くぅ〜!マキマキぃ〜!な世界線から来たマキマさん   作:カピバラバラ

1 / 3
くぅ〜!デジマキィ〜〜!!

 

「木ぃ切って、月収6万だろ?」

 

「腎臓売って120万、右目が30万、玉売って10万ぐらいだったっけ。そんないってねぇか。それで残りの借金がぁ……3804万円」

 

「悪魔を一体殺せばだいたい30万、やっぱデビルハンターが一番儲かるな」

 

 

──トマトの悪魔。40万、諸々引かれて残金7万。水道代借金、色んなとこに色々返して、残りは1800円。

 

今月の食費はそれだけ───あ、100円増えた。

 

 

「べっ…──」

 

 

吸い殻も綺麗にして売りゃ、金になんのか?

ゴミ拾いしてる時によく落ちてる、先っちょ切れば短いだけで吸えるし。

 

 

「これで3日は食えるな!」

 

「ワン!」

 

 

 

 


 

 

 

 

「デンジよぉ……俺達ぁ、テメエには感謝してんだぜ」

 

「犬みてえに従順だし、犬みてえに安い報酬で働いてくれる」

 

「でも俺ぁ、犬ぁ臭くて嫌ぇだ」

 

 

なら、普通の生活して…身体綺麗にさせてくれりゃ良かったのに。

夢くらい見させて貰ったら、臭くなくても生きれたのになぁ。

 

──普通の生活を夢見るだけで良かったのに。

んな事も、叶えられねぇのかよ。

 

 

『私は、デンジの夢の話を聞くのが好きだった。……これは契約だ、私の心臓をやる。かわりに……』

 

『デンジの夢を私に見せてくれ』

 

「ポチタ!!」

 

 

もっと強くなって稼ぎたかったんだってな。

なんで十分恵まれてんのに、もっといい生活を望んだ?

 

……俺も同じか。

 

ポチタがいりゃあそれで良かったのに、もっといい生活を夢にみたんだ。

そーかみんな夢見ちまうんだなぁ。じゃあ悪い事じゃねぇ、悪い事じゃねぇけど────、

 

 

「俺達の邪魔ァすんなら、死ね!」

 

 

 

 


 

 

 

──全員殺した。

これで借金はパーだ、コイツら全員殺したし、もう誰にも金払わなくて済む。

デビルハンターは悪魔ぶっ殺さなきゃなんねぇんだろ?なら、誰にも文句は言われねぇ。

 

 

「…………」

 

 

ああでもなんか、立ってられねぇぐらい気分悪ぃ。頭ん中グラグラして、体の中全部すっからかんになっちまったみてぇに、寒い。

 

せっかくポチタに心臓を貰ったのに、せっかく借金がパーになったのに、俺は────。

 

 

「…ええ〜!えっ、ええー!?みんな死んでる…」

 

「先越されちゃったぁ〜、帰ろ帰ろ。帰りに1杯ひっかけてさ……」

 

「あの、まだ生きてる奴いますよ?」

 

「え、いるの?──いた〜!」

 

 

……なんか変な女が来た。

顔、可愛い癖に。胸もデケェのに、でもなんか興味引かれねぇ、なんでだ。

 

 

「キミ、チェンソーの悪魔でしょ。分かるよ、チェンソー生えてるから」

 

「………」

 

「変な匂い、人でも悪魔でも無い……ならチェンソーの悪魔じゃないのか」

 

「だ…抱かせて……」

 

「キャー大胆過ぎ〜!いいよ!!!」

 

 

──でも。

温かい。空っぽだったのに、空っぽじゃなくなっていく。

 

 

「あのね、無許可で悪魔と戦ったらダメだからさ。キミには選択肢が2つあるんだ」

 

「ちゃんとお勉強して、公安局に入るか。それとも私のお友達になるか」

 

「お友達になるなら、ご飯は毎日食べさせてあげる」

 

「…………ご飯って……朝メシはどんなの?」

 

「う〜ん…」

 

