鳥飼が鈴ノ宮高校を退学した日、同校では新聞部発行の新聞と裏掲示板サイトが同じ話題を取り上げていた。
赤石が、鳥飼によって冤罪を受けていたという内容だった。
宮城が霧島より例の事件の証拠を貰い、鳥飼に退学と自首を要求するまでの間のこと。
宮城は、新聞部を訪ねていた。
「……これは一体」
新聞部の三年、
三田は三年のときの赤石の同級生であり、例の事件において鳥飼側の主張を鵜吞みにして赤石が起こしたとされる事件を記事にした人物である。
原作では真相が発覚した後日、赤石へ謝罪をするといったように筋を通す一面のある真面目な性格だった。
「見ての通りだ。例の事件において、全ては鳥飼のでっちあげだったってことさ」
宮城は、淡々と答えた。
宮城は三田について思うところもあったが、後に赤石へそのことを謝った人物と思えばそこまで敵対しようとも、思わなかった。
「だから一つ、頼みがある」
他の新聞部員も動画を確認している中、宮城は厳かに言う。
「赤石が鳥飼を襲ったという例の記事について、訂正と赤石のお詫びの記事を上げてくれないか」
「……」
部員達は、沈黙した。
事のあらましは既に宮城から説明を受けていた。
「わかった。責任持って私が書く」
しばらく間を置いた後、三田が承諾した。
訂正記事を載せた新聞が出ると同時、宮城は匿名で裏掲示板サイトに例の証拠の動画をアップした。
新聞だけでは影響力は、新聞部の皆さんには悪いがそこまでないと宮城は思っていた。
せっかくこんな便利なサイトがあるのだから有効活用させてもらおうと、宮城は証拠をそこに公開した。
閲覧者の反応は、思いのほか上々だった。
一人の生徒がここまでのことをやらかすという
その余波で同時期に裏掲示板で話題になっていた新井の件が、瞬く間に消滅していたぐらいに。
宮城は鳥飼が要求を飲んだせめてもの報いとして、暮石と共謀したと吹聴するのは止めた。
裏掲示板で鳥飼の話題について他の書き込みに紛れて
「いやー、よかったな冤罪が晴れて」
「ああ。これで俺もようやく娑婆に出られるってもんだ」
「今まで刑務所の中にいたのか?」
「そっちの方がマシかもな、て思う状況にはあったな」
赤石は、クラスの教室を訪ねていた宮城と会話を交わす。
宮城は二年に引き続き三年でも赤石と違うクラスになっており、須田ともども迷惑を掛けられないからと、赤石がこの高校の生徒達がいる前では距離を置いていた。
こうして教室で宮城と堂々会話しているのは、その必要ももう無くなったからだった。
赤石のどことなく荷の軽くなったような様子を見て、宮城は心中赤石に謝った。
宮城がその気になれば、もっと早くに赤石の冤罪を世間に証明することはできた。
それを宮城の都合で今の今まで先延ばしにし、赤石は一学期の間不遇を囲っていた。
真実を知れば、赤石はもう宮城とまともに関わろうとは、しないだろう。
そのときは自分も下手に言い訳はせず、然るべき謝罪をした上で、赤石の前から消えよう。
宮城は心を新たにした。
そして、宮城にとって計画の肝となる局面が、迫っていた。