アタシの切り札は数が多い 作:コピートークンA'本物exl
「『腐死』カウンターが10個乗ったプレイヤーは敗北してしまう特殊敗北条件……でしたか。すごい、拙は初めて使い手に
「アタシも『共心』なんて豪快な軽減、初めて見たかも」
フィールドを食い入るように見つめながら、思わずミレイちゃんと顔を見合わせた。
お互いの親友が、あんなに楽しそうにファイトをしてるのは久しぶりに見る。それは向こうも同じなのだろう。
「アッシのターン。レディ、アップキープ、どろー!
セット、青の秘宝色彩〈鏡湖の礼拝席〉!」
「これで秘宝は3つ!」
「ノンノン! 黒1から秘宝〈チョコレートファウンテン〉を配置、効果で秘宝としても扱う〈チョコ・トークン〉を生成。これで5つ!」
「5軽減、ということですか」
「そうそう、仕掛けは充分。あとは結果をごろうじろってね!
4軽減──青1で魔法〈コールドリーディング〉を発動! アッシはメインから2枚ドローして、ターンエンド!」
だからこそ、こうも思う。
目の前の相手とファイトすれば、どれだけ楽しいのだろうと。胸が高鳴って仕方がない。
「さあ、盤面が動くぞ」
ジャッジをしているシノブさん?の言葉に引き戻されれば、再びターンはセッちゃんへ。静かな立ち上がりだったファイトに、大きな動きが産まれようとしていた。
「わたしのターン。レディ、アップキープ。〈湖沼〉の効果が誘発、ライフを1つ支払い蛇・トークンを生成。ドロー、通常
軽減を加味すれば実質的な相手のコストは8。
あの7枚もある潤沢な手札から、どんな大型がまろび出て来てもおかしくありませんね。ともすれば、返すことも出来ない力に押し流されるやも。ならば。
「好機は、いま」
攻め込むといたしましょう。
「通常色彩より1コストを生産、瞬間魔法〈波打つ影〉をプレイ。効果は拡大を選択し、対象はわたしの〈草生水の泥沼〉とリクさんの2つ!」
「拡大?」
「対象となったオブジェクトに置かれているカウンター1種につき1つ、カウンターの数を増殖させます」
「うげげ!?」
活性化カウンター1→2
腐死カウンター 1→2
これで再び泥沼が
「活性化カウンターを取り除き〈泥沼〉をステイ、2コスト生産。続けて1コストで付与魔法〈うらみ、ねたみ〉を〈穢れ沼の毒蛇〉へ付与。+2/+0の修正と貫通を与えます!」
全てが通れば腐毒は7、ゲームエンドが見える所まで積み上がります。尤も、意味深に起きている赤1コストがある以上、そう簡単にはいかないでしょうけれど。
「バトル! まずは〈毒蛇〉で攻撃いたします」
「ん、ん゛ー! 5、ううんでっかくなられたら8になるし、即死圏内。でも対応したら1点だし、でも対応、えーいままよ!
スタック、瞬間魔法〈絶縁破壊〉!
毒蛇を対象に2点のダメージ!」
「この瞬間〈毒蛇〉の効果がスタック、リクさんへ腐死カウンターが1つ追加。優先権を行使し更にスタック、1コストで瞬間魔法〈血清の緊急投与〉。対象は〈毒蛇〉」
「逃げられたぁ?!」
「これ以上のスタックはありませんね。では解決と致しましょう。
〈血清〉の効果で〈毒蛇〉がわたしの手札に返り、付与されていた〈うらみ、ねたみ〉は墓地へ。戻したカードコストが3以下のため拡大を行います、対象は〈泥沼〉とリクさんの2つ」
活性化カウンター 1→2
腐死カウンター 2→3
「〈毒蛇〉の効果により腐死カウンターが4つへ」
「〈絶縁破壊〉は対象不在で不発ぅ……」
「〈毒蛇〉が消えたので攻撃も不成立。直後、墓地へ送られた〈うらみ〉の効果が誘発。わたしの手札に帰還します」
「ずっこい!」
「蛇ですので」
そしてわたしの場には、まだ攻撃できる子が残っています。
「続けて、蛇トークンで攻撃。
あなたに付与された腐死カウンターが3つ以上のため、〈レズニアの湖沼〉が持つ劇症化3が
「なにもなし、ライフで受ける!」
「成立。ライフダメージの
これで腐死は5、わたしのライフも15枚に回復。
そう簡単に終わってはくれませんか。
ああ、ゾクゾクします。
「ターンエンド」
「アッシの、ターン!」
レディ、アップキープ、ドローと進み──笑った?
