※この小説には魔法少女ノ魔女裁判の
重大なネタバレが含まれています!
クリアしてない方はクリア後推奨!
ネタバレ嫌な方はブラウザバック!
とある理由により、文字数が多いです。
【副題観測記録/観測ログNo.9】
フィクスマージ語 " - Memoid - "
翻訳結果…… 『 記憶 』
──この観測記録は、
チャンネル0に沈む彼女たちの痕跡。
読者はこの記録を通して、死後の視界を
垣間見ることになるだろう──
牢屋敷に囚われて3日目の夜18時、
私とシロは食堂を訪れていた。
ちょうど囚人達の自由時間だし
皆が生きているか念のため確認しに来た。
私がもし生きていたら点呼をとっていただろう。
見落としがないように一人ずつ確認していく。
蓮見レイア、夏目アンアン、佐伯ミリア
沢渡ココ、宝生マーゴ、黒部ナノカ
紫藤アリサ、橘シェリー 、遠野ハンナ
氷上メルル、桜羽エマ………
……ん? 城ケ崎ノアがいない。
「城ケ崎ノアは見てないか?シロ」
「ん〜ううん、私も探索中に見てないよ?」
「……そうか」
シロの目に映った死ぬ可能性が高い人物。
その一人である城ケ崎ノア……。
あとで、どこにいるか確認しておこう。
確認してる最中、遠くのテーブルから声がした。
「まずい、まずいですわ……!くそー」
声の発生源に目を向けると
エマ達4人グループのテーブルからだ。
先ほどの声は……あぁ、遠野ハンナだ。
不味いと分かっているならそこまで
無理して食わなくてもいいだろうに……。
と哀れみの目を向けていたら、なにやら
近くのテーブルに座っている沢渡ココが
声を大きくし【ノア】について発言していた。
「──だって! あてぃし本人に聞いたもん!
有名なアーティストの【バルーン】だって!」
【バルーン】……世界的有名アーティストの?
そんな有名人ですら捕まっているなら
複数の国家が関わってる可能性があるな……
外からの助けは期待しない方がいいだろう。
(国家権力を使ってまで隔離している……か。
そうすると、魔女になる私達は国家にとって
余程危険な存在なのだろうな)
「バルーン? なぁにそれ?」
シロから素朴な疑問が私に投げかけられた。
私はそれに反応し、視線を向けシロに返答する。
「あぁ、シロは知らなくても無理もない、
突然現れて、芸術的なアートを外壁に
描いて去るストリートアーティストだ」
「へぇ〜そうなんだ!」
「SNSを中心に私達のような若い世代であれば
知っているのは当然かもしれない。まあ
アナログな場所だと知らない人もいるだろう」
そもそも芸術に興味がない人にとっては
知らなくてもおかしくない。第一シロは
記憶喪失中……知らなくて当然だ。
多分エマも知らないだろうな。
横目でちらっとエマを見ると
明らかにバルーンの事を知らない顔をしていた。
「ばるーん……? ってなんですか……?」
その隣にいる氷上メルルも知らなかったようだ。
……ネットとか苦手なのだろうか。
実際、椅子に座っていた遠野ハンナが
スプーンを落とし驚愕の表情を浮かべ、
早口でバルーンについて説明をしている。
(……何人か忘れてないか、食事中だぞ……?
静かにできないのかこのメンバーは……)
呆れながら皆を見ていると突然、皿が床に
叩きつけられ割れるような大きな音が響く。
その途端に食堂内が一気に静まり返り、
部屋の中の空気は凍りつく。
皿を割ったのは……
懲罰房に閉じ込められていたアリサか、
わかりやすい不良だから問題を起こしそうだ。
「うるせえよおまえら。
人の噂ばっかりしやがって、不愉快な奴らは
全員◯してやりたくなるんだよ!」
「それは聞き捨てならないな。アリサくん、
危険な思想に支配されているんじゃないか?」
アリサを止めようとしたのは蓮見レイアだ。
随分、場をまとめ慣れているように見える。
ただ、少し芝居くさく聴こえるのは気のせいか?
