東方天沢恋、始まります!
奇才の順応
~レヴァンサイド~
鳥のさえずる声で目が覚める……これを実際に体験した人間は何人いるだろうか。僕はここ数日、ずっと鳥のさえずりで起きている。
宴会が終わってから既に数日が経った。僕は現在、博麗神社の庭にホームカプセルを置いてもらい、生活している。備え付けの食料は底をついたが、宴会の料理を分けてもらったので、しばらくの間は問題無い。それに博麗が量を多く作りすぎたとかで、結構な頻度で飯をご馳走になっている。
「……レヴァン、起きてる?」
「ああ」
扉をノックする音が聞こえたので扉を開けると、博麗がそこにいた。
「おはよう。朝ごはんちょっと作り過ぎちゃってね。残すのも勿体ないから、一緒に食べてもらえる?」
「了解だ」
博麗が僕を飯に誘う時は、必ず作り過ぎという理由になっている。毎日毎日作り過ぎるなんてことはありえないだろうから、きっと僕に気を遣っているのだろう。まったく、不器用な奴だ。まあ…ありがたいがな。
こんな具合で食料と住む場所は取りあえず確保できている。これだけ聞くと、幻想郷で生きていくのには充分だと思えるだろう。……だが、実際はそうじゃない。まだ重大な問題が残っているのだ。
「………金が無い」
そう、金だ。幻想郷の通貨が無いのだ。もし財布でも持っていれば、現代の通貨を幻想郷の通貨に両替できたが、肝心の財布が無いのでそれすらできない。どこかで働いて金を稼ごうかと思って人里にも顔を出しているんだが、それも著しくない。求人広告なんて張り出されてはいないし、ハローワーク的な施設も存在しないから職を探せない。挙句の果てには上白沢に出くわし、危険な行動は慎めだの夜は出歩くなだの衣食住の心配だの…長ったらしい説教をかましてくる始末だ。昨日も人里に行ったら上白沢が遠目に見えたので、思わず逃げてしまった。僕の事を心配してくれているのは分かるが、こちらも死活問題だ。危険がどうのこうの言ってられん。あいつの長い話に付き合う時間も惜しいしな。
それにいつまでも博麗神社に世話になるわけにはいかない。ただでさえヒモみたいな生活しているんだ。あいつの懐事情なんて知らないが、ずっと二人分の飯代を出せる程に裕福だとも限らん。年頃の女と半ば共同生活してるのも褒められたことではないしな。あいつの歳なんか知らないけど。
紅魔館なら金持ちみたいだし僕を養ってくれそうだが、そんな恥知らずな真似をする気はない。助けてやったんだから養え、なんて口が裂けても言えるか。
……いや、でも働くならアリか?十六夜の能力のおかげでやっと成り立ってるくらいだし、人手はいくらあっても困らないだろう。こじつけで金をせびってる様で気が引けるが、さっきも言った通り死活問題なんだ。多少の事には目をつぶろう。選択肢の一つとして考えておく事にするか。
そうだ、森近の所でバイトするのも良いかもしれん。あいつに使い方が分からない道具でも、僕なら殆ど分かる筈だ。取扱説明書を作ってやれば、あいつの店の客足も少しは増えるんじゃないか?
