異世界転移、地雷持ち。 作:匿名
続いた。 でも、亀更新間違いなしのようです。
次はいつになるか、分かんないや
冒険者になりました。
え? 街道で見つけた馬車?
普通だったよ。普通。
そんな都合よく、私困ってます、みたいな場面に遭遇するわけないだろう。
行商だったらしく、荷物の点検をしているだけだった。
特にこれといったイベントはなく、そのまま別れたので描写は無しだ。
何か交流はあったのかというと、馬車には食料が積んでいたので、一部購入したぐらいだ。
そして、歩き続けて1週間も経ってないか?
いや、だいぶ歩いたな。
常識先生の話によると、この辺りの街道は魔物や動物が出てくることはないらしく、比較的安全らしい。
左手に見えていた森に一歩入れば、危険とのこと。
日持ちのするパンを買い、合間合間で食べながら進んできた。しっかりと魔法の練習も欠かしてはいない。
ちょっとしか進歩してないが。
どうあっても使わせてくれないらしい。
代わりと言ってはなんだが、魔力を身体に流す方法を見つけた。コチラも操作が難しく、慎重にしてきたのでミジンコ単位での成長ではあるが。
使えるスキルを全て並行しながら活用して、模索してを繰り返し、ようやく街に着いた。
生活するには何かと金がかかる。
資金を額面で見れば十分あるように思えるが、身分無しの俺が稼ぐには冒険者になるしかない。
冒険者になれば武器や防具、道具が必要になってくるので、これまた金がかかる。
そういう訳で、冒険者ギルドで登録する前に、ある程度揃えてきた。常識先生は冒険者に必要なモノも網羅しているらしく、比較的簡単に集めることができた。
冒険者ギルドで登録を済ませて今は宿屋にいる。
他の屋台より上手い料理を提供している屋台のおばちゃんがオススメしてくれた宿だ。
そこの庭で武器の改造をしている。
槍と斧。この二つだ。
槍はある程度、頑丈なものを購入した。
斧は棒に刃が付いている簡素なものを購入した。
両方ともに柄の太さは同じヤツだ。
要は、斧の刃を槍に取り付けて、擬似的にハルバードへ仕上げようという魂胆だ。
「まずは、コレを外すところからだな」
斧の柄の先端から嵌め込まれた金属部分を先端についている抜け防止のキャップや、手元側についている滑り止めごと取り外す。
棒、刃を含めた金属部、キャップ、滑り止め。
この4つに分解された。
次に槍だ。
これも棒とその先端に穂先がついているタイプ。
穂先は槍の柄に合わせた穴が空いており、そこに柄を突っ込んでいる形だ。こういう形のは、結合部に布を噛ませることで摩擦を増やし、抜けにくくしている。
頑張って外した。
最後に組み合わせていこう。
槍の柄に先端から斧の滑り止めを先に通し、次に本体の刃を通していく。柄の太さは同じなので、しっかりと嵌ってくれる。
そして、外したときと同じように先端に布を噛ませて槍頭を結合させた。
「まぁ不格好だが、動きは問題ないな」
完成した簡単ハルバードを、型に合わせて振っていく。
重心や諸々の違和感が尋常ではないが、使えないことは無い。オーダーメイドで注文できるぐらいには資金を貯める必要がありそうだ。
そして、小一時間ほど、武器の感触を確かめるために振り回し、部屋に戻るもベッドへうつ伏せで倒れる。
一気に疲労がやって来た。
「はぁ……はぁ……きつすぎる」
ここ数日歩き続けた影響と先程の型稽古の疲労が出たと思われる。前世よりもかなり体力の消耗が大きい。
この世界のデフォルトだったりするのだろうか。
この世界にも肉体レベルみたいなのはあるらしいから、それが低いのが原因だろうか。
それとも、スキルの影響?
【体力増強】をLv.2で取得しているから、肉体レベルが低くても大丈夫だと思いたいが。
…………もしかしなくとも、コレが【魔力・極大】のデメリットか?
確かに体内に宿る魔力量は異次元だと、魔力という概念に触れてこなかった自分自身ですら把握できる。
魔法が制御できない。これだけがデメリットと考えると…………破格か?
