異世界転移、地雷持ち。 作:匿名
本当に続かなかった、半年ぶりの更新です。
多分続かない。
不味い!
久々に屋台で飯を食べた感想だった。
俺はヴァイプ・ベアー狩猟から1週間、基本的に西の森中層を活動拠点にしている。平原での狩りや採取に比べれば難易度は高いが、いろいろな面でコチラで活動したほうがお得だと判断したからだ。
まず、戦闘訓練が出来ること。
平原ではせいぜい角兎でコボルトがいたとしても逸れでしか遭遇しない。それと比較して森ではゴブリンが群れを成して襲ってくるのだ。
全方位からの攻撃に対して対処する方法や戦闘中に身体強化系のスキル使用を確かめたりなど、相手は弱いが数が多いので練習になる。
この1週間だけでも【回避】を覚えたり、身体強化系スキルのレベルが上がった。
魔法関連は魔力操作が、ようやく上手い具合に出来始めたので俺の魔法生活はコレからだ! って感じ。
魔力爆発を応用した技も何回か練習して、問題なく扱えるようになってきたところ。
次に森でも薬草を採取できること。
平原に比べれば探しづらかったり、採取中の警戒度を上げたりと手間はかかるが、森であるが故に珍しい薬草なども手に入り中々に旨い。【鑑定】先生マジでパネェっす。
あ、あと【鑑定】の仕様?みたいなのも分かった。
基本的に俺の頭の中にある知識を参照しているようなのだ。森で見つけたよく分からない薬草を鑑定しても詳細が分からず、後日ギルドの資料室で薬草系を調べて森で【鑑定】を使えば分からなかった薬草の事がはっきりと表示されるようになった。最初に薬草とか見て分かったのは、恐らく【鑑定】Lv.1ならこの程度の知識は保有している、という状態だったのではなかろうか。
これらのことから【鑑定】は使い続けるだけのモノではなく、知識を収集することで幅を広げるスキルと認識した。
話を戻して、幾つか森で活動する利点を話したが、最大のメリットとしてギルドに設置されてある掲示板がある。
ファンタジー世界でよく見られる、依頼が貼り出されるアレである。
それの依頼内容で報酬が高いモノの大半がペトラス川やその奥の森に関連、もしくはそこにしか生息しない生物を対象としたモノだったからだ。
森の中層で活動するゲルグの冒険者は少ない。
基本的にパーティを組む彼等にとって、得られる報酬が割に合わないのだ。だから、他所へと行ってしまう。
俺自身、ある程度異世界生活に慣れて中堅以上の冒険者になったらゲルグを離れようとは思っている。
だが現在はこの街で、一人でやっていくことに変わりなく報酬を独り占めにすることができ、普通に旨い依頼が多いのだ。
そんな訳で、魔物の魔石と採取物、そして依頼報酬。
自身のレベルアップにも繋がるし、得られる稼ぎも総合的に見れば平原より多いので森での活動に移行した。
その分、朝早くから夜遅くまで活動して、数日に一回は休息日を設けることをしている。未だに体力面が追いついていない、【体力強化】のレベルも上がったはずなのに全然実感できないのだ。デメリットェ。
そして休息日である今日。身体を休めつつ魔力操作の鍛練に勤しみ、その休憩がてら外の屋台にある飯を食べた感想が冒頭の感情だ。
宿で提供されている食事はかなり大当たりな部類だ。
まぁ、飯に限らずではあるけれど日本と比べて生活水準が低すぎて、やっぱり結構な不満はある。
それらを日中はファンタジー万歳な冒険者活動や魔法の鍛練で誤魔化しているが、こうした食事や清潔とかを思い出すと、ふと湧いてくる。
────と、いうわけで。
「街を散策しましょう」
独り言ちた内容はそれ。
この街に到着してから基本的に外に出て、平原ワッショイ! 森イェーイ! な生活だったので、コレを機に色んな場所を探して、少しでも生活環境の向上になりそうなモノを探そうというわけだ。
