アタシの切り札は数が多い 作:コピートークンA'本物exl
※忘れてた効果の処理を追加しました。失礼をば※
カードの使い方が変わったなと、ファイトを見てて思った。
「1+X+X、わたしはXを2点のライフと1コストで支払い瞬間魔法〈局部壊死〉を発動。-5/-5の修正、対象はコトちゃんの〈スワロウテイル〉!」
「対応するよ、瞬間魔法〈蟲群のさざめき〉!
スワロウテイルに+1/+1カウンターを置いて、ターンの終わりまで『相手の効果の対象にならない』効果を付与するよ!」
去年くらいまでのネコは、どれだけ自分のフルパワーで戦うかみたいな相手だった。それでも十分強かったのに、今はぜんぜん違う。
「3コスト〈機動甲虫の大群〉を召喚!」
「
〈大群〉に-1/-1の修正、コトちゃんの『腐死』カウンターは4つ以上だから『劇症化』を達成。追加で-1/-1!」
「にゃー、死亡します」
「死亡したことで追加効果、コトちゃんに『腐死』カウンターを追加!」
あれだけ眩しかった共鳴の輝きは鳴りをひそめて、それでも
「バトル! 蛇トークン達と〈穢れ沼の毒蛇〉、〈うらみ、ねたみ〉が付いた〈朽葉潜みの毒牙〉で攻撃。〈毒牙〉はブロックされません!」
「対応して〈
これは対象を取らないから〈毒蛇〉の効果は誘発しないよ!」
「くっ、全滅いたします……!」
それに釣られるように、センカの方も強くなっている。
あのエースをみんなで買ったパックから引き当ててから、それこそネコ以外が相手にならないくらい。
「羽化、〈メレラクレス〉!
強化修正とトークン生成、ドローと回収に土地加速。合計修正は+5/+6だから、最終的な能力は9/10の飛行・貫通・破壊不能・祈絆を持った超大型!」
俺1人だけが一歩後ろにいて。
昔約束した『2人に絶対に勝つ』ことも、果たせるか分からなくて。
少しだけそれが、情けなくて悔しかった。
やっぱり〈先触れ〉を重ねられてないから速攻を持ってないのが辛い。アレばこのターンで決められたのに。
でも、防御も火力も手札には構えられている。トークンで戦うんじゃない、エースに全部を乗せる戦い方でも戦えている!
「アタシはこれでターンエンド」
『腐死』カウンターは既に8個。拡大を使ってくる魔法を防ぎ損ねたら負けちゃうラインが見えている。
ただ、次のターンでアタシの勝ちも見えている。セッちゃんのデッキにあるクリーチャーのサイズは大きくて2/2しかない。セッちゃんのすり減ったデッキは、貫通で削り切れる。
その筈なのに。
なぜか、嫌な予感が止まらない。
「わたしのターン。
レディ、アップキープ時に蛇トークンを生成し、ドロー」
ちかりと、メインデッキから引き抜かれたカードに仄暗い光が見えた気がした。
「見せてあげるコトちゃん、わたしの新しいエースを!」
!?
「劇症化によって4軽減、来て〈穢れ沼の主、レズニア〉!」
ザワザワと蟲が騒めくような気配の中着地したそのカードは、女の人の胴体に蛇の下半身を持ったラミアのクリーチャー。8コスト4/4、劇症化の軽減と発症を持っていて……
「このカードがダメージを与えた時、そのファイターのデッキの上から4番目を横向きにする。横向きのカードをドローしたファイターは敗北する!?」
おまけに横向きカードがある場合、シャッフルやデッキを見るのを封じる効果まである。〈亜人の忌み王〉みたいにフィールドに1体しかいられなルールを持つ、文字通りのエース……!!
「そして当然狙わせてもらいます! 墓地から3コストで〈燃え盛る突進〉をフラッシュバック、対象は〈レズニア〉! さらに〈うらみ、ねたみ〉を同じく〈レズニア〉に!」
これで9/4の速攻、貫通! 受けたら毒殺どころじゃなくライフデッキごと消し飛ぶ!
「バトル、〈レズニア〉で攻撃!」
「〈メレラクレス〉でブロック!」
同じ数量のプラスとマイナスのカウンターは相殺される。
「レズニアは死亡、祈絆でアタシは4点回復するよ!」
「おなじく〈レズニアの湖沼〉の劇症化で付与された祈絆にて、9点を回復いたします」
そしてメレラクレスのタフネスは10、おかげで辛うじて死にはしなかったけど……
「ッ。最終修正、メレラクレスは0/1に」
「仕留めきれませんでしたか……!! 〈うらみ、ねたみ〉を回収いたします」
……これでアタシも攻め手を失った。
手札にあるのは〈大群の呼び声〉と〈スワロウテイル〉、それと〈衝撃〉だけ。ライフが削りきれない!
「ターン、エンドですッ」
「アタシのターン」
れでぃ、アップキープを経由して、メインデッキとライフデッキから1枚ドロー。何か打開できるカードを! そう願って山札から引いたのは──────
「あっ、勝った」
1コスト、瞬間魔法〈雷撃〉。
任意の対象1つに3点のダメージを与えるバーンカード。
ファイトの決め手になったのは、そんななんてことないカードだった。
「しくしく、負けてしまいました」
「アタシの勝ち〜、ぶいっ!」
「危ないぞ、車道近いんだから」
背負ったランドセルに振り回されるように、3人で歩く道でくるくるとアタシは回る。
あの後オーくんともファイトしたし、久し振りにみんなで遊べてすごい楽しかった。それにあんな勝ち方してもいいんだって初めて知った。
えっへっへ、やっぱりファイトは楽しいなぁ!
まだちゃんと考えるのはむずかしーけど。
「俺が倒すまでに怪我とかでファイト出来なくなるとか、許さないからな! ネコトも! センカも!」
昔から言われて慣れてても、そんなことを言われると未だにちょっとどっきりしちゃう。多分そういう意味じゃないんだろうけど、思わずセッちゃんとも顔を見合わせて。
「大丈夫だもん」
「「ねー!」」
「ああもう!」
きっとこうやって、なんてことのないありふれた1日は過ぎていくのだ。
ずっと覚えている、貴方が忘れてしまっても