好きと言わせてくれない   作:布団は友達

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前回話したボツのヤツをリメイクしたやつです。
他にも『Medicのおまけ曇らせ』やら『サーミにいる姉上の曇らせ』やら『殺しちゃったフェリーンとのお話』やら『ドゥカレが重い感情を向けてくる理由』やら諸々ありますが、まあ、それは暇ができた時に思い出したら書きます。





間話「闇夜に生きる? 我が居らぬからそうなる」前編

 

 

 

 

 

 side:W

 

 

 

 巫術の効力が消えると同時に残像が霧散した。

 レイクァトム。

 あたしにとっても、確かに因縁はある。

 ただ、アイツもサルカズの為に動いている以上はあたしと対立する日なんて来るとはこれっぽっちも想像した事なんてなかった。

 

「…………」

 

「W。君は、何を考えている?」

 

「別に。あたしの考えを一々あんた達に開示する義務は無いでしょ。まだ傷治って無いんだから、黙って寝てれば?」

 

 あたしの様子を訝るババァから顔を逸らす。

 この一年、周りに古馴染みが多すぎる。

 その所為で、変に感傷的になってるのかしら。

 昔のあたしなら、殿下に、アイツに会う前のあたしならそんなことなんて無かったのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――数年前

 

 

 

 生きる為には戦うしかない。

 戦場で生きる為に戦って、強くなればそれだけ命に価値が付く。周囲がそうと認めれば、それが自分の証明になる。

 認められる程に、命の価値は上がって狙われ易くなる。

 まるで矛盾よね。

 頑張って生きた分、周りに認められた分、周りからは殺して高い金に変換できるっていうのは、殺したい相手として認識される程に大事にされない。

 価値があるんだが、無価値なんだか。

 

 でも、それが大体のサルカズでは当たり前だった。

 

 名前の無いサルカズにとっては、尚更だった。

 あたしも、そういう考えだった。

 

 

 

 

『本当に行くのか? 艦船は目の前だぞ』

 

『ええ。こんなに早く気付かれるとは思わなかったわ。諜報員のミスかしら』

 

『だとしても部隊がいる筈だ』

 

『……あの戦士たちを未知なる危険に晒したのは、私たちの失態よ』

 

『傭兵とは本来そういうものだ。それに……遅かれ早かれ、私たちも彼らと同じ危険を背負うことになる』

 

『でも私なら彼らを救えるわ。私たちのミスで何も知らないまま死のうとしている、勇敢な戦士たちを』

 

『……否定はしない。だが、テレジア――』

 

『どのサルカズも……いいえ、どんな人にだって、無駄死にしていい理由なんてないのよ』

 

『……はあ、私が何を言っても、君の意思は変わらないのだな。……ならば、私も共に行こう』

 

『ええ。ありがとう――ケルシー』

 

『なれば、護衛が必要。――我を伴に』

 

『……ええ。あなたにも苦労をかけるわ』

 

『殿下の労り、身に余る光栄。……決して士爵と殿下、両手に花でお外デートなんて邪な底意無し』

 

『……本当か?』

 

『実はちょっとあったりしてッッ!!』

 

 

 

 

 

 

 それは、奇妙な任務だった。

 バベルとかいう、よく分からない組織から輸送する物資の護衛するという内容。思ったより量は多いし、人数も多い辺りからもかなり規模が大きいと窺い知れる。

 厄介な臭いしかしない。

 

 そして、案の定事態は最悪な展開に。

 

 物資輸送の護衛任務だったのに、将軍が寄越した部隊に狙い撃たれた。

 包囲されて、絶体絶命の危機の最中。

 死にかけのあたしと、あたしの肩を支えるイネスへと剣を振り下ろそうとした兵士の手が、ボロボロと土塊のように崩壊する。

 突然の現象に誰もが絶句した。

 それは、手を失って剣を落とした本人も。あまりの出来事に悲鳴すら上げられず、驚愕から立ち直れない始末。

 そして、何事か理解する間も無く頭上から鏑矢みたいな音がした。

 段々と近づく甲高い風切り音。

 直後、あたし達と兵士の間の地面を穿って一本の槍が突き立った。

 

「はっ……?」

 

「これ、は――この槍は……!」

 

 困惑するあたし達と、察した兵士の恐怖。

 槍の上に音もなく風に乗って来た一枚の襤褸布が引っかかる。

 いや……襤褸布じゃない。

 裾がボロいだけで、紋章をあしらった変な装束を着た長身のサルカズが真っ直ぐ上を向く槍の石突に爪先を揃えて着地していた。

 捻れた黒い大角。

 頭部全体をグルグル包帯で巻いたソイツは、今まで誰からも感じた事がない程に強烈な死臭を漂わせる。

 

