アタシの切り札は数が多い   作:コピートークンA'本物exl

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ばあば(青 1/2 伝説)が言っていた、縛りのあるキャラでレガシーならMレア(弱体化)を突っ込んでもいいと。


15:象徴とは、事実上の機能不全にも等しい

 

「効果を説明いたします」

 

 透明な炎を灯しながら、ミレイちゃんが言葉を唱える。

 

「無色7コスト、パワー7、タフネス7、このカードは【象徴】を持つ」

 

「しょーちょー?」

 

「〈嵐の御名〉は攻撃できず、ブロックできず、ファイターにダメージを与えられず、攻撃対象に選択されるが、召喚酔いしない」

 

 つまり、そこにいるだけ?

 それに攻撃先……あっ、ほんとだ。ファイター以外に攻撃対象として選択出来るようになってる。

 

「戦闘ダメージ自体は双方に発生します、わ」

「教えてくれてありがと」

 

 注意だね。

 

「これは拙の未熟が故に起きてしまった欠損。

 ですが、他のお力は揃っています。〈嵐の御名〉が顕現した時、フィールドにある有色の場に存在するカード(オブジェクト)1つをゲームから除外する」

 

「ッ、でも色彩カードは色を産んでも、それ自体に色は持たない!」

 

「ですので、対象とするのはコピーではないスワロウテイル!」

 

 轟、と透明な炎が走り、アタシの周りを飛んでいたスワロウテイルが焼け落ちた。頬に当たった火の粉が熱い。風が痛い。ボードを使ったファイトでも、こんなの初めて。だけど。

 

「もんだいなし!!」

 

 不安そうなミレイちゃんを励まして、自分自身にもがんばれって応援するために頬を拭う。

 だってリーサルではなくなってしまったけど、まだアタシの方がファイトは有利。全然あきらめる理由になんてならないんだから!

 

「〜〜ッ! 拙は、これでターンエンド」

「アタシのターン!」

 

 れでぃ、アップキープ、ドロー。

 眼帯で見えないけど泣きそうな目を、真っ直ぐに見つめ返しながら未来を手繰り寄せる。

 

「セット、魔石(コア)〈大群の呼び声〉!

 これがある限り、アタシが生成するトークンの数は2倍になる!」

 

 これでアタシは最大出力、レガシーにだって負けない。レガシーカードも無敵じゃないって、頻繁に爆散してる勇者王のお陰で知ってるから!

 

「続けて1コスト、〈機動甲虫の先触れ(バグレギオ・ポーテント)〉をスワロウテイルの下に羽化。速攻とコストの生産能力を付与しつつ、スワロウテイルの効果を起動。2枚目の赤の色彩をセットして、全員の〈大群〉効果を誘発。増殖!」

 

 スワロウテイル 1→3

 機動甲虫の大群 4→12

 

「いま羽化したスワロウテイルをステイして1コストを生産、スワロウテイルコピーを対象に羽化。(青)(青)(赤)3の6コスト!」

 

「其は壺蟲の天が(いただき)、叡智語る智慧者の残影」

 

 機械の蝶が内側から崩れながら、群れを成す大群の中に墜落する。そうして生まれた蟲の揺籠を破り現れたのは──人型。

 

「我は問う、汝は人なりや?」

 

 お腹の奥から溢れる力をカードに込めて、名前を呼ぶ。

 

〈壺蟲天・放逸する夢奏(むそう)、ウィン=ドリク〉!

 

 黒い肌に青い髪を揺らし、光を宿した長い杖を手にした女性。赤黒いローブを身につけ、蟲の足にも似た王冠を被った赤い眼の魔法使い。

 

 

 

 


 

 〈壺蟲天・放逸する夢奏(むそう)、ウィン=ドリク〉(2)(赤)(青)(黒)

 クリーチャー・魔術師・精霊・ドラゴン 

 6/6

 【貫通】【羽化:(3)(赤/黒)(青)(青)】

 このクリーチャーが羽化するたび、魔法・瞬間魔法のカードが追放されるまで、あなたのデッキの一番上からカードを1枚ずつ除外する。それをコストを支払わずにプレイするか、あなたの手札に加える。

 


 

 

 

 

 でもかわいい女の子。

 虫さんだらけのアタシのデッキに初めて入ったかわいい女の子!!

