東方奇才伝   作:サンダーボルト

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UAが9000越え…いつもありがとうございます。


妹紅の宿敵が来てるんだから、彼女達がいてもなんら不思議ではない訳で…。


それではどうぞ。


うさぎ追わない、かの奇才

文の独白を聞いたレヴァンは、現在テーブルを一台離して1人で飲み食いしていた。

 

焼き鳥を貪るように食らい、噛み締めるように酒を飲む。自分の好きなように飲み食いするだけで、重い気分が少しずつマシになっていく気がした。

 

 

と、そこに小さな来訪者が現れる。

 

 

 

「ねえねえ、おにーさん。何でこんなに離れて飲んでるんだい?」

 

「…あん?」

 

 

レヴァンは声をかけられた方に振り向き、驚愕した。

 

そこにいたのは、ワンピース型の服を着た少女。その頭には……うさ耳が生えていた。

 

 

「どうしたんだい、おにーさん?驚いたような顔して。兎を見るのは初めて?」

 

「兎………だと?」

 

「そうさ、私は因幡てゐ。幸運を運ぶ因幡の素兎とは、私の事さ!」

 

「悪い聞いた事無い」

 

「うさぁ…」

 

 

がっくりと項垂れた少女、因幡てゐ。しかし、すぐに立ち直ってレヴァンに近づく。

 

 

「ところで、折角の宴会だってのに1人寂しく飲んでるのはなんで?あ、ひょっとして友達いないの?どっかの人形使いみたいに」

 

「1人でいたい気分なんだよ。あと誰かは知らんがどっかの人形使いに謝れ」

 

「ふぅ~ん、そうなんだ…」

 

 

ニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべるてゐに不信感を抱きつつも、レヴァンはまた料理に手を伸ばす。

 

 

……だが、いくら手を伸ばしても料理を掴んだ感覚が無い。

 

 

「へへーん!悔しかったらここまでおいでー!」

 

 

てゐが料理が盛られた皿をかっさらい、そのまま背を向けて逃げ出した。

 

このてゐという兎娘は悪戯好きで、よく落とし穴を掘って誰かをひっかけては喜んでいる困った性格をしている。

その後は大体、落とし穴にかかった者との追いかけっこへと発展するため、今回もてゐは悪戯を仕掛けた後に速やかに逃げ出した。それに対するレヴァンの反応は、

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

怒りもせず、追いかけもせず、ただ黙って走り去るてゐを見送った後、他の皿の料理を食べ始めた。

 

 

「(何だったんだアイツ)」

 

 

レヴァンが飲み食いを再開してしばらくすると、皿を手にすごすごとてゐが戻ってきた。

 

 

「……ね~、なんで追っかけてこないのさ…」

 

「欲しけりゃやるよ。だからあっち行け」

 

 

ドライな反応が気に入らないのか、ほっぺを膨らませるてゐ。レヴァンが酒瓶に手を伸ばすと、今度はそれを横からかっさらった。

 

 

「おい…」

 

「へへへっ、たった一回で終わるてゐ様じゃないのさ!」

 

 

また逃走を図るてゐだったが、振り向き様に誰かにぶつかり尻餅をつく。

 

 

「いたっ!も~、誰だよ私の道を塞ぐのは……って、鈴仙!?」

 

「あっ、てゐ!あんたね~!!」

 

 

てゐがぶつかったのは、同じくうさ耳を生やした少女。幻想郷では珍しい学校のブレザーのような服を着ている。

 

 

「ま~た師匠と姫様にある事無い事吹き込んだでしょ!?」

 

「うえ!?な、何の事かしら…」

 

「とぼけるなぁー!!」

 

「うさっ!?ちょ、危ないって!?」

 

 

てゐを捕まえようと取っ組みあいを始めた鈴仙。てゐも負けじと抵抗するも、手に持った皿と酒瓶が邪魔をして上手く動けていない。

 

 

そして、もつれあった拍子に2人は倒れ、てゐの手にあった皿と酒瓶は宙を舞い……皿と盛られていた料理はテーブルにぶちまけられ、酒瓶はレヴァンの頭上に中身をぶちまけながら落下した。

