~レヴァンサイド~
腕を食わせて妖怪を仲間にしたという、一生に一度もない体験をした僕は、現在……
「人間!ここは一時停止だぞ!ここを通りたいならあたいと戦えー!」
バカに絡まれていた。それ言うなら通行止めじゃないのか?一回止まったら進んでいいのか?
「チルノちゃん、一時停止じゃなくて通行止めだよ」
隣の緑は常識はあるらしいな。
「ルーミア、あいつら知り合いか?」
「そーなのだー」
「なら通してもらえるよう話してくれ」
「分かった~」
ルーミアに任せるのはかなり心配だが……まあ信じようか。
「チルノ、大ちゃん、あの人間はレヴァンだよ~」
「レヴァン?そうか!レヴァン、あたいと勝負だ!」
「いきなりそんな事言っちゃ駄目だよ。ほら、レヴァンさんも困ってるよ?」
「レヴァンは友達~。だから通して~?」
「ルーミアの友達?う~ん、それならしょうがないね!あたいは心が広いから通してあげる!」
「ありがと~♪」
「良かったね、ルーミアちゃん!」
………マジか。たいして期待してなかったがどうにかなったぞ。
「通してくれるって!」
「……エクセレント」
「えへ~♪」
サムズアップをして褒めてやると、両腕を真横に広げてクルクル回りだした。どうやら嬉しがっているようだ。珍しい感情表現だな。
「よし、行くぞルーミア」
「エクセレント~♪」
「意味が違う」
意味分かってなかったのかと、若干呆れつつも先に進む。
……………。
「え~!?この霧無くなっちゃうの?」
「レヴァンが今から消しに行くのだ~」
「仕方ないよ、人間のみんなはこの霧が駄目みたいだから…」
「あたい達は元気になってるのに~!大ちゃんだってそうでしょ?」
「うん、いつもよりもパワーアップしてるよ」
「でも私は負けたよ?」
「あたいは負けないよ!だってさいきょーだもん!レヴァン、勝負だ!」
「や、やめなよチルノちゃん…。レヴァンさんは急いでるんだから…」
「そーなのかー」
どうしてこうなった。
おかしいな、僕はルーミアに言った筈なのに、バカと緑の妖精までついてきたぞ…。
「あたいの顔に何か付いてる?」
「そうじゃない…何故お前達まで一緒にいるんだ?」
「友達なら一緒にいるのは当たり前よ!」
「いつ僕がお前達と友達になった」
「えっ…違うの!?」
「そ、そんな悲しい事言わないで下さい…」
「事実だろ。ルーミアは認めたがお前達は他人だ。勝手に友達にするな」
バカが「む~!」と唸って睨み、緑の妖精は涙目で見上げてくる。チッ……せっかく苦労せず進めると思ったが、やはり戦うしか…。
「2人とも、レヴァンはわすれんぼーだから忘れちゃっただけだよ」
「そ、そうなの?」
「なーんだ!レヴァンって思ったよりおバカさんだな!」
「……もう友達でいいよ」
拒否すればするほど僕に勝手なイメージが追加されるらしいな。天然って恐ろしい。
このバカ改めチルノは、ここいらでは最も強い妖精らしい。やたら最強を誇示してきて鬱陶しいが、ちょっかいをかけてくる妖精や妖怪を追っ払ってくれたのは素直に感謝しよう。
緑の妖精は大妖精……改める必要を感じないが、大妖精が本名(?)らしい。愛称は大ちゃんだとしつこく言ってくるが、僕は呼ばないからな。
「紅魔館にはね~門番がいるんだよ!いっつも寝てるけど」
「置物の間違いだろ」
「いい人なんですよ?」
「たまにあたい達におやつくれるんだ!」
「ふ~ん……戦った事は?」
「無いよ~。あ、でも見た事はあるかな」
「そうそう!え~と……北極圏?」
「太極拳だよ、チルノちゃん」
太極拳の構えを見よう見まねで伝えようとする3人。好意はありがたいがな、動きがバラバラだ。大妖精はフラダンスみたいだし、チルノは適当に動かしてるだけ、ルーミアに至ってはクルクル回ってるだけ。お前やる気無いだろ。
「……あ、着いたよ」
馬鹿な事やっているうちに着いてしまったようだ。
外観は本当に紅いのか…霧の色との相乗効果で、まるで鮮血が染み込んでいるかのようだ…。
さて、この小さなお友達ともこれでお別れだ。
「ご苦労だったな。ここからは僕だけで行く」
「「「えっ?」」」
見事にハモったな。
「なんであたい達は仲間はずれなのさ!?」
「危険だからだ。友達を危険な目にあわせる訳にはいくまい?」
「そ、そんな…」
「行っちゃ、やー……私も行く…」
「駄目だ」
「やぁ…」
「駄目だ」
抱きついてくるルーミアに少しだけ語気を強くして言う。その後、目線をルーミアに合わせ、優しく頭を撫でてやる。
「お前は良い奴だ。よく僕をここまで案内してくれた。もう充分だ。ここからは僕の問題だ。お前達を巻き込めない。お前達は賢いから分かるな?」
「う、うん…」
「はい…」
「……分かった。でも、待ってるから」
「いや、待ってなくていい」
「待ってる~…」
「……好きにしろ」
随分なつかれてしまったな…。早く終わらせなければならない理由が増えてしまった…。まあ、これくらいプレッシャーがあったほうがやる気が出るがな。心配そうな視線を背中に感じつつ、門へと進む。
………さあ、勝負だ、紅魔館……。
閲覧数とお気に入り数が増えるのを見てニヤニヤする今日この頃…。
次からは紅魔館組との死闘が始まります。