封印が解けた思ったら貞操逆転の世界になっておるじゃと!?どうなっておるのじゃ!? 作:ミタケ
この先は考えてないよ!!
「はぁ……! はぁ! 私はお前を殺しきる力は持ち合わせていない。だが! いつかお前を殺すことができる人間が現れるまで封印をさせてもらうぞ」
「グッ……! 我の野望もここまでか。だがなあ! 封印されたとしてもいつか封印が解けた日、我は再びこの世界を征服してやるぞ!!」
「待っておけよ……我の封印が解けた時! その時は世界が混沌に染まる時だ!」
崩れた家。炎上する木々。地に倒れている異形の生物。血のように真っ赤に染まった空。
まるで地獄のような空間に居るのは、満身創痍の状態で手に持つ杖を支えに何とか立っている少女。
そして。その少女程、傷を負っていないが体力が尽きて地面に崩れ落ちている青年。
杖なしでは立てないだろう少女は、地面に崩れ落ちた青年を見下して封印の術式を起動させ始めた。
「畜生……! あと世界征服まであと一歩だったのに! 覚えとけよお前! 我が復活した時には一番最初に狙うのはお前だぞ!」
封印術式によって発生した光を見つめながら青年は子供の様にその言葉を吐く。
「はぁ……、封印が解けたらいつでも私の元に来るがいい。その時は相手をしてやる……お前を殺すのは私ではないがな」
少女は子供の様に駄々をこねる青年を白けた目で見た。
「うがあー! 本当に覚えてろよ貴様!」
封印術式が完成したのだろう。その白く淡い光が極彩色に変わり先程までとは、桁違いに強く光っている。
その光を見た青年は、諦めたように息を吐いて最後の言葉を少女に向けて言う。
「はぁー。我は封印されるのか……」
「ああ。そうだな、お前はこの世界の人々に恨まれることをたくさんした。一回封印されて頭を冷やしておけ」
「はは! そうかもしれないな……。だが我は後悔等はしていないぞ。それで我が民の……我を信じてついてきた奴らのためなら。我は何度だって同じ事をするだろう」
「はぁ……そういうとこが憎めないんだよお前は、じゃあ封印するぞ」
先程までとは打って変わって、旧知の友の様に青年と少女は喋る。先程までは互いがお互いを、殺そうとしていたのに少女の青年を見る目は心なしか穏やかになっている。
「ちょっと待て、お主に頼みたいことがある」
「ああ? なんだ」
「おそらく我が封印された後……我の仲間と民は迫害されるだろう。その時何か手助けをしてほしいんだ……頼む」
「お前ってやつは……私とお前は先程まで殺し合っていたんだぞ? そんな相手にお前は……」
「あはは! お主だからこそだ。何度も戦ってきたからわかる……お主はこの願いをむげには出来ないだろう?」
青年が少女にしてやったりと笑みを浮かべた。
「はぁ……! わかったよ! お前の言うようにしてやる」
少女は青年の言ったようにこの願いを無下にできる性格ではなかった。少女は深い溜息を吐いて青年に了承を伝える。
その事に青年は安堵の息を吐いて、極彩色の光を見る。
「じゃあ……もう封印するぞ」
「ああ……いや。もうちょっと待て」
「なんだ……」
少女は青年を見た。二回も封印を待てと言われたからか少女は少しイラついているのだろう……その顔は少しむっとしている。
「これだけは言っておこうと思ってな……楽しかった」
「またな……女神」
少女──いや、女神は青年のその言葉を聞いてふっと笑う。
「ああ……機会があればまた会おう。……またな、魔神」
青年──魔神は女神の言葉を最後に目を閉じる……。
その表情は心底安心したように、安らかである。
女神が一動作をすると極彩色の光がより一層強くなり、魔神の体を包んむ……そうして数秒経った後やがて光は収束した。
光が収束した場所には禍々しい石が転がっていた。女神が手に取り空を見る。
「ふう……一先ずは終わりだな。まだやることは色々あるが、戦いは終わった。しばらくの目標はあいつが戻て来たように住みやすい世界にする事か……」
そうして女神は石を大切な物のように握りしめて歩いていく……。
空は先程の血のような赤では無く奇麗な青色になっていた。
そうして女神が歩いている中、手元の石は禍々しい色に光っていたのだった……。
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……我は魔神だ。生まれた瞬間から忌み嫌われる者たちの神……。
我は生まれた瞬間に自分が何をすべきか……どうして生まれたのか、という物を悟った。
我は何も悪しき事をしていないのに忌み嫌われる者たちを救うため……世界を征服するために生まれたのだ、と。
それから我は色々やった。世界を征服するために色々と手を尽くした。
まぁ、その結果が女神に封印されたのだが……。
まぁ……その事はこの際どうでもいい。
白い椅子一つしか存在しない真っ白な空間……その世界で我はその空間の中心に置かれている、椅子に座って待っていた……。
封印が解ける日をひたすらに……。
あれからどれくらい、時間が経ったのだろうか? 生憎、この世界にいると時間という物が分からなくなる。
あれから数千年経ったような気もするし、あれから数十年しかたっていない気もする……。
そんな空間の中、我は一つの事だけを考えていた。
考えているのは我が民の事……。因みに我についてきてくれた連中はさほど心配はしていない。あいつらは自分の事ぐらいどうにかできるだろうから……。
それよりかは民の事だ。我の民──魔族は人族からひどく嫌われている……今まで特に人族に対して干渉もさほどしていないのにだ。
その上、我が封印される前は我が暴れまわっていたから余計にだろう……。
民に申し訳ない思いで気持ちが一杯なのだが、その事は女神に任せてある。
とりあえずは大丈夫だと信じたい……。
信じているぞ女神……!!
