アタシの切り札は数が多い   作:コピートークンA'本物exl

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本日2話目


02:誘発する効果は条件を満たした回数誘発する

 

「3コストの1/1? なにかあるんでしょうけど……重いデッキなら、仕留め切れるラインまでは攻める! 私のターン、ドロー!」

 

 ターンが回る。

 これで向こうは2コスト、除去とかマイナス修正か飛んで来ませんよーに!

 

「土地をセットして、2コストで秘宝(アーティファクト)〈未来占いの水晶〉を配置(キャスト)。この秘宝は配置した時、私のメインデッキの1番上を確認してデッキの下に送れるわ。これは……下に、そのまま続く効果で1ドロー」

 

 よしよし、ゆっくり動いてくれている。

 これなら何とかなってくれそうだ。

 

「因みに〈水晶〉も、2コストを払って生贄に捧げることで、私のライフを3回復し私のクリーチャー1体に+1/+0の修正を与える効果を持っているわ」

 

 回復は代用カード3枚を下から押し込む形らしい。

 Lifeのライフは最大で20枚、今のおねーさんのライフは16だから、攻めるなら一気に攻めなくちゃいけなくなった。

 

「バトル! 〈ひよっこ魔術師〉で攻撃」

「ライフで受けます!」

 

 ていや、とひよっこの放った魔法が目の前で弾け、ライフデッキが1枚捲られる。そのカードは魔石や呪言ではなく、()()。それは流れるようにコストゾーンへセットされ、

 

「この瞬間、アタシのコントロールする土地が場に出たことで〈大群〉の『開拓』能力が起動します!」

 

「開拓?」

 

「はい! 土地が自分のコントロール下でフィールドに出る度、1/1の昆虫・クリーチャートークンをレディ状態で生成する能力です」

 

「へぇ、同じトークンを使うファイターだったのね。でもそれじゃ──」

 

()()()、」

 

 大群の能力の真骨頂はその先にある。

 

「アタシのコントロールする土地が5枚以上の場合、代わりにこのカードの全ての情報を持ったコピー・トークンを生成します!」

 


 

〈機動甲虫の大群〉 (3) 1/1

 クリーチャー・昆虫

 開拓(土地が自分のコントロール下でフィールドに出る度、1/1の昆虫・クリーチャートークンをレディ状態で生成する。自分のコントロールする土地が5枚以上の場合、代わりにこのカードの全ての情報を持つコピー・トークンを生成する)

 


 

 ズズズ、とフィールドへ出現する鋼の蟲。

 ステータスは貧弱、だけどねずみ算式にその数を増やしていく厄介者。何が起きるかを察したのか、おねーさんの笑顔が引き攣ったように見えた。

 

「……ターンエンドよ」

 

 あるいはそれは、台所の厄介者でも思い出したからかもしれないけど。

 

「アタシのターン!

 れでぃ・アップキープ・ライフドロー・メインドロー……そして、土地(ランド)をセット」

 

 当然、開拓が誘発する。

 

「大群とコピー、それぞれの『開拓』が誘発! それぞれのコピートークンを生成!」

 

 効果で〈機動甲虫の大群〉の数が4体へ増殖。

 使えるコストも6あるし、土壌はこれで充分……なはず!

 

「アタシは羽化コストの1で〈機動甲虫の先触れ(バグレギオ・ポーテント)〉をプレイ! 羽化の元は〈機動甲虫の大群〉のコピートークンを指定します」

 

 えーと、こういう時おにーさんは。

 

「通りますか?」

 

「何も対応はないわ。けど、羽化ってどういう効果かしら?」

 

「はい! 羽化は本来のコストとは違うコストで使える代わりに、人間以外の幻獣(クリーチャー)の上か下かに置くコストの代替能力になります」

 

 メリットとしては、殆どのカードが本来のコストより低いコストでプレイできること。デメリットとしては、クリーチャーがいない限りそのコストにしては弱い能力のクリーチャーが多いこと。

 

「追加の能力として、1番上のクリーチャーは重ねられている下のカードの能力を全て持ちます。今回なら『開拓』を、あとは『飛行』とか、〈ひよっこ魔術師〉のトークンを出す能力みたいなのもコピーできます」

 

「それはそれは……厄介ね。〈先触れ〉も教えてくれるかしら」

 

「はい! 2コスト、0/1、飛行、羽化1、ステイすることで1コストを生産できます。また羽化している場合、この子は速攻を持つ」

 

「ふふふふ…………ごめんなさい、本気も本気でいくわ」

 

 おねーさんの気配が変わった。

 こんなのを聞いたら誰だってそーする、アタシだってそーする。でも油断してくれてたおかげで、アタシが一歩先を行く!

