〜〜〜プロローグ〜〜〜
私”レア“が
”
◆◆◆
私が玉座(
「レア様。
「
(第1回イベント「バトルロイヤル」の戦闘シーンを見て、やって来たのかな?)
(運営側から、CMに使わせてもらうと、言っていたからね)
(
私は、応接室へ向かう。
〜〜〜
私が、応接室に入る。
「
「やっほー、レアさん」
「
私は、アナスタシアとリオに、今までの
「え、アナスタシアも、洞窟からスタートだったの?」
「そうなのよ。しかも、ゾンビだったの」
「大変だったね。リオは?」
「私はスケルトンだったの、
今のアナスタシアとリオの見た目は、ゾンビとスケルトンいうより、
(
「そうだ、レア!私をテイムして♪」
「リオをかい?」
「レアって、
「ゲームでの友達をテイムか?」
(私は、悩んだ!確かに、
「わかった♪」
《【
レアはリオのテイムを実行した。
《【
レアはアナスタシアのテイムを実行した。
「そうだ、レアさん!」
「どうしたんだい、リオ?」
「今度の現実での休みの時、集まらない?レアちゃんの家で、ダメかな?」
「わたしの家か?」
「アナスタシアは、どう?」
「私は、日曜日なら、大丈夫かな♪」
◆◆◆
最初に慌ただしく動きがあったのは、各国王都に置かれている聖教会の大聖堂であった。
◆◆◆
夜。
白くとても白く光を反射するシルエットが草原の上空にあった。
もちろん人型の月などありはしない。いや
頭部からは金色の角が伸び、腰からは
彼女が夜を待ったのは、「アルビニズム」のデメリットのせいだ。
月明かりに照らされた草原は
「さて。じゃあ撃ってみるかな。前のイベントでは『ヘルフレイム』で焼いたんだったっけ。なら違うやつで......せっかくだし、1番強いやつにしよう」
『火魔法』ツリーの最上位に位置している魔法もすでに取得してある。第1回イベントでの『ヘルフレイム』の威力を思えば、大抵のことは『ヘルフレイム』で事足りるような気がするが、もし必要だとなった時に取得してありませんとなるのは困る。
「効果範囲には......うちのアリはいないな。ウサギはいるだろうけど、まあ運がなかったってことで。安全確認ヨシ。ではーー魔王の力、見せてもらう!焼き尽くせ!『フレイムデトネーション』!」
◆◆◆
ヒルス王国にエアファーレンという街がある。
最近オープンした魔法薬屋は従来の店よりもかなり安く魔法薬を売ってくれる。魔法薬の中には、通常よりも明るく長く燃え続けるランタンようの油というものもあった。
ジムの他にそんなことをしている者はいなかったが、日々保管庫持ちは増え続けている。遅かれ早かれいつかはやらねばならない時が来るのだ。
ジムが
そろりそろりと、ジムは街に向かって
謎の気配に気づかれないよう慎重にしていた後退りは、徐々に遠慮をなくしていき、やがて後ろ向きに走るようになり、ついにはくるりと振り返って全力疾走を始める。
ちょうど、
一瞬、昼間になったのかと思えるほどに辺りが明るくなり、
ジムはたまらず叫び、叫びながらも、死にたくない一心で走り続けた。
ようやく街へと
「おい!あんた!何があったんだ!今、草原のほうがーーー」
「待て、そんなことを聞いてる場合か!あんた大丈夫か!?背中が......」
街に辿り着いたことで
翌日、診療所で目覚めた彼は、背中側に
そして診療所にジムを運んでくれた衛兵たちがやってきた。ジムから事情を聞きたいらしい。
「助かったようだな。よかった。さて、あんたに聞きたいのは、昨夜草原で何が起きたのかだ。当事者であるあんたなら知っていると思うが、草原は一夜にして、焦土に変わっちまったんだーー」
◆◆◆
一体何が起きたのか、わかる者は
しかしヒルス王国上層部は知っていた。
たった一夜で広大な草原を焼き尽くす程の途方もない力。
王国は災厄の討伐を決めた。
〜〜〜
人類は地球の重力という
VRーーーヴァーチャル・リアリティ技術の発展。
仮想現実として定義され、
そんな現代に、また新たなゲームが発表された。
『
特に斬新というわけでもなく、オーソドックスなファンタジー系の
発表後いくつかのクローズド