まあ、どちらにしろ直接聞いてみない事には始まらないか。取り合えず今は飯だ。あまり博麗を待たせるのは悪いからな。
~~~~~~~~
「「いただきます」」
行儀よく手を合わせ、僕と博麗は朝飯にありついた。今朝は白米と味噌汁に、焼き魚と漬物という献立だ。おかずに卵焼きときんぴらごぼうも付いている。ちなみに作るのは博麗だが、後片付けは僕がやっている。食わせてもらってんだから、当たり前と言えば当たり前なんだが。
「……卵焼きに醤油入れたのか?」
「あ、分かった?隠し味に入れると美味しくなるって聞いたから、ちょっと試してみたの。どう?」
「美味い。が、僕は入ってない方が好みだ」
「ふーん…」
博麗の料理は同じものでも日々変化がある。この卵焼きのように隠し味を加えて、味を微妙に変えているのだ。味噌汁もダシの風味が強い事もあれば、反対に味噌を多めに使って濃い味付けにする事もある。同じ料理が続いても飽きが来ないのだ。
「……あ、これよろしくね」
「はいはい……」
……美味い飯を食わしてくれるのには感謝してる。しているが……いくら僕が魚を骨ごと食うからって、自分の食い終わった魚の骨を僕に寄越すか?いや、そりゃあゴミは少ない方が良いに決まっている。僕だってそれは理解しているが…複雑だ。しかも僕が骨を噛み砕いて食っている様子を、面白そうに見ていやがるからな…。どうにもやり辛い。
っと、そうだ。こいつにも聞いておくか。
「なあ博麗、ちと相談がある」
「相談?何よ?言っておくけど、お金は借せないわよ?」
「子供から借りるかそんなもん…」
当たらずも遠からずか…。こいつの勘はかなり鋭いな。宴会で聞いた話だが、異変解決の為に出ていった時に進む方向を勘で決めてたらしい。それだけならただの馬鹿だと笑ってやるんだが、それで見事に紅魔館に着いたからな…。しかも、館内に仕掛けられてた侵入者用のトラップを勘で見抜いたらしいし、なんと弾幕ごっこで攻撃される大体の場所も勘で分かってしまうんだと。アムロ・レイかお前は。
「まあ、金の話には変わりないがな。まともな手段でなくてもいいから、大金が稼げる方法無いか?金がいるんだ」
「まともじゃなくていいなんて、よく平然と言えるわね…。それで、そんなにお金を稼いでどうする気よ?」
「家を買う」
「……ブッ!!?」
博麗が飲んでた茶を口から噴き出した。ちょっとかかったじゃねえか、汚いな…。
「い、家って…外に置いてあるじゃない…」
「ありゃ仮住まいだ。台所も無けりゃ、風呂も居間もアーマーを作る場所も無い」
魔導手甲はあれ自体のサイズが小さいからどうにかなったが、本格的に作るとなればそれなりの機材と場所が必要だ。まさか人ん家に置くわけにもいかんし、騒音の問題もあるからな。
「それに家だけじゃない。服とかアーマーの材料を買うのにも金がいるんだ」
服の洗濯は博麗の所でやらせて貰っている。しかも下着含めて替えが無いから、洗い終わったものをアームに引っかけ、高速回転させながら微弱の熱線砲を当て続ける事で水気を飛ばして乾燥させ、それをまた着るのだ。当然その間は全裸。なんとも情けないので、せめてもう一着くらいは着替えが欲しい。
アーマーの材料にしてもそうだ。複数の金属を配合して作る超合金、電子部品、武器弾薬等々…かかる費用は相当だ。……前に空中戦艦作った時は、兆を軽く超えたな…。あれでもかなり材料を安く仕入れたんだがな…。
「それで、なんか心当たりはあるか?」
「……そうねえ、あんたって強いし、器用だし、何でも屋みたいな仕事始めたら?そういう仕事って報酬とかもある程度は自分で決められるっぽいし、儲かるんじゃない?」
「その程度なら僕だって考え付いてるさ。だがそれは仕事が来るのに時間がかかる。僕には人里の知り合いなんていないんだ。ぽっと出の何でも屋なんぞに高額報酬を出す程の重要な仕事を頼みに来る奴がいるとは考えにくい。僕は出来れば今すぐに金が欲しいんだ」
上白沢や魔理沙なら人里に顔が利きそうだが、それでどうなる話でもない。信用は実績が無ければ得られないからな。ちなみにレミリア・スカーレット一味が引き起こした異変、『紅霧異変』を解決したのは博麗という事になっている。その方が色々と都合がいいからな。つまり人里の一般人にとっては、僕はかなり変な外来人という立ち位置なのだ。そんな奴に仕事を頼むか?頼まないだろう。
「……なら、ちょっと危ないけど妖怪退治とかは?」
「……それってお前の仕事なんじゃ…」
「いくらなんでも、妖怪全部を相手する訳ないじゃない。人が襲われてたら助けるし、レミリアみたいに規模の大きい事やらかしたら退治しに行くけど、ちょっと力の強い妖怪が人里の近くをうろついてる位なら、警戒すれば済むことだから私は動かないわ。明らかに人里に攻め込もうとしてるなら別だけど」
「そうなのか…」
「だからそういう危なっかしい中級妖怪には、警戒と同時に褒賞金がかけられているのよ。私以外にも妖怪を退治できる人間はいるし。…ああ、同じような理由で悪人にも褒賞金がかけられてるわよ。人間退治は私の仕事じゃないから」
所謂、指名手配犯といったところだろうか。これは良い事を聞いたな。これならば短時間で大金を稼げそうだ。
「もしやるんだったら気を付けなさいよね。吸血鬼に勝ったあんたなら負ける事はないでしょうけど、それでも危険なのに変わりはないから。……ごちそうさま」
「問題ない。僕は相手が雑魚でも容赦も油断もしない。……ごっそさん。台所借りるぞ」
「どうぞ。いつもありがとね」
「その台詞、そっくりそのままお返ししようか」
食べ終わった食器を重ねて、アームも使って一気に運ぶ。洗うのも勿論アーム込みだ。通常の三倍以上早く終わるからな。洗い物を終えた僕は、外で日課の掃除をしていた博麗に一言声をかけて人里へ向かった。
~~~~~~~~
肝心な事聞くの忘れてた。
手配されてる妖怪と犯罪者ってどこに貼り出されてるんだ?