 

 

レヴァンはてゐと鈴仙に絶対零度の視線を向ける。首をゴキゴキと鳴らし、手を握ったり開いたりして臨戦態勢を整えながら立ち上がる。てゐと鈴仙は争っていた事を忘れ、冷や汗をかきながら互いに顔を見合わせる。

 

 

「れ、鈴仙……こういう時、どうするかは分かってるよねぇ…?」

 

「え、ええ……勿論よ…」

 

 

二人は力強く頷いた後、レヴァンの方を見る。そして…

 

 

「「逃げろぉーーーー!!!!!」」

 

 

180°方向転換して逃げ出した。すばしっこさには定評のあるてゐと、毎日のようにてゐと追いかけっこをしている鈴仙。普通に考えれば、この二人を捕まえる事はかなり難しいと言えるだろう。

 

 

 

だがしかし、走り出す前に捕まえてしまえばその限りではない。

 

 

 

レヴァンはテンタクルアームを二本起動し、てゐと鈴仙が走り出す前に片足ずつ捕まえて宙吊りにした。

 

 

「ひゃあああ!?ちょ、待って!パ、パンツ見えちゃう!!」

 

「安心しろ、毛ほども興味ない」

 

「それはそれで複雑!?」

 

「お、おにーさん…妖怪だったの?」

 

「人間だ。普通ではないが」

 

 

宙吊りにされた事により、スカートがめくれて慌てふためく鈴仙とてゐ。必死にスカートを押さえて下着が見えないようにする。

 

 

「知ってるか?兎は鶏肉の様な味がするらしい。僕は食った事ないが、どうやら試せそうだな」

 

「「……え?」」

 

 

その一言で顔面蒼白になり、レヴァンを見上げる二人。その表情はまるで笑っている悪魔のように見えた。

 

 

「う…嘘だよね?いくらなんでもそんな…」

 

「兎の処理ってどうすんだっけ…。確か皮剥げばそれでいいんだったか…」

 

「ひいぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

「許してぇぇぇぇぇ!何でも言う事聞くからぁぁぁぁ!!!」

 

「……何でも?」

 

 

涙目のてゐが発した言葉に、レヴァンが反応を示した。

 

 

「お前、今何でもすると言ったか?」

 

「え、あ、うん…」

 

「そうか。もう片方の兎は?」

 

「……ゆ、許してくれるなら…」

 

「そうかそうか。そういう事なら許してやろう」

 

 

レヴァンは静かに二人を下ろした。許してもらえて一先ずは安心したが、同時に何をされるのか不安に襲われる。

 

 

「わ、私達…何されるんだろう?」

 

「分かんないわよそんなの…」

 

「ぼそぼそ喋ってないでこっちに来い因幡」

 

 

レヴァンは自分の隣を手で叩く。ここに座れという意味だろう。

 

 

「えっと…どっちを呼んでるの?」

 

「お前に決まってるだろうが」

 

 

指でてゐの方を指し示す。

 

 

「何故そんな事を聞く?」

 

「こっちも因幡っていうのさ。鈴仙・優曇華院・イナバ。それが名前」

 

「長ったらしいな…」

 

「余計なお世話よ…」

 

 

レヴァンはてゐを隣に座らせ、その隣に鈴仙が座る。レヴァンの両手がワキワキと動いたのをみて、てゐは若干怯えながら聞く。

 

 

「ねえ…何するつもりなの…?」

 

「黙ってろ。動くなよ?」

 

 

てゐは固く目をつぶり、身構えた。

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

「……凄いな。本当に兎の耳なのか。付け耳か何かかと疑っていたが、この触り心地は本物か。体温もしっかりと感じられる」

 

「……あの」

 

「兎の耳は体温調節に使われるらしいが、妖怪のこいつには必要ない筈だ。見たところ汗もかくようだし、わざわざ耳を使う必要性は無い。なのに何故こんなにでかいんだ…?」

 

「…ねえ」

 