「────黙ってろ。
ウチはやりたいようにやらせてもらう」
そう思考していたらアリサは扉を勢い良く開け、
食堂を出て行ってしまった。
食堂内に沈んだ空気が漂う。
私は冷静に出て行った人物を分析していた。
紫藤アリサは観察したところ、救える側の人間だ。
話を聞いてくれない人間に比べたら……本当に。
リーダーをやっているとその人物が改善するか
どうかはある程度わかる。彼女はまだ【正せる】。
それにアリサの態度は虚勢を張っていた。
何かに対し焦っている。ストレスかもしれない、
それとも【魔女因子】の影響か……。
先ほどまで賑わっていた食堂も静かになって
しまったし、情報はもう出てこないだろう。
「シロ、別の場所に行こう」
「ん? そう? わかった〜」
そう言って手を伸ばしてくるシロ。
私はしっかりとその手を握り、食堂から退出する。
一応食堂にいなかった人物を確認しに向かった。
探していると監房廊下の中央からスプレーの
刺激臭がしてきて近づきたくはない。
……が、原因を見に行こうとそこに寄った。
ノアが自分の檻房内でスプレーお絵描きを
しているようだ。はぁ、部屋の中は真っ白だ。
ノア自身はこの匂いに気づいてないのか
鼻が詰まっていて単純にわからないのか
全く気にしないタイプのようだ。
ただ一心不乱にお絵描きをしている。
(食事も取らずにお絵描きか……はぁ)
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しばらく時間が経ち、古時計の鐘は22時を告げる。
十分な休息を取った私達は
地下に繋がる階段を降りていた。
私はシロと共に懲罰房に出現した
化け物を倒す作戦を実行する。
探索途中で発見した、ボロボロのエプロンだ。
このエプロンをシロに渡しておく。
作戦の重要な物品でシロに必要な物だ。
今回の化け物を倒す作戦はこうだ。
まず、【シロを私の体の後ろに隠しておく】
私の方が身長が高い上にシロは小さい、
十分隠れられるスペースはあるだろう。
そして【私が攻撃を仕掛けて、注目を集める】
この攻撃は当たらなくてもいい。
相手から注目されてさえいれば大丈夫だ。
隙をついてシロは【相手の顔にエプロンを被せる】
シロは割とすばしっこい動きができるようで、
単純なスピードであれば、私より優れている。
きっと成功させてくれるだろう。
相手の顔にエプロンを被せて視界を奪った後、
混乱している最中に私の【火かき棒】で、
化け物の手と足に向かって【部位破壊】を狙う。
【部位破壊】後、シロはエプロンを被せ直す、
私はひたすら相手を火かき棒で攻撃し続ける。
もし、手か足どちらも【部位破壊】できなかったら
全力で1階に逃げる。こう考えてしまうと、
割とシンプルな作戦だが……上手くいくだろうか。
両手を強く握りしめ、武器を構える。
そして懲罰房の化け物のところへ移動する。
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牢屋敷に囚われて3日目の夜、
古時計は22時30分を示す。
私達は戦いを終えて娯楽室に帰ってきた。
懲罰房での戦いに関してだが……
結果としては簡単に倒してしまった。
想像より相手の動きが遅かった事……
火かき棒で全て終わらせることができた。
喉が弱点だったらしい。
私の最初の攻撃が綺麗に喉に対し
クリーンヒットしたんだ。
化け物の首は飛んでいって
壁に赤いシミが出来上がる。
そして液体は全て赤い蝶になり消滅した。
一瞬で戦闘が終了して唖然とするシロ、
彼女の持つエプロンの出番は無かった。
シロは娯楽室の隅に落ち込むように座っている。
……自分の出番がなくなってしまったせいか、
若干いじけている様子だ。
そんないじけた様子のシロを
私は一緒に化け物が残した残滓────
これに触れたときの記憶を思い出す。
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『──子の──は──────うか? あ──』
『そ──な、────シ───て──だ?』
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ノイズが酷く声はほとんど聞こえなかったが、
その声と顔はシロの両親らしき人物の記憶だった。
どこかの家? の光景で、この牢屋敷外だろう。
彼女の生きていた頃の記憶だろうか?