くそ……もう人里に着いちまったからな…。また戻るのはめんどくさい。ううむ、普通なら指名手配犯とかは交番に貼り出されているが…幻想郷には警察なんて無いからな…。その代わりに、有志を募って里を守る自警団みたいなのが組織されているようだが…。駄目元でそこに行ってみるか。
~~~~~~~~
ビンゴだ。自警団の屯所でそれらしき張り紙があった。見たところ、妖怪三枚、人間三枚の計六枚か。
妖怪の方には出没地域と時間帯、どんな姿をしているかの説明と、少々輪郭がぼやけた絵が描かれている。直接見た者は少ないのだろう。
対する人間の方は、似顔絵は鮮明だが載せられている情報が少ない。せいぜい名前と罪状、最新の目撃情報が書かれているくらいだ。最新といっても数か月前のものだ。参考になるかどうかは怪しいな。
どうやら妖怪の方が危険な分、褒賞金はそっちの方が高いようだ。桁が一つ二つ違う。取りあえず妖怪を優先して狩る事にするか。屯所の人間に頼んで紙を貰い、六枚の手配書を手書きでコピーした。コピー機のありがたさがよく分かった。ちなみに褒賞金を貰うには、妖怪は生死を問わないが人間は生きたまま連れてくる事が条件らしい。万が一にでも違ってたら大事だからな。妖怪も殺したなら死体を持ってこないと駄目らしいが。
さて、とっとと済ませるか。
~~~~~~~~
夕方、僕はホクホク気分で博麗神社へ戻った。結果から言えば大成功だ。今日一日だけでかなりの額を稼いだぞ。
最初に狙ったのは、日中に出没する虫の妖怪だ。外見はムカデのような節足動物であり、恐らくは妖怪で言う大百足といったところだろう。大きさは映画で見るような何十メートルの体躯ではなく、せいぜいサンドワームよりちょっと大きい位だった。それでも人間にとっては脅威となる大きさだがな。
こいつの出没地域にジェットパックを飛ばして索敵させたところ、地面に特徴的な跡が残っていたので、どうやらテリトリーを徘徊して獲物を探している種のようだ。テリトリー内に侵入して、地面を踏み鳴らして荒らしていたら頭上から襲い掛かってきた。獲物を見つけたら木に登って上から近づくみたいだな。マジでビビった。
初撃を腕で防いだが同時に噛まれ、毒を流し込まれた。即効でナノマシンが無効化したから何でもないが。その後は長い体をくねらせて僕に巻き付こうとしたが、腕に噛みついていた頭に鉄拳をぶち込んでひるんだ隙に、アームで体の四か所を締め上げてやった。そのまま力任せに四つに引き千切って終わりだ。千切った後も暫くのたうち回っていた姿は不気味でしょうがなかったな…。
次の獲物は大型の狼妖怪。こいつは夜行性で夜にしか行動しない。しかし小さな群れを作っているようで、ベテランの護衛が数人ついていても皆殺しにされたらしい。出没地域が変化している所を見ると、同じ場所で数回狩りをすると、別の場所へ移るようだな。人間が警戒して、その場所を通らなくなることを理解しているのだろう。無駄に頭が回るな。
だが甘いんだよ。狩りが目的で場所を変えてるなら、少なくとも人通りがある道の近くに住処を構えている事は容易に想像できる。案の定、ジェットパックで索敵させたらすぐに見つかった。……いやに地理に詳しいって?僕がこの数日、ただ仕事を探していただけとでも思っていたのか?僕が人里にいる間、ジェットパックとサンドワームを方々に散らせて幻想郷の地形のデータを集めさせていたんだよ。アーマーが見聞きしたものはデータとして残り、それを僕の脳に転送させることで僕のものにできる。
……えっ、上海?僕の机で寝てる。これは比喩表現でも何でもない。だってまだボディが完成してないのに、動かす訳にはいかないじゃないか。厳密にはアリスが直接操らなくても動けるらしいが、この状態で動かしても上海の集めた情報は僕の脳には入らない。だからちゃんとしたボディが完成するまでは寝ててもらっている。まあ、今日の報酬で何とか作れそうだがな。
大型と小型数匹は寝ていて、周りにいる他の小型がそれを守っているようだな。しかも小型は睡眠と見張りを交代しているので隙が無い。正面突破でも勝てるだろうが、手こずりそうだな…。人里の近くの森でミサイルぶっ放したら問題になりそうだし………ここはサンドワームに任せよう。
