液に似た色の「これ」を触るのか私は。

 

目を瞑ってその赤い蝶が漏れでる【残滓】を触る。

ナメクジを触るような嫌な感覚が手を撫でた。

気持ち悪さを耐え、手をさらに奥に入れる。

 

「そ、そんなに入れて平気……?」

 

シロは心配そうに私を見る。

 

中を手探りで調べてみると、

随分と奥まで広い空間があるようだった。

 

吐き気を抑えつつも

腕ごと奥に入れると何かに手が触れる……

何か引っかかったようだ。

 

「……なにかあった?」

 

私の顔を見て察したようだ。

手探りで触る箇所を変えてとっかかりを探す。

私は『それ』をしっかり持つことができた。

 

少しずつ手前に引っ張ってきて、

最後まで『それ』を引き抜く。

 

引き抜いたそれは『血濡れた火かき棒』だった。

【残滓】に似ていて赤く淡い光を纏っている。

赤黒い光と蝶は消えていった。

 

「お〜綺麗な赤色の武器だね! 何かに使える?」

 

「綺麗……綺麗か……?

 まあ、使ってみないとわからないな」

 

私は試しに何回か勢いよく振ってみる。

 

現実で振ったときより火かき棒は軽く感じ

自分の思った通りに振れることがわかった。

縦、横など様々な方向に気軽に振ることができる。

 

ある程度武器として扱えることを確認し、

その武器を眺めてみると

とても鮮やかな赤色の武器だ。

あの不気味な残滓から出た割にはだが。

 

(これなら、あの化け物を倒せるか……?)

 

「ヒロちゃん、すごい機敏な動きだね〜、

 スポーツとかやってたの〜?」

「護身術のような物だ、心得くらいかな」

 

(本当はスポーツをやっているが……自慢に

 なってしまうし、言わないでおこう)

 

そう言って火かき棒を手に入れた。

私は武器を服に引っ掛けて持ち歩くことにする。

これが対抗手段になれば良いが……。

 

何気なく外を見ると朝なことに気がついた。

まさか、かなりの時間気絶していたのか──?

 

「……私は長い間、気絶していたのか?」

 

「うん、昨日の夜からだね。」

 

「……」

 

……迂闊な行動をした私が悪いな。

今後二度と一気に残滓を回収しないことを誓う。

 

そう話していると扉がゆっくり開けられた。

シェリーとエマが医務室に探索しにきたようだ。

 

メルルとエマ、シェリーが会話していて、

どうやら昨日の夜アンアンが倒れたらしい。

 

(探索ついでに、倒れたアンアンのお見舞いか、

 相変わらずお人よしなのは変わらないな……)

 

その様子を見ていたら服の袖を揺らされた。

シロがベッドに向かって指を向けている。

 

「枕のところ、光ってるよ〜」

「ん? あぁ、ありがとう」

 

私はアンアンが寝ている枕にある

【残滓】に触れ、記憶を読み取る。

 

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『お絵描きしたら楽しいんだよ?』

 

『わがはいは楽しくない、勝手に描くな』

 

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この記憶は、アンアンとノアか……?

スケッチブックに絵を描きたいノアと

それを拒むアンアンのやり取りが見えた。

 

微笑ましいが、特に重要そうな情報ではないな。

 

そんな事を私は思考していたら、

後ろから生きている2人の会話が聞こえた。

この声は……レイアとシェリーだな。

 

「中庭に植物がたくさん茂っているんだが、

 ハーブを摘んで、お茶を淹れてくれたんだ。

 ずいぶん、気持ちが落ち着いたんじゃないかな」

 

「へええ、メルルさんすごいですね!

 中庭……そういえば通路の途中に

 出られるところありましたよね」

 

「ああ、とても雰囲気が良い────」

 

これは……ちょうど良いタイミングだな。

 

私たちも医務室から一旦出たいところだ。

扉も開けてくれるし、彼女たちについていこう。

 

「シロ、ここを出よう。あの3人についていく」

 

「わかった〜私も〜」

 

私達は移動する3人に合わせて中庭に移動する。

 

もし私が生きていたら並んで歩けたのだろうか。

 

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-------------------

 

中庭に無事、便乗する形で入った私は

彼女たちの会話を聞きながら思考を巡らせていた。

 

(私の魔法が発動しない状況、魔法の影響だと

 すると、シロの魔法は一体どんな魔法だ?)

 

残滓を纏ったナイフを浮かせていたこと、

 

体重がものすごく軽くなっていたこと、

 

自由に制御ができていないこと、

 

一体どのような魔法ならば該当するだろう……。

考えてみようか。

 

浮遊? サイコキネシス? 重力操作?