「──白米と味噌汁、それとだし巻きに生姜焼き、ついでに納豆とサンマ、白米はおかわりしていいよ、後はパンにバターとジャムとマーマレード塗って、コーヒー飲んだらデザートにプリンとコンビニのシュークリーム食べてそれからポテチ…かな」

 

「…………」

 

「食べ過ぎじゃあないっすか……?」

 

「酷っ!?」

 

 

 

 


 

 

 

 

──グ〜。と、ハラの音が車内を満たす。

隣には超美人な女が居て、こっちをチラチラと見てはニヤついた顔をしていた。

本当にツラはいいのに、変な顔をするせいで台無しだ。

 

 

「お腹減ったね、私達も朝食べてないんだ……パーキングエリア寄ろっか、そこで適当に食べよ」

 

「すいません……俺カネないんすけど…」

 

「ハッハー!ここは私に任せて好きな物頼んでいいよ!私がお金出すから!」

 

「あとキミ……あははっ、服着よっか。半裸じゃ私に目の毒、だぜっ?」

 

「───」

 

 

変な女だ、確かに変な女。でも汚ぇ臭ぇと言われ近寄られもしなかった俺に、優しくしてくれてる。

それもすげぇツラのいい女に。

──駄目だ、なんかダメそうなのに好き!

 

 

「あっ、私カレーうどんとフランクフルトで。キミは何がいい?」

 

「俺……俺も同じ奴で。…やっぱりうどんは普通の」

 

「それだけでいいの?めっちゃ痩せてるんだからしっかり食べた方が…」

 

「じゃ、じゃあ!俺焼きそばとたこ焼きもお願いします!」

 

「──うんうん、いいよ食べて食べて!」

 

 

やっぱ凄ぇ良い奴じゃん!

メシ奢ってくれるし、俺が他の奴頼んでも怒んねぇし、笑ってる。

 

 

「カレーうどんと、うどんのお客様〜」

 

「あ!私でーす!キミのも来たから取ってくるね!」

 

 

誰かが俺の為に動いてくれんのも、ポチタ以外で初めてだ。

本当に優しい人だったらいいな、結構好きになってるけど、借金させてくる奴も大体最初は優しかった。

 

 

「うどんに七味、かける人〜!」

 

「ハイハイハイ!かけます!!」

 

「はいパッパっ、と。そうだ、ねぇねぇ…どうして七味が七味って言われてるか知ってる?」

 

「え、なんでなんすか!?ちゃんとした意味あったんすね、この辛ぇ奴の名前」

 

「──うどんを美味しくする調味料が、七種類入ってるから、7つの味で七味なの」

 

「────天っ才ッすね!?スゲェー!!!」

 

「そうでしょ〜〜〜〜〜〜!!!!?天才!」

 

 

ごめんポチタ!やっぱ俺この人好きだ!本当は怖い人かもしんねぇけど、俺なんかの為に笑ってくれてさ!

 

──好き!すっげぇ好き!!

 

 

「たっ、たっ……助けてくれっ!」

 

「わっ!?……公安のデビルハンターです。何があったんですか?」

 

「あ……悪魔が、俺の娘を攫って!おれの、娘をっ……!娘を連れて森の方に!!」

 

「────」

 

「えっと、キミ…。名前なんだっけ、聞いてなかった」

 

「デンジっす」

 

「デンジ君……うどん伸びちゃうから先に食べてて、私は少し、この人の子供を助けてくるから」

 

「えええ…アンタもうどんっすよ?伸びる前に…」

 

「あとこの人の止血、頑張ってね!私のお友達なら、誰かの怪我ぐらい治せないと」

 

「まっ…──」

 

 

───行っちまった。

 

行かせて良かったのか?一人で、俺が好きになってる女なのに。

……なぁポチタ。俺の事、人みてぇに扱ってくれる女なのにさ、うどんも伸びるのに、人、助けに行くんだって。

 

俺ぁ、ここでうどん食ってて、いいのかな。

 

 

「……」

 

「………おい。あの人の名前って」

 

「ん?あ〜、マキマさんって呼んであげてくれ。あの人タメ口苦手だから」

 

