東方奇才伝   作:サンダーボルト

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中々思った通りに文章が書けませんね。こればっかりは経験を積むしかないでしょうか。


紅魔館に泊まろう!

~レヴァンサイド~

 

 

僕は今、博麗と霧雨と共に十六夜に紅魔館を案内されている。正確には、今夜泊まる部屋に案内されている。異変で僕が玄関から奥へ進んだ後、十六夜は博麗と戦って負けたらしい。てっきり関係がギクシャクしているのかと思ったが、意外とそうでもないようだ。霧雨も交えてフランクに喋っている。

 

 

「へ~、時間を止められるのか。色んな事に使えそうだな」

 

「まあ、そうね。この能力のおかげでここでメイド長を勤められているようなものだから」

 

「あんたの能力程、家事に向いてそうな能力はないでしょうね」

 

 

そんなガールズトークをしている彼女達を一歩離れた距離で見ている。男の僕が入ったら邪魔にしかならないだろうからな。

 

 

「…で、なんであんたはそんなに離れて歩いている訳?」

 

「話の邪魔にならないようにな」

 

「知らない仲でもないんだし、そんな遠慮するなって!」

 

 

霧雨が僕の気遣いを無視して話の輪に引きずり込んだ。僕はあまり話さなかったから、結局霧雨が人一倍喋ったんだが。

 

 

「着いたわ。女の子二人はこの部屋を使って頂戴」

 

 

扉を開けて二人を案内する十六夜。部屋はそこそこ広く、ベッドが二つ置いてあるにも関わらずゆったりとしたスペースがある。霧雨はいきなりベッドに飛び込み、博麗はもの珍しそうに部屋を見渡していた。

 

 

「お~…私の家のベッドよりふかふかだ~…」

 

「良いわね、広い部屋って。お掃除が大変そうだけど」

 

「ええ、まあ…」

 

 

苦笑交じりに答えた所をみると、常日頃感じていた事らしいな。広すぎるのも考え物か。…ところで、僕の部屋はどうなるのだろうか?

 

 

「夕食の時間になったら呼びに来るわ。館の中は自由に見ても良いけど、探すのが大変だから迷子にならないでね。それではレヴァン様、お部屋へご案内致します」

 

 

急に言葉使いが変わった十六夜を見て、目を丸くする二人を後目に部屋を出る。別に敬語である必要はないんだが…というか、できればやめてほしい。アイツを思い出してしまう。

 

さて、それはそれとして、僕はてっきり隣の部屋になるのかと思ったがどうやら違うようだ。だいぶ歩いてさっき案内された部屋も見えなくなった。互いに無言で歩き続けていたが、不意に十六夜が足を止めた。部屋に着いて……ないな。此処はただの廊下だ。

 

 

「レヴァン様…改めて申し上げます」

 

 

十六夜がこちらを向いたかと思ったら、いきなりそんな事を言い出した。その後、深々と頭を下げる。

 

 

「フランお嬢様を助けて頂き、本当にありがとうございました」

 

「礼ならスカーレットの姉に言われた。お前が言う必要は 「ありますっ!あるんですっ!!」 ……」

 

 

急に顔を上げて僕に詰め寄る。その瞳は少しだけ潤んでいた。思わず後ずさった僕を見て、十六夜はハッとして後ろに下がり、また頭を下げる。

 

 

「も、申し訳ありません…」

 

「……別に」

 

 

沈黙がこの場を支配する。十六夜は頭を下げたまま上げようとしない。どう声をかければいいのか分からないので、僕は黙るしかなかった。

 

 

「……私は何もできなかったんです」

 

「……」

 

「メイド長なんて偉そうな役職に就いていながら……フランお嬢様の事で何の力にもなれなかった…。レミリアお嬢様が悲しい思いをしているのを…ただ見ていることしかできなかったんです…!」

 

 

微かな震えが、言葉を紡ぐ度に大きくなっていく。

 

 

「フランお嬢様がレヴァン様にさらわれた時も…レミリアお嬢様がフランお嬢様を追いかけていった時も…私はただ、見ているだけでした…っ!」

 

 

床に涙の滴が零れ落ちた。

 

フランドール・スカーレットの事はこいつなりに思うことがあったのだろう。

 

…いや、こいつだけじゃない。紅魔館にいる全員が、同じような思いをしていたはずだ。だから、自分の中に渦巻いていた感情を誰にもぶつけられなかったのだろう。他の連中が耐えているのに、自分だけ弱音は吐けない。そう考えて、自分を必死に抑え込んでいたのか。

 

 

「礼は受け取る。だから、頭を上げろ」

 

 

常に凛々しくあろうとする心意気は立派なものだ。だが、それを貫くには若すぎる。周りは妖怪だが自分は人間。いくら時間を操る能力があろうと、そんな環境では少なからず負担もあるだろう。

 

頭を上げた十六夜は、何かに耐えるかのように目を強く閉じ、口を食いしばっていた。

 

こんな彼女に何を言うべきなのか、僕には分からない。だから、僕が思った事をそのまま言う事にした。

 

 

「…自分を責めるな」

 

 

そう言った瞬間、十六夜の中で何かが切れたらしい。こちらに倒れるようにもたれかかり、僕の胸に顔を埋めて小さな嗚咽を漏らした。

 

 

「……ひっ……く………うぅぅ………ぅ……ぁぁ…!」

 

 

溢れ出した感情は、悔しさか、寂しさか。僕の服を掴む手に力がこもる。片手で十六夜の後頭部辺りを撫でてやると、一瞬体を強張らせたが、その後は安心しているのか嗚咽が小さくなっていった。息遣いも穏やかになり、落ち着いたようなので離れようとするが、十六夜は僕の服を掴んだまま離さない。

 

 

「……も、もう少しこのままで…」

 

「……ハァ」

 

 

溜息が出たが、まあいいか。人に甘える事なんて、こいつは中々できないだろうからな。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「……こ、こちらがお使い頂くお部屋でございます」

 

「どうも」

 

 

ようやく僕から離れた十六夜に部屋まで案内された。終始、頬を朱に染めてこちらをチラチラ窺ってくる。そんな恥ずかしがるくらいならやめておけばいいだろうに…。

 

案内された部屋は、シングルベッドに大きめのテーブルとチェア。天井には芸術的な照明が吊り下がり、床には年季の入った絨毯が敷いてある。文句の付けようも無い立派な部屋だ。…ただ一つ疑問がある。

 

 

「……広くね?」

 

 

一人部屋にしては広すぎだろう…。さっき二人が案内された部屋より広いぞ、ここ。

 

 

「この紅魔館で一番立派なお部屋でございます。お嬢様からここにするように言われましたので」

 

「ありがたい話だな…」

 

 

満面の笑顔の十六夜に皮肉交じりで返す。まったく、どいつもこいつも疲れる性格してやがる。

 

 

「色々と疲れた。早速だが寝かせてもらうとするか」

 

「あ、それでしたらこちらのお洋服に着替えて下さいませ。お召し物を直させていただきます」

 

 

いつの間にか十六夜の手には服があった。

 

 

「後で取りに来ますから、机の上に置いておいて下さいね。では、おやすみなさいませ」

 

 

時を止めて部屋から消えた。僕は解除したジェットパックを机に置いて用意された服に着替える。…サイズがぴったりだ。見ただけでサイズが分かったのか?

 

……そういや、サンドワームほったらかしたままだ。ここに来るよう命令を送った後にベッドに倒れこむ。やわらかい感触を感じつつ、僕は眠りに落ちた。




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