今回のオープンβは、最終テストという役割ももちろんあるが、実際には
正式サービスと同じアカウントを要求され、キャラクターデータも正式サービスに
一応βテストという
オープンβを目前に控えて、広く公開されている情報はゲームの仕様の一部のみだ。
いずれにしても、情報の真偽はずくにはっきりする。
◆◆◆
広い
(基本的な仕様はクローズドテストの時と変わっていないみたいだね)
女性ーーー少女はキャラクタークリエイトモードで専用のウィンドウをながめ、表示されているデータから前回のテストを思い出す。
レベルの概念はないが、経験値は存在しており、取得した経験値を消費してキャラクターのパラメータを強化したり、スキルという特殊能力を覚えたりして成長していく。
初期のキャラクタークリエイトの時点から
選べる種族はヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人(
選んだ種族によって経験値が消費され、例えばヒューマンならば消費なしだが、エルフならば20ポイントの消費、逆にゴブリンならば120ポイントの還元がある。
パラメータの上昇は1ポイントにつき消費経験値10、スキルの取得は今取得できるもので言えば消費経験値10〜40くらいでばらついている。
スキルには取得条件が設定されているものもあったので、今表示されているスキルが
どうやらキャラクターの先天的な特性を表しているようで、最初に自身をフルスキャンして仮アバターを作成した時点で、すでにひとつ自動で取得されていた。
先天的な特性∶美形
消費経験値∶20
あなたは生まれながらに美しい。
NPCからの好感度にプラス補正(中)
ヘルプを見ると、先天的な特性というだけあり、種族と同様基本的にキャラクターのクリエイト
(
経験値20は惜しいが、容姿をあまり弄るのも負けた気がする。
つまり、
種族をエルフに決め、さらに20ポイントの経験値を消費する。
そして特性で「アルビニズム」を取得した。
先天的な特性∶アルビニズム
消費経験値∶マイナス20
あなたは生まれながら髪が白く、肌が白く、
長時間
※火傷......重症度に応じて治癒されるまで継続ダメージ。
なるべく容姿を弄らずにポイントを取り戻そうとした結果である。
ゲーム内時間で夜のログイン時間が長くなるよう生活を調整すれば、さほどデメリットはないと判断した。ゲームの設定上、夜間のほうがフィールドのエネミーは強くなる傾向にあるのはクローズドテストの際にわかってはいたが、主観的な感覚では大した差はなかった。
加えてエルフは元々色素が薄い種族で、「アルビニズム」だったところで外見的にはさほど目立つまい、という思惑もあった。
先天的な特性∶弱視
消費経験値∶マイナス30
あなたは視力が弱い
遠くに
中距離の目標に対する命中・精度にマイナス補正(中)。
視力依存下でターゲティングする場合、遠距離以上の目標を攻撃の対象にできない。
ペナルティが重い。が、中・遠距離攻撃をするつもりがないから実質デメリットはない。いずれメガネのようなアイテムを入手するか、魔法的な何かでカバーできれば取り戻せる程度のハンデだ。
そう考えることにして、最後に名前を決め、キャラクタークリエイトを終えた。
キャラクター
こうした文字数の少ない名前が使用できるのも、βテスターやアーリーアクセスの有利な点である。
現在の経験値は110ポイント。
先天的な特性のおかげで、能力値的に優位な種族にもかかわらずプラス収支でゲームスタートができる。
◆◆◆
ゲーム開始直後のチュートリアルはスキップできなかった。
サポートAIが映像を交えて世界観や最低限プレイヤーが知っておくべき仕様などを解説してくれる、のはいいのだが、前述の通り飛ばすことができないし、ときどき「聞いていましたか?」などどチェックが入るため、抵当に聞き流すこともできない。
其の内容を要約すると。
NPCとモンスターにはシステム的な区別はない。
プレイヤーがログアウト中も、プレイヤーのアバターは其の場に残り続け、眠っているという設定になっている。