「…止血頼んでもいいっすか?俺、マキマさんの所行ってきます」

 

「───まぁ、行ってもいいか。だが多分………いや、なんでも」

 

 

──温かい飯をさぁ、俺はポチタと食べたかったんだ。

俺一人で、ポチタの飯が冷たくなる所を見ながらうどん食べても美味しくねぇって考えちまった。

 

ポチタ死んだの思い出して、なんかモヤモヤして、モヤモヤしながら飯食ってもマジィだろうし、だったら俺は───。

 

 

「マキマさんッ!」

 

「──あれ」

 

「え……どゆコト?」

 

「えー!?もしかして、心配して来てくれたの!?」

 

「あ──はい、そっす」

 

 

やべぇ。

この女、やべぇ。悪魔をトマトジュースみてぇにしてる?

 

 

「わー!もう大好き!お友達合格〜〜〜!!!?」

 

「す、すき?」

 

「はいこれ、この子デンジ君が背負ってお父さんに返してきて!今回の手柄はデンジ君のもの!!」

 

「────」

 

 

すっげぇ……良い匂い。

なんで俺は何もしてねぇのに、こんな幸せになってんだ?これが普通なんかな、夢の正体ってこゆコト?

 

借金チャラにしたくて暴れただけなのに、ツラの良い女に2回も抱き着かれた。飯奢って貰った。

 

そっかぁ…なぁポチタ、夢って奴はもっとデカい方が良かったのかもしんねぇな!

 

 

「えへへへ……デンジ君は優しいね」

 

「んなこたぁ無いっすよ。マキマさんの方がよっぽどです」

 

「お世辞〜〜」

 

「それより、さっき俺の事…好きって、言いました?」

 

「うん、私デンジ君の事好きだよ?それに、体の中から良い匂いがするし」

 

「体ん中──?」

 

「デンジ君がチェンソー生やせる様になった理由……かな。多分だけど、君の心臓代わりになってる親友はまだ生きてる」

 

「…………すげー……。そりゃ、すげ〜〜良かった……!!」

 

 

──グ〜。とまた、話している間に腹の音が響き渡る。

少女と共に救急車へ乗り込んだ父親の顔を眺め、卓上には冷めて伸びたうどんと、冷めて伸びたカレーうどん。

 

そして冷めた焼きそばとたこ焼きが置かれてある。

 

 

「うどん……食べよっか?フラフラだけど、デンジ君…一人で食べれる?」

 

「食べれま食べられません」

 

「ハイアーン」

 

「アーーーーン!」

 

「おいしい?」

 

「おいしい〜〜〜〜!!!!」

 

「私もアーン!───あ」

 

 

白い服に、茶色いシミ。

予想出来た、想像出来た筈の結果に、目の前の女は涙目になっている。

 

どうともならないのに、濡れたタオルで擦っては、その汚れを広げていく。

 

 

「ぁぁ……」

 

「──マキマさん」

 

「どうしようデンジく……デンジ君!?」

 

 

服に飛んで嘆いている姿が馬鹿らしくなるぐらい、デンジの体はカレーうどんのツユに塗れていた。

 

 

「おそろいっ……すね!!」

 

「…!!!!」

 

「もぉ〜!デンジ君ったら可愛いね!」

 

「マキマさぁん!さっき俺の事好きって言ってくれましたよねぇ!!!?俺も、マキマさんの事好きっす!!!」

 

「ヒュゥ〜〜〜〜〜〜!!?!!?」

 

「マキマさんのす、好きな男のタイプってなんすか!俺ぇ、マキマさんの好きな男になりてぇ!」

 

「う〜〜〜ん」

 

「…………」

 

「……………………」

 

「──デンジ君みたいな人?」

 

「…………──デンジ君……?」

 

「俺じゃん…………」

 

「デンジ君、私と結婚しちゃう?」

 

「え」

 

「うっそ〜〜!まだダメでぇぇ〜〜〜〜す!!!!」

 

「くぅ───マキマキィ〜ーーーー!!!!!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。