 兵士が一歩、また一歩と後退った。

 

 包帯のサルカズが周囲を見回すように首を動かす。

 ホントに見えてるか分からないように見える。

 でも、緊張する修羅場にあって、この余裕のある緩慢な仕草。

 傭兵として仕事を熟してきた中で養った勘が継げているのは、今まで会ったヤツの中でもダントツでコイツがヤバいってコト。

 足下のあたし達は眼中に無いみたいだった。――と、どよめく周囲よりも包帯のサルカズを視ていたイネスの片目から血が滴る。

 

「ぐ……!?」

 

 アーツを酷使していた反動だろうか。

 いや、こんな状態は初めて見た。

 クソ、首の皮一枚繋がったと思ったけど、違う勢力でコイツもまた別から寄越された敵の可能性が拭えない。益々逃げづらい状況になっちゃったじゃない……!

 

「あり得ない。個人で影が……こんなに、幾つも重なって見えるなんて……」

 

「――疾く口を噤め」

 

 包帯のサルカズが立てた人差し指を口元に寄せた。

 その所作だけで、全員が本能で口を閉ざす。

 あたしは元々喋れるような状態じゃなかったけど、この場の空気がコイツに支配されているっていうのは肌で感じ取れる。

 槍を引き抜いたソイツは、手が腐り落ちた兵士に向けて掌をかざす。

 崩れ落ちて黒ずんだ手首、そこから花が咲き乱れたと思ったら絡み合った茎が少しずつ手の形を取って、気付いたら失った筈の手が元に戻っていた。

 

「良い。発言を許可する」

 

「この御業、やはり貴方は」

 

「我が主は流血を望まぬ。矛を収めよ、無益な戦に用は無い。美女雑談ならウェルカムだがなッッ」

 

「……しかし――」

 

 言葉を遮るように包帯のサルカズが地面を踏み下ろす。

 衝撃で一瞬だけ地面が揺らぐと、そこかしこで燃える瓦礫から火が消えて、代わりに花が咲き乱れ始めた。

 花弁は萎れて、枯れる寸前みたいな不気味な花。

 綺麗な光景のハズ、なのに精神をガリガリとヤスリで削られるような奇妙な焦燥感が湧く。

 

 全員が理解した。

 

 挑めば死ぬ。

 あたし達よりも戦慣れしてるバケモノ達が、目の前のコイツに怯んでいた。

 たった一人で、この厚い包囲網を敷いた優勢を誇っていた筈の連中に二の足を踏ませている。

 

「我に挑むか?――その蛮勇、嫌いではないぞ?」

 

「っ……」

 

「誤解しているようだが、これは催告でなく要求だ」

 

「……何故、貴方がここに。かの宗主によって追放されたと聞き及んでいたが、よもや我らを邪魔立てしようというのか」

 

「前言を以て察するのだな。そなた等が何者かの意図によって此度の茶番を演じたように、我もまた尊き下命を受けて参じた次第。……それと追放ではなく、社会見学みたいなモノで別に見棄てられたワケじゃないし……最初はマジでビビったけど違うと信じてる……」

 

 包帯のサルカズに兵士達が集中してる。

 あたしはイネスに目配せした。

 今なら、手持ちの爆弾をばら撒いて良くて包囲網の一部を削り、最悪でも多少の目眩ましにはできる。意図を察したイネスも、傷だらけの体に力を溜めて直ぐ動けるよう密かに身動ぎで体勢を整えた。

 

「――傭兵。話を聞いていなかったのか?」

 

「痛っ!?」

 

「手癖が悪いな。その状態で暫し待て……特殊なプレイではないぞ」

 

 包帯のサルカズから素早く伸びた枯枝があたしに巻き付く。

 爆弾を握る片手が締め上げられ、取りこぼしたソレを器用に枝が絡め取った。

 ギリギリと体を絞め上げる痛みに叫びそうなのを堪える。

 でも、痛みと一緒に身体へ何か冷たいモノが流れ込んできた。

 

『痛い痛い何でやめて』

 

『見逃してくれよぉ熱いよぉ』

 

『死にたくない死にたくない』

 