といったところだろうか。
1時間にせまるほどの長い説明の中で、サポートAIが特に強調していたのはこのくらいだった。
内容はクローズドβテストの時と全く同じだ。
とはいえNPCに搭載してあるAIとモンスターに搭載してあるAIには知能に差があるし、NPC同士でも、同じモンスター同士でも個性と言える程度の差があるらしいが。
この注意事項はおそらく、道徳的な
ともかく、スキップできないチュートリアルを終えると、レアはじめじめした薄暗い場所にスポーンした。どこかの
軽くあたりを見回した限りではエネミーはいない。
ゲームを始めるにあたっての初期スポーン位置は
しかし、初期種族でゴブリンやスケルトンを選んだプレイヤーを其のような人里近い場所からスタートさせるのは問題がある。人類種国家の影響下ではゴブリンやスケルトンは討伐対象だ。住民に通報されて討伐隊に襲われる危険がある。ゴブリンやスケルトンを選んだ場合に経験値の還元が多いのはそういったデメリットの裏返しでもあった。しかも其処で死亡した場合、デスペナルティを受けた上で初期スポーン位置にリスポーンする。衛兵が周辺を警戒していれば、すぐにでもまた討伐されるだろう。
自動デスペナ製造システムの完成だ。
とはいえNPCである衛兵や住民には高度なAIが搭載されているため、彼らも実際には延々と討伐し続けるといった異常行動はとらない。討伐しても特定の場所からポップするモンスターだと認識されれば、ポップ位置に
そうした1種の詰み状態を回避するために、六国家以外を選択することも可能になっている。
其れが人類種国家の言うところの「魔物の領域」だ。
魔物の領域であれば、基本的に人類種はいない。同じ種族の魔物であれば攻撃されないかといえば必ずしもそうとは限らないが、問答無用で殺しにくる人類種よりはいくらか理性的に接することもできる。
レアが初期スポーンしたのは、そんな魔物の領域のひとつだった。彼女はエルフであり、人類種に分類されるが、初期スポーン位置は別に種族に関係なく選択できる。
レアが此処を選んだのは、先天的な特性のためだ。「アルビニズム」は日光に弱く、「弱視」は広く見通しがいいフィールドには向かない。おそらくスケルトンかなにかのために用意されたと
魔物には人類種の国家の違いなど関係ないため、六国家を選ばない場合はレアの選んだ「洞窟環境」のように周辺環境を選択する形になる。其のため今いる場所は魔物の領域の何処かであることは確かだが、其れが何の国に近い場所なのかはわからない。
エルフであるレアにとって、魔物の領域である此の周辺にはエネミーしかいない。まずは拠点として使える場所を確保する必要がある。
洞窟内にそういうものがあるかは不明だが、仮に自分がスケルトンとしてスタートしていたとしても同様の問題はあるはずなので、なんらかのセーフティエリアのようなものはあるはずだ。其れを探していけば
行動方針を決めたなら速やかに行動に移すべきだ。袋小路である此の場所で襲われればリスキル無限ループに陥りかねない。
現状レアはなんのスキルも持っていないため、キャラクターのベースの運動能力のみで乗り切らなければならない。
クローズドテストと同程度の初期エネミーなら今の能力値のままでも素手で対応できる。自身の技術を考えるなら、欲を言えば人型のエネミーが望ましいが。
少し歩いて洞窟の最初の分岐点の壁にはりつき、顔の半分だけ出して曲がり角の向こうを
動くものは見えない。ただでさえ薄暗い上、先天的な特性のせいで視力が弱いためはっきりとは見えないが、動きがあるかどうかくらいはわかる。
しばらく待っても動くものは現れなかった。
分岐点の壁に石でしるしをつけ、とりあえず右側に進むことにした。壁伝いに道なりに進んでいくと、洞窟の先の曲がり角と思しき壁の向こうから、うっすらと明かりが漏れているのが見えた。
しかし洞窟の出口の場所は把握しておく必要がある。
慎重に明かりを目指して歩いていった。
近づくにつれ、人の話し声のようなものが聞こえてきた。
(魔物の領域の洞窟の中に人類種がいるのか......)
