転スロifルート   作:坂木みさき

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お待たせしました。
ラーナ編はあと二話ほどでまとめる予定です。
良ければお願いします。

今回はアル視点です。


3話 アルの心境

「アル!!わたしとつきあってください!」

「…へ?」

 

…へ?

ラーちゃんから大事な話があると着いてきた訳なのだが…思わず、固まってしまった。

 

いや、わかるよ?俺は純粋な7歳の子供ではない。前世では20大後半まで生きていた記憶がある。だから何を言われたかは分かるし、聴き逃しているわけでもない。こういう場面では鈍感を発揮て分からない…なんてありがちだが、流石にそんなことない。

ラーちゃんが告白紛いの事をしてきた理由も予測が着く。

 

「…アル?」

「…ん、ごめんね。返事は少し待ってくれるかな?」

「…わかった」

「ただ、今日中には答えるよ」

「…うん」

 

すぐに返事が出来ない俺に対してラーちゃんがしょんぼりしてしまったが、迂闊に答えられることでは無い。

俺とラーちゃんは貴族であり、男爵家と公爵家という身分の違いもある。

貴族の婚約、結婚なぞ子供同士の好いた惚れたで決まることの方が少ないだろう。俺はまあ男爵家の次男だからそこまで重要なポジションでは無いが…ラーちゃんは次女とはいえ公爵家の娘だ。今はシューゲルが猫可愛がりをしているが、いずれどこかの家に嫁ぐ立場になるはずだ。

となればここは慎重に答えなければならない。

と、俺が悩ませているとロレッタが部屋に戻ってきており、ラーちゃんと俺に飲み物を出してくれている。

 

「ラーナ様、アルフリート様。お待たせ致しました」

「…ありがと、ロレッタ」

「ありがとう」

「…ラーナ様、何かありましたか?」

「だいじょうぶだよ」

 

…告白された時、ロレッタがいなかったのはタイミングが良かったのかもしれないな。

ラーちゃんが小さい時…多分産まれた時からのお世話係兼教育係として日々過ごしていただろう。

そんなラーちゃんが俺なんかに告白してる場面にいたら…ロレッタ自体はラーちゃんを止めることはしないだろうが、いい顔はしなかったと思う。

そんなふうに考えていると、

「ロレッタ…わたしすこしママのところにいってくる。アルとお話ししてて」

「…わかりました」

 

そう言ってラーちゃんは部屋の外に出てしまった。主人からのお願いがあるせいで俺と話をすることになったロレッタだが…俺は話すことは特にない。ラーちゃんもなかなか返事をしない俺と一緒にいるのが辛くなってきたんだろうな。

 

「アルフリート様。少しお話して起きたいことがあります」

「なに?」

「ラーナ様から告白されましたか?」

「!?」

「その反応は…あったのですね?」

「…」

なんて答えるのが正解なんだ、これ…?ロレッタはなんで知ってるんだ、ついさっきだぞ…?

 

「隠さなくても大丈夫です。ラーナ様から告白される。そこから先起こり得るトラブルをアルフリート様なら全てを理解しているであろうことも。わかっていますから」

「…そっか。事実だよ。ロレッタが居ない間に告白されたのは」

「アルフリート様の考えを聞いても?」

「それは…」

「いえ、難しいようでしたら今は構いません。ですがラーナ様には確りとお答えいただければと思います」

「もちろん。俺の気持ちは伝えさせてもらうよ」

 

俺の予想に過ぎないが…多分ラーちゃんはロレッタに相談していたんだろうな。その理由も告白してきた理由と同じで何となくわかる。

 

「ただアルフリート様が考えているであろう私の気持ちだけ、伝えさせて頂きます。アルフリート様の返事は要りませんよ?」

「…」

「私はラーナ様がアルフリート様を望むのであれば、止めることは致しませんし、出来ません」

「だろうね」

「えぇ。そして私個人としてですが…正直反対したい気持ちがあります」

「まぁ…ね」

「別にアルフリート様が悪い訳ではありません。むしろラーナ様との相性はいいでしょうし、この場合は婿入りという形になると思いますが、シューゲル様含むミスフィード家の皆様とも仲は良好ですからね」

「…それで?」

「はい、そして反対したい理由の1つですが…今はまだラーナ様が幼く、決断するには早すぎる、という点ですね」

「そうだね、まだまだラーちゃんも…そして俺も子供だ」

 

思ったよりネガティブな意見はないようだが…ロレッタは本当はどう思ってるんだろう?

 

「うふふ、分かりやすいですねアルフリート様。私が本当はどう思ってるか、それを聞きたいお顔をしています」

「あはは…まあ、ね」

「では、その疑問にお答えしましょう」

「…頼むよ」

 

はてさて、何を言われるやら…

 

「ラーナ様とお付き合いしてくださいませ。アルフリート様」

「…本気?」

「それが1番ラーナ様が幸せになる近道ですから」

「それが本音?」

「ラーナ様の幸せが、私の何よりの幸せですので。これが本音ですよ」

「…そっか」

「アルフリート様は怠惰なところはありますが…それ以外はとても優秀ですから」

「そう言って貰えるとお世辞でも、嬉しいよ」

「ラーナ様を小さい頃から見てきた者として、アルフリート様は合格、と言ったところです」

「あはは…」

 

まあ、ここまでロレッタに憎からず思って貰えているなら良かったのだろうな。

 

