東方奇才伝   作:サンダーボルト

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今後も頑張りますので、宜しくお願いします。


レヴァン・フラン

~レヴァンサイド~

 

 

十六夜は仕事が残っていると言っていたが……博霊達を足止めする為だろうか?

自分で掃除を頑張れと言ったが、時間を止められるあいつなら掃除なんて一瞬で終わる。なら、あの場に留まる別の理由がある。多分、異変を解決しに来るであろう博霊や霧雨を警戒しているんだろうな。

 

そんな事を考えていたら、メイド妖精があたふたと走っているのが見えた。丁度いい、道案内させるとするか。

 

 

「すまない、十六夜咲夜の知り合いの者だが、スカーレットの所まで案内してもらえないだろうか?」

 

「え?………あ、お客様ですか!?は、はい!ご案内致しましゅ!!」

 

 

……十六夜、噛んだぞこいつ。ちゃんと教育しろ。何とも頼りない足取りで僕を案内するメイド妖精。たまに、

 

 

「えっと……どっちだっけ…?」

 

 

とか呟いているのが聞こえてイライラしてくる。道順くらい覚えろよ…。

 

 

……しかし、この紅魔館というのは広すぎやしないか?外から見て広いというのは分かっていたが、しばらく歩いた感覚だとそれ以上の広さだ。これも魔法か?それとも誰かの能力か?

 

………そしてなんで下に向かっているんだ?階段を降りてばかりだ……普通は主は上に居るものだと思うが…。吸血鬼だから、日光を避けて地下にいるのか?しかし今は霧があるし…

 

 

「着きました!このお部屋です!」

 

 

考え事してる間に着いたようだ。……だいぶ薄暗いな。不気味な雰囲気が漂っている。どこぞのホラーゲームの舞台の様だ。

 

メイド妖精は仕事があるとかでそそくさと去っていった。ありがとう、顔は覚えたぞ。後で十六夜にしごいてもらうんだな。

 

とりあえずノックをしてみるが……返事が無い。まあ今更気にする事も無いだろう。見た目は普通なのに、やけにずっしりした扉を開けると、そこにはスカーレットが………?

 

 

 

 

……………。

 

 

 

 

居ねえじゃねえか。

 

 

部屋にはベッドで人形と戯れていた金髪1人。あのリーダーの姿はどこにも見えない。あのメイド妖精……部屋間違えやがったな…。

 

 

「………あなた、誰?」

 

 

金髪が僕に気付き問いかけてくる。……何だこいつ……小さいのに妙な迫力があるな。

……いや、違うな。もっとこう……う~む、いい表現が思い付かない。

 

 

「あ~…僕はちょっとスカーレットに用があってな」

 

「……私?」

 

「…話聞いてた?用があるのはスカーレットだ」

 

「私、フランドール・スカーレットだよ?」

 

 

何だと…こいつもスカーレット姓だったのか…。という事は……家族か。いや、姉妹か?

 

 

「レミリア・スカーレットは姉か?」

 

「うん、そうだよ。」

 

 

……あのメイド妖精、姉妹で間違えやがった。まあ、僕もスカーレットとしか言わなかったから仕方ないか…。

 

 

「どうやら部屋を間違えたらしい。邪魔したな」

 

 

そう言って部屋を出ていこうとする。だが……

 

 

「待って」

 

 

その言葉に歩みを止めて振り返る。スカーレットの妹は、ベッドから降りたってこちらに微笑んでいる。無邪気というか不気味というか……そんな感情がごちゃ混ぜになっているような顔だ。

 

 

「私と遊ぼ?私、ずっと退屈してたの」

 

 

言ってる事はただの子供………だというのに、寒気がする。頭の中でアラートが鳴り響く。俗に言う嫌な予感……これまでに何度も経験した命の危機だ。

まだリーダーと対峙していないうちに深傷を負うのは避けたい。刺激せず、やんわりと断ろう…。

 

 

「悪いが急いでるんだ。お前の姉に用がある。後でなら遊んでやるよ」

 

「や!私は今遊びたいのー!」

 

「なら、用事が終わるまで誰かに相手してもらえよ…」

 

 

その言葉を聞いた途端、スカーレットの妹の表情が暗くなる。

 

 

「……誰も遊んでくれないもん。お姉様も、咲夜も、パチェも、美鈴も……みんな…」

 

 

パチェとは……宴会の夜に来た体力の無い奴か?