いや、人類種と決まったわけではない。
出口でないなら、此の明かりは何者かが目的をもって用意した可能性が高い。魔物がそんなことをするだろうか。
ならばやはり人類種か。たまたま同じ地点にスポーンしたプレイヤーかもしれない。
其れを確かめるべく、壁越しに慎重に
「ーーーちょっと、奥でおしっこしてくる」
◆◆◆
(此の洞窟を見つけることができたのはラッキーだった)
魔物の領域に入っていくらも歩かない場所に、此の洞窟はあった。普通ならば見つけられないような場所だったが、メンバーの中で1番めざといライリーの目にかかれば
しばらくは此処を拠点に生活することにする。人類の国の中には自分たちの居場所はない。
魔物の領域にある洞窟。
其処に入り込んでいたケリーたちは元は猫獣人が暮らす集落の子どもたちだった。
其の集落は魔物の領域の拡大の影響か、作物の収穫量、狩りの獲物が減少し、徐々に立ち行かなくなっていった。
そして食うに困った集落の大人たちによってまとめて売られそうになったところを、逃げ出したのがケリーたち4人だった。
しかし子どもだけで生きていくことなど不可能だ。
ただでさえ集落の近くは食べ物も少ない。魔物の領域も近いため、凶悪なモンスターに襲われるかもしれない。集落の人間に見つかれば、連れ戻されて今度こそどこともしれぬ場所へ売り飛ばされる。
最年長のケリーは、3人の
隣の集落まで逃げ、見つからないように隠れながら、畑の作物をあさった。夜には建物に忍び込み、衣類や刃物、野菜以外の食べ物を盗んだ。住人に見つかることもあったが、そうした場合は殺して逃げた。そしてまた別の集落へ行き、同じことを繰り返した。必死だった。
◆◆◆
「......なるほど、なんで魔物の領域に人類種がいるのかと思ったら、
通路でエンカウントした盗賊を1人ずつ不意打ちで倒し
最後に広間で2人まとめて倒した。殺してはいないはずだが、全員を広場に移動させる間に目を覚ました者は居なかった。
考えてみれば、魔物の領域で魔物アバターで始めた場合、周りが同種のモンスターばかりでかつ会話が通じてしまったら、其の周辺で気軽に経験値稼ぎもできなくなってしまう。
しかしスポーン候補場所のそばに人類種の盗賊を配置しておけば、プレイヤーが魔物アバターだろうと人類アバターだろうと気兼ねなく経験値にできる。よく考えられた配置だ。
レアはチュートリアルのサポートAIに注意されたことを心に留めていたため、念のため命を奪うのはやめておいた。殺すのはいつでもできるが、NPCはリスポーンしない。其れに殺さなくても、無力化にた時点で大量の経験値が入手できていた。
此のゲームで経験値を入手する手段は、実は戦闘だけではない。
生産活動でも経験値は入手できるし、何処かに盗みに入り、
其の際に得られる経験値は、行動の難易度と現在の自分の実力によって左右される。此処で言う『現在の自分の実力』とは其の時点でのスキルや能力値のみを指しており、保有している経験値については全く参照されない。つまり全く経験値を振っていないプレイヤーな生産活動を行えば、スキルやパラメータに経験値を振って成長したプレイヤーが行うよりはるかに多く経験値を得ることができるのだ。
もちろん成功すればの話で、失敗してもいくらが経験値は手に入るが、其れくらいなら生産スキルを取って成功率を上げたほうが効率はいい。
経験値は持っているだけではなんの意味もなく、パラメータやスキルに振って初めて価値が出る。レアの場合、キャラクタークリエイトで初期の100ポイントをまったく使っていないどころか、逆に110ポイントに増やした状態でスタートさせている。システム判定としてはあらゆる分野において
其れを逆手に取ったのが、レアの此のプレイングだ。
彼女は実家の家業の事情で、リアルでは護身術を修めていた。此れは良家の子女のためと、一族の
そういうコンセプトであるから、筋肉が必要以上についてしまうような通常の鍛錬を行うのは推奨されない。古い考え方ではあるが、良家の子女としてまず第1に女性らしく美しくあらねばならないとされていたからだ。
当然ながら、武道を
いかに自分の力を使わずに相手を倒すかという「理」よ真髄。脳の中で修練を完結させ、現実では自身の肉体で脳内のイメージとのすり合わせのみを行うことで此れを追求する。
物心ついてから暇さえあればVRで此れをやらされてきたレアである。自身のアバターの能力値が低いというのは、むしろ望むところであった。