その記憶を見た瞬間明らかに動揺するシロ。
見覚えがある顔の二人なのだろう。
必死に思い出そうと、頬に左手を置いている。
それでもやっぱり思い出せないようで
がっくりと両手を項垂れさせていた。
彼女の反応を見ていると、私の心に迷いが生じる。
もしトラウマで記憶に蓋をしているとしたら、
私はそれをわざわざ掘り起す事になってしまう。
……本当にそれでいいのだろうか?
化け物を倒して、全ての記憶を思い出させたとき
彼女は本当の自分を取り戻すことができるのか?
もしかして『彼女を苦しめてるだけ』ではないか?
……迷うなんて私らしくない。
【正しくない】
そもそもシロが敵の可能性だって残ってる。
私は彼女を利用しているだけ、そう納得させた。
……それにしても倒したあの化け物──
エマと全く同じ身長だったような──。
私の気のせいであって欲しいが……。
3日目の夜は終わりを告げ、4日目へ。
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牢屋敷に囚われて4日目の朝6時半、
私達は玄関ホールに待機していた。
牢屋敷『内』の探索はある程度終わってしまった為
今度は牢屋敷『外』の探索に出る予定だ。
誰かが大扉を開けてくれない限り、私達は外へ
出られない。その為、いつでも出れるように
準備し、外に出る人がいれば合わせて出る。
そうして待機しているとエマとシェリーが、
食堂側からこちらに向かってくるのを発見する。
(はぁ……よりによってエマか、まあいい)
エマとシェリーが玄関の大扉を開けた。
私たちもそれに合わせて外へと移動する。
大扉が開かれた先から眩しい光を浴びる。
太陽は随分と仕事熱心なようだ。
「うわぁ〜! 綺麗な虹がかかってる〜
ヒロちゃんあっち行ってみようよ!」
随分と嬉しそうな笑顔を浮かべているシロ。
色とりどりの花が咲いた花畑へと彼女の指は
向かっている。本当に無邪気な顔だ。
「あぁ、色々見て回ろうか」
私とシロは歩きながら周囲を見渡していく。
今いる場所が牢屋敷前、高台となっている。
そこから目線を降下していくと
広大な光景が見えてきた。
どこまでも続いている新緑の森に
先ほどシロが指差した綺麗な花畑
川の音も何処からか混じって聞こえてくる。
風が吹いて、森の木々に波が立つ。
遠くから鳥たちのさえずりが聴こえてきた。
歩き続け、花畑へと私達は辿り着く。
虹がずっと現れている幻想的な場所だ。
誰かが定期的に植えているのだろう
さまざまな花が綺麗に並んで咲いている。
どうやら季節関係なしに花は咲いているようだ。
私の頭に飾られている花と同じ花も、
花畑に(魔法の影響だろうか)咲いていた。
白い花や紫の花、赤い花に青色など、
色とりどりの花が綺麗に咲いていた。
「うわぁ〜この花綺麗〜ヒロちゃん!
ヒロちゃん、こっち来て、早く〜〜」
「あぁ、わかったよ」
シロが嬉しそうに私を呼ぶ。
気に入った花があるようだ。
彼女は白色の花と紫色の花を見て、
とても嬉しそうにしている。
「この花にね、何故か見覚えがあるんだ〜
心が温まって……不思議な気持ちになるの」
「白と紫の花か、私は花に関して詳しくないな……
どこかで調べてみたいね、この花の名前を」
図書室の文字を解読できればだが……、
花に関しての記述も探せばあるだろう。
勿論、あの分厚い本の翻訳のついでになるが。
「ねえねえヒロちゃん、この花を見てね!