 

どれも、あまりピンとこない。

 

一部分は当たっている気もするが……

結局考えた条件のどれかに外れてしまう。

 

思考を巡らせても、答えは出てこない。

 

不意に、上空から羽音が聞こえた。

その音の発生源は自称かわいいフクロウの

ゴクチョーだった。

 

エマ、シェリー、レイアと会話している。

その会話の中で気になる話題が上がった。

ゴクチョーに対するシェリーの質問だ。

 

「ここ、随分古い建物ですよね。

 ゴクチョーさんは長い間、

 何度も囚人を迎え入れているんでしょうか?」

 

私の知りたかった情報……耳を澄ませる。

 

「この牢屋敷はですね、500年前から──」

 

(随分古い建物だなとは思っていたが……

 そんなに月日が経っている屋敷だったのか)

 

「──魔女が普通に暮らしているお屋敷でした」

「中庭でお茶会を催して──」

 

細かい話も聞き漏らさないように、脳内でまとめ

ながら聴いていると、興味深い情報を言った。

 

「そのお茶会で一人の大魔女に妙にアプ──

 おっと、お喋りしすぎましたね、私はこれで」

 

と、一番気になる情報のところで話を切り上げて

しまったゴクチョーは逃げるように去っていった。

 

その会話を聞いて私は彼女に相談する。

 

「シロ、さっきの会話聴いていたかな?」

「うん、聴いていたよ〜、え〜と、

 何か私に聞きたいことがあるの?」

 

「あぁ、シロが言っていた通り、ここは魔女が

 元々暮らしていたお屋敷だったようだね」

「そうみたいだね!」

 

「そう考えると、ここに見覚えがあるという事は、

 君も魔女の一人だったんじゃないか?」

「え〜あ、でもそういう事になっちゃうね」

 

全力で驚いてる彼女を見てると微笑ましい。

本当に嘘はついていない様子だからだ。

 

もし……記憶を忘れる様な出来事が

君の過去にあったとしたら……それは……

 

「確かに私も魔女だったのかもね。変な魔法を

 使えるしあり得るし……あ、でも私自分の

 魔法制御できてないし落ちこぼれだったかも」

 

そんな事を言った彼女は苦笑いをしていた。

まあそうだったとしても今の彼女は楽しそうだ。

この話は後に話すべきだろうと、私は保留する。

 

楽しそうなシロを見ると死んだ後とはいえ、

私の心が晴れやかになる気がした。

 

「あぁ、そうかもしれないな」

「え!? ヒロちゃん酷〜いよぉ〜」

 

「あ、いやわざとじゃないんだ違う

 今別のことを考えててだな──

「うわ〜ん、ヒロちゃんがいじめる〜」

「あぁわかったわかった、私が悪かったよ」

 

今は……この穏やかな気分のままでいたい。

 

-------------------

 

-------------------

 

中庭のじゃれあいを終えた私達は二階ホールに

移動し図書室の扉が開いていた中へと入る。

 

図書室は本棚がびっしりと並び

古臭い本の匂いが漂う静かな空間になっている。

複数の椅子とテーブルがあって

中央にある一本の大きい桜の木が特徴的だ。

 

ここに入るのは初めての為、念入りに捜索したい。

一番目立つ桜の木の下に移動する。

 

(この桜の木は不思議だな。

 花弁が散っているのに枯れないなんて、

 過去にこの桜に魔法を与えたのだろうか)

 

私は周囲を確認すると、

読書スペースの目立たない場所に

厚めの本を読んでいるマーゴがいる。

 

なぜかは知らないが、タロットカード……

占いで使うカードが机の上に広げられている。

マーゴが娯楽室から持ち出したのだろうか?

 

(もしかして彼女の趣味か?)

 

一応タロットカードに残滓があった為、

私はその残滓に触れる。

 

-------------------

 

『エ〜マちゃん♡ 占って差し上げましょうか?』

 

-------------------

 

マーゴがエマに話しかけているシーンだ

エマを揶揄っているのだろう。

この情報もあまり重要では無さそうだ。

 

「うーん、この薄〜い本はなんだろ……

 ウィトゲンシュタ……私に関係ないね……」

 

シロは開かれていた本を見ているが

この屋敷と関係ない本みたいだ。

 

私も近くの開かれた本を覗き見てみるが、

殆ど謎の文字が並んでいて、全く読めない。

 

私達が住んでいる国の文字ではないな……

解読には時間がかかりそうだ。

 

