超越するより愛したい   作:Apollyon

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プロローグ

 

 地獄のヒーロー。なんでも助けを求めるとエンジン吹かしてやってきて、求める要因となった悪魔をバラバラにして殺し、助けを求めた悪魔をも殺すという。

 

「本末転倒……なぜそれでヒーローなのかな。」

 

 死は救済という考えがあることを知ってはいても、死の縁で助けを求めるくらいであれば生きていたいはずではないのか。それとも普通に殺されるよりは楽なのか。しかしそのヒーローの名はチェンソーマン。名前の通りチェンソーの悪魔であり、4本の腕と額からチェンソーが生えているらしい。

 チェンソーでバラバラにされるというのは、かなり痛い死に方のはずだ。

 

「わからないね。」

 

 地獄の芝生の上に屍山血河を築き上げたその悪魔はチェンソーマンについてそれ以上考えるのをやめにした。

 そうしてその場を離れるつもりだった。いつものように。勝手気ままに空を行き、他を圧倒する暴力で災禍を振り撒く強大な悪魔が彼女だったのだ。およそ人の形ではない異形。長い爪を持った手足と、大きな翼。口には太い牙が生えそろい、太く長い尾が振るわれれば大地さえ裂ける。

 

「おや。まだ息があるのかい?」

 

 血の海に倒れ、内臓がまろび出て、目の焦点はあっていない。一見すると死体となんら変わりのない悪魔があった。だがその悪魔はまだ、確かに生きていたのだ。死んだ仲間の血を啜ってわずかに回復した体力で、口と舌を動かしたのである。

 

「助けて……チェンソーマン……」

 

 その言葉を聞くや否や、彼女の口はにんまりと笑みをこぼしていた。

 

「ふふ。ようやく会えそうだ。」

 

 彼女は別段攻撃的な性格というわけではない。だが、やはり悪魔は悪魔だ。気紛れで殺戮に手を染める。特に、彼女は我儘故に。

 噂に登るチェンソーマンを、悪魔に最も怖れられる悪魔を知りたいという好奇心が、今回の殺戮の理由であった。

 

 ──ヴウン! ヴヴヴヴヴ……!

 

 エンジン音が鳴り響く。

 ピンクのマフラーを風に靡かせる様はまさにヒーローのようであるが、よく見てみればそのマフラーはヘソのあたりを貫いて出てきた腸であることがわかる。

 

 目の見当たらない顔は、何を考えているのか全く分からない。それでも、彼は真っ直ぐに彼女へと近づいてくる。

 

「きみのために下拵(したごしらえ)をした甲斐があったよ。」

 

 狂気的な笑みを浮かべ、彼女は宙に浮かぶ。翼が羽ばたく度に、台風に匹敵する風圧が、土と屍山を吹き飛ばす。

 

「ふふふふ……!」

 

 まずは小手調べと言わんばかりに腕を振るう。すると、周囲の温度は一瞬にして奪われ、並の生き物であれば完全な氷像に成り果てるだけの気温がもたらされる。

 続けてもう片方の腕が振るわれれば、大抵の生き物は黒焦げになるほどの電圧が迫る。

 小手調べにしては殺意の高い、無数の悪魔の群れでさえ蹂躙し尽くすに足る破壊力が、チェンソーマンに向けられていた。

 

 だがチェンソーマンの勢いは衰えない。エンジンが生み出す熱は氷結地獄をものともせず。勢いのままに彼は電撃を容易く回避する。よくみれば足裏に生み出したチェーンソーを使い、凍てついた地面の上をスピードスケートのように進んでいたのだ。

 

「──はあっ!」

 

 口から放たれた閃熱は、一瞬にして鉄塊を蒸発させるだけの温度があった。電気と違い、空気中を真っ直ぐ進むそれは容易な回避を許さない。

 チェンソーマンの左半身が抉れるように無くなった。

 

「ヴァアアアアアァ!」

 

 エンジンの唸りか、それとも咆哮か。大事なのはチェンソーマンは直撃を避けたことだ。地面が固体の水蒸気爆発を起こしてガス状に昇華したそれを煙幕に彼は姿を隠す。

 

「おや。」

 

 彼女は感心したとばかりに声を漏らした。どうやら、此度の戯れは楽しめそうだ、と。

 響くエンジンの唸りが、一度弱まり、再度ヴウンと響いた。

 

 煙を切り裂いて、鎖が彼女の右腕に巻き付く。その正体はチェンソーの鎖部分を解いたものだ。

 巻き上げることで、勢いのままにチェンソーマンは彼女目掛けてすっ飛んでくる。

 

「ヴァア!」

 

 残された2本の腕と額のチェンソーをめちゃくちゃに動かして彼女の腹を切りつける。しかし彼女の身体は全身が硬いウロコに覆われているため、刃が滑って上手く斬れない。

 

「ふむ。打つ手なしかい?」

 

 勢いよく払いのけられ、地面にぶつけられるチェンソーマン。彼女は近くの地盤を引っぺがすと、勢いよく彼へと叩きつけた。

 

 エンジンの音は聞こえなくなった。

 

「第1ラウンドはおれの勝ちのようだね。」

 

 ──ヴウン!

