チュートリアル兼サポート兼裏ボスやってるタイプのお兄さん   作:ゲガント

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それでは、どうぞ


ポケモンバトル チュートリアル

「あれ、マント?」

「わぁ!オシャレで可愛い!」

「イエッサ」

 

目を丸くするハルトと目を輝かせるアオイに対しペコリと丁寧にお辞儀をするイエッサン。

その姿は普通のイエッサンとは違い右目が長くなった毛で隠れ、首元から胴体にかけて白色のケープで覆われていた。

 

「色々事情があってね。勿論何の効果も持たないケープだからバトルへの影響もないから安心してくれ」

「エッサ」

「成る程!そういう事なら…っと?」

「わわっ!?」

「な、なんか不思議な感じが……!」

 

早速ネモが先陣を切って指示を出そうとした瞬間、バトルコートに桃色の霧のような物が立ち込めふわふわとした空間を形成し始めた。

 

「これって……そっか!その子の特性サイコメイカーなんですね!」

「御名答、珍しい特性なんだけどよく知ってるね」

「サイコメイカー?」

「イエッサンが持ってる特性だよ。バトルに出た瞬間、周囲のフィールドを不思議な状態にするの」

「サイコフィールドと言ってね、色々と効果があるんだが………まぁコチラから攻撃はしないし現状あまり意味はないから気にせずかかっておいで」

「それじゃあ遠慮なく!クワッス、みずでっぽう!」

「クー、ワーッ!」

 

指示を出されたクワッスが少しばかり力を溜めて嘴から水流を放つ。

 

「イエッサン、弾け」

「エ〜ッサ」

 

もう少しでイエッサンを捉えるかと思われたその時、ケープの内側から左手を出したかと思えばパシンッ、と向かってくる水鉄砲を弾きそのまま霧散させてしまった。

 

「それじゃあ私も……!ニャオハ、このは!」

「ホゲータ、少し待ってからひのこ!」

「ンニャニャ!」

「ホー……ゲェッ!」

「いなしてクワッスを跳ね返せ」

「イエッサ」

「クワッ!?」

 

今度は木の葉の奔流とそれとタイミングをずらした小さい火の玉が迫るが、その両方を軽やかな舞のようなステップで避けたイエッサンは2つの技に隠れるように近付いて踊りかかっていたクワッスに左手を向ける。

すると、クワッスの身体は空中で減速しまるでトランポリンで跳ねたかのよう弾かれネモの元へと帰って行ってしまった。

 

「あちゃー、バレちゃってたかぁ」

「2人の攻撃が着弾した時にこっそり指示を出して不意打ちを狙った、ってとこかな。やー、判断力が良くて大変よろしい。ハルトくんもアオイちゃんも指示出しが的確だね」

「「あ、ありがとうございます!」」

「アンラ先生こそ!3匹同時に相手してるのに全部個別

に対処が()()()()()()って凄いね!」

「野生のポケモンの群れはこの数倍の量で迫って来るからね、複数戦は慣れてるんだよ」

 

同時攻撃や不意打ちを尽くいなして余裕そうに立つイエッサンからはある種のプレッシャーが感じられ、相手側のポケモンやトレーナー達は若干気圧される感覚に襲われる。

それを跳ね除けいの一番に動いたのはバトル慣れしているネモであった。

 

「よーし、次は更にコンビネーションで行くよ!2人は攻撃に集中して!」

「……!分かった!ホゲータ、ニャオハと息を合わせて!」

「いっくよー、ニャオハ!」

「「たいあたり!/ひっかく!」」

「ホッゲェ!」

「ニャアッ!」

 

トレーナーの指示通り、走り出したニャオハとホゲータは2方向から同時に攻撃を仕掛ける。

それを見ていたイエッサンも直ぐ様対処に回ろうと構えるが、

 

「ここ!クワッス、なきごえ!」

「ググッ、ワ〜ッ!!」

「イエッ……」

 