本来ゲームバランスとしては、初期スポーン時のプレイヤーの所持経験値は使い切ってあるという前提で調整してある。そうであろうということはクローズドテストの時点でわかっていた。
レアは予想外に大量に入手できた経験値に内心ほくそ笑んだ。
いもの戦闘で得られた経験値は合計で300ポイント。元あった分と合わせて、保有経験値は410ポイントにもなっていた。
何故こんなにも
盗賊たちはロープの
いよいよNPCとのファーストコンタクトである。なお不意打ちはコンタクトにはカウントしない。
しかしせっかくのファーストコンタクトにワクワクしていたというのに、
何度が説得を繰り返すうちに盗賊たちは次第に文化的になっていた。
ようやくファーストコンタクトが始められる。なお説得力の行使はコンタクトにはカウントしない。
「やあ、まずは自己紹介かな。わたしはレアという。ごらんの通りエルフだ。きみたちは獣人かな?代表者は誰だ?ああ、代表者に限っては口を開いてもいいことにしよう」
レアがやさしく語りかけると、先ほど1番騒いでいた盗賊が恐る恐る名乗った。
「......ゲ......ケリーだ......。あん、あんだいっだい......」
「あんた?口の利き方はママに習わなかったのか?わたしは座っていて、きみたちは縛られて転がされているんだから、
「ひ......っ!ずまな、すまない!なんて呼んだらいいんだ!親からそんなごど教わっでない!」
「......そうだったのか。あまり教育に熱心でない家庭だったんだね。其れは悪かった。『あんた』を少し上品にすると『あなた』という言い方になるんだ。覚えておくと今後は余計なケガをしなくてすむよ。ところでずいぶんと話しにくそうだが、魔法薬は要るかな?」
そう言うとレアはインベントリから
インベントリというのはプレイヤーがゲームスタート時から使えるシステム機能のひとつで、所持品を入れておくことができる謎空間である。
其のインベントリの中にはじめから入っていたのが今取り出したポーションだ。まだあと9本残っている。
LPポーションを不審そうに
「ごれ......ごれはなんだ......?どくか......?あだしたちをごろすのか......?」
「まさか、ポーションを知らないのか?一般的にそうなのか?此処らの地域だけかな?クロー......、昔街に行ったときは普通にポーションを売っている店もあったと思ったんだけど」
「まぢでは......服と、食糧しかかっだごどしがない......」
「なんだそうなのか。此れは傷を
ポーションの瓶を開けケリーの口に流し込んだ。
ケリーは口内の傷に
今さらだが此処にきて初めて、レアは此の4人が盗賊でない可能性に思い至った。
薄汚れた武装集団が、魔物の領域であろう
スポーン地点のすぐそばにいたから雑魚モンスターだというのはいかにゲーム的なメタ視点というやつで、此のゲームに関して言えばそういった配置はされていない可能性の方が高かった。
此のゲームは、公式発表ではリアリティの追求を1番に考えた画期的な新システムとされていたが、
其れを信じていたわけではないが、其の噂にいくらかでも真実が混じっているのなら、異世界のシミュレートをしている環境でわざわざプレイヤーひとりひとりを想定した
ただ結果論ではあるが、ポーションを知らない傭兵などいないだろうし、猟師にしたって聞いたことくらいはあろう。さらに、街や村などのコミュニティとのつながりが薄そうだと感じたことで、盗賊説がもっとも有力になったのには安心したが。
「さあ、痛みがとれたなら話してくれないか。きみたちのことを。此れまでどういう生活をしてきて、此処で何をしていたのかを」
◆◆◆
ライリーは此れまで他人と殺し合いをして、此処まで一方的に負けたことはなかった。
いつの間にか気を失っていて、眼が覚めたら4人仲良く縛られて転がされていた。
自分たちのリーダーであるケリーが騒いで暴れてなんとかしようとしていたが、白い女がちょっと触ったり
其れを目の当たりにするまではライリーもレミーもマリオンも
ケリーの行儀が良くなるのを見た女は名乗り、ケリーも名乗った。ケリーの言葉づかいに白い女の機嫌が少し悪くなり、其れ以外の全員の顔色がだいぶ悪くなった。
白い女が妙な小瓶をケリーに飲ませた。するとたちまち、目に見えて