「んーこれなんだろ? ヒロちゃ〜ん」

 

何かを見つけたようで、私に手を振っている。

 

「なんだ、何かあったのか?」

 

「これ! この1冊だけ触れられそうだよ」

 

図書館の端にあった分厚い本から、

明らかに数えきれない量の【残滓】が光っている。

 

一体何個あるのだろうか……触ったら記憶が

相当流れてくることは想像できる。

 

そうなったらまた気絶することになるだろう。

懲罰房で一気に触れた私のように。

 

「シロ、流石にこの量を触ったら頭が耐え

 られなくて気絶する、別の機会に触ろう」

「う……そっかぁ、また今度ね〜」

 

と、本に対し手を振るシロ。

 

とりあえず……場所だけ覚えておこう、

触れるタイミングを考えなければ。

 

それはそうと保留していた液体状の化け物に

関して根拠が揃ってきたしシロに共有しよう。

 

「シロ、昨日の夜遭遇した液体状の化け物

 なんとなく、正体が分かった気がする」

「え、すごいね! ヒロちゃん! 聞かせて~」

 

そう言われ、私は説明をし始める。

人差し指を上に上げた。

 

「まず、1点目は『なれ果て』じゃないな」

「理由は?」

 

「看守を見てみるとわかる、看守は元人間で

 ゴクチョーと黒幕の命令に従っている。

 つまり、知能があって意思があるんだ」

 

「だが、あの黒い液体状の化け物は別だ。

 ゴクチョーが気づかない筈もないだろうし、

 知能も意思もあるようには見えない」

 

「ましてや、あんな胴体だけの姿……

 目立つ奴を牢屋敷で放置するとは考えにくい。

 看守に間違いなく『掃除』を頼むだろう」

 

「つまり、あの化け物は黒幕とゴクチョーにも

 認識されていない別の化け物と言うことだ」

「ふーん、そうなんだ〜」

 

私はピースサインのように2本目を上げる。

 

「2点目は、ラウンジの立ち位置だ」

「ラウンジの暖炉の前にいたこと?」

「そうだね、私が死んだ場所と同じということ」

 

この点も私はだいぶ気になっていた。

 

「私が死んだ場所と偶然、同じなわけない」

「もしかして、死んじゃった人に関係するとか」

「そうだ。私もそう思うよ、シロ」

 

私の推測が正しければあれはそう言う化け物だ。

最後に薬指を上げる。

 

「3点目は、所持していた武器だ」

 

「何か持ってたよね?」

 

「あぁ、あの凶器の様な物体は黒い液体のせいで、

 見えなかっただけだ。私達の知ってる武器だよ」

 

(私にとっては、確実に知っている凶器だ)

 

「ラウンジにある凶器で、おおよそ検討がつく」

 

「凶器……ボウガンとか他の

 凶器もあった様に見えたけど〜……」

 

「いや、『私達は』確実に知っている凶器だよ」

 

つまりあの化け物の正体は────

 

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この3つの根拠から導き出せる答えがある。

液体状の化け物の正体……それは

 

死んだ過去の魔女

死んだ私自身

死んだ過去の囚人

 

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ヒロの脳内メモ

→今現在の状況
牢屋敷の過去についてゴクチョーから
情報をもらうことができた。
途中まで言いかけていた話が気になる。

医務室→図書室と探索した。
図書室に複数個集合の残滓を確認したが、
今は触るべきではないと判断し、保留。

扉という壁に阻まれてる問題
▶︎現在解決方法を模索中。

→牢屋敷関係
ある程度の規則がある。
一定の時間に施錠がされる。
(娯楽室は開いたままだ)
食堂の料理は期待できそうにない。

15時〜?時 に一旦施錠、監房にて確認。
▶︎これを破ると看守に追いかけられる。
捕まったら懲罰房に送られる。

→シロ関係
人懐っこい犬のような少女。
運営側の可能性あり。
昔の牢屋敷を訪れたことがある。
魔女の一人かもしれない。

「死ぬ可能性が高い人物」のみ見える。
レイア、ノア、メルル、エマ
現在はこの4人を認識可能。

彼女の魔法は現在特定不可。
魔女因子の痕跡を【残滓】と発言。
この【残滓】を集めると
彼女の魔法は強化されていく……らしい。

もしシロが敵側だとすると
敵を強化していることになるが、
純粋無垢で嘘がつけ無さそうな
彼女が本当に敵なのか?

-------------------

液体状の化け物の正体……それは、

  • 死んだ過去の魔女
  • 死んだ私自身
  • 死んだ過去の人間
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