いや、十分に重たい。下手すれば大爆発ENDが待っている。
でも、それ以外にデメリットが無いとも限らない。
もし、制御困難以外のデメリットがあるとするならば、魔力が増える代わりに反対の物理が減少するというのも納得だ。
物理の対象に選ばれたのが体力ということだろうか。
(はぁ、つくづく【ヘルプ】をとってないのが痛いな)
憶測ではあるが、【ヘルプ】をとっていればこういったデメリットが見えたのではないか、あながち外れてはいないだろう。
しかし、【体力増強】を持っていながら
冒険者は魔物や動物を狩り、その素材や魔石を売ることが主な収入源になると聞いたが。
魔法もロクに使えず、物理面でも弱体化を喰らっている。
…………悲惨だ。
もう嘆いたところで何か変わるわけではないから、ここらへんにしておくか。
というより、魔物等を倒して身体を鍛えればそれだけで肉体面が強化される。デメリットになるくらいだから、尋常な鍛錬では足りない可能性があるな。
…………効率よく鍛える方法は知っているからなんとかなるとは思うが。
つくづく、前世で武術を習っていてよかったと心の底から思える。
魔法についてもだ。コッチに費やしたポイントは約200だ。これをドブに捨てるような真似は絶対に出来ない。
何としてでも、回収しなければ。
絶対に、最低限でも『転移』。これだけは使いこなせるようになれば、文句は言わない。
ベッドに横たわりながら、魔力を暴発させないように魔法を使うのではなく、魔力そのものを動かしていく。
この行為すら難しい。ゆっくり、慎重に。
「明日は朝から…………平原で……薬草、採取。並行して……魔法の鍛錬…………」
数日間の歩き詰め。転移からの精神的疲労。
その諸々が、比較的安全な宿に泊れた事により一気に襲いかかってきた。
俺の意識は泥のように底へ沈んでいった。
◇◇◇
朝
宿で朝食を食べた後、ゲルグの近くにある平原にやって来た。
平原は見晴らしが良いため、少ないとは言え遭遇する可能性のある魔物や動物を発見しやすい。
奇襲される心配もほとんどないので、冒険者になりたての初心者にはオススメの場所らしい。
武装はしっかりと整えてきた。
武器は斧槍、道具は沢山。
それが外から見えないように外套で体を覆い隠す。
いっぱしの冒険者見習いのような格好だ。
「さて、まずは薬草採取からだな。【鑑定】」
やることを口に出しながら、【鑑定】を使って足下の草を調べていく。
雑草、雑草、雑草、薬草、雑草…………お、今あったな。
大半が雑草だらけではあったが、薬草自体もちゃんとあるようだ。
「【鑑定】、やっぱり便利だな」
『ハーウォート 薬草 傷薬の材料になる
種以外に使い道は無い 』
こんな感じだ。
他の薬草類にも同じように【鑑定】を掛ければ根っこが必要であったり、花が必要であったりと様々だった。
鑑定がなければ無駄な採取が増えていたこと間違いなしだろう。
「見る限り、生き物は居ないな。今のうちに沢山採っておくか」
ついでに魔法の練習もするとしよう。
難しい魔法は失敗する。簡単な魔法も現状は失敗する。
魔法ではなく、魔法のエネルギーである魔力の操作に重点を当てたほうがいいかもしれない。
魔法を使う際に魔力を込めることで、威力や効果を増減できるのだ。
異世界人だからか邪神の計らいかは分からないが、本来魔法とは何レベルになったからこの魔法が使えるようになった…………ではなく、この魔法が出来るようになったから何レベル相当だろうと判定される……らしい。
言ってしまえばLv.1でも、『転移』自体は挑戦できるのだ、失敗するだろうが。
言わば、自由度が高いというわけだ。
応用が利く。
その最たるものが魔力の操作である。込める量で効果などの増減が、それに当たるだろう。
すなわち、魔法を使いこなすことよりかは魔力を十全に扱えるようにする。
これをやるべきではないだろうか。
魔力を自由に扱えるようになれば、付随して魔法に魔力を込める際の加減も出来るようになってくる。
このように推測を立てていくと、現段階において魔法が暴発するのは魔力が必要以上に魔法に込められてしまい、魔法の方が多すぎる魔力に耐えきれなくなって、内側から破裂。結果として爆発という形で現れている。
ふむ。いい線いってそうだ。
ひとまずはこの仮説を信じて、魔力の操ることから進めていこう。
幸い、魔力は魔法に使うエネルギーというだけではなく、肉体に流すこともできる。
それが何を意味するのかは、進捗が足りないので分からないが、感覚として悪くなることはないだろう。
「とは考えたが、使えるようになるのはいつになることか」
【鑑定】で薬草を選別し、慎重に魔力を身体に循環させながら、先の見えない現状を憂う。
やることは変わらないので、黙々と薬草採取兼魔力操作を続けていく。
4時間ほど経った頃だろうか。
道具屋で買った採取用の袋が一つ満杯になり、二つ目の袋も半分ほど埋まった時だった。
「ん? これは…………【索敵】の反応か」
展開していた【索敵】の範囲内に、何かがヒットした。
ゆっくりと確実に近づいてきている。
この反応的に、敵対? なのだろうか。数は一つだ。
そっと、顔を上げてみればかなり遠くであるが、小さな影が動いているのが分かった。
(遠すぎて【看破】が使えん)
いつでも使えるように地面に置いていた簡易ハルバードを握り、立ち上がる。
立ち上がったことで、相手もこっちが気づいたことを理解したようだ。
先ほどまでのような地面を這ってくる動きではなく、跳ねるように動きながらの駆け足で距離を詰め始めた。
その段階でようやく【看破】が使える距離になる。
『ホーン・ラビット 弱い』
うーん、アバウトが過ぎる。
【看破】のレベルが低いのが原因か?
