最終巻No.431の続きを、命削って全力で書いたらこうなった(全年齢版) 作:練乳グラブジャムン
※SIDE 麗日
初めて抱きしめてもらった身体。鍛えた筋肉質な、男性特有の質感。
触れ合った至る所から、幸福感が押し寄せてくる。
離れたくない気持ちが強くなる。
好きです、って。
私のことが好きです、って。
デク君が言ってくれた。こんなに優しい声で。
夢じゃないよね。
一番ほしかった言葉を、一番好きな人からもらえるなんて。
ずっと好きだった。
ずっと怖かった。
切なくて、苦しくて、いつも怖くて。
どうしても伝えられなかった気持ち。
ずっと怯えていた、怖くて恐ろしいものが、恐怖の塊が、霧散して消えていった。
すごいヒーローが、一発で倒しちゃったみたいに。
嬉しくて、幸せで、怖いのが無くなって。
もうわけがわからない。
溜まりに溜まったダムが一瞬で崩壊したかのように、気持ちが激流になって、堰を切って溢れてくる。
とめどなく涙が零れて、喉の奥から悲鳴のように大きな歓喜の泣き声が漏れる。
もう自分が何を喋っているかも分からない。
ただただ、これまでしまっていた想いを、溢れるままに口にしていた。
ずっと伝えたくて、でも伝えられなかった気持ちが、全部出てくる。
伝えていいって分かったから。
受け止めてくれるって分かったから。
デク君が、私を好きだって。
ああ、嬉しい。
嬉しい、どうしよう。
嬉しくてたまらない。
デク君が、私を抱きしめてくれてる。
背中に回された腕が温かくて。
頭を撫でてくれる手が優しくて。
いっぱい、好き、って教えてくれて。
温ったかい。嬉しい。幸せすぎる。
こんな幸せなことって他に無い。
感情が身体に収まりきらなくて、涙になって、とめどなく溢れてくる。
嬉しすぎて、もう言葉じゃ言い表せなくて、頭がおかしくなりそう。
もっとぎゅってして。
もっと頭撫でて。
もっと好きって聞かせて。
もっと安心させて。
もっと甘えさせて。
いままでずっと我慢してた分を、取り戻すくらい。
ずっと夢見て、願ってた、想いが重なる瞬間は。
想像をずっとずっと超えて、嬉しかった。
……そのまま、しばらく泣き続けて。
ようやく涙が収まって来た頃、少しだけ冷静になれた。
叫ぶように泣き続けてた。
こんなに泣いちゃって、困らせてないかな。
抱きしめてもらったまま、瞳を上に向ける。
真っ赤に照れた、それでも嬉しそうにしてくれている、優しいデク君の顔があった。
視線が交わる。
彼の瞳の奥に、私の顔が映っている。
他に誰もいない、私だけ。
背中に回してくれた腕。
優しく髪を撫でてくれる手。
私を見つめてくれる瞳。
こんなに泣いちゃって、可愛くない顔してるのに。
それでも優しい笑顔で見つめてくれて。
見つめ合ったまま、瞳が離せない。
好き、という気持ちが、どんどん大きくなる。
好き。
大好き。
ほんとに、ほんとに大好き。
薄っすらと開いた唇。
優しい言葉をいっぱいくれて。
私の名前を呼んでくれて。
私に、好きって伝えてくれた。
もうこれ以上ないくらい好きなのに。
その口元に、どうしようもなく惹かれて。
もっと近づきたくて、もっと一緒になりたくて。
無意識に、背筋が伸びる。
まだ足りない。
もっと近づきたい、もっと一緒がいい。
足のつま先に力が入って、踵が上がる。
デク君の顔が近づいてくる。
吐息が当たるほど近く。
こんなに恥ずかしいほど近づいて、でもまだ足りない。
もっと近づきたい。
もっと一緒になりたい。
もっと、もっと、もっと――――
二人一緒に、自然と、瞳が閉じていく。
そっと、唇が触れあった。
ふに、と優しく触れるだけの。
私を大切にしてくれる、優しい心だけを包んでくれたような。
蕩けるほど甘くて、幸せな温かい感覚が、口元から、ふわぁ、って身体中に広がっていった。
―― 私の、ファーストキス。
嬉しくて、たまらなくて、溢れた涙が目尻から零れていった。
一生忘れない。
こんな幸せな気持ち、忘れられるはずがない。
もう夢でも何でもいい。
夢でもいいから、絶対に覚めないで。
大好きな人と抱きしめあって、唇を重ねて。
言葉に出来ないほどの安心感と、幸せな気持ちだけが、私を包んでくれていた。
※SIDE 緑谷
そっと唇を離し、薄っすらと瞳を開ける。
とろん、とした麗日さんの顔。
心を鷲摑みにされるほど可愛い。
「ぁぁ……嬉しぃ……」
すごく小さな声。自分にだけ教えてくれる想い。
「僕も……すごく、幸せ……」
「ね…………もっと……ちゅぅ、して……?」
小声で甘えてくる麗日さんが、どうしようもなく愛しい。
「うん……」
短くこたえて、ふたたび、そっと唇を重ねた。
たまらない柔らかさと、甘い香り。
とてつもない幸福感。
唇だけで、相手の唇をついばむような、そんなキスを繰り返す。
柔らかさと優しさだけを感じながら。
どうしようもなく、好きな気持ちが胸に満ちていく。
さっきまで、あんなに離れなきゃと思っていたのに。
気持ちが通じ合えた今は、もう何があっても離れたくない。
麗日さんは、どれだけ怖い思いをしていたんだろう。
どれだけ不安だったんだろう。
こんなに泣くほど想ってもらえて。
いままでずっと助けてもらって。
大切にしよう。
誰よりも愛しいこの子を。
その気持ちを込めて、優しく、包むように。
そっと、唇を重ねる。
何度も、何度も。
伝えたかった想いを、渡せるように。
伝えてくれる想いを、受け取れるように。
―――― to be continued