 ちょー嬉しい!!

 

 のはひとまず置いておいて。

 

「〈ウィン〉と〈スワロウテイル〉の効果が誘発!

 これが羽化するたび魔法・瞬間魔法のカードが出るまで、アタシのデッキを上から1枚ずつ除外。それを唱えるか手札に加える」

 

 1枚目──モスキーテン、除外。

 2枚目──メレラクレス、除外。

 3枚目──

 

「〈雷撃〉が見えたから手札に。続けて“スワロウチャージ”!

 デッキから白の色彩をセット。増殖が再び誘発!」

 

 ウィン=ドリク  1→3

 スワロウテイル  2→6

 機動甲虫の大群  12→36

 

「おや。拙にも〈嵐の御名〉にも撃たなくてよいので?」

「呪言が暴発するのもやだし、効果が分からないクリーチャーへ素直に除去を撃ちたくないからね」

 

 特にさっき、神秘なんて能力があるのも覚えたし。

 

「それに、雷撃なしでも倒せるもん。バトル!」

 

 でも念のため攻撃は分けておく。

 

「攻撃可能な〈大群〉4体で〈嵐の御名〉を攻撃!」

「対象選択後にスタック、〈嵐の御名〉の効果を起動いたします」

 

 やっぱり何かあった!

 

「ステイさせることで自身に+1/+1カウンターを2つ置き、拙は3点のライフと1枚のドローを得ます」

「うそぉ!?」

 

 あんまりな能力に思わず声が出た。

 レガシーってこんなにずる、ズル…………く、ないかも。ヴァイスファングもそうだし、ユウキちゃんが見たっていう天界竜?は敗北しないって滅茶苦茶らしいし。

 

「でもダメージは通る! 行って〈大群〉たち!」

「嵐と炎の前に散れ、蟲!」

 

 嵐に突っ込んで行った大群が欠片も残さずに燃え尽きる。

 それでも戦闘は成立してるから、〈嵐の御名〉の残りタフネスは5。

 

「羽化した〈ウィン〉は速攻を得ている。

 6/6の〈ウィン〉で〈嵐の御名〉に攻撃!」

「させません。スタック。拙は手札より代用(ピッチ)コストとして、無色のカード1枚を追放し瞬間魔法〈大嵐の加護〉を発動!」

 

 


 

〈大嵐の加護〉(X)(1)(青)

 瞬間魔法

 あなたはこの魔法のコストを支払うのではなくあなたの手札にある、コスト総量がXである色を持たないカード1枚を除外することを選んでもよい。

 1つを対象とする。それはこのターンの終わりまで、+X/+Xの修正を受ける

 


 

 

「追放した〈キレルヴァの巫女〉のコストは4、よって+4/+4の修正!」

「届かなかった……ウィン本体が死亡、墓地に行くよ」

 

 怪しい色の魔法を放ったウィンに反撃の炎が届き、跡形もなくその姿を焼き尽くす。〈雷撃〉を打ってれば、でもああいうデッキならもっと大きなカードを抱えててもおかしくないし……

 

「ターンエンド!」

 

 どのみち次のアタシのターンで倒せるから、たられば? にられば? だっけ。そーゆーのは考えない!

 

「拙の手番。レディ、アップキープ、ドロー」

 

 いま『あっ』って顔しなかった?

 

「2枚目の〈塔〉をセット。3コストを生産、〈信号旗〉をステイして1コストを赤に変換。瞬間魔法〈ドラゴンブレス〉をプレイ。

 フィールドのドラゴンではないクリーチャー全てに2点のダメージを与えます。えいっ!」

 

「あーーーー!!!!」

 

 全滅!

 全・滅!!

 

 

 

 

 

「こーも一気に撃破されると、絶景かなぜっけーかなぁ! いやアッシのデッキも似たようなことされるから胃が痛い」

「泣きそうなコトちゃんもかわいいです」

「だが、ドラゴンでもある〈ウィン〉は場に残った」

 

 

 

 

 

 そ、そうそう!

 羽化すれば速攻になる、飛行・貫通のコストも産めるし持って来れる6/6の子がまだアタシの場には残ってる。当然増えるしまだ大丈夫!