 

 また、エンジン音が響く。

 復活したチェンソーマンは地面をバラバラに切り裂いて姿を現した。消し飛んだ左半身も左腕2本のチェンソーごと復活している。

 チェンソーマンは不屈のヒーロー。何度倒れようともエンジン吹かして蘇るのだ。

 

「ところできみ、血は足りてるのかい?」

「ヴァン!」

「ならよかった。……続けようか。」

「ヴァア!」

 

 先に動いたのはまたしても彼女だった。口から熱線を吐き出してチェンソーマンを完全に消し飛ばそうと目論む。

 

「おや、モグラの真似事かい? 面白いけど、まだまだ物足りないね。」

 

 地面をチェンソーで掘って姿を隠す。しかし彼女の熱線は地面を蒸発させながら穴を開けられる。

 しかしチェンソーマンは素早い。あっという間に移動して、彼女はどこへ行ったか分からなくなる。

だが、逃げてはいないと信じている。ここで尻尾を巻いて逃げるようなら地獄のヒーローなどとは呼ばれまい。

 

「そこか。」

 

 煙に浮かんだ黒い影。4本腕のシルエット目掛けて彼女は跳び蹴りの要領で接近し、長い爪備えた足で掴まえた。

 

「?」

 

 何かがおかしい。捕まえたチェンソーマンは微動だにしない。

 ヴヴヴヴヴ……と響くエンジン音も、全く別なところから響いてくる。

 

「後ろか。」

 

 振り返るや否や、彼女は激しく吐血した。チェンソーマンのチェンソー5本が一箇所目掛けて束ねられ、彼女の腹部を穿ち、内臓に傷を負わせた。

 

「いいね。イカれてる。」

 

 彼女の腹を刺したのは間違いなくチェンソーマンだ。だが彼女が足で掴まえているのもまたチェンソーマンなのである。しかし足の下の方は、よく見ると胸に穴が空いており、スターターロープも見当たらない。

 彼は自ら心臓を抉り出して、心臓だけで地面を掘り進んで背後に回ったのだ。残った体を囮にして。その上で心臓を起点に新たな肉体を再生させて彼女に、そしてようやく彼女に明確なダメージを与えたのである。

 彼女とチェンソーマンでは彼女の方が大きい。頭上から垂れる彼女の吐血を飲み下し、チェンソーマンの疲労は取り去られた。強大な悪魔である彼女の血は彼を全快させるのに充分な栄養があった。

 

「段々、あったまってきたよ。」

 

 しかし、彼女の受けたダメージは実際のところ大きいとはとても言えない。

 人間で例えるのであれば、足の小指をタンスの角にぶつけた程度のものだ。

 

 火炎が、吹雪が、雷が、風の如く混沌のままに吹き荒れ、周囲の大地が無惨に砕けて行く。地獄の災害と呼ぶのに相応しいほどの破壊がもたらされた。中心である彼女とほとんど密着していた為に、チェンソーマンは回避できずに吹き飛んで、破壊の嵐に飲まれて見えなくなった。

 

 エンジン音がまた消える。

 

「ラウンド2もおれの勝ちか。」

 

 腹の傷はすでに塞がっている。

 

 ──ヴウン!

 

「楽しいな。やっぱり体は闘争を求める。」

「ヴァ!」

「ラウンド3も勝たせてもらうよ。」

 

 彼女は好戦的な、それでいて優しいという矛盾した笑みを浮かべた。

 その後、2者の戦いの余波で、周囲数キロは完全に消失した。だが、彼女の行方は誰も知らないままだった。

 

 *

 

 リオン。そう名乗る少女は3年ほど前からデンジ少年の家を訪れるようになった。月に一度来るか来ないかだが、来るときは来まって手土産を持参する。

 雨の降るその日の夕方も、彼女はビニール袋片手にやってきた。

 

