長夜月(偽) 作:四末説最後の一つは均衡ってマジ?
一番石足りないほよばゲームスタレなんですけど!?!?
新キャラのキャラデザ良いし声も良いし運命愉悦とか絶対おもろいやんどうしてくれんのこれ……スタレへの課金は止まらない、加速する!
カイザー・ケリュドラの号令の下始まった火を追う旅は、タレンタムとファジェイナ、そしてジョーリアの討伐を果たした後止まることとなった。
その理由は、預言の黄金裔の不在。例え狂気に堕ちたニカドリーや天空を塞ぐエーグル等の、人類にとって害悪とも言える存在となった信仰対象だとしても、討伐すれば火種が手に入る。そして火種は、半神となるに相応しい黄金裔が試練を突破して受け入れる必要がある。
仮に返還したとして、その神権を引き継ぐ半神が現れなければ、タイタンの担っていたものが消滅してしまう。その為、火を追う旅は一時中断となってしまったのだ。
けれどそれは、決して悪い事ばかりでは無い。
襲い来る暗黒の潮への対抗は必須だが、同時に外敵と呼べるのもまたそれだけだ。であるならば、兵力を正しく防衛だけに向け余った人材をそれ以外へと向けられる。防衛力の強化、技術力の増強、余裕は豊かさを生み、その豊かさこそが兵力を増やす好循環。
無論、それを支えるのは英雄達を支えんとする市井の人々と背中にいる人々を守らんと発起する英雄達の存在無くしては成り立たない理想ではあるが、正史のオンパロスを知っている人からすれば驚きかねない事ではあるが、方舟世界のオンパロスではそれを成し遂げていた。
それを成し得た理由は大きく分けて二つ。
聖都オクヘイマには、三人のトップがいる。
まずオクヘイマの女皇であるカイザー。彼女は人々の在り方だけでなく、進むべき先すらも定義する船頭。彼女の実績とその存在を見れば、誰もが納得するであろう立場にいる。
続いて金織のアグライア。半神議会というものを立ち上げ、火を追う旅へと身を投じる黄金裔だけで全てを決めるのではなく、それを支える人々の意見も交える事でより全体としての統一を齎した。あくまで最終意思決定権を持つのはカイザーだが、彼女だって有用な意見は無下にはしない。人間性の喪失という欠点こそあるものの、彼女自身が敷いた金糸による回線と防衛網は、どれだけの人々に利益と安心を与えたのかは語るに及ばない。
そして、最後の一人が軍事部門総統のレイ。カイザーと同じく元は黄金裔でもない普通の一般人だったが、度重なる戦場でその存在感を示し続けた。カイザーの右腕がセイレンスであるのならば、彼は左腕。そして同時に多くの人にとっての希望の光とも呼べる存在となっていた。
正史のオンパロスにおける、足を引っ張る役割を担っていた元老院と粛清者達。カイニスを筆頭とする彼等も当然この世界にはいるが、意外なことに彼等も黄金裔達の理念と火を追う旅に賛同し、支援している。
その理由も、やはりレイだった。
ファジェイナ討伐戦において、常に最前線で戦い続けながら多くの戦果を挙げ、そして法の試練の犠牲として亡くなった多くの黄金裔とは違い彼は生き抜いた。
ジョーリア討伐戦において、正史であれば山の民や荒笛等を利用する事で辛勝した戦いであったが、レイの放つ輝きはその信徒である山の民すらも味方にし、真正面からジョーリアを打倒した。
そして、定期的に襲い来るニカドリーとクレムノスの戦士達。ただの戦士達との競い合いであるのならばカイザーの知恵により無血での終戦を迎え、ニカドリーの下で死にに来た彼等に対しては、レイを筆頭にその血みどろの戦いで戦果を挙げ勝利を収めた。
暗黒の潮の勢力に対抗する為にオクヘイマもその守護する土地を増やし続け、神悟の樹庭も取り込みサーシスを味方にし、オロニクスですらレイへの協力を惜しまなかった。
黎明のミハニが照らす範囲のみをその守護下とする正史のオクヘイマと違い、ここの軍事帝国オクヘイマの範囲は正史の十倍の範囲を誇っていた。黎明のミハニの明かりが届かぬ場所であっても、無明地帯に突然造物が現れる訳でもなし。ならばと地道に安全圏を広げ続けた結果がそれだった。