 

 

「なら1人で遊んでろ。ほら、可愛らしい人形もあるぞ?」

 

 

近くに置いてある人形を拾い上げ、渡そうとする。が、

 

 

「そんなの、すぐ壊れちゃうからつまんない」

 

「……まさか」

 

 

見たところまだ新しい人形だ。余程乱暴に扱わない限り壊れる事はないと思うが…。

 

 

「本当だよ?ほら、こんな風に…」

 

 

こちらに手をかざして不敵に笑っている。……かざした手のひらに黒い球体の様な物体が現れた。何だアレは…?

 

 

「きゅっとして……」

 

 

ゆっくり手を閉じようとするスカーレットの妹。

 

刹那、僕は反射的に人形を手放す。何故そうしたかは分からない。ただ、感じたのだ。研ぎ澄まされた直感が、本能が、こいつが何かしでかすと。命の危機が迫っていると。

 

 

「ドッカーン!!」

 

 

球体を握り潰したと同時に、人形が破裂した。その余波で、さっき人形を手放した手が削がれた。もし掴んだままだったら、腕ごともっていかれてたかもな。

スカーレットの妹は、それを見てつまらなさそうに呟く。

 

 

「……ほら、こんな風に壊れちゃうの。お人形も、本も、ぬいぐるみも、壁も、扉も、全部」

 

 

お前が壊した、の間違いだろう…。人形にギミックでも仕込んであるのかと疑ったが、部屋を見回して疑うのをやめた。

 

バラバラになったぬいぐるみの一部。壁についた爪跡。ズタズタの服。壊れたチェア。扉にも傷がある。全部こいつがやったらしい。スカーレットの姉妹ならこいつも吸血鬼か…。

 

 

「おてんばだな」

 

 

範疇を遥かに超えてはいるが。

 

 

「……あは、あなた面白いね。人間なのに腕が治ってるし」

 

 

スカーレットの妹は僕の腕を見て少し驚いたようだ。勿論さっきの傷はとうに完治している。

 

 

「これならきっと…すグにハ壊れナイヨネ?」

 

 

薄ら笑いを浮かべてゆっくりと翼を広げていく。もっとも、その形状は翼とは程遠い。まるで、細い木の枝に宝石が複数吊り下がっている様だ。

 

……これで飛べるのか。あり得ん。何なんだよこの世界。

 

 

「ウフフフ……アハハハハハ!!」

 

 

突如高笑いを始め、浮かび上がるスカーレットの妹。その顔は狂気が滲み出て、直視すれば精神がやられてしまいそうだ。

 

 

「アハハ!アハハハハハハハハ!!サア、イッショ二アソビマショ!ソシテ、ワタシヲタノシマセテヨ!」

 

 

目を見開き、狂気を振り撒くその姿はまるで悪魔だ。情緒不安定、破壊衝動、まともな人間なら近寄りたいとすら思われないだろうな。いや、妖怪でも同じか。

だからこそ、こんな地下に幽閉されていたのか。戦力としては有能な筈なのに、宴会の夜に連れてこなかったのは、このせいだろう。見境なく破壊を繰り返すこいつを外に出すのは危険だと判断したのか。まあ、普通ならあの姿を見ただけで震え上がるだろう………普通ならな。

 

 

 

 

 

 

「楽しませる?冗談じゃあない」

 

 

 

 

 

 

だが、僕は普通じゃないんでね。あいつを見てもさして怖くも何ともない。

 

 

 

 

 

 

「遊びっていうのは、やってる奴等全員楽しくなきゃ意味がない」

 

 

 

 

 

 

狂気なんていくら浴びようとなんて事ない。何故なら僕も狂っているからだ。

 

 

 

 

 

 

「だから、お前も僕を楽しませろ。それで初めて遊びになる」

 

 

 

 

 

 

遊び相手を間違えたな。

 

 

 

 

 

 

「きゃはははははは!!」

 

「…かかってこい」

 

 

 

 

狂った吸血鬼が突進し、狂った人間が機械の触手で迎え撃つ。

 

 

 

―吸血鬼と奇才の遊び、開幕―




長丁場になりそうな予感…。

次回もお楽しみに。
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