アタシの切り札は数が多い   作:コピートークンA'本物exl

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本日3話目


12:拡大は、望む数のオブジェクトやプレイヤーを選び、既にそこにあるカウンター1種につきカウンターを1つ追加する

 

「『腐死』カウンターが10個乗ったプレイヤーは敗北してしまう特殊敗北条件……でしたか。すごい、拙は初めて使い手に(まみ)えました」

 

「アタシも『共心』なんて豪快な軽減、初めて見たかも」

 

 フィールドを食い入るように見つめながら、思わずミレイちゃんと顔を見合わせた。

 お互いの親友が、あんなに楽しそうにファイトをしてるのは久しぶりに見る。それは向こうも同じなのだろう。

 

 

 


 

「アッシのターン。レディ、アップキープ、どろー!

 セット、青の秘宝色彩〈鏡湖の礼拝席〉!」

 

「これで秘宝は3つ!」

 

「ノンノン!  黒1から秘宝〈チョコレートファウンテン〉を配置、効果で秘宝としても扱う〈チョコ・トークン〉を生成。これで5つ!」

 

「5軽減、ということですか」

 

「そうそう、仕掛けは充分。あとは結果をごろうじろってね!

 4軽減──青1で魔法〈コールドリーディング〉を発動! アッシはメインから2枚ドローして、ターンエンド!」

 


 

 

 だからこそ、こうも思う。

 

 目の前の相手とファイトすれば、どれだけ楽しいのだろうと。胸が高鳴って仕方がない。

 

「さあ、盤面が動くぞ」

 

 ジャッジをしているシノブさん?の言葉に引き戻されれば、再びターンはセッちゃんへ。静かな立ち上がりだったファイトに、大きな動きが産まれようとしていた。

 

 

 

 

「わたしのターン。レディ、アップキープ。〈湖沼〉の効果が誘発、ライフを1つ支払い蛇・トークンを生成。ドロー、通常色彩(土地)のセットまで」

 

 軽減を加味すれば実質的な相手のコストは8。

 あの7枚もある潤沢な手札から、どんな大型がまろび出て来てもおかしくありませんね。ともすれば、返すことも出来ない力に押し流されるやも。ならば。

 

「好機は、いま」

 

 攻め込むといたしましょう。

 

「通常色彩より1コストを生産、瞬間魔法〈波打つ影〉をプレイ。効果は拡大を選択し、対象はわたしの〈草生水の泥沼〉とリクさんの2つ!」

「拡大?」

「対象となったオブジェクトに置かれているカウンター1種につき1つ、カウンターの数を増殖させます」

「うげげ!?」

 

 活性化カウンター1→2

 腐死カウンター 1→2

 

 これで再び泥沼が活性化(アクティブ)、色を生み出しても消えることはなくなりました。

 

「活性化カウンターを取り除き〈泥沼〉をステイ、2コスト生産。続けて1コストで付与魔法〈うらみ、ねたみ〉を〈穢れ沼の毒蛇〉へ付与。+2/+0の修正と貫通を与えます!」

 

 全てが通れば腐毒は7、ゲームエンドが見える所まで積み上がります。尤も、意味深に起きている赤1コストがある以上、そう簡単にはいかないでしょうけれど。

 

「バトル! まずは〈毒蛇〉で攻撃いたします」

 

「ん、ん゛ー! 5、ううんでっかくなられたら8になるし、即死圏内。でも対応したら1点だし、でも対応、えーいままよ!

 スタック、瞬間魔法〈絶縁破壊〉!

 毒蛇を対象に2点のダメージ!」

 

「この瞬間〈毒蛇〉の効果がスタック、リクさんへ腐死カウンターが1つ追加。優先権を行使し更にスタック、1コストで瞬間魔法〈血清の緊急投与〉。対象は〈毒蛇〉」

 

「逃げられたぁ?!」

 

「これ以上のスタックはありませんね。では解決と致しましょう。

 〈血清〉の効果で〈毒蛇〉がわたしの手札に返り、付与されていた〈うらみ、ねたみ〉は墓地へ。戻したカードコストが3以下のため拡大を行います、対象は〈泥沼〉とリクさんの2つ」

 