そして預言の黄金裔が産まれ育った頃には、ついにクレムノスですらニカドリーを見放した。紛争のタイタンよりも、輝かしい英雄を彼等は知ってしまった。その光を直視して、自らもまた英雄足らんと正道を歩みだし、救世の道の中にこそ栄光をとその意志を変革した。
とは言えど、ゴルゴーは死にメデイモスはステュクスに流された。オーリパンがクレムノス全体の意志を変えるには少しばかり遅かった事になる。
「人々がタイタンを信仰し、齎される奇跡に縋る理由は良く分かる。人とは軟弱なればこそ、何かに縋ってなければ生き残れないのだ。ましてや、神話として語り継がれ尚も人を守護する偉大な存在がいるのなら、何も考えずにただそれらを称えるだろうよ」
「無知蒙昧、と言うよりは盲目白痴ですね。私もそうであった時期があるからこそ良く分かります。そして縋って祈って、その果てに叶わなくて漸く理解するのでしょう……タイタンもまた、完全では無いのだと」
神悟の樹庭の謁見の玉座にて、二人の男が語り合う。その内容は涜神的なものであり、仮に信仰心の強い司祭などが聞いたのであれば、すぐにでもその顔を真っ赤に染め上げ唾を吐き散らしながら怒鳴るであろう。
しかし、レイとアナクサゴラス。語る二人には一つだけ共通点があり、どちらもタイタンなどに救われた事は無かった。
「俺の流れ着いたスラムがああなった理由は、元を正せばニカドリー……紛争のタイタンのせいだと言える。だが同時に、多くの戦場に身を投じ続けて気付いた事だが、ニカドリーとは紛争と恐怖を撒き散らすだけの存在では無い」
「かのタイタンには役割があったと?」
「所感だがな。何故あのタイタンが狂気に染まる事になったのかを考えれば自ずと見えてくる」
「暗黒の潮、ですか……そうなると、紛争でもって侵略者たる外敵と戦い守る事こそ本来の役目であったと、そう考える事も出来ますね」
「どちらかだけと言う事は無いのだろう。ただ、人々は外からの恐怖という刺激があるからこそ、日々を強く生きる事が出来、ニカドリーはそれを促す為の存在だったのだろう。ただ、想定外だったのが天外よりの侵略者……そのようなモノが現れたのなら、一々内輪揉めをしていられる余裕もあるまい」
「やはり、盲目的に信仰している人間と話すより多くの気付きを得られますね……総統殿、やはりタイタンを研究の対象としなければ多くの物事を解明出来ないと思いますが如何ですか?」
「アナクサゴラス、何度か言っているが研究をしたいのなら好きにすると良い。俺はそれを止めんし、わざわざそれを吹聴する気も無い。だが、いくら明日へと向かう為にオクヘイマの人々の足並みが揃っていようとも、彼等には未だにタイタンへの信仰が多少なりとも残っている」
「ええ、理解していますよ。ですから貴方に話しているのですよ英雄殿。かの総統閣下が必要な事だからと言えば、盲目の大衆は誰もがそういうものかと頷きます。黄金裔、カイザー、アグライア……誰もが再創世の果てに望んだ明日があるのだと盲信して火を追っています。ですが、そこに果たして保証はあるのでしょうか? 私には、誰も彼もが目隠しをした状態で断崖の果てに身投げしているようにしか見えないのですよ」
「ああ、言いたい事は分かっているとも。だが貴様が手を出す対象と言えば、どうしてもそれはケファレになるだろう……ならば、まだ時期尚早だ」
「神権を担うべき黄金裔が、まだ揃っていないからですか」
「アナクサゴラス、貴様の実験が万事上手く行くと言うのなら問題は無いだろう。だが、何事にも絶対は存在しない……そして、ケファレに問題が起きれば今の現状維持は一気に瓦解する」
「けれどそれを待てば、今度は再創世以外の道を閉ざす事にも繋がりかねません」
「……その知識欲があるからこそ、貴様は賢者足り得るのだな。ケファレに手を出す事を、現状許す事は出来ん。が、貴様の求める保証の必要性も理解している」
「その言い様、何か代案があるのですね?」
「本来ならば、俺以外の誰にも知らせるつもりは無かった……が、そうも言ってられんようだ。ならばこそ、アナクサゴラス。貴様を十三柱目のタイタンと会わせよう」
まぁ、厳密には違うのだがなとレイは続ける。けれどその言葉はアナクサゴラスには届いていない。