それとも、何かしらの要因があったりするのか。
今考えても詮無きだな。
距離が縮まり、角ウサギが一瞬地面に踏ん張ったかと思えば、跳躍か突進か、一気に飛んできた。
「ほい、終わり」
角や体格から、攻撃方法の予測は簡単だ。
しっかりと避け、すれ違いざまに穂先で首を一突きにした。
技名などない基本の型だったが、ウサギの動きが単調だったため、楽に仕留める事が出来た。
首を刺され、今なお、穂先に貫かれたまま宙ぶらりな状態で小さな悲鳴を上げていた。
数秒後、腕に伝わる抵抗が無くなりウサギも動かなくなった。
「念のため、【看破】【鑑定】」
『ホーン・ラビット 状態:死亡』
『ホーン・ラビット 額に角をもつウサギ
角と皮が売れる。取れる部位は少ないが肉も売れる』
二つのスキルを発動して、対象が死んでいることをしっかりと確認する。
「ふう、案外、楽だったな」
世界に降り立って初の戦闘だったが、問題なくできた。
精神的にも生物を殺めたが、そこまで来るものはなかった。
邪神の手で何らかの措置が取られているか、それとも往来の気質なのだろう。
「どっちでもいいか。そんなことより、こいつの解体作業が大変そうだ」
動物の解体。
前世では、実家が保有する山へ赴き、武器一つでイノシシを殺したことはある。
あっ、自己の土地であっても鳥獣の狩猟は許可が必要らしいので完全に違法だぞ。
殺した生命は自らの手で捌くのが、家の流儀。
解体の経験はある。スキルとしての【解体】は持っていないので、不格好になるだろうが。
解体用に購入したナイフを片手に、ウサギに線を入れて血抜きを始める。
そのまま、腹を捌き内臓を取り出す。
「
内臓を取り出す際に構造を確認し、元の世界と遜色がないのを理解する。
取り出した内臓と地面に広がる血を、道具屋で買ったスコップモドキを使って土を興し、その中に埋めていく。
肉と皮、そして角に分解して解体完了だ。
「中々、良い手際だったんじゃないか」
分けられた部位をそれぞれに合った袋へ詰めていく。
肉用の水分が抜けにくい分厚い袋。
皮用の口が広い袋。
そして、その他を入れる袋。
「…………よし。まだまだ時間はある、限界まで粘るか」
採取に狩猟。その両方を熟しながら、魔法や他スキルの練習も怠らない。
追加で、4.5時間。
休憩を挟みつつも、外が夕日に染まり日が落ちるギリギリまで続けた。
◇◇◇
夜
夕日のほとんどが落ち、街は暗きが纏い始める時間帯。
限界まで採取と狩猟を続けた結果、非常に重くなった。
場所を転々としながら、薬草を摘み、襲ってくる角ウサギを返り討ちにし続けていたら、採取袋が3つも満杯になり、狩猟袋も、それぞれが2つほど満杯になったタイミングで帰還することになった。
途中から角ウサギは流れ作業のように、片手間で殺せるようになった。
突っ込んでくるタイミングが単調で分かりやすく、【索敵】でも距離感を把握できて来たので直接見なくても眼から脳を一突きできた。
皮を剝いでいる途中で、傷が無い方が高く売れると気が付いてから、そうしだした。
馬鹿みたいに素材を詰め込んだため、持って帰ってくるのに時間がかかった。
また、【魔力・極大】の影響か消耗が早く、帰るだけでも何度も小休憩をする羽目になった。
まぁ、頑張りまくった証拠と言えるだろう。
結果として────
「お待たせしました。薬草類の換金が出来ました。全部で20480レアになります。中々の金額になりましたね」
受付はピークを過ぎたのか、少し閑散としておりギルドに入ると待ち時間なく、対応してもらう事が出来た。
まず薬草類を受付嬢に渡すと、全て問題無しとして処理され換金する事が出来た。鑑定先生のおかげである。
「ハーウォートにウィードベインと、少し採取に手間のかかりますから、薬草にしては値が張るんです。まぁ、採取できた量が少ないと、手間や時間の浪費となって稼ぎが少なくなってしまうこともありますけどね」
なるほど、確かに、ウィードベインは根っこが必要だから掘り起こさなければいけなかった。
時間がかかったのも確かだ。換金額を見る限り、報われていると思えるが。
