東方奇才伝   作:サンダーボルト

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大変長らくお待たせしてしまい、そして量も少なくて申し訳ありません。


通りすがりの閻魔と死神は、奇才が抱える一つのものを知る

~レヴァンサイド~

 

 

華扇にアドバイスを貰ったはいいものの、結局何をすれば良いかは分からないままだ。せめてもう少し情報を手に入れないと、安心してデートには臨めない。……さて、どうしたものかな。

 

 

「――――愚か者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

打開策を考えていた僕の耳に、さっきとは違った怒号が飛び込んできた。反射的に声が飛んできたほうへ振り向くと……うわぉ。

 

 

「まったく貴女は!何度同じことを言わせる気なんですか、小町!!」

 

「いや、これは違うんですよ四季様~…」

 

 

左右非対称の緑のショートヘアーの女が、赤いツインテールの女を往来で説教していた。その二人の格好が凄い。

 

四季様と呼ばれた方は紅白のリボンが付いた帽子を被っており、手に笏を持って説教と共にぶんぶん振り回している。小町と叫ばれた方はロングスカートの着物っぽい服を着ており、その背には身の丈程もある大鎌を背負っている。なにあれこわい。

 

 

「貴女は少し死神としての自覚が足りないのではありませんか!?」

 

「ですからこれはサボってたんじゃなくて、ちょっと休憩をね…」

 

「言い訳無用!そんな嘘が私に通じるとでも!?」

 

「勘弁してくださいよ~…」

 

 

死神…マジでか。確かにいかにもな得物持ってるけど、そのものズバリとはな。だがその死神に説教かましてる奴って何者だ?死神の上の存在って何なんだ?邪神?

 

……そういや、ショートヘアーの女が持ってる笏、有名な誰かが持ってたような気がするんだよな…誰だっけ。

 

 

「……あの、四季様?」

 

「何ですか!まだ説教は終わってませんよ!」

 

「いえ、さっきから四季様の方を見ている男がいるんですけど…」

 

「……え?」

 

 

そうだ、思い出した。閻魔大王だ。あの笏、閻魔大王が持ってたやつと同じだ。確か名前もあったよな。なんてったっけ………………あ、あれだ。

 

 

「そこの貴方、私に何か御用ですか?」

 

「悔悟棒だ!確かそんな名前だった筈……ん?何か言った?」

 

 

喉に刺さった魚の骨が取れた時のような快感を味わっていた矢先に、その悔悟棒を持った女がいつの間にか近くに来て、何か言ったらしい。やべえ、聞いてなかった。女の顔が険しくなって、僕を睨む。

 

 

「ですから、何か御用があるのかと訊いたのです」

 

「いや、用は特にない。ただ、お前の手に持っている笏の名前が出てこなかったんでな。ジロジロ見て悪かった」

 

「そうでしたか…。いえ、こちらは気にしていませんから」

 

「手にしているのが悔悟棒だとすれば…お前はもしかして閻魔大王か?」

 

「大王はいりません。私は閻魔、四季映姫・ヤマザナドゥと申します」

 

「どうも……僕はレヴァン。ここでは僕みたいな人間の事を、外来人と呼ぶらしいな」

 

「へぇ~、珍しい恰好だと思ったら外来人だったのかい。あたいは小野塚小町。三途の川の船頭をしてる、しがない死神さ」

 

 

事情を話したらすぐに表情が元通りになった。どうやら話が分かるタイプらしい。お互いに自己紹介をすると、さっきまで説教を受けていた死神も混じってきた。……やっぱマジで死神なのか。にしてはフレンドリー過ぎる気もするがな。

 

 

「まあ、見ていた理由はそれだけなんでね。僕はこれで失礼させてもらう」

 

「そうですか。私もまだ小町への説教が終わっていないので、これで失礼しますね」

 

「えっ!?もう終わったんじゃないんですか!?」

 

「あれで終わりなわけないでしょう!今度という今度はみっちり教育しますからね!!」

 

「ひいぃ……!」

 

「……仲が良くて何よりだな」

 

 

小野塚の首根っこを掴んで、ヤマザナドゥは小野塚を引きずってどこかに歩いていった。僕もヤマザナドゥが歩いて行った方向とは逆に歩いていく。

 

 

……これ以上誰かに聞こうとしても余計な事に巻き込まれそうな気がする。一応、華扇からはアドバイス貰えたからこれでよしとしようか。大人しく帰ろう。明日やる事の下準備もあることだしな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

「小町、さっきの外来人……レヴァンさんの事ですが」

 

「……はい…?」

 

 

長時間の説教からようやく解放され、疲労困憊の小町に映姫が問いかける。

 

 

「彼を見て、何か感じませんでしたか?」

 

「どうしたんですか急に?あ、もしかして惚れちゃいました?」

 

「……質問を変えましょう。小町、貴女は見えましたか?(・・・・・・)

 

 

映姫が再び問うと、小町もおちゃらけた表情を引き締めて答えを返す。

 

 

「…いいえ、あたいには何も見えませんでしたね」

 

「…そうですか。まったく、八雲紫は何を考えているのやら…」

 

 

映姫は軽く愚痴った後に短く溜息を吐き、小町は大鎌を両肩に担いで空を見上げた。

 

 

「(やれやれ、これまで沢山の人間を見てきたけど、ああいうのは初めてだ。――――寿命が見えない人間、なんて……)」

 

 

小町は寿命が見えない理由を考えてはみたものの、思いつくのは人間をやめなけれならない方法ばかり。魔力も霊力も大したことない人間の寿命がどうして見えないのか。映姫と別れた後も暫く、小町はどんな理由なのかを考え込んでいた…。




次回もよろしくお願いします。
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