一方、変身が解除されて光太郎の姿に戻ったブラックサンは、宇宙空間で意識を失っていた。
(さっきの攻撃でキングストーンを破壊されるとはな‥‥‥‥)
光太郎は、自分を体内にあったキングストーンがあの瞬間砕けるのを感じていた。
(サイタマとボロスの戦いも気になる……)
(一刻も早く戻らなくてはならないが、キングストーンの破壊された今の俺には……)
その時、光太郎の視界の端に太陽が映った。
(あれは‥‥‥‥太陽‥‥‥‥か?)
その太陽を見た瞬間、光太郎の腹部にある砕けたサンドライバーの中央が輝き出してプロミネンスが彼を包み込んだ。
するとキングストーンのエネルギーとプロミネンスの合わさった光の奔流が光太郎を纏い、新たな姿に変身させる。
パワーアップを果たしたブラックサンは、再変身して宇宙船の甲板に戻る。
そして宇宙船の甲板を再び強い衝撃が襲った。
「おっ……」
「戻ってきたか」
「これは……」
ブラックサンはパワーアップを果たした自身の姿を、驚きの表情で見ていた。
「
ボロスは一瞬でブラックサンの元に飛んで攻撃をする。
ブラックサンもすぐに反応するが、そのスピードは先程よりも速くなっていた。
ボロスへカウンターとして強力な攻撃を与えるブラックサン。
「くっ!」
反撃をしようとするボロスに、サイタマが割って入る。
「おい!俺を忘れんな!!」
サイタマはボロスの脇腹を殴る。
ボロスは攻撃の衝撃に吹き飛ぶが、すぐに体勢を立て直して言う。
「くっ!……サイタマ!」
そしてサイタマは構えながら呟く。
「せっかく強そうな奴に会えたんだ、俺もわくわくしているんだよ」
リミッターを外して超速で追撃をするもサイタマは生身で宇宙空間から戻って、ブラックサンはパワーアップを果たし再び戻ってきた。
ボロスは生まれて初めて、全身の血が沸騰して滾るのを奥底から感じた。
「そうだ、それだ!!強者との戦い……それが俺の望み!そして俺が欲するものだ!!」
サイタマの超速連打を受けてもボロスは反撃をし続ける。
「どうした!?もっと来い!!」
ボロスをキングストーンのエネルギーとプロミネンスの合わさったブラックサンの拳の強烈な一撃が襲う。
勢いまま吹き飛ばれるも、何とか踏みとどまったボロスがサイタマとブラックサンに向かって言う。
「間違いはなかったお前達は……俺と同等の強者だ!!」
そしてボロスは自身の持つ超パワーを一気に放ち始める。
すると周囲の宇宙船の甲板に亀裂が走る。
「私の持っている全エネルギーを完全解放し、お前達諸共この
「えっ」
「何だと!?」
宇宙船が、A市全体がボロスのエネルギーで大きく揺れる。
「喰らえ!ボロスの最大奥義‥‥‥‥」
「あぁ、いい加減終わらせるか‥‥‥‥」
崩星咆哮砲!!
必殺マジシリーズ‥‥‥‥マジ殴り!!
ボロスが強力な一撃を放つ。
サイタマはそれに対抗するように拳を振るう。
辺りを激しい衝撃が襲い、宇宙船の甲板を深く抉っていく。
「ぐうっ‥‥‥‥」
どうなった、どっちが勝利した?
揺れが止まり、周囲は大きく凹みながらも何とか持ち堪える。
「!!」
目の前には所々ボロボロのサイタマとボロスの上半身のみがあった。
「‥‥‥‥」
サイタマにボロスが言う。
「見事だ……サイタマ」
「お前こそな、ボロス」
そしてブラックサンの方を向くと言った。
「
ボロスは二人に向かって言う。
「サイタマ、ブラックサンよ……」
「ん?」
「お前達との勝負……楽しかったぞ……」
サイタマは小さく笑ってから答えた。
「……あぁ」
そしてボロスは倒れ、宇宙人騒動は幕を閉じた。
ボロス率いる【暗黒盗賊団ダークマター】の地球襲来から数週間後、光太郎はとある街の喫茶店でコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。
(A市の被害は甚大……そして【暗黒盗賊団ダークマター】の生き残りはA級1位アマイマスクが即処理したか)
人々は少しずつだが普段通りの生活に戻りつつあるようだ。
「それにしても、最近は怪人出現報告も減ったな……」
しかし、光太郎の脳裏にはあの宇宙人の姿が浮かんでいた。
(ボロス……あいつは強かった)
そしてコーヒーを飲みながらサイタマとブラックサンの戦いを思い返す。
あの時、サイタマがボロスのエネルギーに拳一つで対抗し打ち勝った時、光太郎は思った。
(俺は、まだまだだ……)
そう考えながら光太郎は席から立ち上がり店を出る。
(もっと強くなろう……)
そしてK市を後にしようとバイクに乗り込もうとした時、ヒーロー協会本部から連絡が来る。
「何だ?」
電話を取ると、 ヒーロー協会本部のオペレーターが光太郎に言う。
《S市にて怪人が出現した!現在B級38位、"筋肉ダルマ"が対応しているが苦戦している!至急向かってくれ!!》
「……分かった、すぐに向かう」
光太郎は電話を切ると、バイクに乗ってK市を後にした。