 

「何もないなら解決、〈先触れ〉が着地します。

 続けて羽化の3コストで〈機動甲虫(バグレギオ)スワロウテイル〉をプレイ! 同じく指定するのはコピートークン」

 

 ブゥンと飛び立った鋼のミツバチと、キラキラと舞う鋼のアゲハ蝶。鋼の蟲が変態する、数を頼みとする姿から新たな形を得て。

 

「この瞬間〈スワロウテイル〉の効果が起動!

 このクリーチャーが羽化する度、アタシのライフデッキから効果を持たない土地・カード1枚をステイでセットし、ライフデッキを切り直す。 スワロウチャージ!」

 

 土地が置かれる、それが意味することは即ち。

 

「それぞれの『開拓』が誘発します。

 〈大群〉が4体、〈先触れ〉が2体、〈スワロウテイル〉が2体へ増殖!」

 

 残念ながら先触れの片方は羽化をしていないので速攻を持たず、スワロウテイルも効果を発動してくれない。でも、まだまだ終わらない。

 

「続けてアタシは手札から瞬間魔法〈大群の乱動〉をプレイ! 土地は2コスト分しかないですけど、先触れ1体は速攻を持っているのでステイしてコストをねんしゅつ?します!」

 

「〈乱動〉ってまさか!」

 

「そのまさか! 効果によりアタシの土地を1つ生贄に捧げ、ライフデッキから効果を持たない土地・カード2枚をステイ状態でセット!」

 

 典型的なコストの加速カード。使いきれなかったコストはダメージに変わるLifeにおいて、人によって好き嫌いがすっごく分かれるカード。

 

 だが土地が置かれるということは、

 

 開拓が誘発する。

 

「2回誘発した効果によって、〈大群〉の数が12、〈先触れ〉が6、〈スワロウテイル〉も6体へと増殖!」

 

 フィールドを埋め尽くす蟲、蟲、蟲。

 隣のフィールドにいる人がギョッとした顔を向けるこちらのフィールドは、所狭しと蟲が溢れている。

 アタシのライフをたったの10になるまで燃やして生まれた、数という名の暴力。1/1が12体、3/2飛行が6体の合計29打点。24体のクリーチャー。

 

「アタシはこれで、ターンエンド!」

 

 事実上の死刑宣告(超過打点)に、それでもおねーさんは不敵な笑みを浮かべて。

 

 ──キチキチ

 ギィギィ──

 ピ─────

 

 蟲たちが、騒がしく声を上げている。

 なにかが来ると、危ないと。アタシ自身も感じる感覚に、ぎゅっと手札を握り締めた。

 

「私のターン。レディ、アップキープ、ドロー」

 

 淡く光る引き抜かれたカードが反転、アタシにも見えるようになって。

 

「この瞬間、私が引いた魔法〈魔女たちの篝火〉のオープンを適用! このターン、私は本来のX+1コストではなくXコストだけでこのカードを唱えられる」

 

 引き抜かれた全体除去に、今度は私が顔を引き攣らせる番だった。

 

「土地をセット。

 Xの2コストを支払って、詠唱(キャスト)〈魔女たちの篝火〉!

 このカードはファイターを対象として、ファイターとそのコントロールするクリーチャー全てにX点のダメージを与える。対象はあなたよ!」

 

「嫌です、対応して〈防災〉をプレイ! 土地を3枚墓地へ送ることでコストを代替します!」

 

 キャンプファイアーのように燃え上がりかけたフィールドが、元の静寂を取り戻す。危なかった、全滅するところだった。もっててよかった妨害カード!

 

(これで残りは1コスト)

 

 まさか大型のクリーチャーなんて出せる筈はなく、次のターン一斉攻撃でアタシの勝ちだ。そのはずなのに。

 

 ──キチキチ

 ギィギィ──

 ピ─────

 

 まだ死んでいない。

 

 そんな予感がした。




強力無比な筈のその一撃は、迫る大群の前には小さな細波にしか見えなかった
 
──ドラゴンブレス 
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