善は急げと食事に利用した皿とスプーンを屋台に返却して街を練り歩き始める。
俺の現在の全財産は40万とちょっと。
どうせすぐに稼ぎに行く羽目になるので、ここでパーッと浪費してもいいだろうか。
第一に優先すべき事項は間違いなく食事だろう。
そんな訳で最初に訪れたのは雑貨店。
「いらっしゃいませ〜」
「先日ぶりですね店主、相変わらずのようで」
「おおっ! ソーマさんではないですか、このような時間からとは珍しい。どうされたのですかな?」
ここは冒険者用の道具も取り扱っている店で、俺が愛用している武具以外の道具の大半はここで買ったものだ。
「今日はお休みでね。少し生活の質を上げたいんだ、その一貫で料理道具を探してて何かおすすめはあるかい?」
「ほう! 確かにある程度余裕ができますと、普段の生活も大事になってきますな〜。少々お待ちくだされ」
そう言って店の一角に行って、物色し始めたり店の奥に引っ込んでガサゴソしている。少し時間が経った後、店主は幾つかの道具を携えて戻って来た。
「いやはやお待たせして申し訳ありませんな。コチラの道具は基本的に魔物の核である魔石を動力源とする、魔道具に分類される物でございますな」
揃えた道具を並べ、共通点である魔石動力式の道具群の説明を始めた。
「大半の使用感は従来の道具と同じでございますな。こちらのコンロやランプは魔石をセットすることで火が付き、光が照らすものになっております」
魔石の消費率が高いですが、と言いながら爪先程の小さな魔石を入れて実演していた。
「こっちの魔道具は混合機ですな。ハーブ等の料理の質を上げてくれる薬草を入れて起動することで、粉状にしてくれる代物です。この三点と普通の料理セットでソーマさんなら美味しい料理を作れますな」
ズイッと先ほど列挙された商品たち+普通の料理器具を差し出される。
まぁ、確かに自分で作るというのは悪くない選択肢だと思う。森の中で時折ハーブや香辛料に使える薬草類は見かけるからだ。【鑑定】先生は今日も偉大。
「少なくとも、そこらの屋台なぞよりかは、ご自分で作られた方が確実に満足できると思いますな」
「それは納得できるね。でも、今は家無しで宿暮らしなんだ。少し場所を取るこの商品たちを収納出来る所がないんだよね」
残念ながら置く場所が無い。宿屋の一室はそこまで広くない。なんせ一人用だから。
「あぁ、そういう問題もございましたか…………そうだ! 少々お待ちをソーマさん、丁度良い物があるんですよ!」
またもや店の奥に引き込んだ店主は、幾つかのバッグを持って戻って来た。
「えぇ。店の奥で数ヶ月ほど埃を被ってましたので、すっかり忘れておりました。こちらはマジックバッグ……その失敗作になりますな」
「マジックバッグ!? ……だが、失敗作と?」
「はい。本来マジックバッグとは、錬金術と時空魔法の合作で『空間拡張』『時間遅延』『軽量化』、この三つが組み込まれて初めてそう呼ばれます」
知ってます。早くそれらの魔法を使いたくて、この世界に来て1日たりとも、魔法の……というより魔力操作の鍛練を怠ったことは無い。
「この商品たちはその失敗作。即ち一種類、もしくは二種類の効果しか付与できなかったマジックバッグモドキとなります」
「なるほどな。しかし埃を被っていたのか?」
「ええ。いくら説明しましても、マジックバッグとは3つの効果があって初めて呼称されるもの。中途半端な物は中々売れないのですよ」
ふむ。確かにマジックバッグと言われて俺自身が思い浮かぶのは『幾らでも入れることが出来て』『入れたら時間が経過しなくて』『どれだけ入れても重さが変わらない』という、普通にゲームのアイテムボックスのような感じ。