 頭の内側で何人もの悲鳴が響く。

 頭痛すらして、それが意識を冴えさせる……いや、痛みや嫌な感覚だけじゃない。流れ込む冷たい何かが、身体の傷を消していくのが分かった。

 未知の感覚に当惑するあたしを無視し、包帯のサルカズは懐から無線機を取り出すとイネスへと放った。面前の地面に転がったそれと投げた相手を交互に見て、警戒しつつイネスは手に取る。

 

「さて、それでも退かぬか?」

 

「……如何に貴方が相手とて、我々も剣を執る理由がある」

 

「し、しぶてぇ……」

 

 勇敢なのかバカなのか。

 兵士が腰から剣を引き抜いた。

 その姿を見た包帯のサルカズは、ため息をついて肩を竦める。

 周囲も武器を手に、じりじりと包囲網を狭めてきていた。殺意を漲らせた集団に躙り寄られても、一向に包帯のサルカズは焦りを見せない。

 

「ンンン!!これは我の力不足。――では、彼女なら」

 

 包帯のサルカズが杖の石突で地面を叩く。

 咲き乱れていた花が塵になって消えた。 

 あたしを縛っていた枯枝も消えて、頭を苛んでいた謎の悲鳴も消えて、再び意識が落ちそうになる。身体は治ってるけど、やっぱり疲労が、限界を。

 マズい、これからがヤバい、なのに。

 

 

 

 

「賤しき同朋達よ、疾く鎮まれ。――殿下の御前であるぞ」

 

 

 

 

 包帯のサルカズが何かを告げる。

 その時、進み出てくる白い影を見た。

 

「ねえ、ヘドリー……あのサルカズの王、カズデルを追われたあの……殿下は……白髪の……女性だった?」

 

 それを最後に、あたしの意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ「IF:夫婦となっていたら」

 

 

 side:Ace

 

 

 ――1101年

 

 

 訓練所に腕を組んで佇む長駆。

 サルカズ歴戦の勇士たる威圧感を纏うその人物は、かつてロドスに所属し、今は協定関係を結んだ外部から派遣されたオペレーターである。

 その名も、レイクァトム。

 

「詰めが甘いぞ、諸君!」

 

「「「ハイッ!!」」」

 

「そなた等がそんな体たらくでは、我が愛の巣に帰れないではないかッッ!!」

 

「「「いや、それは別に」」」

 

「ハァン!!?」

 

「やる気を削ぐなよ、Lycoris」

 

「我はもうLycorisではない! それに、そこは我に申し訳無いと思ってやる気を漲らせよ。え、頑張れない?」

 

 腕は確かだが、ご覧の通り残念な部分がある。

 一定数の敬意は集めているものの、訓練ではオペレーター達から本気で指導してくれているのかふざけているのか際どいなんて評価も。

 

 そんな事だから、訓練が終了する頃にLycorisが言う言葉はいつも同じ。

 

「うむ、我に対する敬意が足らん!」

 

「そりゃ無理な話だろ。酷なこと言うなよ」

 

「Ace。実はそなたが今一番我を傷つけてるって知ってる……?」

 

「どんな触れ方しても傷だらけの人間には痛えよな」

 

「我の問題かよッッッ!!」

 

 キィイイイイイ、とハンカチを噛んで悶えるLycorisと共に歩んでいくと、エンジニア部の部屋の扉が近づく。

 お、とLycorisが声を上げた。

 

「Aceよ。食事の前に、我が愛妻に声をかけて来ても良いか?」

 

「なるべく早くな?」

 

「えっ、そこは俺なんか気にせずイチャコラしろって気を遣うとこ……」

 

 コイツの言う、愛妻は一人しかいない。

 昔から口説いている相手――クロージャ。

 紆余曲折あって一時は殉死したかと思えば、敵として蘇り、そしてまた複雑な事情でロドスへと帰属した後に想い人クロージャと晴れて結婚した。

 昔馴染はそりゃもう祝った。

 やっとか、みたいな声を飲みつつ、折れず熱烈に口説き続けたLycorisと、一向に素直になれなかったヘタレのクロージャが結ばれたのは祝うべき事だった。

 あのケルシーすら機嫌が良くてその日はずっと微笑んでいたから、ドクターが「年中結婚式を開催してくれ。必要だろう?」なんて意味不明な発言してたしな。

 まあ、クロージャが密かに結婚式の裏で企画してたビンゴ大会でバカ野郎どもが一波乱起こして結局ケルシーの機嫌が急降下する羽目になった……。

 

 そんな俺の回想はともかく、今Lycorisが我が愛妻ってクロージャを呼ぶのは、決して一方通行の世迷言じゃねえ。

 嬉々としたLycorisが、正真正銘の旦那として扉を開けて中にいるであろうクロージャを呼ぶ。

 

