アタシの切り札は数が多い   作:コピートークンA'本物exl

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3回行動です。


09:秘宝はクリーチャーやファイターを対象にすることもある

 カウント──15と6の5-1

 

 ならばあとは、勝つだけだ。

 

「ターンエンド。エンド時に〈夢幻囃子の仔〉が誘発、5/6から3/4に弱体化する」

 

「俺のターン。レディ、アップキープからドローまで」

 

 メインデッキを削り落とすまであと僅か。だからもう油断はしない、なけなしの5オドを最大限に使い尽くす。

 

「土地をセットし『開拓』を誘発、更に3枚を墓地へ!」

 

 相手の手札は残り6枚。

 墓地も途中から確認できていない。だから、何があっても間に合うように場を固める!

 

「1コストから秘宝〈銀世界〉を配置! これが場に存在する限り、お互いのクリーチャーは攻撃できない」

「………チィッ!」

「続けて1コスト〈思考〉を発動! デッキトップを確認し、これを手札に加える」

 

 こちらの残りの手札は4枚と呪言が1枚、浮いているオドは3。

 

「これで俺は、ターンエンド!」

 

 一歩ずつ。

 少しずつ。

 派手さはなくていい、確実に、積ませて必死に追い詰める。それこそが俺の、唯一の勝ち筋だから。

 

「ッ、我のターン!」

「〈一騎打ちの代償〉により2枚を墓地へ!」

「ドロー!」

 

 カウント──9、8の6-2

 

「土地をセット」

 

 怪人の浮オドは4。あれだけ抱え込んだ手札に除去がないとは思えない。

 

「2コスト、瞬間魔法〈削ぎ落とし〉。効果により場の秘宝を1つ、お前の〈銀世界〉を破壊する!」

 

 来た!

 

「対応! 1コストで瞬間魔法〈チキンレース〉、直前に使われた〈削ぎ落とし〉を打ち消す」

 

「1コストの確定打ち消しだと!?」

 

「違う。〈チキンレース〉の効果は1コストを支払うことで、対象となったカードをコントロールするファイターはコピーできる」

 

 つまり今回の場合〈削ぎ落とし〉←〈チキンレース〉←〈チキンレースコピー〉←〈チキンレースコピーコピー〉と続いてスタックする形だ。

 

「ならありがたくコピーさせて貰おう!」

 

「なら俺もコピーを行う」

 

 残りのオドは俺が1、怪人も1。

 削り合いを続けても確実に打ち消せる。そしてそこまで付き合った場合、怪人の負けもまた確定する。

 

「……コピーは行わない。効果は解決され〈削ぎ落とし〉が無効に」

 

 これで攻撃の封鎖は継続。怪人の手札は6枚のうち5枚のメインカードと1枚のライフカード。いける……か?

 

「ならば続けて我は魔法〈再起動〉を発動! 我の墓地よりクリーチャー1体を戦場に戻し、そのオド総量に等しいライフを我は失う!」

 

「対応! 瞬間魔法〈オーバーテイク〉!2コスト以下のカード1枚を打ち消す!」

 


 

〈オーバーテイク〉(1)

 瞬間魔法

 あなたは〈オーバーテイク〉をターンに1枚しかプレイできない。

 相手のコスト2以下のカード1つを対象に、それを打ち消す。その後、相手は自身のデッキからコストXのカード1枚を探して、コストを無視してプレイしてもよい。あなたは自身のデッキからコストXの瞬間魔法カード1枚を探して、コストを無視してプレイしてもよい。

 Xはこの効果で妨害したプレイのコストの値に等しい。

 


 

「ただし、打ち消したのちにお前はコストX=1のカードをコストを無視してデッキからプレイできる」

 

「デッキに〈再起動〉は……くっ、ならば〈儀式の破綻〉を発動する! コストとして生贄に捧げるのは〈雅楽隊の休息所〉」

 

「続けて俺もX=1の瞬間魔法をコストを無視してプレイできる、発動するのは〈献身の証明〉! コストは〈遺跡荒らし〉!」

 