「アルフリート様でしたら、ミスフィード家の一員になったとしても、私はメイドとして仕える上で仕えるに足り得る人物だと思っています」

「そこまで言って貰えるなんて思わなかった」

「お付き合いをしていただければ、喜ばしい所ですが…強制をするつもりはありません。あくまでもアルフリート様がラーナ様の事をどう思っているか、それが大事だと思います」

「…わかった。ロレッタにそこまで言われちゃったら、ウヤムヤにすることも出来ないな」

「では、私はラーナ様のところに向かいます。しばらくはこの部屋にいて頂いていいので、しっかりとお考えくださいませ。この魔道具を置いて起きます。魔力を流しますと私に伝わるようになっていますので、そちらでお呼びくださいませ」

 

そういってロレッタは部屋から出て行った。魔道具というのはシューゲルが使っていた、魔道具に魔力を流すと対になっている魔道具が振動して教えてくれるというアレだろう。

正直ラーちゃんの部屋に残りたくはないけど、部屋を出てシューゲル達ミスフィード家の人にもエルナ母さん達にも、今顔を合わせたくは無かったからちょうどいいかな。

 

さて、ラーちゃんについて考えてみよう。

 

ラーちゃんが俺のことを好きになったのは、身近な年上に対しての憧れや尊敬から恋心に変わっていった…と言ったところだろう。

俺は前世の記憶がある純粋な7歳児ではないので起こりえないが、まあ年齢1桁の頃ならよくあることだと思う。

 

ラーちゃんは4歳。正直俺と付き合うという事を決めるには早すぎる年齢だ。これからまだまだ色んな人に会うだろうし、貴族としての責務も考えなければならない。

た、ラーちゃんは3人兄妹であり、長男のギデオンが既に次期当主として確定している。

長女であるシェルカいずれどこかの有力貴族の家に嫁ぐだろう。しかし

 

ラーちゃんは次女である。有力貴族に嫁ぐのもそこまで重要視はされない可能性があるし…シューゲルが早々に嫁ぎ先を決めることは…あの可愛がりを見る限りは少なそうか?

となるとラーちゃんは自由恋愛が許されなくも…?

…色々と貴族の観点で考えてしまった。

ロレッタが言っていた通り、俺がラーちゃんをどう思っているか、を考えた方がいいのかもしれないな…

 

ラーちゃんに好かれている自覚は流石に、ある。

鈍感を発揮するつもりは無い。ラーちゃんと出会ってからはまだ1年も経って居ないし、会った回数も多くはないけど…ラーちゃんを子供だと思うのは失礼だろう。

ラーちゃんの年頃によくある感情の勘違いかもしれないけど、好かれていて悪い気はしない。

公爵家の娘に思うことでは無いが…俺はラーちゃんの事は妹のような存在だと思って接していた。

1度思ったことがあるが…本当に妹になってくれればいいのにと。

 

…またごちゃごちゃと考えてしまった。

ああ、そうだ。シンプルに考えよう。

俺はラーちゃんに告白されてた時、拒否する事を一瞬考えた。だってシューゲルに何をされたかわかったものじゃないから。2度目の死なんて真っ平御免だ…と。だからその場ですぐに否定することも出来た。

それでも言い淀んで、ロレッタに正直に答えて上げてくれと言われ、自覚した。

 

俺は、ラーちゃんの事が…ラーナ・ミスフィードの事が、恋愛的な感情として好きだ、と

 

1度自覚すると、ラーちゃんか俺に懐いてくれているのがとても嬉しいし…正直近い将来他の男に嫁ぐかもしれない、いや、盗られるかもしれない。そう思うと…

 

「ハハッ…俺、こんなに嫉妬深いっけな…?見知らぬ貴族の男に盗られるかも…って思うだけでムカついてくる」

 

体に精神が引っ張られてるのかな、俺も子供にアリがちな独占欲…みたいなのが心の奥底から湧いてくるみたいだ。

 

「うん、ラーちゃんになんて答えるか。もう決まりだな」

「きっと、エルナ母さんの家の事は気にしなくていいって、この事だったのか」

 

そうだ、答えによってはスロウレット家がどうなるかなんて火を見るより明らかだろう。けれど、この感情に嘘はつきたくないなって思うし、何よりも、

 

「ラーちゃんを悲しませたくない」

 

あんな悲しそうな顔を見るのは今日までだ。ラーちゃんは笑顔の方が似合ってる。

俺の答え次第では先程よりもっと悲しい顔をするだろうが…俺はもうそんな顔をさせるつもりは無い。

 

「さて、決断も決めた事だし…ラーちゃんを呼ぶとするか」

 

俺は机の上にある魔道具に手を伸ばし、魔力を流した。

 

「あぁそうだ。約束してた事もあるし、前世でしたことも無かった告白の返事だもんな。返事を部屋で済ますなんて、勿体ないや」

 

俺のキャラじゃないけど、女の子から告白されたってのにただ普通に応えるだけじゃ男として恥ずかしいってものだな。

 

王都の告白スポットなんて知らないけど、俺とラーちゃんだけが知ってる…あぁ、エリックもか?

なんにせよ、俺達しか知らない場所で返事をする事にしよう。

呼ばれてすぐ返事を貰えると思ってるだろうラーちゃんにはもう少しだけ悲しい顔をさせてしまうが、ここは譲れないところだ。

 

…さてと、この答えで田舎でスローライフを送る夢は…叶わないかもしれないな。

 




お待たせしました。
そして進みが遅くてすいません。
ただ、オチは決めてます。
次でラーちゃん編は終わる予定ですが…果たして。

感想ありがとうございました!
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