 活性化カウンター 1→2

 腐死カウンター  2→3

 

「〈毒蛇〉の効果により腐死カウンターが4つへ」

 

「〈絶縁破壊〉は対象不在で不発ぅ……」

 

「〈毒蛇〉が消えたので攻撃も不成立。直後、墓地へ送られた〈うらみ〉の効果が誘発。わたしの手札に帰還します」

 

「ずっこい!」

 

「蛇ですので」

 

 そしてわたしの場には、まだ攻撃できる子が残っています。

 

「続けて、蛇トークンで攻撃。

 あなたに付与された腐死カウンターが3つ以上のため、〈レズニアの湖沼〉が持つ劇症化3が有効化(アクティブ)。わたしのコントールする『発症』を持つクリーチャー全ては『祈絆』を得ています!」

 

「なにもなし、ライフで受ける!」

 

「成立。ライフダメージの()()()()腐死カウンターを1つ贈呈し、わたしは1点のライフを回復」

 

 これで腐死は5、わたしのライフも15枚に回復。

 そう簡単に終わってはくれませんか。

 ああ、ゾクゾクします。

 

「ターンエンド」

「アッシの、ターン!」

 

 レディ、アップキープ、ドローと進み──笑った?

 

「セット、〈鏡湖の礼拝席〉。

 こうなったらこっちもやりたい放題する番、目には目を、塙には塙を!」

「歯には歯を、じゃありませんでしょうか?」

「あっ、歯には歯を、ファイトにはファイトを!!」

 

 フィールドを挟んで感じる気配が変わる。

 明るいコトちゃんにも似た太陽のような気配から、機械の歯車のような冷たい色に。

 

「6軽減──1コスト!」

 

 フィールドに青い結晶が生まれていく。

 それはいつしか無骨に組み合わさり、脚が造られ、腕が造られ、顔に2つの火が灯る。

 

「〈魔造護兵(スイストアッフェ)・ミアライトエンフォーサー〉!」

 

 魔法で生み出された鉱石の巨兵が立ち上がった。

 

「パワー4タフネス4! 【共心(秘宝)】を持つ、色を持たない秘宝/クリーチャー。特殊な力は殆どないけど、つまりこのカードは!」

 

「まさか」

 

()()()()()()()()! 7軽減──0コスト!!

 カモン、〈ミアライトエンフォーサー〉セカンド!」

 

 立ち上がる2体目の4/4。それだけでも厄介だというのに、更にもう1枚。

 

「8軽減──青ダブル!」

 

 色彩()を2枚ステイにして起動される。

 

 

()は嵐の先触れ、人が生み出した叡智と、竜の交わりし魔を断つ剣」

 

 

 いつの日かお家で見た、レガシーなるカードには遠く及ばない。

 それでも間違いなく、力あるカードが──来る。

 

 

「墜ちよ」

 

 

 手札より引き抜かれたカードが、ボートに叩きつけられる。

 

 

「〈空鳴(そらな)らす戒響(かいきょう)、アズ=ルテム〉!!」

 

 

 跪く2体の巨兵の間に、星が落ちるようにソレは現れた。

 紺碧の鱗に覆われた体に翼はなく、半透明に透けた、機械と魔術が組み込まれた異形の神秘。──嵐を纏う東洋龍が、フィールドに顕現する。

 

 

「……効果は」

 

 流れた汗を拭いながら、ボードを操作。

 内容を表示させました

 


 〈空鳴(そらな)らす戒響(かいきょう)、アズ=ルテム〉(青)(青)8

 スピリット・ドラゴン

 X/X

【共心(秘宝)】──このカードをプレイするコストは自身のコントロールする秘宝1つにつき(1)少なくなる

【飛行】

【神秘2】──このクリーチャーが対戦相手がコントロールする魔法や効果の対象になるたび、そのプレイヤーが(2)を支払わないかぎり、その魔法や効果を打ち消す

 空鳴らす戒響、アズ=ルテムのパワーとタフネスは、あなたのコントロールする秘宝の数と等しい


 

 即ち、

 

「8/8の耐性持ち飛行クリーチャー!」

 

 自信満々な宣言でした。

 

 

 

 

 