 スタックが解決。

 儀式の破綻が献身の証明で打ち消され、再起動がオーバーテイクに打ち消される。

 これでお互い浮きオドは0・0。

 

 カウント──8、5の4-1

 

 準備は整った。

 

「だがこれで壁はいなくなった、我は墓地から〈命の泉〉の効果を起動(フラッシュバック)! 命の泉と墓地のカード4枚を追放することで、我の土地を1枚レディする」

 

「対応!」

 

「バカな、貴様のオドコストは0の筈!」

 

「このターン、相手がデッキからカードを探してプレイしている場合、このカードのオドコストは5点軽減される」

 

 これが、俺のデッキのフィニッシャー!!

 

「瞬間魔法、〈崩落する書庫〉を発動。お前のデッキの上から8枚のカードを墓地へ送る」

 


 

〈崩落する書庫〉(5)

 瞬間魔法

 このターンの間、対戦相手1人が自分のライブラリーからカードを探していたなら、あなたはこの呪文のオド・コストを(5)軽減できる。

 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカード8枚をメインデッキの上から墓地へ置く。

 


 

「まだだ! まだ我の土地は生きている!

 我の墓地から6枚のカードを追放することでコストを軽減、1コストで手札より7コスト〈プローホルの腐敗竜〉を召喚す──」

 

「対応、土地3枚をコストに〈防災〉!」

 

「ぐぅぅ……!!」

 

 怪人の手札は4の3-1。

 今打ち消した〈腐敗竜〉を攻撃に参加させるための物に、〈銀世界〉を割るためのフラッシュバックや0コストもあった筈。だけど……

 

「カウント0、タイムオーバーだ」

 

 残り土地は2、手札は1、盤面には秘宝が2つだけ、ライフは10。満身創痍だ、打ち消しは……まあ1枚残ってるけど、次のターンは耐えられない。

 

 だが。

 

 ここに、俺の勝利が確定した。

 

 

 

 

 

「バカな、馬鹿な……我が、こんな子供に!」

 

 闇の領域が剥がれていく。

 薄闇にヒビが入り、世界に暖かさが戻ってきた。それと同時に、俺を守ってくれていた蛇と蝶の姿も溶けて消えていく。

 

「あぁ………つか、れた」

 

 それを見届けながら、どさりと俺も崩れ落ちた。もう無理、立ってるのも限界だ。

 親父がムキムキマッチョだった理由がよく分かる。こんなものに対応するなら、身体を鍛えないとやってられない。

 

「だが、ならば! 我に打ち勝った貴様だけは、意地でも連れて行く──!」

 

 崩れかけの闇の領域の中、異様に大きな怪人の手が動けない俺に伸びて──

 

 

「ふんっ!」

 

 

 ──割って入ってきたワイヤーが、ガラスのように領域を粉砕しながら手を弾き飛ばした。

 

「ふぅ、ギリギリセーフ」

 

 それは透き通る紫色の髪をした女の人だった。手には物騒なワイヤーを持ち、着ているエプロンにはMeeKingの文字。

 

「その歳でよくやった。あとは任せて」

 

 明らかに全力で逃げ出し始めた『笛吹き』を追って、おそらく店員の人が路地裏を駆けていく。

 いいなぁ、武器。俺もカードショップのウェルカムカード投げ以外で、何か出来るようにならないと。いやその前に身体を鍛えて──

 

「オーくん!」「オルガくん!」

 

「ぐえっ」

 

 なんて考えは、飛び込んできた幼馴染2人に吹き飛ばされた。

 無事でよかった、とか。

 助けてくれてありがとう、とか。

 言いたいことは色々あったけど……やっぱり、好きな相手の前ではこうだろう。

 

「へへっ、勝ったぜ」

 

 あんなカードに見せられたのとは違う、笑顔と涙を前に。掲げたVサインはどこか、誇らしかった。




明けない夜はない
だが、1人で歩む夜ほど辛いものもまた、ない
──戦場の夜明け 
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