どれか一つ欠けたら、確かに違うなという印象はある。
「しかし、道具のみを入れるのでしたら最悪『時間遅延』は無くとも問題ないと思いませんかな」
「それはそうだ。鮮度なんて無いからね」
「おっしゃる通り! 私としても、それを見込んで失敗作の方も買い取ったのですが、如何せん売れずに残っておったのです。どうですかな?」
…………そう言われると欲しくなってくるな。
それに普段の狩猟でも全然活用出来そうだ。鮮度も全部売ってしまえば問題なさそうだし。
「今なら『空間拡張』と『軽量化』が強めに付与された失敗作をお二つ、かなりお安く、お売りできますよ?」
「…………どれくらい使えそう?」
確認するのは耐用年数。俺も時空魔法を使えるようになりたくて、関わりの深いマジックバッグについて幾つか調べたよ。
曰く、品質が悪いと数年で実用的な効果が切れる。
曰く、製作者によって効果の大きさが前後する。
等たくさんあった。
買ってすぐに使えなくなりましたー、では困る。
「制作された錬金術師と時空魔法使いの方は、個人で見ますと上澄みと言える方々です。品質自体はとても良く、10年は問題なくご利用できるかと」
「…………買った。魔道具、料理器具まとめて買うから、もっと安くできる?」
「毎度ありがとうございます! 勿論、お勉強させて頂きますとも」
ならば問題無いだろう。時空魔法単体で使用するのと、相方の錬金術師と息を合わせて共同制作となると、勝手も違ってくる。品自体は悪くない。
そうして購入した金額は10万レア。他の商品含めた丸々の代金だ。軽い魔道具幾つかと特殊なバッグで10万レア。
日本円で100万円と考えれば非常に重たいかも知れないが、従来のマジックバッグはこれの何倍も高価だ。失敗作でありながら品質は最高級のマジックバッグ(偽)を安価にそれも二つも買えるとなると逃す手はない。
支払いを済ませ、商品が入った二種マジックバッグと空の二種マジックバッグを受け取った。
「いやはや、買っていただき助かりましたよ。冒険者の方々でも先入観といいますかな、それが強く、効果が2/3と言うと、とんと買ってくれなくなるのです」
「そうなのか。俺としてはそのおかげで良い買い物が出来たので、他の同業者には感謝しておこうか」
「はっはっは! 買い物上手でいらっしゃる! またのご利用お待ちしておりますな!」
最後、お互いに話して店を後にする。
背負い袋と同程度の口の開きと、なんと言っても軽い。
料理器具や魔道具一式はかなりの重さになるはずだが、全くそれを感じない。『軽量化』様々だ、早く使いたい。
さて、いい買い物が出来たわけだけどまだ終わらない。
次に向かうは書店。
マジックバッグの話をしている時に、少し考えたのだけれど、やっぱり魔導書は必要だと思うのだ。
それというのも、俺が【魔力・極大】のスキルで魔法をろくに使えないこの状況。今までは有用な魔法が時空魔法Lv.6の『転移』しか見ていなかったのだが、よくよく考えれば他の魔法も結構大事ではないか? となり、魔力暴走状態で他属性も使用してみたのだ。
結果として──。
光属性はフラッシュバン等の極光に近い、閉じた瞼の上からでも目が焼けるような強烈な光が発生した。
水属性は少量の水ではなく、辺り一面を水浸しにしてしまうほどの大瀑布が無制御で解き放たれることになった。
魔法の不発による被害は魔力爆発だけではない、そして俺は思った。魔法についてもっと知らないと先に進めないんじゃないか? と。
まぁ、どの道魔力の操作が十全に行えるようになったら買おうとは思っていたのだ、少しぐらい早まっても何ら問題ない。むしろ、モチベーション的な意味で早期に知れるのは良いこと。
あと、普通に欲しくない?