「また食パン1枚なのかい?」

「今月は1900円も儲けたんだぜねーちゃん。」

「普通それだけの金額は、しか、だよデンジ。やっぱりあの塵芥どもはどうにかするべきだね。」

 

 ビニール傘を玄関の外に立て掛け、狭苦しい物置小屋のごときデンジの家へと彼女は入ってくる。150にも満たない小柄な体躯でありながら、しかしその顔立ちや振る舞いは大人の女性を思わせる妖艶さを持っていた。

 彼女は別にデンジ少年の姉ではない。しかし、親の遺した借金のせいで極貧生活を営む彼の助けになるべく、面倒を見てくれたりするので親愛の情を込めてねーちゃんと呼ばれているのだ。

 

「おいでポチタ。」

 

 デンジ少年が契約している犬のような体躯の悪魔であるポチタをそっと抱き寄せ、愛おしそうに頭を撫でる。元々リオンはポチタを探してこの街にやってきたのだ。古い知り合いだと、デンジはそう聞いている。

 

「……ふむ。この臭いは、トマトの悪魔だね。……怪我はしていないかい?」

「問題なし! な、ポチタ。」

「わん!」

「……それもそうだね。」

 

 悪魔は冠した名前が恐怖の対象であるほどに力を増す。トマトは毒草の類でもなし。怖れているのは野菜嫌いの子供くらいだろう。同じ野菜なら多分ピーマンの悪魔が最強かもしれない。

 無届の違法デビルハンターがデンジの仕事だ。それだけをやっているわけではないが、それが1番儲かる。一回で2、30万円だ。ただし、そこから方々へ借金を返し、水道代等を払えば、残ったのは僅か1800円。残りの100円はちょっとしたおまけに儲けたものだった。

 

 彼女の持ち込んだビニール袋にはコンビニのサンドウィッチとマーマーレードの瓶に、体拭き用のウェットシートなどが詰め込まれていた。

 彼女の持ってくるこうした物資は、古屋の中の隠し棚にしまわれる。でもなければ、彼の雇い主であるヤクザに何を言われるかわからないからだ。同じ理由で現金を持ってくるのも躊躇われた。

 彼女もまた違法なデビルハンターであるが、本来の縄張りはかなり離れたところである。デンジと狩場が被って仕事を取り合うのを嫌ったためだ。それと、デンジについている見張りの目を盗んで会いに来るので、いつもすぐ帰ってしまう。

 

「すまないね。今回もこれだけが限界だったよ。おれのような存在は働き口が碌になくてね。」

「俺からすればご馳走だってば。」

「そうか。デンジはいい子だね。」

 

 今にも泣き出しそうな、申し訳なさそうな、切なそうな表情でリオンはデンジの頭を撫でる。かと思えば両手で抱き寄せて、その平たい、しかし柔らかく温かい胸板に彼の頭を埋めさせる。

 

「いい子いい子。」

「あったけえ。」

「体温は高い方さ。それに、こうしているとなんだか幸せな気分になってくるだろう。」

 

 ハグをすると幸せホルモンが分泌される。頼れる保護者もなく、ヤクザに搾取されている彼にとってのささやかな幸せがたまにやってくる彼女とのハグだった。

 

 *

 

 支配の悪魔は気に食わない者が多くある。死、戦争、飢餓と言った自身の姉たちに、デンジ少年。

 だが最も腹立たしいのは、破壊の悪魔である。

 

 *

 

 13年前、銃の悪魔が出現した時のこと。支配の悪魔はそれを利用する腹積りだった。全てはチェンソーマンを己がものとするための布石だ。

 その目論見を打ち砕いたのは、突如として無数のイナゴを率いて現れ、銃の悪魔を核である心臓を除いて破壊し尽くした破壊の悪魔だ。銃の悪魔の心臓は次元の壁に穴を開けて何処かへと放逐された。これは彼女がチェンソーマンと並んで悪魔に怖れられている理由でもある。彼女が強いのは人間よりむしろ悪魔に恐れられているという点が大きい。

 次元の狭間に放逐された悪魔は、どう足掻こうが自力で戻って来れないのだ。例外は地獄の悪魔と破壊の悪魔自身くらいのものである。現に幾らかの悪魔は地獄の悪魔に救出されてはいるらしい。

 その上でチェンソーマンに食われたものと違い、概念そのものは消えない。

 

 悪魔は転生を繰り返すため、人間のデビルハンターがいくら狩ろうと、いつかは再出現する。同じ名前と能力を持つものが2体以上同時に現れることは、分身系の能力がない限りあり得ないのは救いだが、それでも人と悪魔の戦いは世界が続く限り終わらないもののはずだった。