「セット、〈鏡湖の礼拝席〉。
こうなったらこっちもやりたい放題する番、目には目を、塙には塙を!」
「歯には歯を、じゃありませんでしょうか?」
「あっ、歯には歯を、ファイトにはファイトを!!」
フィールドを挟んで感じる気配が変わる。
明るいコトちゃんにも似た太陽のような気配から、機械の歯車のような冷たい色に。
「6軽減──1コスト!」
フィールドに青い結晶が生まれていく。
それはいつしか無骨に組み合わさり、脚が造られ、腕が造られ、顔に2つの火が灯る。
「〈
魔法で生み出された鉱石の巨兵が立ち上がった。
「パワー4タフネス4! 【共心(秘宝)】を持つ、色を持たない秘宝/クリーチャー。特殊な力は殆どないけど、つまりこのカードは!」
「まさか」
「
カモン、〈ミアライトエンフォーサー〉セカンド!」
立ち上がる2体目の4/4。それだけでも厄介だというのに、更にもう1枚。
「8軽減──青ダブル!」
「
いつの日かお家で見た、レガシーなるカードには遠く及ばない。
それでも間違いなく、力あるカードが──来る。
「墜ちよ」
手札より引き抜かれたカードが、ボートに叩きつけられる。
「〈
跪く2体の巨兵の間に、星が落ちるようにソレは現れた。
紺碧の鱗に覆われた体に翼はなく、半透明に透けた、機械と魔術が組み込まれた異形の神秘。──嵐を纏う東洋龍が、フィールドに顕現する。
「……効果は」
流れた汗を拭いながら、ボードを操作。
内容を表示させました
〈
スピリット・ドラゴン
X/X
【共心(秘宝)】──このカードをプレイするコストは自身のコントロールする秘宝1つにつき(1)少なくなる
【飛行】
【神秘2】──このクリーチャーが対戦相手がコントロールする魔法や効果の対象になるたび、そのプレイヤーが(2)を支払わないかぎり、その魔法や効果を打ち消す
空鳴らす戒響、アズ=ルテムのパワーとタフネスは、あなたのコントロールする秘宝の数と等しい
即ち、
「8/8の耐性持ち飛行クリーチャー!」
自信満々な宣言でした。
「見て見て、拙の友達あんな可愛く笑うの!」
「アタシの親友もあんなに楽しそうなの久々かも!」
「どやさぁ!」
絶望的な盤面、対処手段の欠如、見えている決着。
「参ったか!」
「そうですね、参ってしまいそうです」
なにせわたしのデッキに、アズ=ルテムを破壊できる全体除去は入っていないのですから。
「なので」
しかしそれは、勝ちの目が無くなったことを意味しません。
「先に毒殺させていただきますね?」
「こっわ」
素の反応で返されると困ります。
「これでアッシは、ターンエンド!」
そしてファイトとは、こういう逆境こそ本懐なれば。
「わたしのターン! レディ、アップキープでトークンが生成、ドロー!」
昂る鼓動に共鳴するように、欲しいカードが山札から弾き出された。
「セット、変容
「ひいふうみい……5コスト!」
「〈大渦〉から2コスト生産、1コストで魔法〈凍裂の模様占い〉を発動いたします!
わたしのメインデッキのトップ3枚を確認し──1枚を手札に、残りをデッキのボトムへ送り『拡大』。対象はわたしの色彩2つとリクさん自身!」
見つけた。
「続けて〈泥沼〉より2コスト生産。2コストで魔法〈毒液まみれ〉を〈ミアライトエンフォーサー〉を対象に発動させていただきましょう」
「効果はナンジャラホイ?」
「修正、-4/-4」
「みぎゃっ」
「そして拡大を行います。対象は先ほどと同じ」
「ぎゃぎゃぎゃっ!?」
フィールドの底から湧き出たドス黒い液体に塗れて、輝く青い結晶の巨人が消滅する。
これで腐死は7、エンフォーサーが死亡したことでアズ=ルテムは7/7に弱体化。上々と言ったところでしょう。
「最後、余った1コストで〈うらみ、ねたみ〉を蛇トークンに付与。バトルに入ります!」
止めなければ毒殺が成立ですよ?
「蛇トークン2体で攻撃!」
「1/1のトークンはアズ=ルテムで、3/1のトークンはエンフォーサーでブロック!」
「対応はありません」
「解決! アズ=ルテムが6/6に、エンフォーサーが1/1に」
「蛇トークンが戦闘破壊、4点回復してライフが17へ。墓地に行った〈うらみ〉がわたしの手札に。何もなければエンドまで」
一歩ずつ、確実に。毒が回って仕留めるまで。
らしくいきましょう♪
「んぁぁぁ!! このままじゃアッシはジリー・プアー。ならいっそ一か八か!」
「まあ」
「エンド前の優先権! アンタを対象に〈絶縁破壊〉をプレイ!」
「2点のダメージ」
それくらいなら許容範──「アッシが3つ以上の秘宝をコントロールしている場合、代わりに4点のダメージを与える」──なんと。流石に少々、重いですね。
「4点火力!? 欲しい! アタシも使いたい!」
「拙の行きつけのカードショップなら、確かまだあったような。今度、一緒に行きましょう! ね、シノブ、いいわよね?」
「俺の怪我が治ってからで構わないか? 流石にこのままで出掛けたくはない」
「「はーい」」
あっちも楽しそうでいいですね。
ちょっと妬いちゃいそうです。
「ダメージチェック」
「魔石前提、変容色彩が多めの構築なのは見えてる! 通常色彩と呪言なんて出るわけ──」
「変容色彩、魔石、通常色彩、最後が……呪言」
「──なんでぇ!?」
当然です。コトちゃんと……ううん、あの
本日の戦死者──0
大型の敵性蟲群撃破! 共和国軍の勝利は続く!