その後方から響く音に一瞬だけ身体が硬直する。

無防備になった身体に体当りと爪が迫り……

 

 

「イエッサン、1m()()()

「エッサ」

 

 

攻撃が当たる瞬間、2匹の身体の向きがどういう原理か反転した。

 

「ンニャ……?」

「ホゲ……?」

「えぇっ!?」

「今たしかに当たったはず……!?」

「いい連携だね、じゃあお次はコチラからだ。イエッサン、最小出力でスピードスター」

「イエー……サッ」

 

理由のわからない空振りに驚く面々を他所にイエッサンの周囲にファンシーで小さな星型のエネルギー弾が10個程出現し、一斉に流れ星のように射出される。

標的は相対する3匹で、バラバラに放たれた筈のエネルギー弾は全て当たるように軌道を修正しながら迫っていた。

 

「クワッス、みずでっぽう!2人共、スピードスターは命中率がとっても高い!避けるより撃ち落としたほうが確実だよ!」

「分かった!ニャオハ、よーく狙ってこのは!」

「ホゲータ!向かってくる星を引きつけてひのこ!」

「クワッ!」

「ンーニャッ!」

「ホーゲェッ!」

 

そして各々が得意なタイプの技を駆使し迫る驚異を撃ち落としてゆく。相殺した際に発生した土煙が晴れた頃には既に発射したエネルギー弾は全て消滅し、無傷のニャオハ達が今か今かと指示を待っている姿で現れた。

 

「うんうん、確かにその行動は正解だ。

 

だが他から意識を逸らすのはいただけないな」

「…ッ!クワッス、ジャンプして!」

「イエッサン、引け」

 

何かに気づいたネモが指示を出そうとするも、それよりも先にイエッサンがケープの隙間から伸ばしていた左腕をクイッと引く動作を行う。

 

「ンニャァッ!?」

「ホゲェッ!?」

「グワッ!?」

「ニャオハ!?」

「ホゲータ!?」

 

瞬間、いつの間にやら3匹の足に結ばれていた光る糸が猛スピードでイエッサンの元に手繰り寄せられて釣り上げられ、最終的には更に何処からか出現した糸で3匹まとめてグルグル巻きにされてしまった。

 

「ニャ〜ア、ニャ〜ア!」

「ホ、ホゲェ……」

「ワッ、ンワッ…!?」

「イエッサ」

「クラベルさん、判定を」

「ええ、これ以上の行動は不可能でしょう。よって勝者、イエッサンとアンラくん」

 

いくら3匹が一斉に藻掻いても、未だ鍛えたことのない、戦闘経験皆無の彼らが抜け出せる筈もなくただのユラユラと自分達を揺らすだけで収まってしまう。

そんな様子を見てか、アンラに促されたクラベルも試合終了の判断を下したのだった。

 

 

 

 

 

「イエッサン、3人の元へ返してあげてくれ」

「エッサ〜」

 

バトルも終わり、これ以上拘束する意味もないので3匹は即座に解放、イエッサンのサイコパワーによってフヨフヨと浮きながらそれぞれの主の元へ送られた。

突然の終わりにハルトとアオイがボーッと呆けた状態でポケモン達を抱きかかえていると、2人と同じようにクワッスを抱えたネモが興奮した様子でアンラに詰め寄り始める。

 

「アンラ先生!今のどんな技ですか!?私見たことないです!」

「私が指示したのはサイコキネシスだよ。まあこの子が優秀で器用だからサイコパワーを糸状にしてああいう芸当も可能なんだ」

「エッサ〜」

「くぅ〜!見た時から思ってましたけどやっぱりこの子滅茶苦茶強いですよね!?今度私の本気パーティーとバトルして下さい!」

「勿論、私の相棒の1体に関してはボールの中でウズウズしてるだろうさ。時間がある時に必ず受けるよ」

「よーっし!絶対ですからね!ヒャッホウ!」

 