「はい、今回は多くが平均値かそれよりもやや大きいぐらいの成果が大半でしたから、金額は高めですよ」
「そうか、時間の無駄にならなかったようで良かったよ。薬草のついでに、こっちの換金もお願いしてもいいだろうか。数体ほどホーン・ラビットを狩ったので」
「もちろんです。角と毛皮はこちらで。肉のほうは直接肉屋に持っていく方が少し高く買ってくれます。面倒でしたら、ここでも買い取りますよ」
「面倒だから全部買い取りで」
「かしこまりました。ではしばらくお待ちください」
角ウサギの素材が入った6つの袋を渡すと受付嬢はバックヤードに下がり、しばらくすると袋を手に戻ってきた。
「確認しました。大半は大きな傷もなく、状態が良かったです。サイズとしては少々物足りませんが、数が多かったので合計で19720レアになりますね」
薬草分と合わせて40000レアと少しといったところだ。
初回にしては十分すぎる結果だろう。
そう考えると、邪神よ。
初期金額に物申したくなってきたよ。
【金持ち】や【大金持ち】のおかげで、装備や道具面で何とかなったが、持ってなかったらかなり大変だろう。
「それにしても凄いですね。薬草の量もそうですけど、ホーン・ラビットも初心者の方でしたら突進の緩急に驚いて、怪我される人も多いんですよ? それにソロでしたらなおのこと」
まぁ、確かに。
何が起きても対応できる心構えがないと、初戦闘は難しいだろうな。
「今回の稼ぎはパーティ単位であれば、たまに見るんですけど、それでも5人や7人組が基本で、頭割りで一人当たりが少ないんですよね。それを1人で熟せているのは素晴らしい成果ですよ」
「ありがとう。多分これからも世話になるので、その時は頼む」
「はい! 頑張ってくださいね」
それから、金の入った袋を懐に収め冒険者ギルドを出た。何処かに寄り道することなく、一直線に宿へと戻り、10日分の宿代をまとめて払った。
半日振りの安全圏に入ったことで、ドッと疲れが襲ってくる。
何度も休憩を挟んだが、それでも疲労が凄まじい。
ベットで横になり、身体と心が落ち着くまで暫し瞑想を行う。
……………………よし。
今日までの金の変動を確認していこう。
元々有った金が25000レア。
行商に遭遇し、1週間分の食料を買った。水にパン、それと少量の干し肉。それを入れる袋。4000レア。
街に入る際の税金。100レア
冒険者登録料。 300レア
宿代+昼飯代。 1600レア 計2000レア。
武器に槍と斧、合計で15000レア。
これでもかなり抑えたほうだ。まともな武器に加え、やはり2種類となると金額が嵩む。
冒険者に必要な道具一式。2000レア
身体や持ち物を隠す外套。1000レア
総じて24000レアが、昨日の夜までに消費した。
この時点で残り1000レア。
次に今日の成果だ。
薬草類が20480レア、角兎が19720レア。
薬草は手間をかけてかなりの量を集めたと思う。根こそぎ採ったので、次回は少し奥の方に行かないと無いかもしれない。
角兎は一匹当たり3000レア程度を7羽狩った。
合計で40200レア。
これに所持金を追加して41200レアだったが、宿代をまとめて払ったので14000レアが飛んでいった。
仕方ない、必要経費です。
というわけで現在の持ち金が27200レアになる。
初回ということで、かなり限界まで粘ったゆえの戦果だ。明日以降は少し落ち着くだろうか。
それでも十分な稼ぎだ。
これからも堅実とまではいかないが、ある程度収入があると安心できる。
魔法が使えるようになれば、できることが広がる。
より稼ぐ為に、出来ることは全力で取り組んでいくべきだろう。
その日は宿で提供される飯を食べ魔法の鍛錬を積み、眠りに就いた。
あ、【解体】と【斧槍術】が生えた。
────────────
【魔力・極大】
膨大な魔力をその身に宿す。
(体力や耐久が極端に低くなる。
また、魔力の操作が非常に困難になる)
────────────
魔法を使うために取ったのに魔法が使えなくなる地雷スキル。
【頑強】や【体力増強】取ったぐらいで緩和されるわけ無いんだよね。