 

「〈嵐の御名〉をステイ、3点の回復と1枚のドロー。11/11へと修正されます」

 

 だいじょばないかも?

 

「続けて無色7コスト、〈キレルヴァの巨人〉を召喚!

 これは6/6で【連喚】──自身より低いコストのカードが出るまで拙のデッキを上から除外し、それをコストを踏み倒してプレイ。残りはデッキのボトムに送る能力を持ちます」

 

「全然だいじょばなかった!」

 

「1枚目──〈キレルヴァの巫女〉、召喚して能力の起動まで」

 

「対応はないよ!」

 

「ならば拙のライフデッキより、3枚目の〈塔〉を手札に」

 

「アタシよりコストがいっぱい!」

 

 これで次のターンには2+2+3+3+3で13コスト!

 

「拙は状況を終了!」

 

「アタシのターン!」

 

 次のターンに未来はない。

 

「れでぃ、アップキープ、ドロー!」

 

 アタシの手札はライフ2枚、メイン6枚。

 このターンで、19まで回復したミレイちゃんのライフを削り切る!

 

 

 

 

 

 

「精霊、せいれい……! 優秀な、母体。この手に、この手ニィィギガガガ」

 

「失せろ、カス共。ここから先は、幼気で善良なる者以外立ち入り禁止だ。己たちは入れない」

 

「ゴバッ!?」

 

 太く、鍛え上げられた腕が闇ファイターに突き刺さる。鍛えられてもいない一般人に耐えられるはずもなく、当然の帰結として気絶。ボードを砕き、デッキを取り上げて縛り上げる。

 

「これで3人目。多いが、これだけ強いスピリットが撒き散らかされていれば突然か」

 

「まさか、かの高名な闇狩りの手を借りられるとはな。身共だけでは守りきれなかった、心から感謝する。スカー

 

「いいや、構わん。無作為に探し回るよりは、ここの方が己の目的が果たせる可能性は高かった」

 

 武装した大人2人が視線を向ける先は、神聖なる学び舎の一角。精霊とレガシーがぶつかり合う、闇知らぬ子供が生み出す眩いまでの光。

 光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。弱く数が多い(使い勝手のいい)ファイターも多い以上、アレが駒の補充に来る可能性も無くはなかった。が。

 

「アテは外れたようだ。喜ばしいことに」

 

「あの1位ですら殺しきれなかった輩、か。考えたくもないな」

 

 悪名高き【顔差し(ネームド)】の怪物。

 あの子達があのまま成長すれば、いずれは遭遇してしまうかもしれない。だが今はまだ、そんな人外の輩と戦うには早すぎる。

 守られるのなら守られるべきだ、自分は大人で、彼女たちは子供なのだから。

 

「教師だと言うならば、しかと守り導くことだ」

 

「身共は未来ある子供の盾だ。彼女たちとて守る相手に違いない」

 

 覚悟を告げながら腰の本からページを破り取り、触媒として背負っていた弓に光を番える。狙うは校舎を挟んだ反対側、現役時代のツテで呼んだ護衛の警備ポイント。

 

「ブックス!」

 

 番えた光を離せば、校舎を飛び越え吸い込まれるように侵入者へと落ちていき──いま、当たった。

 

「無論、矢である義務を捨てたこともない」

 

「お見事」

 

 インカムからは確保の連絡が入り、再び子供達の声だけが聞こえる平和な日常が戻ってくる。

 

「しかし、本当に良かったのか? 報酬があんな程度で」

 

「ああ。半分は己の私情が由来だ、気にすることはない」

 

「ならば良いのだが………」

 

 しかし本当によかったのだろうか?

 身共も姪にせがまれて手に入れたものであるし(既に興味はなくなっていた)、確かに市場には滅多に出回らないカードではあるが……

 

 <Si☆STAR サクラ舞うスール>

 小学校コラボ配布限定Ver(絵違い)

 包装未開封

 

 なんかで。





 夢を織り、人に仇なし、竜すら喰らう。
 蟲は語る、賢者の言葉を
──〈壺蟲天・放逸する夢奏、ウィン=ドリク〉 
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