女はケリーに魔法薬とかいうものを飲ませたらしい。此れが其の魔法薬の効果なのか。
すっかり観念したケリーは、此れまでの身の上を話し始めた。足りないところは他の3人も補足した。勝手に話して怒られるかと思ったが、白い女は
白い女は、もしかしたら思ったより優しい人なのかもしれない。
此方は
今までに会ったことのない種類の人間だった。獣人ではない、という意味ではなく。
自分たちの母親が此の女みたいに強くて優しかったら、4人とも今も集落で暮らしていたかもしれない。
◆◆◆
盗賊たちの身の上話を一通り聞いて、レアはため息をついた。
思っていたより重い身の上だったということもあるが、話しぶりからみるに彼女たちの記憶は実際の体験をもとにしたもののようで、其れが問題だった。
つまり、どういうことかと考える。
ゲーム内に広がる世界は非常に広い。
ランダムマップ生成のアルゴリズムを利用して数年間自動で計算させ続けてマップとオブジェクトのデータを完成させたらしいが、其れだけの広さの土地に、ひとつひとつの生物種が問題なく生存競争ができるほどの規模で存在しているのなら、其れはいったい何れだけの数のAIが必要になるのか。
知的生命体レベルのAIを搭載した生物の生存密度が地球の人物ほどでないにしても、そして強大な生物と生息域を
其れだけの数のAI分の記憶設定を、一体誰が作るというのか。そして其れを全世界の
そんなことをするよりも、サービス開始よりほんの数年前から、噂のワールドシミュレーターを数千倍の加速時間で稼働させておいたと言われるほうが、はるかに現実的ではなかろうか。
だとしたら、此処はまさにシミュレートされた異世界其のもとだ。
とは言え、其の手の技術についてはレアは
其の格好はずいぶんとみすぼらしい。髪も伸ばし放題で、耳や
投げ飛ばした感じからすると、ケリーの身長は170センチ前後、ライリーはレアと同じくらいで160程度はありそうだが、年少のふたりは同年代と比べても明らかに小さい。幼少期の栄誉が十分でなかったのであろう。
其の生い立ちや境遇には同情するし
現実社会でそんな生き方をすれば重犯罪になるし、此の世界でも其れは変わらないだろうが、話を聞く限りでは賞金首のようなものにはなっていないようだ。立ち回り方がうまいというか、引き際をわぎえているというか、そういう才能があったのだろう。
盗賊であると確定した今でも、其の生命を経験値に変えてしまうのはもったいない気がする。
NPCを恒久的に連れ歩けるようなシステムはあっただろうか。
「なるほど......、きみたちの生い立ちはよくわかった。今まで頑張ってきたんだね。けれど、今日わたしの前に屈したように、其のような生活を続けていれば、いつか誰かにすべてを奪われることになる。其れはわかっているのか?」
レアの言葉に、4人はショックを受けたようだった。そんなこと考えたこともないといった表情だ。無料もないだろうが。
「だけど、あなた。街に行ったって寝床たってないし、街中にはあたしらみたいな
「ああ、其処からか」
レアはまず、金銭を入手する正規の手段から教えることにした。
其のためには貨幣経済の仕組みと、経済活動とはどういうものなのか、社会構造の説明や、代表的な六国家の成り立ちーーー此れは公式サイトに概要が載っていたので其れを其のまま話したーーーなどを説明しなければならなかった。さすがに長くなるので、拘束は説明の途中で解いて服を着せた。
自由に質問することを許したために、講義が終わったのはたっぷり5時間ほども
スタートダッシュのためにキャラクタークリエイトで無茶をしたのに、まったく無駄になってしまった。
しかし代わりにNPCのコネクションが作れたと思えば、悪くはないかもしれない。此の少女たちがNPCとして
そう考えながらちらりと少女たち。眺めてみれば、きらきらとした目で
尊敬とか敬愛とか、そういうくすぐったい視線だ。
「エルフのレアさま強い。あと優しい」
年長のケリーとライリーがきらきらした目で褒め倒してくる。
年少のレミーとマリオンはこくこくとうなすいている。
「いや、別に優しいということはないだろう。わたしは人に説明するのが好きだから、まあやりたくてやっただけだよ」
「でも今まであたしらは、こんなに丁寧にものを教えてくれた人は居なかったよ」
「集落にいた頃でも、わかんないことを聞きに行くと、つまんねーこと気にしてんじゃないって殴られた」
「其れは......