衝動があるうちに買ってしまおう。
カランコローン、お邪魔しますっと。
「いらっしゃいませ」
中はカウンターがあり、その奥に高々と並んだ本棚が複数揃っている。カウンターの手前にはワゴンが置いてあり、見るからに安物だ。
つまり『ボロボロの本は見ても良いが、普通の本には触らせねー』という配置である。
理由は考えるまでもなく、本が高価だからだろう。
ちなみに店主は中年のおじさん。
「魔法関連の本を探しているんだが、あるか?」
「ええ、ありますよ。どれをお求めですか?」
「すまん。魔法についての本には疎くてな。どんな種類があるんだ?」
「そうですね。区分けすれば基礎理論に各属性、魔力関連、その他とあります」
なるほど、結構種類があるんだな。
基礎と魔力関連は欲しいな。後の本は懐と応相談として、一旦全部持ってきてもらうか。
そうして基礎魔導書、魔力概論書、火水土風光闇の系統別魔導書、それと色々な事が纏められた小冊子。
これらを持ってきてもらった。
時空魔法の本は置いてなかった。
「それぞれ値段を聞いても?」
「はい。基礎は20000の魔力概論は10000、属性は火系が18000、水系が15000、土系が20000、風系が35000、光系は40000、闇系が10000ですね、そちらの小冊子は10000になります」
おっふ。
本は希少価値が高く、非常に値が張ると聞いていたけど、想像以上に高価だな。
基礎20000
魔力10000
火系18000
水系15000
土系20000
風系35000
光系40000
闇系10000
冊子10000
という値段になっている。
上二つは確定だね。魔法や魔力の詳細を知れるんだ、多少高くても買ったほうが絶対にいいと思う。
他の属性については、なぜ値段がバラバラなのか聞いてみると需要と供給の問題なのだそうだ。
火や水は最も使う人が多い属性で、製本も多くそれなりに安い。いや普通に高いが。
それに対して風や光は、使い手が居ないこともないが絶対数が少ない為、刷新もあまりされず一冊毎の値段が高価なのだとか。
闇や時空も希少属性に分類されるのだが、光以上に使い手が少なく、王都や主要な都市ならまだしも片田舎なゲルグでは誰も買わない為、逆に安くなっていた。
水と光と闇の三属性は買っておこうか。
出来れば時空も欲しかったが、田舎には中々回ってこないらしい。
そしてよく分からない小冊子。
これは何かしらテーマに沿った本というわけではなく、〇〇魔法を使うコツや失敗談、高名な魔法使いのインタビュー記事等が雑多に纏められた物らしい。
普通に欲しいので買います。
あっ、ちょっと雑貨屋店主とのやり取りが長かったので、本屋の方はカット!
合計金額は10万レア。
通常価格で10.5万だった所を、少し値切って0.5まけてもらった。キリが良いしね。
この世界の本はそもそも高価なのも相まって、たったの6冊で日本基準で100万円近くの消費だ。
さっきの雑貨屋のマジックバッグ(偽)の分も含めたら1日で20万レアも使ってしまった。
必要経費とはいえ流石異世界、恐ろしいわ。
そうして、買った本をバッグに入れて宿屋へ帰還した。
「よーし。今日は本を読んで参考になりそうなヤツを見つけるとしようか」
せっかく買ったのだ。明日になったら冒険者業務に勤しむことになって、本を読むタイミングが少なくなる。
だったら今日中に基礎と魔力の本は読み終えたい。
「基礎魔導書から読みますか…………何々、魔法というものは属性によって────」
まぁ、速読は前世でも出来てたしいけるでしょ。
◇
翌朝、俺は森ではなく平原へと来ていた。
昨日は休息日で本当なら今日は森へ行って稼いでくる予定なのだが、少し気になることがあったので平原に来た。
というのも昨日買った魔導書、めっちゃ面白かった。
普通に読みふけってしまった。
基礎と魔力、光を読み終えた段階でそれ以上の夜更かしは次の日に影響が出ると判断して寝たのだが、この3冊に書かれた内容で、結構気になることがあるのだ。
まず、光系の魔法でLv.2で使うことの出来る『
この魔法、もしかして清潔になれるんじゃないか?
本に書いてあった効果が、食材の洗浄から排泄物の処理まで自由度の高い魔法なのだ。人間にも使うことができると記述があった。
現在の生活は濡れたタオルで身体を拭くという原始人のような感じで、元日本人としてはギリギリ耐えれている、というところ。これが改善できるならしたい。
その為に今日から光系を鍛練に使用しようと考えている。Lv.1で使う『
そして、もう一つの魔法である『
軽い回復に加えて、何と若干の体力回復効果も確認されているようなのだ。これは使いこなすしか無い!
しかし、生物に対してのみ効果のある魔法をどうやって鍛えるのか。自分に使うのは論外だ。
ならば答えは一つ。
敵性生物に使用するしかあるまい?