「そもそも、耳なら人間と同じ場所に付いているのに、何故ここにも付いているんだ…?無駄ではないか。…いや、妖怪とはいえ兎なんだ。やはり本来の機能である、身を守る為に周囲の物音を少しでも多く集めるのは兎の耳の方がいいのか…」

 

 

レヴァンはてゐのうさ耳を一心不乱に撫でながら、うさ耳について考察していた。

 

てゐと鈴仙に突き付けられた要求は、頭に生えてる耳を触らせろ、だった。

 

好奇心の赴くままにうさ耳を撫でまくりながらも、ブツブツと呟いている様子は何とも言い難い。鈴仙は少し引いていた。

 

 

「……く、くすぐったいよぅ…」

 

「……ん?ああ、悪い悪い」

 

 

悶えているてゐから言われて、レヴァンは撫で方を変えた。表面をなぞるような撫で方から、手櫛で髪を整えるように撫で始める。

 

 

「(…………気持ちいい…♪)」

 

 

てゐは耳から伝わってくる心地良い感触に身を委ねる。先程の凶悪な印象とはかけ離れた、繊細で優しい手の温もりを感じたてゐの表情は弛みきっていた。鈴仙はそれを見て内心驚愕していた。てゐのこんな表情は今まで見た事が無い。しかも、会って間もない人間に無防備な姿を引き出されるとは…。

 

 

「さて、次はお前の番だな、優曇華院」

 

「あっ……」

 

 

レヴァンが耳から手を離すと、てゐは名残惜しそうな声を出した。

 

 

「どうした?」

 

「な、何でもないよ!」

 

「そうか。なら因幡、優曇華院と代われ」

 

「……うん」

 

 

てゐは少し落ち込んだ様子で鈴仙と場所を代わる。

 

 

「(…耳を撫でられるのって、そんなに気持ち良いのかしら?撫でられた事なんて滅多にないから分からないわ…)」

 

 

鈴仙は若干の不安と期待を胸に、レヴァンの隣に座る。てゐと比べて背の高い彼女は、撫でやすくなるように頭を少しだけ下げた。ちょうどお辞儀をするような形だ。

 

「……ど、どうぞ」

 

「おう」

 

 

レヴァンは鈴仙の耳を触る。

 

 

……が、そこで動きが止まった。

 

 

「………お前達、別の種類の兎か?」

 

「「………えっ!?」」

 

 

鈴仙があからさまに動揺した。てゐも鈴仙程ではないものの、まさかの指摘にどう返せばいいか混乱している。

 

 

「えっ……と、別ってどういう事…?」

 

「毛並みが因幡と全く違う。妖怪兎にも種類があるのか?お前はどういう種類なんだ?」

 

「……それは…その…」

 

 

答えにくそうにする鈴仙を見て、レヴァンは何か聞いてはいけないことを聞いたと思い、しつこくは聞かなかった。

 

 

「言いたくないならいい」

 

「……そうしてくれると助かるわ」

 

「しかし、触れば触る程面白いなこれは。本当に体の一部なのか?……ちょっと失礼」

 

「へ?…いだだだだだだだ!?」

 

 

レヴァンは鈴仙の耳を片方掴み、そのまま引っ張った。案の定、鈴仙の耳に激痛が走る。

 

 

「おお、これは凄い」

 

「凄いじゃな痛いっ!!離してってば!」

 

 

鈴仙は無理矢理手を振り払い、自分のうさ耳をいたわるように撫でる。てゐはそれを見て爆笑していた。

 

 

「もう…触るなら優しく扱ってよね」

 

「すまん、どうしても試したくてな」

 

「ちゃんとてゐみたいに撫でてよ?…ほら」

 

「…ああ」

 

 

今度はちゃんと優しく、ガラス細工を扱うような繊細な手つきで鈴仙のうさ耳を撫でた。鈴仙の体は緊張からか多少強張っていたが、耳を撫でられるたびに体の力が抜けていき、たった数分で完全にリラックス状態になっていた。

 

 

「(……これ…良い…♪てゐがあんな風になるのも分かるわ…♪)」

 

 