「クロージャ。そなたの愛しい顔を見に参ったぞ〜」

 

「……おー、レイ君じゃん。今仕事が立て込んでて大変だから、後でねー」

 

「う、うむ。それは失礼したな……だが顔が見たくて」

 

「ありがと。あたしも顔見れて嬉しかったよー」

 

 ……中からすげえ不機嫌なクロージャが顔を出す。

 声も棒読みで感情が無い。

 たしかに、最近PRTSの不調が起きているという話はあったし、それで連日エンジニア部は忙しいってのも聞いた。

 タイミングが悪かったな……ここは、流石に謝って機を改めるしかない。

 Lycorisもそれくらいの良識はあるみたいで、肩を落としながら一歩後ろへ退いた。

 

「すまぬな。では、仕事を頑張ってくれ」

 

「あー、うん」

 

「……クロージャよ」

 

「何? 後でって言ったんだから、もう行ってよ」

 

「いや、そうしたいのは山々なのだが……」

 

 俺とLycorisの視線が一箇所で重なる。

 門前払い、冷たくLycorisをあしらう不機嫌なクロージャ。

 今直ぐにでも仕事に戻りたそうで、俺たちが煩わしそうってのは分かる。

 分かる、んだが……。

 すごすご食堂へと引き下がろうとしたLycorisの腕を、何故かクロージャの手が掴んでいた。

 

「……く、クロージャ、話は後なのだな?」

 

「そう言ってるじゃん」

 

「我と別れて、早く仕事の続きがしたいのだな?」

 

「そこまで分かってるのに、何でまだいるの?」

 

「いや、だって……手、放してくれぬし……」

 

 Lycorisが恐る恐る指摘すると、クロージャが自分の手を見る。

 そして、はーっと心底から呆れたような深いため息をついた。

 

「もういいよ。あたしは部屋に戻るから――じゃ」

 

「え、あの、ちょ、我はAceと――!?」

 

 クロージャに無理やり引っ張られ、Lycorisも一緒に部屋へ入る。

 そのまま、通路に俺一人を残して扉は閉まった。

 ああ、おかしい。

 クロージャの表情と一致しない言動が。

 

 少しして、中から声が聞こえた。

 

『あの、話を聞いて欲しいのだが、んっ』

 

『あのさ、疲れてるの。んむ、分かる? 連日寝れてないの、ケルシーに迫る勢いなの。あむ、そんなあたしに余計な事で体力使わせる事が旦那のやること?』

 

『いや、だから気遣って速やかんぐ、に去ろうと』

 

『だったら何で早く行かないの? んーっ』

 

『いやだって、何か膝の上に座られてるし、んむ、抱きしめられてるし、あとんっ――さっきから口付けが激し――んんぐ。ホントに忙しいのだな? ホントのホントだな?』

 

 ……幸せそうで何より。

 一人で食うか。

 

 

 

 

 おまけ「?????」

 

 

 ――1102年

 

 

 

 定められた枠に同じ型のブロックを収める知育玩具で黙々と遊んでいたサルカズの幼女――シルーシャは、一つをこなす度に隣のレイディアンの顔を見る。

 正解か否かを都度確認する慎重さは、父親に無かった性質だ。

 余程の事がない限りは逆に不正解、なんて時は無い玩具でも不安いっぱいらしい。しかも、一つの事をやり遂げるまで決して諦めない質のため、この前はパズルに挑戦していつまでも終わらない事に子供らしく飽きて放棄するのではなく、悔しさに涙をこぼしながら続行していた。

 

 そんな性格を把握しているため、レイディアンは胸の内に湧く愛おしさも相俟って一つクリアする毎に惜しみない褒め言葉やフォローを入れる。

 むふん、とシルーシャは小さな鼻を膨らませてニタリと笑う。

 褒められるとすぐ調子に乗る辺りは似てしまったようだ……。

 ――と。

 

「やっと一段落だよぉ〜っ!」

 

 

 保育室の扉が明け放たれる。

 室内に疲労の色をたっぷり含んだ声を響かせつつ入室したのは、ロドスを支えるチーフエンジニアのクロージャ。

 最近はとある事情により、ロドスの責任者としての権限や業務を委任され、いつも以上の忙殺っぷりだった。

 疲れた身体を引きずって、クロージャは玩具に集中して見向きもしないシルーシャを背後から伸し掛かるように抱き竦める。

 

「お疲れ様、クロージャ」

 