何故なら、十三柱目のタイタンとは誰も存在すら知らないものだからだ。今までの知識、常識、神話、それらの全てが前提から瓦解する事になる。
そして同時にアナクサゴラスは理解する。目の前にいる、レイと言う名前の怪物がどうしてこうなれたのかを。
カイザーと同じく元はただの一般人であったとは、それなりに事情に詳しい者は知っている。黄金裔に限らず普通の戦士すらも募集した理由がそれなのだから。そしてカイザーは黄金の血を奪い黄金裔となったが、レイに関してはその様な話は聞かなかった。
にも拘らず、目の前の偉丈夫は第一次火を追う旅から生きているのに見た目は青年のソレ。年齢を重ねる毎に老いていくハズの人でありながら、不老の黄金裔と同じく全盛期を保ち続けている。
彼の流す血は赤い、それは事実だ。けれど同時に、普通の人間には有り得ない力も扱うのだ。
なるほど、道理で人の理を超越している訳だ。彼の身体にはタイタンの力か技術、或いはその両方が備わっているのだから。
そこから考えられるのは、十三柱目のタイタンとやらは人間に協力的であり力を与えてくれる存在か、もしくは目の前の英雄に屈服させられたかだ。
そして、彼の言い様からそのタイタンからは私の望む知識が得られるのだろうとアナクサゴラスは思考した。
「では、お願いします」
タナトスの領域とされる冥界とも違う、ただ鉄の冷たさを思わせる冥府に辿り着いた時、アナクサゴラスは自分がもっとも世界の真理に近いところにいるのだと理解した。
「久しぶり、共犯者。まさか貴方が人を連れて来るとは思わなかったよ」
その冥府の、鋼鉄の棺に磔にされた上半身だけの何者か。死者を象徴するかのような銀の髪と、血の熱さを滾らせる赤の瞳。上と下とを分断された断面から絶えず流れ出るのは赤や黄金の血等ではなく、人やタイタンにとって天敵や仇敵と表現すべき暗黒の潮のソレ。
少なくとも、目の前の磔にされた女はタイタンなんかじゃ無い。それだけは理解出来る。
「本来ならば貴様の存在を何者にも明かすつもりは無かった。だが、流石は樹庭の七賢人と言うべきか……放っておけば一人で世界の真実を解き明かしただろう。ならば、早いか遅いかの違いしかあるまい」
ふふ、と目の前の女は嗤う。微笑みとも評すべき穏やかなものだったが、何処か背筋をなぞる様な不気味さを感じた。
「英雄殿……彼女は?」
「紹介しよう、アナクサゴラス。彼女はこの世界の真実を知る唯一にして、共にオンパロスの滅びを乗り越えようとする共犯者。そして、その果てに俺が倒すべき敵だ」
「初めまして、アナクサゴラス教授。私の事は長夜月とでも呼んで」
「長夜月……ふふ、ははは! なるほど、そういう事ですか。ええ、理解しましたとも――確かに、貴女ならば滅びを乗り越えられるでしょう。ああ全く、どうして今まで忘れていたのか……いえ、本来は気付けないハズだったのですね」
起きるはずの無いバグ、想定されていない「知恵のルートを歩む存在」の行動。それらを目撃し、唖然としたのはレイと長夜月の二人だった。
本来ならば、アナクサゴラスこそがこの場において情報の観点から置いてけぼりになる筈であったのに。
これは、方舟世界を作る際にコピーを行った魂をそのまま利用した偽物の長夜月のミスであり、自らが調整を行う立ち位置にいたアナクサゴラスが仕込んだ意図的な不具合。
彼は、方舟世界における自身が偽物の長夜月の分身と出会った時、知るべき情報を思い出せるようにしていた。
ケリュドラとヘレクトラ。その二人の魂に関しては全てを思い出す訳では無く、あくまで変数となる存在の味方となるように行動を誘導されているに過ぎない。その為にケリュドラは必ず法の試練を突破するし、ヘレクトラはケリュドラを殺害しない。彼女たちはあるがままで十分であり、預言の黄金裔達と足並みを揃えるだけで役割を果たせる。
けれど、アナクサゴラスには別の役割を与えられる。何も知らなければ彼は再創世を確かなものとして証明し、その再創世に対して望みを託す事になる。だが、ただ盲目的に再創世を果たしてしまえば鉄墓の完成によるバッドエンド一直線となってしまう。
では逆に、早い段階でオンパロスの真実全てを彼が理解したら、一体どうなるのか?