鈴仙の表情がだらしなく弛みきっていく。すると、てゐがニヤニヤ眺めながら話しかけてきた。

 

 

「いやぁ~、随分気持ちよさそうだねぇ~?」

 

「……ハッ!?も、もう終わり!」

 

 

我に返った鈴仙が慌ててレヴァンから離れた。1人分空いたスペースにまたてゐが座る。手に酒瓶を持ちながら。

 

 

「じゃあ、なでなでタイムも終わった事だし、こいつで乾杯といこうじゃないか!」

 

「………これは?」

 

「私のとっておきだ!さあさ、コップを持ちなよ」

 

「…おう」

 

「(あれって師匠が持ってきたやつじゃ…?)」

 

「鈴仙、飲まないのかい?なら2人で乾杯…」

 

「あ、ま、待って!飲む!飲むから!」

 

 

慌てて自分の分の酒を注いだ鈴仙を尻目に、てゐとレヴァンは乾杯を始めた。

 

「かんぱーい!」

 

「乾杯」

 

「待ってって言ったのに!ああもう、乾杯!」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

酔えない事はつらいと、伊吹萃香は言っていた。

 

 

それに対し、レヴァンはつらいと思った事は無いと答えた。

 

 

だが現在、レヴァンは自分も酔いたいと少しだけ思っていた。

 

 

何故なら酔えないという事は、酔っぱらいの相手を素面でしなければならないという事だからだ。

 

 

 

 

「ーーーって事があってさぁ、お仕置きとして鈴仙にお尻ぺんぺんされたの!酷いと思わない?か弱い乙女を捕まえてお尻をぶつなんて!」

 

「座布団にトラバサミ仕掛ける奴のどこがか弱い乙女なんだよ」

 

「あの時は手加減無しだったから痛いのなんのって…。まだ痕が少し残ってるよ。見てよほら」

 

「見せんでいい。尻をこっちに向けるな」

 

 

お尻をフリフリと振ってアピールするてゐを、うんざりしながら受け流すレヴァン。すっかり酔いが回ったてゐは、日頃の愚痴をレヴァンに延々とぶちまけていた。ちなみに鈴仙は完全に酔いつぶれて眠ってしまっていた。

 

 

「やれやれ、折角の宴会でもう寝ちゃってるよ。情けないよねぇ。私はまだまだ飲めるってのに」

 

「よく言うぜ。こいつのだけ、途中から強い酒に換えてただろう」

 

「おおう、気づいてたか。目敏いねぇ」

 

 

愉快そうに笑うてゐ。レヴァンは溜息を吐いて注がれた酒を飲み干す。

 

 

「まあ、先に鈴仙を眠らせたのは他でもない。ちょっとおにーさんの知恵を借りたくてね。」

 

「……知恵?」

 

「そう!お尻ぺんぺんの仕返しさ!ほら、あそこの2人が見えるかい?」

 

 

てゐが指差した方を見ると、先程妹紅と飲み比べをしていた少女と、前にキノコの毒にやられた魔理沙と霖之助を助けた八意永琳が二人で飲んでいた。

 

 

「……八意か」

 

「お師匠様を知ってるのかい?」

 

「まあ、名前だけだが…」

 

「そっか。でも姫様の事は知らないよね。名前は蓬莱山輝夜。二人とも鈴仙にとっての上司みたいなものなんだ」

 

 

「……だが、あいつらには兎の耳が生えてないが?」

 

 

てゐは目をぱちくりさせた後、一拍置いて爆笑した。

 

 

「……僕は何か可笑しい事を言ったか?」

 

「あはははは…!いやいや、おにーさんの疑問も尤もだね。あの二人は兎じゃないよ。月にいた頃は、あの二人は結構偉い立場にいたらしくてさ…」

 

「ちょっと待て今なんつったオイ」

 

 

聞き捨てならない言葉に少し動揺しながら問いただす。てゐは口を手で押さえて、しまった、と呟いた。

 

 

「あんまり詳しくは言えないけどさ、姫様とお師匠様と鈴仙は月から来たんだよ」

 

