東方奇才伝   作:サンダーボルト

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思い立ったが吉日、新たに小説を書くことに決めました。もっとも、主人公は変わらずレヴァンですが。

もちろん東方奇才伝もバンバン書いていきます!


……書けるかなぁ…。


最期の一押し

「レミリアお嬢様…フランお嬢様…」

 

「…レヴァン」

 

咲夜、霊夢、パチュリー、魔理沙 美鈴の5人は真っ赤に染まった空を見上げていた。(チルノ達は美鈴が森へ帰した)

片や、連れ去られた妹とそれを追っていった姉を心配して。片や、連れ去っていった人間の無事を祈っていた。

 

 

「……!!あれって!?」

 

 

美鈴が何かを見つけて指差す。全員がそちらを向くと、パーソナルシェルターを抱えたレヴァンがこちらへ飛んでくるのが見えた。

 

 

「おーい!」

 

「ん?…これは皆さんお揃いで」

 

 

魔理沙が手を振ってレヴァンを誘導する。無事な姿を見て魔理沙と霊夢は安堵の息をつくが、咲夜達は焦っていた。レミリアとフランの姿がどこにもないのだ。

 

 

「レヴァン様!その…レミリアお嬢様とフランお嬢様は…?」

 

 

最悪の事態を想像した咲夜が恐る恐るレヴァンに問いただす。レヴァンはパーソナルシェルターに顔を向け、手の甲でコンコンと叩く。すると、パーソナルシェルターの一部が開き、レミリアとフランが中から放り出された。

 

 

「お嬢様っ!!」

 

「いたた…え、咲夜?」

 

 

主のもとに駆け寄って思い切り抱きしめる咲夜。美鈴も泣きながら咲夜に続き、パチュリーは優しく微笑んでいた。レミリアは少し恥ずかしそうにしていたが、心配されていたのを感じ取ったらしく、咲夜と美鈴の頭を優しく撫でてあげた。

一方、フランはその光景を少し離れた場所から見ていた。さっきまではレミリアと2人だけで話せたフランだったが、人数が増えた瞬間に疎外感を感じていた。治まっていた狂気がまた渦巻き始め、その瞳が怪しく光る。それに気づいたレミリアが警戒心を少しだけ見せる。

 

 

「フランお嬢様も…ご無事で本当に良かった…」

 

「……え?」

 

 

予想していなかった言葉にフランは一瞬固まる。

 

 

「全くですよ!レヴァンさんに連れ去られた時は本気で心配したんですからね!」

 

「姉妹そろって心配かけないで頂戴」

 

「え…あ……?」

 

 

美鈴とパチュリーからも立て続けに言われて、どう反応すればいいか分からずにおろおろしているフラン。その様子を見たレミリアは警戒心を解き、優しく語り掛ける。

 

 

「言ったでしょう?私達にとって、あなたはかけがえのない存在だって」

 

「お姉…様…」

 

 

紅魔館の皆に慈愛に満ちた笑顔を向けられ、フランは思わず泣きそうになる。レミリアが慰めようと近づいたその時…

 

 

「っ!?こ、来ないで!!」

 

 

大声を出して大きく後ずさるフラン。そして片手を押さえ込んで前屈みになる。

 

 

「どうしたのフラン!?」

 

「フランお嬢様!?」

 

 

急変したフランを見て、慌ててフランの元へ駆け出すレミリア達。

 

 

「だ、ダメ……わ、私……また……!」

 

 

レミリアはハッとして咲夜達を手で制止する。また狂気に飲まれようとしているフランを見て、苦虫を噛み潰したような表情になる。

 

 

「(……無理、なのかしら。あの子を狂気から解放するのは…。私は……あの子の姉だというのに…何もできないの…!)」

 

 

レミリアは自分の無力さに打ちひしがれそうになるが、咲夜に平手打ちされた時を思い出し、踏みとどまる。

 

 

「(駄目よ!ここで弱気になってたら紅魔館の主として示しがつかないわ!それに…今更諦められないわ!あの子を…フランを助けてみせる!)」

 

 

レミリアは決意を堅め、フランの元へ歩を進める。

 

 

「嫌……いや……イヤ…!!私…もう壊したくない…!お姉様……逃げて…!」

 

「フラン…大丈夫よ。もうあなたを一人にはしないわ」

 

 

優しく手を差し伸べるレミリア。フランがその手を何とか取ろうとするが、次第に体の震えが強くなり、狂気が心を覆い始める。様々な感情がごちゃ混ぜになった瞳から涙がこぼれ、必死に破壊衝動を抑えるフランだが、その抵抗も徐々に弱くなっていった。

 

 

「……オネ…エ…サマ…」

 

「…最期まで、一緒にいるわ」

 

 

まるで自身の運命を受け入れるかのように、目を閉じて両腕を広げるレミリア。それを見た咲夜達は焦って走り出そうとし、霊夢と魔理沙もフランに対する警戒を強めて懐に手を伸ばす。

 

 

だが、その場で一番早く行動したのはレヴァンだった。

 

 

「まあ、何百年も閉じ込められていたなら許せないわな、こいつは」

 

 

その言葉にレミリアの口元が歪む。レヴァンはそれを気にすることなく、歩きながら話し続ける。

 

 

「それでこいつを殺したいと思ったとしても、それはしょうがないことだ」

 

 

全員がその言葉に驚いて目を見開く。

 

 

「別に僕は止めはしない。そんな義理もないしな」

 

 

冷たく言い放たれた言葉に後押しされたかのように、フランの手がレミリアに向かって伸びる。

 

 

「だがな、お前はそれ以上に好きなんだろ?」

 

 

レヴァンは伸びた手を掴む。大して力もこもっていなかったが、フランはその手を振りほどく事ができなかった。その動作は、さっきまで殺し合いをしていた相手とは思えない程に優しく、そして暖かかった。

 

 

「なら、まずはその感情を思い切りぶちまけろ。そうすれば、多少は気が変わるかもな」

 

 

そう言ってフランをレミリアの方へ軽く突き飛ばす。

 

慌てて抱き留めたレミリアとフランは見つめ合う。フランの心を覆っていた狂気は、いつの間にか消え去っていた。

 

 

「……うっ…ひぐっ……うわああああああああああああん!!!」

 

 

胸に埋まり泣きわめくフランと、抱きしめながら頭を撫でているレミリア。咲夜とパチュリーは微笑みながら見守り、美鈴はその場で泣いていた。

 

霊夢と魔理沙はしばらく呆然としていたが、戻ってきてパーソナルシェルターによしかかったレヴァンを見て我に返った。

 

 

「お疲れ様…とでも言えばいいかしら?案外優しいのね」

 

「……こういうのは僕向きじゃないんだがな…」

 

「そんな事ないぜ?かっこよかったぜ!」

 

 

含み笑いをしている霊夢と、ニカッと笑って肩を叩く魔理沙を横目で見た後、スカーレット姉妹へ目線を移す。それからは一言も発する事無く、爆発した感情が治まるのを静かに待っていた。




レミリアとフラン以外ほぼ空気ですね…。でも、次はたくさん喋ります…きっと。
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