とはいえ人口=労働力の村社会では、其れも仕方がないのかもしれない。一生集落から出ないのなら、貨幣経済や国家の成り立ちなんて知ろうが知るまいが大差ない。質問された其の大人も、実は答えられなかったからそうしたのかもしれない。
「やっぱり優しいよ、あなた」
ケリーがまっすぐレアを見つめて言った。
きらきらした目は鳴りを潜めて、今は少し不安げに揺れている。
「エルフのレアさま。お願いだ。あたしらのボスになってほしい」
《該当のスキルを取得していません【個体名∶ケリー】をテイムするには『使役』が必要です》
妙なエラーメッセージが出た。
(え、なに、テイム?テイムできるの?NPCを?)
人類種のNPCをテイムできるらしいというぶっ飛んだ事実ももちろんだが、其れ以前にテイムというシステム自体初耳だった。クローズドテストには無かった。発見されていなかっただけかもしれないが、少なくともレアは知らない。
どういうシステムになっているのか全くわからないが、システムメッセージからエラーが通知されたということは、何者かがテイムに関する行動を起こしたということだろう。
普通に考えればさきほどのケリーの発言だ。「ボスになってほしい」とはつまり、システム的にはレアにテイムされたいという意思表示をしたということだと思われる。しかしレアの側にテイムに関するスキルが無かったため、受理されずにエラーメッセージが出た、ということだろう。
クローズドテストでは、数多くのテスターがキャラクタークリエイトで様々なビルドを試し、スキルの組み合わせやスキルツリーの成長を見て、数々のスキルや条件付きスキルツリーの存在を明らかにしていった。
いろいろなビルドを試すためには何度もキャラクタークリエイトを繰り返す必要があり、其のためにいわゆるリセットマラソンが横行していた。
其のときですらテイム系のスキルは見つけられなかった。
ということはクローズドテストの時には存在しなかったか、あるいは存在はしていたが初期経験値の100ポイントではどう使っても取得できない条件だったかの
だとすれば、何方にしてもテイム系のスキルが存在するという情報を持っているプレイヤーは居ないか、居ても極めて少数で、自分は其の極小数のうちのひとりということになる。
レアはなんだかワクワクしてくるのを感じる。
別段、他のプレイヤーを出し抜いたり、情報戦で優位に立ったりとか、そういったプレイをするつもりはなかった。
しかし自分だけが知っているのかもしれない情報というのは、ひどく魅力的に感じた。
同様になんらかの理由で条件を満たし、エラーメッセージを食らうプレイヤーが居ないとは限らないが、今回のケースを考えれば可能性は非常に低いだろう。
レアはNPCから高い信頼を寄せられることでエラーメッセージの条件を満たした。と思われるが、ゲーム開始からたった5時間でゼロから其処までの信頼を築ける人間などそういまい。
「だめ......だろうか」
ケリーが不安げにつぶやく。
しまった。肝心のテイム対象をほったらかしにしていた。
「いや?もちろん君たちのボスになるのはかまわないとも。
レアがそう言うと4人は安心したように肩の力を抜き、すっかり冷めてしまった食事を
其れを横目に、レアはテイムに関するスキル、システムメッセージが言うところの『使役』というスキルについて考える。
最も可能性が高そうなのは『調教』のスキルツリーだ。『調教』したNPCを『使役』するという具合だ。