「はーっ。愛娘のいい匂い……あれ、あたし最近風呂入ったっけ?」

 

「んやっ!」

 

「む。お母さんから逃げようったってそうはいかないぞー?」

 

 クロージャの腕の中から逃れようと(割と本気で)暴れるシルーシャを、意地悪な笑みを浮かべた彼女は放そうとしない。

 苦笑したレイディアンがそっと背後からクロージャの後頭部に控えめな手刀を叩き入れて制止した。

 漸く止まった彼女の隙を突いて逃げたシルーシャは、レイディアンの後ろへと隠れる。

 

「クロージャ。先にお風呂かな?」

 

「そんなに臭いっ!? ドクターにはそんな事言われなか――いや、あの人マスクしてるし分かんないよね……」

 

「シルーシャは人一倍鼻も良いからね」

 

 まあ、シルーシャがクロージャを苦手としている主因は臭いではないのだけれども。

 そんな一言を飲んで、レイディアンはお風呂を催促する。

 しかし、クロージャは頑なだった。

 

「で、でもでも! お風呂なんて入ったら、その間にシルーシャ寝ちゃうでしょ!」

 

「……クロージャが辛いでしょ?」

 

「――……そんなワケ」

 

 レイディアンの一言に、一瞬だけ真顔になる。

 刹那の動揺と、その裏にあった精神の変調を機敏に察知したレイディアンはこれ以上の話はシルーシャに聞かれるとまずい方向に進むと考えて、クロージャの背中を室外へと強引に押していく。

 

「ちょ、レイディアンちゃん〜」

 

「子供は案外鋭いから、すぐ分かるのよ」

 

「え、な、何が」

 

「怒ってるの、バレてるから」

 

「そんな、つもりは」

 

 狼狽えたクロージャは、しかしその先の言葉を紡げない。

 レイディアンは知っている。

 クロージャは、確かに娘を愛している……が、その面影への想いがより強すぎて、その部分に宿る熱量もシルーシャは感じ取って恐怖しているのだ。

 特に、シルーシャの父親が居なくなって以降は特に酷かったためアーミヤから暫く接触禁止命令が出た程である。今は解除されたが、未だにその頃の兆候が見られた。

 

「まだ、許せない?」

 

「……だって、あたしがどれだけ言っても……止まってくれなくて……シルーシャが、あたしを見る時の目が、その時の、その時の」

 

「もう寝ましょう」

 

 クロージャに寄り添うようにレイディアンが肩を抱きながら、他のオペレーターにシルーシャの事を任せ、顔を手で覆う彼女を部屋へと連れて行く。

 ちらりと肩越しに後ろを振り返れば、開いた扉の影からシルーシャがこちらを覗いていた。

 

 

 クロージャを部屋に送り届けた後、レイディアンが部屋へ戻るとシルーシャは床の上で寝ていた。

 風邪を引いちゃうから、ちゃんとベッドで寝なさいと言い聞かせている。

 しかし、こうも習慣づかないのはロゴスが甘やかして、いつも自分で抱っこして運ぶから。

 眠る時は呪いも乗せた子守唄なんて手厚い待遇の所為で、他のオペレーターがいくら手を尽くしても眠れない甘えん坊になってしまった。

 

「シルーシャ……重くなったね」

 

 抱き上げて、その重みにレイディアンの口元が自然と緩む。

 柔らかい頬を撫でて、その目元へと指を滑らせる。

 

 ああ、本当に。

 

「あの人にそっくり。……私も他人のことを言えた口じゃないね」

 

 

 

 

 

 

 

 




予想通りでしょうけど、Lycorisは未来を見せてくれる人材にとことん重い感情向ける傾向にあります。
アーミヤとかテレジアは勿論、Wにもそんな感じ。

逆に苦手というか、ケッって唾吐きたくなるのは過去の幻影に取り憑かれてるような連中。主に黒蛇みたいなのとか、ドゥカレとか、ドゥカレとか、クイサルトゥシュタとか。

テレシス?テレシスはですね、メチャクチャ尊敬してますけど最初の出会いが最悪過ぎて素直になれないだけです。
ドゥカレ? 嫌いです。

エリートオペレーター一番好きな人?Logosです。
じゃあ、Raidianは何かって?好きとか超越したアレソレです。

逆に苦手なロドス職員?んなもんケルシーに決まっているでしょう。話が長くて正論でぶん殴ってぐぅの音も出させてくれない相手とか超相性悪いです。
ドゥカレ? 超嫌いです。








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