実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す   作:CarasOhmi

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【終】実家住みおじさん、大好きなネコケモ婚約者と、明日へ向かって進む
#47 月刊ホビーダンジョンWEB インタビュー記事(page.1)


 令和17年現在、日本国内には報告されただけでも数百のダンジョンが浮上し、その攻略を目指す多くの若者が集まっている。インターネット上では、その攻略配信が人気を博している一方で、不法な探索行為に悩まされる地権者は数多く存在しており、こうした状況を巡っての法的トラブルは増加傾向にある。

 この令和ダンジョン時代、配信やSNSといった形で拡散されるダンジョン配信の光と闇について、「(株)山神ダンジョンスイーパー」の代表を務める、山神一祐(カズヒロ)氏(ハンドルネーム:KAZU)に、お話を聞いた。

 

 

 

【 画像:yamagami_001.jpg / KAZU氏の写真。笑顔のポートレート。 】

 

 

 

# 【 自己紹介 】

 

―――― まず、簡単に自己紹介をお願いします。

 

KAZU氏 : 

 「(株)山神ダンジョンスイーパー」の代表を務めております、山神一祐(カズヒロ)と申します。

 厳密には、当社の代表は母となっているのですが、渉外と現場指揮に関しては、私が担当する形となっています。

 戦略立案、資材調達、現地での部隊指揮や先住部族との交渉など、一連のダンジョン探索に関わる領域の業務を統括し、必要に応じて実作業にも加わっています。

 本日はよろしくお願いします。

 

―――― KAZUさんの職域は広範囲に渡るのですね。

 

KAZU氏 : 

 家族経営の小さな会社ですので、可能な範囲で私が探索に関わる諸作業を行っています。

 基本的には私と、もう一名の常時稼働可能な従業員とで、探索を進めています。

 人員が必要な時はアルバイトを雇用したり、あるいは私の兄弟に業務委託の形で、臨時的に手伝いを頼んでいます。

 

―――― ご家族とダンジョン探索をされているのですか?

 

KAZU氏 : 

 はい。弟妹夫婦に協力を依頼することが多いです。

 皆、本業の勤め先があるので、副業申請を行った上で、当社の業務に携わって頂いています。

 家内制探索業ですね(笑)

 

―――― (笑)

 

 

 

# 【 会社設立の経緯 】

 

―――― それでは、まず「(株)山神ダンジョンスイーパー」の設立経緯について、詳しく伺えればと思います。

 

KAZU氏 : 

 事の発端としましては、私の住んでいる実家の敷地に、ダンジョンの祠が出現したためです。

 現れた地点が車の出入りする私道の上だったため、母や私が買い物に行く時、何度も接触事故が起こりまして……。

 

―――― それは大変でしたね。

 

KAZU氏 : 

 ええ。ダンジョンは通常重機では撤去できませんからね……。

 私どもが住んでいる地域的にも、乗用車がないと生活が非常に不便でした。

 そのため、これを攻略して地下に沈めようと、家族を招集し探索に挑んだという流れです。

 

―――― そこで法人の設立を?

 

KAZU氏 : 

 いえ、この時点では父の遺した土地の遺産分与ということで、私的な親族の集まりでした。

 各々、土日や有休を調整して日取りを合わせて、ダンジョンの共同探索を行った形です。

 妹は、母に子供を預ける形で攻略にあたりました。その間の母は、孫と遊べると喜んでいましたね(笑)

 

―――― 遺産分与のためのダンジョン探索というのも、面白いですね。

 

KAZU氏 : 

 今にして思うと、この時点で法人を設立していた方が、節税になったかもしれません(笑)

 

一同 : (爆笑)

 

 

 

# 【 ダンジョン配信とモラル 】

 

KAZU氏 : 

 ただ、実のところとしましては、ダンジョン出現で一番困ったことは、私道を塞がれたことそのものではなかったんです。

 

―――― それは、どういう事でしょうか?

 

KAZU氏 : 

 一番の問題は、私どもの実家の私有地に配信者の若い方が大挙して押し寄せたことだったんです。

 ダンジョンの出現により、そこが若者の盛り場となってしまい、騒音やポイ捨てなどといった問題も起こりました。

 また、そうした方の動画配信で、私や母が不本意に映りこんでしまう、プライバシーの問題なども起こりました。

 

―――― 近年では、配信者同士の肖像権に関わる係争も起こっていますね。

 

KAZU氏 : 

 そのダンジョンが公共施設で、撮影が許可されているのならよいのですが……。

 私どもの場合は生活空間にダンジョンが現れたことで、望まぬ形でインターネットに姿がさらされる事に繋がりました。

 事実、MOGURA氏(※)とのひと悶着で、私の顔や肉声がインターネット上でコラージュされる事態も発生しました。

 

(※)MOGURA氏:動画配信サイトで活躍するダンジョン配信者。運営チャンネルは登録者数500万人を突破。KAZU氏の私有地のダンジョンに無断で挑み、注意を受けたとのこと。その後、双方は和解し、丘坂総合運動公園に出現したダンジョンにおいて共同攻略の生配信を行った。

 

KAZU氏 : 

 こちらが、動画サイトの検索結果に出てくる当該動画の一覧ですね。

 

【 画像:yamagami_002.jpg / ノートPCの画面。KAZU氏の音MAD。無関係サムネはぼかし処理。 】

 

―――― これは、大変でしたね……。

 

KAZU氏 : 

 私なんかは、インターネット文化に慣れ親しんだ世代ですので、こうした悪ノリにも耐性はあります。

 しかし、母のようなデジタルに疎い世代は、そうした機微が分からないままに不名誉を着せられる可能性がありました。

 こうしたプライバシーに関わる事案が増えたこともあり、生活の安心のために攻略を急ぐ運びになりました。

 

―――― なるほど。他にも問題はありましたか?

 

KAZU氏 : 

 「帰還の指輪(エスケープリング)」の帰還仕様の問題が印象に残っています。

 

―――― エスケープリングは、探索のための安全装置として必要なものという認識ですが。

 

KAZU氏 : 

 はい。安全上必須の物であり、探索に臨む以上これは着用することになります。

 しかし、送還に際して転送されるのは「ダンジョンの祠から半径10メートル以内のどこか」ですよね?

 これにより、ダンジョン内で大ダメージを負って送還された配信者が、私道で折り重なって気絶していたんです。

 先にも話した通り、ここは私たちの生活で使用する私道でして、自動車で行き来をしています。

 そのため、路上で気絶していた配信者を、母が誤って轢きそうになったことがありまして……。

 

―――― えっ……?

 

KAZU氏 : 

 運よく、母は忘れ物に気付いて車をバックさせたのですが、下手をすれば人身事故が起きていましたね……。

 そうなると、否応なく母は「加害者」になっていたわけで……今思い返しても肝が冷えます。

 運動公園ダンジョンで、市に救護所を用意していただいたのは、そうした事故防止のために私どもの知見を提供できないかと考えたためです。

 

 

 

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