実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す   作:CarasOhmi

50 / 58
#45 報告!恋愛!相続!

「大事な話?」

「ああ、すごく大事な話だ――」

 

 

 

「結婚でもするの?」

 

「おいッッッ!!!」

 

 このババァ……ッ!いきなり核心突いて来るんじゃねぇよ!

 わかってても、もう少し待てよッ!俺たちが!勇気を出して!報告する所だっただろうがッ!

 

「情緒ってもんがあるだろ!わかってても言うんじゃ……」

「えっ……あっ……本当に?やだ、ちょっとカマかけて、からかうだけのつもりだったのに……」

「…………っ!」

 

 最悪のタイミングで、最悪の冗談をかみ合わせやがった……。ふざけんなよ、本当……。

 

「……いや、その、ね?アンタ、レイちゃんと出かけるとき、薬指に指輪はめてたじゃない?けど、あれ婚約とかじゃなくて、多分ダンジョンで使う物でしょ?これは、女に恥かかせて喧嘩して帰るんだろうなーって、私はそう思ってたのよ。だから、女心のわからんアンタをからかって、レイちゃんを意識させて、関係を進展させてやろうかなーって……。ちょっとした気遣いだったけど、まさか本当に婚約して帰ってくるなんて……」

 

「やめろっ!逐一説明されると余計恥ずかしくなるっ!」

「……ああ。うーん……、もう一回……最初からやり直す?」

「ワケねぇだろ!どうしてくれんだよ、この空気!」

「いや、ごめんって……レイちゃんはともかく、アンタが自分から、レイちゃんに好きだなんて言いだすと思わなかったのよ……」

 

 

 

 ………………

 

 

 

「待て。まさか、カズ、あんた……レイちゃんから、告白させたんじゃないだろうね?」

「うっ」

 

「……それで、よくもまあ、そんな偉そうに言えたもんねぇ。男の甲斐性を見せた結果なら堂々とすればいいけど、最後の最後まで女に恥をかかせたのかい?」

「それは……」

「ははっ、やっぱりアンタは父親そっくりだよ!いつまでもモジモジとして、プロポーズをする度胸もろくに出せんかったあの男とっ!いくら嫌がろうと……血は争えないねぇっ!」

「……やめろっ!両親の恋愛話とか……息子が一番聞きたくねぇ話だろうがっ!」

 

 

 

「父さん……母さんにリードされてたんだ……」

「あー、オトンって亭主関白気取ってたけど、二人になると結構もじもじしてたし、あれ演技よ?」

「……そうだったの!?」

「……ここだけの話、オトンってオカンと二人きりになると『ユキエさん』って呼んでたり、ね……」

「うわっ……ちょっと意外というか、頑固おやじみたいな感じあったからイメージ壊れるなぁ……」

「その辺は、カズも演技に乗ってあげてたしねぇ……小さいミツキの前でもいいカッコしたかったのよ」

「……それ、墓まで持って行ってあげるのが人情じゃない?」

 

 

 

「ごめんな、レイちゃん……、無神経ババァが、せっかくの報告の雰囲気、台無しにしちゃって……」

「……責任転嫁するんじゃないよ、甲斐性無しの中年が」

「少し黙ってろやババァ。遺産相続の第二ラウンド始めんぞ」

「ふん、一銭もやるもんかい。土地も資産もレイちゃんにくれてやるわ」

「……おい!マジで火種になること言うんじゃねぇよ!兄弟夫婦全員集まってんだぞ!」

 

 おふくろは、ヤベェって顔で弟妹夫婦の顔を見た。ナツオさんとカナコさんは気まずげに視線を逸らす。

 ……俺の失言癖はこのババァの血か。

 

「あっ……、えっと……、カズヒロの相続分の話ね?」

「ちょっと、オカン……真面目なトーンで言うのやめてよ……冗談ってことくらいわかるから……」

「俺たちも、反応しづらいよそれ……。まあ、文書は早めに遺しといてね?」

 

 ……骨肉の争いへの憂いか、ミツキの一言は余計な生々しさをいっそう煽ってる感じだ。……これからは、弟妹夫婦がいる時に遺産ネタを引っ張るのは、控えよう。クソほど気まずい。

 

 

 

 ……くすっ

 

 

 

 気まずい空気の中に、笑い声が聞こえた。

 振り向くと、レイちゃんは、口をかわいらしい手で押さえて、無邪気に微笑んでいた。

 

「……カズヒロさんも、ユキエお母さんも、おかしいんだから」

 

 俺とおふくろは、顔をそろえてレイちゃんを見つめる。

 

「……私、この世界に、来れてよかった。カズヒロさんと、ユキエお母さんと、みんなと……家族になれて、すごく、幸せ」

 

 レイちゃんの笑顔を見て、おふくろは不謹慎なプロレスを辞め、神妙な面持ちでレイちゃんの前に正座した。

 

「レイチェルさん」

 

 おふくろから本名で呼ばれ、レイちゃんはびくりと背筋を伸ばした。

 

「貴女も知っての通り、カズヒロは、短慮で、乱暴で、見栄っ張りで、唐変木な、どうしようもない人間だけど……」

 

 最悪じゃねぇか。

 

「それでも……貴女を幸せにしたいって、その事には真面目に向き合う男よ」

 

「……はい」

 

 ………………

 

「だからね、『あなたが幸せになること』が、このバカ息子を『幸せにする』ってことなの。そのことだけは、しっかり覚えておいてね」

 

「…………はい」

 

 

 

「それがわかってれば十分。これからもカズヒロをよろしくね、レイちゃん」

「……はいっ!」

 

 ……なんだよ、真面目にやればできるんじゃねぇか。

 最初から、この雰囲気出せてたら、ちゃんと締まったのにな。

 

「じゃっ、これからも仲良し親子として、お義母さんとスキンシップしましょうねぇ~♥」

「きゃっ……♥」

 

 ……駄目だこりゃ。

 これからも、威厳のある姑なんて、とても期待できねぇよ。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。