一つ思い出したんだ、私の誕生日! 」
「それは良かったな……日付は?」
「9月20日! 」
そうして、シロはその花を再度見つめている。
シロの誕生日…… 【9月20日】か覚えておこう。
……また花畑を一望していると、ふと
視界の端に汚れた花用バスケットが見えた。
私は気になってそのバスケットによる。
だいぶ前に捨てられてしまったのだろう、
見つけたバスケットは土に汚れていた。
洗えばまだ使えそうだ。
……ん?、バスケットの中で残滓が光っている。
私は手を滑り込ませ、記憶を読み取った。
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『この花はわ─────じ──なんだよ?
あ──へのプ───ト! ─う──?』
『あ──ー─シー─、
貴女はー─も─ーな子ー──
『無──て、──いう意味──?」
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相変わらずノイズが激しい映像だが少し見えた。
その記憶は誰かから見た、幼きシロ。
つまり、彼女と親しかった【誰か】だろう。
『その声』を私は知っている気がした。
「ヒロちゃん!花畑以外にも見に行こう!」
シロが私を呼んでいる。
私はその声に返事をして、彼女の後をついていく。
彼女の頭に飾られている
白色の花は可憐に咲いていた。
とても目立つように。
花畑から移動した私達は、一度、
牢屋敷前に戻りそこから石畳の道を歩く。
牢屋敷の傍にある3棟のログハウスを見に来た。
シロが花畑の方に先に見に行ってしまったため、
本来先に来る予定だった場所だ。
3棟のログハウスには
ネームプレートらしきものが提げられている。
それぞれ異なる生物の絵だ。
左の建物にはサラマンダーの絵、
真ん中には人魚の絵、右はノームの絵だろうか?
「ヒロちゃん!真ん中は
そう言い、シロは
……いつもの笑顔と違って随分と真剣な顔だ。
その表情が気になって彼女に質問する。
「……何か、この家に見覚えがあるのか?」
「うん、私…… ここに住んでいた気がするの」
「住んでいた……?」
「まぁ、似ているだけかもしれないけどね……」
そう言い私に振り返って微笑を浮かべた。
そして再度、
要人を迎えるゲストハウスのようにしか
私には見えない……ここに住んでいた、か。
仮に彼女の言っていることが正しいとすると、
やはり、魔女の可能性が高そうだ。
そう考えていたら、扉を開く音が聞こえてきた。
ゲストハウスの中を調べていたであろう、
シェリーの手を繋いでいるエマ。
他のログハウスの中も調べている最中だ。
(……)
また別の扉は開かれ、中だけを確認している。
エマとシェリーはもう調べ終わったのであろう
ログハウスから離れ、森の小道を通り
高い塀がある方向へと移動して行った。
「……シロ、他のところに行こうか」
「え? でも……」
「……中を調べたいのか?」
シロは考え込んで、やがて……ポツリと言う。
「……いや、また今度でいいよ。
私達だけだと扉開けられないし……」
何か言いたそうにしているが
シロは口を噤んでいる。
その反応に、私は気に掛かる事はあったが……
彼女は話したくなさそうだ。仕方ないと切り替え、
シェリー達が移動した方向へと私は視線を向ける。
遠くから見ても高い塀であることがわかる。
高い塀の上にはフクロウが複数羽飛んでいて、
囚人達の脱走を警戒して監視しているようだ。
その時、轟音が響き渡る。
「っ!!」「うわっ!」
エマ達がいた方向から鈍い音が響いてきた。
私は『あぁ、誰かやらかしたな』と頭を抱える。
その証拠に小川の音がする森の道から
看守が全力で走ってきているのが見えた。
「あれ? 看守さんだ」
「……」
看守は私たちのいるログハウス前を疾走し、
森の小道へと……エマ達が移動した方向へと
走っていった。
「……他を探索しようか」
「……そうだね」
私達二人は呆れた目線を音の方向へ向けつつ、
別の場所へと移動する。
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?????
『その花の名前はーーー
貴女のーーなーー忘れないで……』
『シロ』についてどのような印象を持ちましたか?
-
無邪気、無垢な少女
-
賢い少女
-
ミステリアスな少女
-
自由奔放な少女
-
その他