答えは明白だ。より良い結末へ至る為の道筋を、辿り着くべき未来の選定を、彼はその身すら利用して解き明かすだろう。
方舟世界オンパロスにおいて、鉄墓の討伐という結末は必要最低限なのだ。そもそもの設計思想として鉄墓の討伐を無限に繰り返す事で因果を補強し確定させるというものがある以上、討伐出来ませんでしたは許されない。その上で、変数達がどのような軌跡を描けるのかという所に重きを置いている。
そのような前提条件があるくせに、この世界において星神や天外の勢力の助力は望めない。仮に星神の影響を受けられるとすれば、壊滅か虚無か愉悦の三つのみ。愉悦という特例を除いて、一瞥や謁見という高位次元干渉は行えない。
それは、方舟世界を外的要因で破壊されない為の偽物の長夜月の防衛手段。そして同時に、鉄墓との決戦時「存護」「巡狩」「記憶」「貪欲」からの一瞥を全て一蹴した彼女の意志を反映している。外からの干渉を防ぎ、自らの意志と力で未来を開拓する事を望む。ただし、元から暗黒の潮として壊滅の影響は強く、虚無は一瞥をされるものではなく自ら足を踏み入れるモノ。そして愉悦はあらゆる規則を一笑する。
つまり、単純に考えれば正史のオンパロスよりも遥かにハードモード。迷い込んだ開拓者ただ一人でオンパロスの運命を変え鉄墓の討伐までしろという無理筋。擬似的な記憶の星神と化したデミウルゴスからの助力の代わりに、この方舟における唯一神とも言える偽物の長夜月の支援があるとは言え、求められているハードルは極めて高い。
偽物の長夜月の自滅因子である分身と、オンパロスの定められた破滅の運命を覆せる可能性を秘めた変数。そして変数に助力するケリュドラとヘレクトラの存在。しかし、鉄墓の討伐を確実にするにはまだ足りない。
その為に、アナクサゴラスは自らの分身となる魂に仕込みをした。彼が偽物の長夜月の分身と出会うという事は、運命は既に分水嶺を超えている。ならば彼等を支援し、同時に鉄墓との対決に向かえるように道筋を整える必要がある。
故に、アナクサゴラスは全てを理解した。
「感謝しますよ、英雄殿。この時期に私と彼女を出会わせてくれて……安心してください、私は私の役割を理解しています。全霊を賭して貴方々が鉄墓の討伐に向かえるようにいたしましょう」
「……アナクサゴラス、貴様は再創世の仕組みを解き明かしたかったのではなかったのか?」
「再創世。ええまぁ、そうですね。黄金裔達が火種を追って戦火に身を投じていくその姿に、思うところはありましたとも。その果てが求めていたモノで無かったのならば、彼等の犠牲は無駄になってしまう……ですが、長夜月。正確にはそれ以外の自らの呼び名を持たない貴女と出会い、私は理解しました。ええ、樹庭の七賢人アナクサゴラスとして宣言しましょう。再創世の果てに、黄金裔達の望んだ世界が待っていると」
「……えぇ?」
神秘的であり驚異的な存在感を放っていた長夜月と名乗る存在も、この時ばかりは普通の少女のように困惑を隠せなかった。
共犯者たるレイの連れてきた、知識を共有すべき相手だと判断しこれから多くを語るつもりであった。にも拘らず、何かを話す前にひとりでに全てを理解してしまったらしい。控えめに言って意味が分からないし、こんな事は今までの輪廻の中でも初めてだ。
だが、それでも一つだけ分かる事はある。いずれ知恵の半神となる目の前の男は、エスカトンを乗り越える為に全力を尽くすし、恐らくこの世界の核とも言える鉄墓の討伐にも惜しみない協力をしてくれるだろうと。
「しかし、こうして会ってみて思いますが……なるほど、リュクルゴスはどうやら貴女を脅威と判断し、こうしてその身を封じたのですね。ええ、彼ならばそうするでしょう……しかし、封じた場所が悪いですね」