バトルの約束を取り付けられたからか、抱えたクワッスを高い高いして喜びを表現する。クワッスは突然の浮遊感に目を丸くするが直ぐに順応して楽しそうに鳴いている。

そんな様子のネモは一先ず置いておいて、今度は自身の新たなパートナーの頭を撫でてバトルでの疲れを労っていた2人の方へ向き直る。

 

「少し味気ない幕引きにして申し訳ないね。あぁそうだ、バトルを頑張ったご褒美に君達にはオヤツのポフィンをあげよう」

「ニャ?ンニャ〜♪」

「ホゲ!ホゲェ♪」

 

ずっと携えていた旅行鞄から袋に入ったお菓子を取り出し、2人に抱えられた2匹へと差し出す。

目の前に現れたそれをじっと見つめるニャオハとホゲータだったが、匂いを嗅いでから良いものだと気付くとそのまま美味しそうに味わい始めた。

それを微笑ましげに見守るアンラは今度はアオイとハルトに声を掛ける。

 

「2人もお疲れ様、良いバトルだったよ。これなら野生のポケモンとのバトルも上手くいくだろうね」

「あ、ありがとうございます」

「けど、イエッサンにダメージ与えられませんでしたし……」

「そりゃあキミ達とその子達は初めてのポケモンバトルだったんだろう?イエッサンは私と長年旅をしている影響で相当鍛えられてるし、予想外の出来事に対応するのは困難だろうさ……まぁそれはこれから先ポケモンと共に育む物だ」

 

少し落ち込む様子を見せる2人に少々苦笑いを零しながら頭をポンポンと撫でる。

その手つきは優しく、アオイとハルトはそれから気遣いのようなものを感じ取った。

 

「キミらには才能がある。しっかりと鍛えればチャンピオンも夢じゃないかもしれないね」

「「ホントですか!」」

「そうだとも。ですよね、クラベルさん、ネモちゃん?」

「えぇ、アンラくんの言う通り今から将来が楽しみです」

「うんうん!これからが楽しみ!ねね、2人が良かったら私と()ろ!」

 

今しがたバトルが終わったばかりにも関わらず、ギラギラと目を輝かせてアオイとハルトに次戦を申し込もうとするネモ。

腕の中でしれっとアンラから渡されていたポフィンを頬張っていたクワッスが驚いた様子で見上げているのも気付かず迫るネモを止めたのはクラベルだった。

 

「ネモさん、バトルの連戦はポケモン達に負荷を与えてしまいます。もしバトルするにしても、もう少し間を開けて差し上げて下さい」

「あっ確かに……なら仕方ないか!だったらポケモンの捕まえ方とかをレクチャーしてあげる!」

「それは良い案ですね。ではネモさん、お2人の事はお任せしますよ」

「はいはーい!じゃあ2人とも、コッチ着いてきて!」

「うん!あ、アンラ先生!クラベル校長!」

「色々とありがとうございました!」

 

一足先に走り出したネモへとついていく前にアンラとクラベルに向けてペコリと大きく一礼し、そのまま走り去ってゆく。

子供らしい元気な姿に、アンラは眩しそうに目を細めて静かに微笑んだ。

 

「良い子達ですね」

「えぇ、アカデミーの新たなる風となってくれる事でしょう。それより先ずは貴方の職場を案内しなくてはなりませんね」

「あぁ確かに……因みに私が使う予定の職員寮の部屋ってまだ準備が終わってなかったりしてます?」

「それについてはご安心を、既に入居しても問題無いように整備してありますよ」

「それはよかった。今から空いてるホテル探すのも面倒だったんで助かります」

 

元気よく走り去る子供達の背中を見送った大人達もまた、ゆっくりと目的地への移動を開始したのだった。




このイエッサンは1話で出て来たマスターボールぶっ壊してた子です。
サイコパワーの出力と制御が並のポケモンを遥かに凌ぐ程にイカれてます
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