 しかし破壊の悪魔はそれすら終わらせられる可能性があった。

 

 それだけではない。核爆弾の消えたこの世界に於いて、破壊の悪魔を掌握することは他国への抑止力と優位性を得られることにも繋がる。銃なんぞよりもよっぽど強力な抑止力だ。何せ、銃火器だけの限定がなく、いかなる破壊であっても、それに恐怖を抱くものが増えれば彼女の強化につながるのだから。

 

 だが破壊の悪魔を御せる国はいなかった。まずもって話し合いの場を設けることすら困難であり、そして運よくその機会を得ても、いかなる対価を示そうと彼女は首を縦に振らなかったのだ。

 特に人間の寿命や命を得ることを嫌い、それを提示した者には軽蔑の目を向けた後に2度と会おうとしなかったという。それでも対応としては甘いが。他の悪魔であれば気に入らない相手に癇癪を起こして担当者を殺してもおかしくはない。だけでなくその担当者が属する国で暴れ回る可能性すらあった。

 そのリスクを冒してでも手に入れる価値のある存在が破壊の悪魔であったのだが。

 

 しかし破壊の悪魔は完全に姿を消した。せめて肉片だけでも手に入ればと世界中が捜索されたが、当然見つからない。代わりに僅かな銃の悪魔の肉片が手に入ったが、本体が次元の狭間に消え去った以上、これを媒介にしても銃の悪魔の召喚はできない。

 

 彼女の存在は各国で最重要機密とされ、一般人はおろか国家公務員でも限られた一部だけが知ることを許された。銃の悪魔が倒されていることと共に。

 支配の悪魔もその口だ。彼女は日本の公安デビルハンターの職員として人間社会に紛れ込んでいた。全てはチェンソーマンを手に入れるため。

 それなのに銃の悪魔はほぼ恒久的な無力化を施された。しかしまだリカバリーは効くのだ。破壊の悪魔が姿を消している間に終わらせる必要があるが。

 でもないと彼女の手札は全て破壊の悪魔に通じない。総理大臣を支配することで日本国民全てを己の残機とする契約を結べたが、もしそれが破壊の悪魔に露呈すれば破壊の力で契約を消し去られるだろう。支配と契約を使った暗躍による下準備がなければ支配の悪魔はそこまで強くない。強さよりギミックによる厄介さこそが彼女の真骨頂なのだ。小細工をもろとも粉砕できる破壊は本当に相性が悪い。支配を終わらせるのはいつだって革命という名の破壊だった。

 

「勝てる気がしない。」

 

 そしてまた破壊などこの世にない方がいいのではと思っても、チェンソーマンに食わせてはならないのだ。破壊と創造は表裏一体。破壊が失われればあらゆる生命は死に絶えるだろう。せめて死や苦痛、食事あたりの概念は同時に消さなければならないだろう。それで十分かは影響範囲が広すぎて未知数だが。

 

 計画を練り直す必要がある。天使の悪魔を支配するのは失敗に終わった。彼は破壊の悪魔が可愛がっている悪魔の1人だ。寿命を吸い取る能力を暴走させて絶望したところを支配するつもりが、破壊の悪魔によって彼の能力は自分の意思で完全な制御が可能になっていたのだ。

 破壊の悪魔の肉片を口にすると、単純なフィジカルは上がっても能力はそこまで強まらない。むしろ能力の一部を破壊して削ってしまう。が、一部オンオフ不可能な能力であれば、ちょうど良く弱体化した結果使い勝手が上がることがある。天使の悪魔もそうであった。

 

 心身ともに健全で、破壊の悪魔の肉片によって強化された天使の悪魔を支配の悪魔は格下と思うことができなかった。が、それはそれとして彼を日本の公安に取り込むことには成功した。悪魔を匿った罪人として彼の家族を人質にとったのだ。

 

 *

 

 マキマは激怒した。必ず、かの迷惑千万の悪魔を除かねばならぬと決意した。マキマには愛がわからぬ。マキマは、支配の悪魔である。鎖で繋ぎ、犬を飼って暮してきた。けれどもチェンソーマンを巡る邪魔者に対しては、悪魔一倍に敏感であった。

 

 公安のオフィスで書類を精査する中に、一つ、気になる存在があった。

 

「違法デビルハンター……」

 