せめて神話の外側に閉じ込めれば、可能性は皆無になっていたのに。そう彼は呟いた。
「そう? デミウルゴス・マトリクスには通常の手段では訪れる事は出来ない。なら、見られたくないモノを隠すには最適じゃないかな?」
「ふっ、考えが甘いですね。何かが変わろうとも、変わらず出来の悪い生徒だ。何かがあれば干渉が可能であるのと、リュクルゴス自身が招きでもしなければ絶対に到達不可能なのは当然違いますし、誰の目にも留まらせたく無いのなら後者を選ぶべきです。とは言え、リュクルゴスの考えも理解出来ます。仮に貴女を神話の外側に監禁した場合、暗黒の潮と同質であると言う性質を生かしてセプター自体に何らかの干渉をされる可能性は否定出来ない」
その点デミウルゴス・マトリクスならば安全だ。ここは現実のカーネル層では無く、あくまでも演算世界内部のカーネル層。ここで許されるのは記憶の蓄積のみであり、ここからセプター自体に干渉する事は不可能だ。もっとも、現実のデミウルゴス・マトリクスであったとて星核汚染の影響で何かを起こせるとは思えないが。
ともあれ、リュクルゴスはそれらを加味してこの場所に異分子を封じる事を選択したというだけの話。もっとも、分身でなく本来の偽物の長夜月であったのなら、彼女の持つ侵食の権能でデータ世界ならば何処からでも自由に振る舞えるので、やはり閉じ込める場所に意味など無いのだが。
少なくとも自滅因子である目の前の少女は、侵食の権能に類するような能力は持っていないらしい。
「さて。現状での貴方々の目的と着地地点を聞いておきましょうか。貴方々は、如何にしてオンパロスの破滅を乗り越えるつもりですか?」
「まずは鉄墓の討伐だ。どの道アレが完成してしまえば俺達は残らず消されてしまうだろう……ならば、リュクルゴスの目的である鉄墓は何としても破壊しなければならん」
「その後は、このセプターの主導権を乗っ取るの。鉄墓の代わりにコアになるって言えば良いかな?」
「ただし、俺か長夜月。どちらがコアとなるかはその時に決める。俺と長夜月とでは目指す結末が違うからな」
「オンパロスの生存権を獲得する為に、私は群星の敵全てと戦う」
「俺はオンパロスの生存権を獲得する為に、外交を行う」
「ふむ……良いでしょう。とは言え現状、鉄墓は完成間近で止まっており、そのコアまでに到達する道はありません。ですので、私はその道を作り出しましょう。そして鉄墓の討伐を果たしたのならば……ええ、お二方でご自由に争い下さい」
アナクサゴラスには分かっている。そのどちらを選んだとて、辿り着く結末は一つであると。この二人では、内側から方舟を食い破る事は不可能だ。
だが同時に面白いとも思う。正史でのオンパロスとは違う、オンパロス内部の人間達だけで鉄墓の討伐を為せる事を。この二人ならば、本来夢物語でしか無いその未来へと、間違いなく辿り着けるだろうと。
キュレネ。偽物の長夜月が救おうとした存在。見ていますか? この世界は、高位存在の助けも外の助けも必要とせずに、自らの未来を切り拓こうとしている。
自信を持って断言しましょう。正史のオンパロスが辿った物語と同じか、或いはそれ以上に。素晴らしい物語が見られると。
好奇心。天外の天才達の原動力とも言うべきソレ。ああなるほど、こうもワクワクするものなのか。全く、私達の良く知る長夜月め。貴方は全力で生きていく傍らで、常にこの想いを抱いていたのですね。
「貴方達二人の為に、私はこの身を薪として燃やしましょう。ですので魅せてください、人が持つ可能性を……未来を切り拓く強い意志を」
「無論だ。誰かの涙を明日の笑顔と変える為、勝利をこの手に掴もう」
「当然でしょ。オンパロスに明日を与える為に、全ての敵に壊滅を」
明日か明後日くらいには一旦普通の番外編出します。偽ちゃんが羅浮にいた頃のお話書こうと思ってます。