寝ていた大型を地中から強襲し、あっという間に地面に引きずり込んだ。小型は大型がいきなり消えた事にパニックを起こしてそこらを走り回っているな。この様子なら大型にとどめを刺す時に邪魔はされないだろう。
サンドワームは少し離れて待機していた僕の所に移動し、引きずり込んだ大型を地中から放り出した。碌に着地する体勢もとれぬままに地面に叩きつけられた大型は、混乱していて隙だらけだ。それでも僕を視界に収めると、すぐに仲間を呼ぼうとしたのは流石と言うべきか。だが無意味だ。口を開けた所に、魔導手甲による非殺傷設定を解除した弾幕を撃ちこんで黙らせた。ひるんで数歩後退した大型の頭に、アームを思い切り伸ばしてしなりが加わった一撃を叩き込んだ。ハンマーのような一撃は頭蓋と地面を粉砕し、大型は短い断末魔を上げて絶命した。
さっさと次の獲物に移りたかったんだが、大型の断末魔を聞きつけたのか小型の群れがやってきた。小型どもは大型の死骸を見て怒り狂い、僕に襲い掛かってきた。まあ、魔導手甲のレーザーで一匹残らず焼き尽くしたが。おまけが付いてきたと考える事にしようか。
残る獲物は、人間に化けて人間を食う妖怪だ。容姿は髪の長さから見て女だが顔のパーツが描かれておらず、出没地域が絞られていない。つまりはどこにでも現れるという事だ。……これはハッキリ言ってお手上げだ。探しようがない。取りあえず人里へ戻るとしよう。
~~~~~~~~
道行く人が僕を見て固まっている。それもそうか。大百足と狼妖怪の死骸をサンドワームに括り付けて運んでいるのだからな。この状態ではサンドワームは地面に潜れないから、地上に出しているのだ。怪物が妖怪を運んでいるさまは、そりゃあ人目を引くだろうな。普通の町民っぽい男や女、妖怪退治の専門家っぽい仰々しい剣を背負ったハンターも、サンドワームをみて唖然としていた。子供に至っては泣き出しているのもいるな。
……今度から中身の見えない袋を用意しよう。
しかし、慣れているのか知らないが反応すらしないのもいた。ちらりと見たが表情すら変えずにそのまま歩いている女。興味深そうにじっと見ている老人。あそこの男の二人組なんて、気にも留めずに談笑している。僕は近くにあった角材を手に取り、その二人組の片方の後頭部を殴りつけた。
頭を押さえて悶絶しながら倒れた男の首に足を踏み降ろし、骨をへし折った。男の動きが完全に止まった。…よし、死んだな。もう一方の男が口をパクパクさせながら僕を指差している。周りからは悲鳴が巻き起こった。民衆をかき分けて、里の自警団と思わしき男が僕に剣を向けながら怒鳴りつけた。僕はそれを軽く聞き流し、死んだ男の服を一気に剥ぎ取る。そして、さっきよりも大きな悲鳴が上がった。
――――当然だろう。こいつの体を構成していたのは木の枝だったのだから。
顔と手足以外、全てが木の枝だ。不気味と言う他ない。自警団の男も呆然としている。
考えてみれば当然の事だった。人間の姿になる事ができるのなら、ずっと同じ姿でいる筈がないのだ。この枝野郎はきっと、ころころ姿を変えて人里に潜伏していたに違いない。そしてさっきやってたみたいに、特定の人間に狙いを付け、仲良くなって油断した所をガブリといったのだ。
一応、人里に入った時点で視界をサーモグラフに切り替えておいた。人間と妖怪では体温が違う。そして枝野郎の体温は、頭と手足が人間と同じで、体が異様に低かった。そして冷たい部分をすっぽり隠すように服を着ていた。人里は妖怪も普通に出入りできる。つまりここでは妖怪である事を隠す必要などないのだ。隠す必要があるのは……後ろめたい事をしている奴だけ。
……自分の体にコンプレックスを持ち、それを隠していただけ?そんな繊細な奴が、自分と同じ妖怪の死骸を見て微動だにしないと思うか?自分も同じく食う立場だからこそ、なんとも思わなかったんだろう。
