~魔理沙サイド~
紫が爆弾発言しまくった後、私は家に帰った。本当はレヴァンに幻想郷を案内してやりたかったけれど、
「熟睡してたのを太陽に起こされたからまだ眠い。明日にしてくれ」
と言われたから、次の日に持ち越しになった。そういや結局どこで寝たんだろ、アイツ…。
そして次の日…
「おっす霊夢!」
「おはよ。随分早いわね、魔理沙」
私は待ちきれずに博麗神社へ飛んでいった。ちなみに霊夢は神社の周りを掃き掃除している。
「案内してやるって約束したからな。で、アイツはどこだ?てか、どこで寝たんだ?」
「あそこ」
霊夢が指差した場所には……なんかでかい卵みたいなものがあった。え、まさかあの中で寝てんのか?
近づいてよく見ると、扉がついていた。その扉のガラス越しから中の様子が分かる。レヴァンの奴、椅子で寝てやがる…。無理しないで霊夢に布団でも借りればいいのに…。
「おーい、朝だぞー」
扉を軽く叩きながら声をかけるが、反応が無いな…。
「私も掃除手伝わせようかと思って起こそうとしたんだけど、起きないのよね」
「おーきーろー!!レーヴァーンー!!!」
今度はかなりの大声で、なおかつ扉をガンガン叩きながら起こしてみるぜ!お、動いた。
「うるさいな、今何時だと思ってる………そういや何時だ?」
「真っ当な生き物ならとっくに起きてる時間よ。いいから顔でも洗ってきたら?」
暢気な奴だぜ…。昨日襲われたばかりなのに外で寝るなんて、よっぽど肝がすわってるらしいな。
しかしまあ…こんなのどこから持ってきたんだ?これもテンプルアーマーとかいうのなのかな?聞いてみるか……ん?何だこれ…。
「なあ、この真っ黒い物体何だ?」
「ん?……仮にも神社に不法投棄とはな。誰だ生ゴミ捨てた奴は」
「誰が生ゴミですか!!」
うわっびっくりした!生き物だったのか…。あ、こいつ知ってる顔だったぜ。
「あ、初めまして!私、新聞記者の射命丸文と申します!」
「………」
無言で扉を閉めるレヴァン。分かるぜ、嫌な予感がしたんだよな?
「ちょっ!?いきなり取材拒否ですか!?霊夢さん魔理沙さん、何とか言って下さいよ~!」
「別におかしい対応じゃないでしょ」
「だな。レヴァンの奴、勘が鋭いぜ」
「酷い!清く正しくをモットーにしている私に向かって、なんという言い草ですか!」
白々しいよなぁ…。確かに新聞の情報は少しは信用できるけど、好き勝手に脚色したり、面白おかしく書いたりするからな…。
「あの~、せめて一言頂戴出来ませんかね~?このまま帰るのは記者としてのプライドが許しませんので~」
ガラス越しに手をふる文。そして、それを睨んでいるレヴァン。まだ少ししか一緒にいないけど、少なくとも取材を受ける性格じゃないよな、レヴァンは…。でも、文は文で引き下がる気は無いみたいだし…。
「なあ、何でもいいから一言だけ答えてやれよ。このままだとずっと居座るぜ?文はしつこいからな」
しつこいとは心外ですね!、と文は文句を言ってるが、目は輝いている。協力したのに感激してるのかね…?
レヴァンも扉を開けてくれた。どうやら分かってくれたみたいだぜ。
「僕は何もしていない。全て秘書がやりました」
「オイッ!?」
前言撤回、こいつ全部丸投げしやがった!私を指差してそう言った後、また閉じ込もってしまった…。
「なるほど、幻想郷に訪れた外来者さんは、既に魔法使いを虜にした色男…と。むふふ、良いネタが出来ました!」
「ちょ、待て!」
私はレヴァンの秘書になった覚えは無いし、虜にもなってない!あのゴシップ記者が適当言いふらす前に止めないと、変な噂されちまう!
そう思った矢先、扉が勢いよく開いてレヴァンが躍り出て、文を羽交い締めにした。
「うわ!?暴力反対ですよ!?離して下さい!」
「これは暴力じゃない。カラスの躾だ」
じたばたと暴れる文を抑えつけるレヴァン。天狗は妖怪の中でも屈指の強さなのに、それを力ずくで抑えるとはな…。紫の話は半信半疑だったけど、これで納得したぜ。
「さて、ここで質問だ。躾に一番よく効くのは何だと思う?」
「え、ま、まさか…?や、やめて下さい!それだけはぁぁぁぁ!!」
文を引きずりながらこちらに戻ってきたレヴァンが、いきなり物騒な質問をしだした。……あの文の取り乱し様は何なんだ?
「それはな…僕のカプセルだっ!」
そして思いきり文をぶん投げた……おい!あのでっかい卵みたいなのに当たるぞ!あ、ぶつけるのか…。
「あうっ………ギャアアアアアア!!!」
な、何だ!?カプセルにぶつかった瞬間、文が真っ黒焦げになったぜ!?
「このカプセルにはセキュリティ機能があってな、僕以外が触ると電撃を発するんだ」
「あ~、そういや朝に掃除する前に文が来て、『噂の外来者はどこですか!?』とか聞かれたから教えたんだったわ。その後に悲鳴が聞こえたと思ったけど、文のだったのね」
そういう事は最初に言えよな…………ん?
「なあ、私は触っても何ともなかったぜ?」
「君ら2人は登録しておいたから対象外だ」
便利だなぁ…。さりげに紫を対象にしたままなのがなんとも…。
「こんなもん、どっから持ってきたんだ?」
「普段は小さくして持ち歩いてるんだ」
「へー」
外界の技術ってそこまで進んでるのか。(※違います)もう魔法と大差ないな。
「ちょっと、起きたんならさっさとどかしてよね。宴会の準備の邪魔だから」
「宴会?」
そうだった、今日は宴会の日だったぜ。色々あってすっかり忘れてたぜ!
「あんたが来る前にちょっとした異変が起きてたのよ。それを私が解決したから、宴会をやる事になったのよ…」
「異変解決の後には、仲直りも兼ねて宴会をするのが幻想郷のならわしなんだぜ!」
「ほう」
「毎度毎度、好き勝手に散らかされる身にもなりなさいよ!片付けくらいやりなさいっての……まったく…」
宴会の準備や片付けは博麗の巫女の霊夢の仕事だ。たまに私や他の奴が手伝ったりするけど、基本的には霊夢が1人でやってる。だから宴会の時になると、こうやってぶつくさ文句を言いはじめる。触らぬ神に祟りなしだ……早いとこ退散しますかね!
「私たちはお邪魔のようだから、さっさと行こうぜ。とりあえず人里を案内してやるよ!」
「そうだな、頼もうか」
どうやったか知らないけど、カプセルを小さくしてポケットにしまうレヴァン。
「あややや!それなら私もお供します!」
もう復活したのか…。まあいいか。
「ちょっと、あんた達…!」
「じゃーな霊夢!また夜には来るからなー!!」
何か言いたそうな霊夢を置き去りに、私達は一目散に駆け出す。今夜の宴会は、いつも以上に賑やかになりそうだぜ!!
テンプルアーマー:ホームカプセル
非常用の拠点として使う為に作られたテンプルアーマー。
普段は野球ボール程の大きさだが、ボタン1つで巨大化する。原理は不明。
中には1人用のイス、数日分の食料と水、通信機器や工具が備えてある。
外敵を近寄らせない為に触ったものに電撃を放つ機能がついているが、基本的には非戦闘用である。