「…………マジかよ。月に生命体が存在していたとは…」

 

「色々と気になるだろうけど、言えないから話戻すよ?」

 

 

レヴァンは不承不承に頷いた。

 

 

「で、とにかく鈴仙はあの二人には頭が上がらないのさ。だからあの二人が怒るような台詞を鈴仙が言った事にして、めでたく仕返し大成功!!ってな感じにしたいのさ!」

 

「…で、その台詞を僕に考えろと?」

 

「うん!」

 

 

天使のような笑顔で悪魔のような考えを肯定したてゐ。レヴァンは少しだけ頭に手を当てて考えていたが、すぐに何かが浮かんだらしく、てゐのうさ耳に耳打ちした。てゐは笑顔を更に濃くしてサムズアップをし、輝夜と永琳の元へ走って行った。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

「や~、お師匠様に姫様!飲み比べはどうだった?」

 

「あら、因幡。どこ行ってたの?飲み比べなら引き分けよ…」

 

「ありゃりゃ、残念だったね。私は鈴仙と一緒に噂の外来人と飲んでたよ」

 

「うどんげも?珍しいわね…」

 

「ま~、ぐでんぐでんに酔っぱらっちゃってもう寝てるけどね」

 

「そうなの…」

 

「それより聞いておくれよ。酔っぱらった鈴仙が二人の事で愚痴ばっかり言ってたもんでさあ…」

 

「「………へえ?」」

 

 

二人の声が重なる。口は笑っているが、目が笑っていない。

 

 

「ちなみに………どんな事を言っていたのかしら?」

 

「えっとね…『酔っぱらったババア二人の介護なんて面倒くさいから早く帰りたい。』だって…さ…」

 

 

ピシッと、空間にひびが入ったような感覚がてゐを襲う。二人は黒いオーラを背中に纏いながら立ち上がり、不気味に笑い出した。

 

 

「ふふふふ……そう。そんなに言うならもう帰りましょうか、永琳?」

 

「ええ、そうですわね、姫?今夜は長くなりそうですものね…ふふふ…」

 

 

てゐは思わず身震いした。流石にやり過ぎたかな、と心の中で鈴仙に合掌をする。そして鈴仙の元へ向かった二人の後を追った。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「zzz……んっ……」

 

「……ククッ…」

 

 

レヴァンが寝ている鈴仙のうさ耳で遊んでいると、不意に寒気を感じた。

 

 

「……あなたが噂の外来人殿ね」

 

 

声をかけられて頭を上げると、笑みを浮かべている輝夜と永琳、そして引きつった笑みのてゐがいた。

 

 

「永琳が貴方の事を少しだけ話していたわ。毒が効かなかったとかなんとか……できれば話を聞きたかったけれど、生憎と用事が出来ちゃったのよ。……そこの兎にね」

 

「……そうか」

 

 

冷え切った眼差しが鈴仙に向けられる。永琳が寝ている鈴仙を肩に担ぎ、レヴァンに会釈をして宴会場から出ていった。

 

 

「それじゃあね。これから兎を躾けなきゃならないから、これで失礼するわ」

 

「久々に楽しかったよ、おにーさん♪また飲もうね!」

 

 

輝夜とてゐも手を振りながら去っていく。レヴァンはその後ろ姿を見送ったあと、酒をまた飲み始めた。

 

 

「(……優曇華院には少し悪い事をしてしまったかもしれんな)」

 

 

内心で鈴仙に対して罪の意識が芽生えたレヴァン。だが、それもすぐに消え去り、別の事を考え出した。

 

 

「(……月の輝夜姫………竹取物語……藤原………蓬莱の木の枝……)」

 

 

レヴァンの頭の中で数々の単語が飛び交い、とある仮説が浮かび上がった。

 

 

「……まさかな」

 

 

そう呟いて酒を飲み、浮かんだ仮説を頭の隅に追いやった。

 

 

 

 

 

その後ろで、小さな影が近づいているのを、レヴァンは知る由もなかった…。




感想、質問、いつでもお待ちしております。


次話は作者が一番書きたかった話になります。お楽しみに!
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