事情を説明してやると、枝野郎と喋っていた男が泣きながら握手してきた。まあ気持ちは分かる。僕が仕留めなければ、食われていたんだからな。しかし、暑苦しいからあまり近づかないでもらいたい。自警団の男がすぐに屯所に来てくれと言ったが、まだやる事があるからと断った。やる事終わらせたらどうせ行くから、待っていろと言ったら渋々頷いた。やる事?勿論残りの仕事だよ。
~~~~~~~~
指名手配犯の捕獲はすぐに終わった。顔はすでに割れているんだ。ジェットパックに人里を索敵させて、顔認証を使って一発で居場所が分かった。ジェットパック、マジ有能。
最初は連続強盗犯。人里の離れにある廃屋に隠れ住んでいた。強襲したら出刃包丁で抵抗してきたが、そんなもんが効くはずもない。ちょっと刺さって動きが止まった所で、横っ面をぶん殴って気絶させた。呆気ない。
次は誘拐犯……しかも、寺子屋に通うくらいの幼い女の子を狙っている紛う事無き変態だ。乱暴されたりはしてないらしいが、だから許されるものでもない。こいつも連続強盗犯と同じく、廃屋で息をひそめて暮らしていたようだ。突入したらそいつの他に、さらわれていた幼女が三人程居た。……半裸の状態で。
そいつは幼女を盾に逃げようとしたが、それより早くアームがそいつを吹き飛ばした。…あっぶねぇ、勢いで殺しちまうとこだった。子供を盾にするなど最低な奴だ。いっそ殺すか?あ、でもそれだと金貰えねえな……チッ。
どうやら誘拐されたてのようで、この幼女達の母親と思わしき女が取り乱しながら名前を叫んで探し回っていた。母親に子供を返したら名前を聞かれたが、まだ最後の仕事が残っているから後で屯所に来いと言っておいた。……ちなみにサンドワームは人目の付かない場所で待機させている。また泣かれたら面倒だ。
最後の指名手配犯はある盗賊団の親玉だ。妖怪と同じで主に夜に活動するようだ。人里の外に拠点を構えているようで、捕えようにも妖怪に襲われる危険があるから難しいらしい。人里と外の境界線ギリギリの所で様子見をしていた所をジェットパックが見つけ、追跡させて拠点を見つけ出した。まさか洞窟の中に拠点を構えているとはな。袋の鼠だ、馬鹿共め。
見張りが三人程いたので、正面から殴り込み二人倒した。残りの一人は中へ逃げて仲間を呼んだようだな。好都合だ、あぶり出す手間が省けた。出てくる連中を片っ端から殴って気絶させる。ちょっと数が多いのでアームも使う羽目になった。熱線砲で焼き払えりゃ楽なんだがな…。
そうこうしてるうちに、残りは親玉だけになった。半ば自棄になって、でっかい金ぴかの剣を抜いて斬りかかってくる。剣をアームで受け止めたらあっさりと折れ、それを見て放心した親玉の顔面を叩き潰した。……よし、ミッションコンプリートだ。盗賊共を縛ってサンドワームに繋げる。頑張れサンドワーム、お前ならできる。
~~~~~~~~
屯所に今日の獲物を持っていくと、枝野郎の餌になりかけた男と、誘拐された子供達とその母親がいた。何かお礼をしたいという事なので、広い土地と家が安く手に入る伝手が無いか探してもらう事にした。
一方、屯所の人間は僕が仕留めた獲物の数に度肝を抜かれていた。狼と百足と枝野郎、更に人間十数人を引きずってきたんだ、無理もない。人間共は早速然るべき処置をされるようだ。妖怪についてだが、小型の狼妖怪と大百足の頭を除いた三つの塊は僕が引き取る事になった。単純に屯所の連中には必要ないという事もあるが、どこぞの狩りゲーのように、こいつらの素材で何か作れるかもしれないからな。売ってもそれなりにするだろうし。多額の褒賞金と獲物の残りを受け取った僕は、博麗神社へと帰還した。
博麗に今日の稼ぎを見せたところ、目を回してぶっ倒れた。そこまで稼いだのか、僕は…。だが、この稼ぎ方は何度も使えないな。他に何か考えなくては…。
倒れた博麗を居間へ寝かせて外に出て、手持ちの小銭を賽銭箱に投げ入れた。さてと、獲物の解体やらなんやら、さっさと終わらせるとしようかね。
……それに、魔導手甲のデータもだいぶ溜まった。これならば……。
魔導手甲のデータでレヴァンが新たに作るものとは…?
次回は慧音か文の話にする予定です。