はい。というわけで、角兎くんをひっ捕らえて傷を付けて『小治癒』で回復させるマッチポンプをしていきたいと思います。現代なら愛護団体が激怒すること間違いなし。
「キュィイイッ!?」
俺の手には、今さっき襲ってきたので、そのまま鷲掴みにした角兎──うさ太郎がいます。
何とか逃れようと必死に暴れているが、如何せん力が足りないな。
ちょっと申し訳ない気持ちがありつつも、自身の未来のための犠牲になってくれ。うさ太郎。
はい、ブスリ。
「ギュ゙ィ゙ィ゙イ゛イ゛!!!」
そしてズパズパ〜。
「ギィ゙ィ゙イ゛イ゛ィ……ィ……」
下準備完了!
うさ太郎には『小治癒』では回復出来ない深めの傷を一つと普通の切傷を何箇所かに与えた。
ちょっとやりすぎたかな? 元気がなくなってる。
早いところ確認して行かないとだな。
よし、まずは────。
「『
魔力概論の本に書かれている魔力操作のコツを実践し、慎重に魔法を発動してみる。
ゆっくりと魔力を流すと、魔法が爆発することなく発動できているのが確認出来た。
「ほう? 何も問題なく魔法が発動できている?」
これまでのような魔力爆発や無制御解放は無く、自身の魔力が相手に流れて外傷はみるみると治っていく。
…………しまったな。
魔力操作が思いのほか上手くいってしまった。本ってすげぇな、いやいや、『小治癒』の失敗する前提で確かめていたんだけど。自分で使う時に失敗したらどんなデメリットが出るのか知りたかった。
そうしていると、うさ太郎の外傷が全部消えた。
深くまで付けた傷すらも無くなっていた。
「まじか、取り敢えず魔法を解除…………ん?」
何故か成功してしまった『小治癒』だったが、魔法を解除したにも関わらず、うさ太郎の内部で発動状態のままになっている。
「ギュ゙ッ!? ギィ゙ィ……ィ……」
念のために押さえつけていた、うさ太郎が激しく痙攣を始めた……かと思えば、すぐに弛緩して動かなくなった。
「…………【看破】【鑑定】」
『ホーン・ラビット 状態:死亡』
『ホーン・ラビット 額に角をもつウサギ
角と皮が売れる
取れる部位は少ないが肉も売れる
皮が少し劣化している 』
「……スゥー」
しっ、死んでる。
一応魔法関連で分かったのは、対象に作用する系は制御がうまくいかないと、対象内部に魔法が残留すること。
実験例が少ないので、確定ではないけどね。
おおっ、うさ太郎よ! 死んでしまうとは情けない。
…………いや、すまん。
犠牲にするとは言ったけど、あんな苦しめるつもりは無かったんですよ。
「南無っと、解体しますか」
まぁ、どうせ殺したことには違いないし、切り替え切り替え。ここは異世界ですよ!
慣れた手つきで角兎を解体していると、少し不可解な状況になった。
この角兎の死体、内部がおかしいのだ。
まず、治ったと思っていた深めの傷。
これは表面しか治っておらず、中の傷は殆ど治癒されていない。これは『小治癒』だったのが原因だろうか。
『小治癒』は上位の『治癒』や『再生』と比べても当然ながら回復能力は低い。
次に内臓が圧迫されていること。
というより、外側の毛皮が内側に向かって肥大化しており、それによって中身が押し潰されているという感じだ。
…………なるほどね。
一旦、分かったことを確認していこうか。
相手に直接作用する魔法は制御が効かなくなると、流した魔力が無くなるまで対象の内部で発動し続ける。
魔法はどれだけ魔力を込めようと、制御しなければ規模は大きくなるが上限を超えることはない。
それはそれとして過剰回復による負荷で肉体が耐えきれずに死ぬことがある。
…………怖すぎる。
少なくとも自身に影響を与える系の魔法は、完全に魔力を制御出来るようになってから使うしか無さそうか?
いや、そもそも試用回数が圧倒的に足りないな。
申し訳ないが第二、第三のうさ太郎には尊い犠牲になってもらう必要がありそうだ。
と、いうわけで────。
この後、めちゃくちゃホーンラビット狩った。
おっ、【解体】のレベルが上がった。
低レベルのうちはどんどん伸びるね。
なろう小説は最近見てなかったから、新話が投稿されていることに気づかなかった。不覚です。