 デビルハンターは国家公務員である公安と、そうではない民間。そしてアウトローな違法デビルハンターに分けられる。

 人間は悪魔とやり合うにはあまりにも弱い。ゆえに強い悪魔を狩るには己も悪魔と契約して力を借りねばならない。そしてそれが許されているのは公安デビルハンターだけだ。違法なデビルハンターは民間人か、あるいは裏社会の人間が悪魔と契約し、悪魔を狩り、場合によってはその遺体を裏社会に流して金銭を得ている。

 悪魔というのは大抵生命力が高い。一見死んでいても、あるいは本当に死骸でも、何か厄介な能力をもたらさないとは限らない。野菜の名を関する悪魔の中には種から復活するものもいるのだ。

 

 とはいえ、このご時世。公安や民間だけでは手が回らず、違法なデビルハンターが出て来るのも仕方がないこと。よほど悪質でもなければ見逃されているものも多い。

 しかしマキマがその調査書類に目を止めたのは、そのハンターの契約悪魔にあった。

 

『氏名:リオン(姓なし・偽名の可能性高・無戸籍児の可能性高)』

『年齢:10代後半〜20代前半』

『身長:140半ば』

『契約悪魔:イナゴの悪魔と推測される』

 

 イナゴの悪魔。それは破壊の悪魔の最も忠実な眷属だというのは上層部で知らぬ者はない。彼女の振るう厄災のうち最も好まれる『蝗害』を任された悪魔であるためだ。人々に死をすら許さぬ5ヶ月の苦しみを与えると神話に語られる悪魔である。

 何より、国の上層部としては行方不明の破壊の悪魔に繋がる貴重な手がかりだ。他国の工作員によってリオンが連れ去られる前に確保せよとのお達しだった。日本の公安が姿を捉えているのならば、他国が知らぬ道理はない。日本はスパイ天国ゆえに。もしスパイの悪魔がいれば日本の上層部相手には無敵だろう。

 

 さて、流石に破壊の悪魔本体は無理でも、その眷属であればマキマの支配下に置けるだろう。最後の目撃情報も、明日向かう場所の近くだ。

 上手くいけばチェンソーマンの契約者と同日に確保できることだろう。そうすればようやく、練り直した新しい作戦を実行できるのだ。

 





・破壊の悪魔
 女性。本来人間の姿ではないが、敵対的でも友好的でもない中立。
 死の悪魔のことは好き。
 料理を破壊と創造の極地の一つと捉えているため、料理人である落下の悪魔は結構好き。
 火の悪魔も、焚き火の音がリラックスできる上、料理にほとんど必須の存在なので好き。
 闘争は好きだが戦争はそこまで。ただ戦争の悪魔は友達の妹なので嫌いじゃない。だから眷属である銃を殺さずに次元の狭間送りで済ませた。なぜか理性がないようだったので頭を冷やさせる腹積りである。
 闇は話が通じないので嫌い。視界に入る度に剣をぶっ刺してくる。何が気に入らないのかせめてわかる言葉で言ってほしい。
 老いは彼自身が消えたがっているのは好まない。老いさらばえて死を迎えることこそ、新たな生の創造に繋がるという美学がある。それはそれとして落ち着いた雰囲気を持っているので嫌いではない。
 なお彼女自身は超越者ではない。それに準ずるくらいの存在ではある。

・イナゴの悪魔
 最優の眷属。普段は孤独相の姿だが、一度スイッチが入ると目につく全てを食らってそれを栄養に増殖し、数千数万のイナゴの群れで一個の悪魔となる。そして物量で持って押しつぶすのだ。
 ただ知能は低い。だけどけっこーフレンドリー。寝ていてもラッパの音を聞くと起きる。ただし5回目で。

・リオン
 イナゴの悪魔の契約者? 身長145cmと小柄で、胸は真っ平だが、顔立ちや声は大人びた美人系。髪はクリーム色で、目は右が真紅、左が金のオッドアイ。
 デンジとポチタを弟のように可愛がっているが、そのために彼らを苦しめる環境や原因であるヤクザを憎んでいる。
 なお、親の借金を子供が返す義務はない。ヤクザ相手ならなおのこと。悪魔災害で手が回らないのかもしれないが、国はもう少し福祉に力を入れて欲しい。まともな大人がマジでいない。あるいはデンジは無戸籍児ゆえに気が付かれなかったのか?
 ヤクザの悪魔は多分食われた方がいい。

・ノストラダムスの大予言
 死の悪魔に破壊の悪魔の肉片を食わせるとその時点で回避可能。ただ、1000年ほどしか効果が持たない。そして前回食わせてから1999年でちょうど1000年の終わりになる。なのでフラグを全て折り切れてはいない。
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