そう考えている中……真っ白な空間にひびが入ったような感覚がした。
「おお! ようやくか。ようやく封印が解けるぞ!!」
「待ってろよ世界! 我が征服してやるからな!!」
「あーはっはっは!!」
白の空間で一人声を上げて笑う。我の笑いに反応したのかしていないのか知りはしないが。
我が笑った瞬間から空間に亀裂がどんどん入っていく……。
ぴきぴき……! と言う音がバキ! と変わっていく。
亀裂がどんどん大きくなってパリン! と言う音が聞こえた……。
その瞬間光が目に入った……あまりの眩しさに目を覆ってしまう。しばらくすると光が落ち着く。
光になれた目で周りを見た……。
「ほうほう……! 我が封印されてからだいぶ時間が経ったのだな!」
「すごいぞ! 四角い箱が道を走ってる。どういう仕組みだ!? 魔力は使われてないのか?」
ふむふむ……我が封印されてからかなりの時間が経ったのだな。我が民は今も繁栄しているのだろうか?
それよりも一番最初にやるのはあいつとの対戦だな! 女神との闘いは非常に楽しかったので、是非もう一回やりたいのだが……。
くくく……! やりたいことは沢山ある! 困ってしまうな!!
そうして一人で笑っている中、突然肩をたたかれた……。
叩かれた方を見ると年端の行かぬ少女が三人ほどいる。
「ぬ……? 我に何か用か少女」
「ね……ねぇっ! もしかしてあなたは……!」
少女達三人は何故か目を輝かして我を見ていた。
おや? もしかして……我が軍に入りたいという申し出か? ふむふむ……そういう事か! 我が復活した瞬間に軍に入りたいとは!
世界も中々良い物になったのではないだろうか?
そう考えていると少女がさらに口を開く。
「もしかしてっ! 男の子かな!?」
「はえ?」
いかん……突然変なことを聞かれて声が出てしまった。
「男だが?」
嘘を吐く理由もないのでに正直に、そう答えると周囲から歓声が広がった。
何故?
その事に疑問を覚えながら周囲を見るとそこには。
女。女。女……どういう事じゃ!? 男がおらんのか? しかも周りの年代が違う女は全員、我を見ている。
怖……!
なにこの世界……本当に我がいたのと同じ世界か!?
余りの恐怖に思わず後ずさりする。
何じゃ!? 女神との闘いよりも迫力があるぞ!?
どんどんと後ずさりしていくと後ろにはガラスがある。
振り返ってガラス越しに自分を見ればそこに移った物に驚愕してしまう。
そこに移ったのは自身の姿……そのはずだ。だけどそれは……その姿は。
「縮んでおるのじゃ!?」
そう自身の姿が小さくなっていた……より細かく言えば幼くなっていた。
どういうことじゃ……?
「はあ。はあっ。ねえなんで逃げるのかな!?」
幼くなった自分の姿に驚愕していると、先程声をかけてきた少女が目の前に立っていた。
少女は心なしか息が上がり頬が赤らんでいる……。
こいつ……! 興奮してるのか!?
前には少女、後ろにはガラス……逃げ出そうと魔法を使ってみると──
──使えない!?
使えない。それに、この体……そうか! 魔力の総量が圧倒的に減っているのか!
だから魔法も使えないし体も縮んだのか……!
だとするとどう切り抜ける……!
我は魔神だぞ……この程度の困難。切り抜けることは造作でもない!
筈なのじゃが……!
目の前の光景──先程の少女のほかに我の周りには、別の少女達が囲んでいる──を見て。
無理……かもしれん。
その光景に冷や汗をかいてしまう……。
我は魔の神だ……
忌み嫌われる存在の光……
世界を征服するため……
そのために生まれた存在。なのじゃが……
「ははっ……」
乾いた笑いしか出てこない。
我は再び目の前の光景を見て……
「我……終わったかもしれん」
と深く思うのだった……。
おそらく続かん
好評だったら続くかも……