自分の望む通りに、歪めてやった。後悔は無い。
学校の予鈴が鳴る。
四時限目の授業が終わり、生徒達は仲の良い者同士で机を突き合わせてめいめい弁当の包みを開く。
もしくは学食へ向かうか別の場所に弁当を持って移動するかであった。
この学校――
「あったかくなってきたなー」
「この時期に聞く定番中の定番のセリフだな」
「お、悠は何か新しいワードで表現してくれるのかな~?」
「俺に期待するな。ここにいる宮城が天才的な表現を披露してくれるさ」
「な⁉」
宮城は友人こと
赤石から無茶振りを受けた宮城はつい大声を上げた。
「おい、廊下だと音が響くだろ。もっと声抑えろ」
「ああ、すまん……。ってお前が原因なんだよ!」
「マナー違反を注意してあげたらこんな風に逆ギレしてくる始末……。日本の先行きは暗そうだ」
「あのなあ……」
宮城が額を手で覆う。赤石相手に口では勝てないことはよくわかっているため、何とか気分を押しとどめた。
代わりにため息が口から漏れた。
「おいおい、これから飯食うってときに何でそんなアンニュイなんだ」
「いや、別にそうってわけじゃないが」
「統を見ろ。飯時だけじゃなく授業中だろうと葬式中だろうと常に元気一杯に振る舞う生まれながらの陽キャ男子だぞ」
「いや~、照れるな~」
「褒めてないぞ、それ。あと葬式中に明るいのはサイコパスか死んだ相手に恨み持ってたかのヤバいパターンだろ」
弁当を食べる場所への道中の時間を、宮城、赤石、須田は雑談を交わしながら潰していた。
宮城、赤石、須田はいつもこんな調子だった。
二年生への進級の際、宮城と須田が同じクラスだった縁でまず親しくなった。
その後須田と赤石が仲良かったことから自然と友好が芽生えた。
宮城は赤石にからかわれることがしばしばあったが、それを本気で疎ましく思ったことは一度もなかった。
むしろ、こうして赤石、須田とともに学校生活を過ごすことを前から待ち望んでいた。
なぜなら、宮城にとってこの世界は自身がかつて好きだった作品と瓜二つの世界であり、彼らはその作品において好きなキャラクターだったからだ。
宮城は、一度死という体験をしている。
不摂生が祟り生活習慣病を患ったゆえの死であった。
親兄弟には先立たれており、孤独の中で亡くなったため元の世界に未練はなかった。
前世でどうしようもなくのめり込んだ作品の世界に転生したと知ったときは狂喜した。
もう一度生を受けたときには悔いの残らない生き方をしようと決めていたわけだが、その生き方に盤石な指針ができた気がした。
その宮城は、自らの野望の達成に動いていた。