「見て見て、拙の友達あんな可愛く笑うの!」

「アタシの親友もあんなに楽しそうなの久々かも!」

 

 

 

 

「どやさぁ!」

 

 絶望的な盤面、対処手段の欠如、見えている決着。

 

「参ったか!」

 

「そうですね、参ってしまいそうです」

 

 なにせわたしのデッキに、アズ=ルテムを破壊できる全体除去は入っていないのですから。

 

「なので」

 

 しかしそれは、勝ちの目が無くなったことを意味しません。

 

「先に毒殺させていただきますね?」

 

「こっわ」

 

 素の反応で返されると困ります。

 

「これでアッシは、ターンエンド!」

 

 そしてファイトとは、こういう逆境こそ本懐なれば。

 

「わたしのターン!  レディ、アップキープでトークンが生成、ドロー!」

 

 昂る鼓動に共鳴するように、欲しいカードが山札から弾き出された。

 

「セット、変容色彩(土地)〈関門橋の大渦〉。簡単に説明すると、青になった〈泥沼〉です」

 

「ひいふうみい……5コスト!」

 

「〈大渦〉から2コスト生産、1コストで魔法〈凍裂の模様占い〉を発動いたします!

 わたしのメインデッキのトップ3枚を確認し──1枚を手札に、残りをデッキのボトムへ送り『拡大』。対象はわたしの色彩2つとリクさん自身!」

 

 見つけた。

 

「続けて〈泥沼〉より2コスト生産。2コストで魔法〈毒液まみれ〉を〈ミアライトエンフォーサー〉を対象に発動させていただきましょう」

 

「効果はナンジャラホイ?」

 

「修正、-4/-4」

 

「みぎゃっ」

 

「そして拡大を行います。対象は先ほどと同じ」

 

「ぎゃぎゃぎゃっ!?」

 

 フィールドの底から湧き出たドス黒い液体に塗れて、輝く青い結晶の巨人が消滅する。

 これで腐死は7、エンフォーサーが死亡したことでアズ=ルテムは7/7に弱体化。上々と言ったところでしょう。

 

「最後、余った1コストで〈うらみ、ねたみ〉を蛇トークンに付与。バトルに入ります!」

 

 止めなければ毒殺が成立ですよ?

 

「蛇トークン2体で攻撃!」

 

「1/1のトークンはアズ=ルテムで、3/1のトークンはエンフォーサーでブロック!」

 

「対応はありません」

 

「解決! アズ=ルテムが6/6に、エンフォーサーが1/1に」

 

「蛇トークンが戦闘破壊、4点回復してライフが17へ。墓地に行った〈うらみ〉がわたしの手札に。何もなければエンドまで」

 

 一歩ずつ、確実に。毒が回って仕留めるまで。

 らしくいきましょう♪

 

「んぁぁぁ!! このままじゃアッシはジリー・プアー。ならいっそ一か八か!」

 

「まあ」

 

「エンド前の優先権! アンタを対象に〈絶縁破壊〉をプレイ!」

 

「2点のダメージ」

 

 それくらいなら許容範──「アッシが3つ以上の秘宝をコントロールしている場合、代わりに4点のダメージを与える」──なんと。流石に少々、重いですね。

 

 

 

 

 

 

「4点火力!? 欲しい! アタシも使いたい!」

「拙の行きつけのカードショップなら、確かまだあったような。今度、一緒に行きましょう! ね、シノブ、いいわよね?」

「俺の怪我が治ってからで構わないか? 流石にこのままで出掛けたくはない」

「「はーい」」

 

 

 

 

 あっちも楽しそうでいいですね。

 ちょっと妬いちゃいそうです。

 

「ダメージチェック」

「魔石前提、変容色彩が多めの構築なのは見えてる! 通常色彩と呪言なんて出るわけ──」

「変容色彩、魔石、通常色彩、最後が……呪言」

「──なんでぇ!?」

 

 当然です。コトちゃんと……ううん、あの魔境(MeeKing)で遊ぶのにそんな雑なLifeは出来ませんから。

 

 




本日の戦死者──0
大型の敵性蟲群撃破! 共和国軍の勝利は続く!

──大本営発表 
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