しかしクローズドテストの際には、『調教』のスキルツリーには『調教』しか無かった。そして『調教』はアクティブスキルで、其の効果は「成功した場合、一定時間対象の行動を操作できる」というものだった。例えばモンスターとの戦闘中に『調教』に成功したモンスターと其れ以外のモンスターとで仲間割れさせて消耗させる、というような使い方をするスキルだ。此れではあまりテイムとは結びつかない。単にトリッキーな妨害スキルに過ぎない。
其れに同じようなことなら『精神魔法』の『混乱』でも可能だ。対象の行動を指定することはできないが、混乱状態になると単純に1番近くにいる存在を攻撃するようになるので、似たような結果を得られる。
同じく『精神魔法』で言うなら、『調教』より取得コストが重くなるが『魅了』や『恐怖』ノほうが『調教』より成功率が高い。其れらの取得前提スキルである『自失』を併用すれば、さらに成功率は高まる。加えて魅了か恐怖状態の対象に上位スキル『支配』をかければーーー
(もしかして
可能性はなくはない。『支配』など、いかにもな響きだ。
しかし『精神魔法』の『支配』まで取得するとなると、取得前提スキルまで含めて最低限必要な経験値は150ポイントにも上る。初期経験値だけでは到底取得できない。
此れで必要な条件がゲーム内での特定行動だとか、特定NPCとのコネクションだとかであるとすればもうお手上げだが、関係ありそうなスキルを取得してみて駄目だった場合はまた経験値を稼いでやり直せばいい。
ケリーたちにも高度なAIが搭載されている以上、仮に今はテイムできなかったとしても、行動を共にするくらいはしてくれるだろう。なにしろレアは彼女ら盗賊団のボスになるようだし。
となれば今与えられている情報ででき得る限りの考察はしておくできだろう。其の中で可能性な最も高そうなプランは試しておきたい。
ひとまず『精神魔法』については可能性の1としてリザーブしておいて、別のアプローチを考えることにした。
テイムという言葉とは少し
『召喚』のスキルツリーには『調教』と同様『召喚』スキルしかない。此の『召喚』は指定した種族のランダムに呼ばれた個体を自分のそばに召喚するスキルで、制限時間の10分が経過するか、召喚対象が死亡するか、発動した術者が死亡すると元いた場所に送還される。
取得可能なスキルの詳細が閲覧できるヘルプによれば、『召喚』を発動した際…召喚対象は召喚に応じるかどうかの選択を迫られるらしい。其処で召喚対象が拒否すると対象は『召喚』に対する抵抗判定に入り、抵抗に成功した場合は『召喚』は不発に終わる。
召喚対象は術者が指定した種族の中からランダムに呼ばれるため、能力値の個体差によって抵抗の成功率も大きく変わる。つまり『召喚』は構造上の問題として、成功率が常に不安定なスキルになっており、テスターたちからはいわゆるネタスキルとして認識されていた。
(そもそもなんでランダム召喚オンリーなんだろう)
『調教』にも言えることだが、ひとつのスキルツリーにたったひとつのスキルしか存在しないというのは実に非効率だ。
同じくひとつしかスキルがないツリーに『錬金』スキルがあるが、此れは『調薬』ツリーの『調薬』を取得することで魔法薬の製作に可能な『錬成』がツリーの取得リストに現れる。そもそも『錬金』スキル自体、「錬金系統のスキルの発動に必要。錬金系統のスキル判定にボーナス」という単体では全く無意味な効果であり、見るからにツリーに隠されたスキルの存在が前提であった。
『調教』、『召喚』にも同様の条件があるとすれば、キーとなるのは何なのか。
とりあえず『調教』『召喚』ツリーに先があると仮定して、其れを可能性其の2としてリザーブしておくことにする。
今度はテイムというイメージからではなく、使役というイメージからアプローチしてみる。
使役と言えば、初期取得リストにある中では『死霊』がもっともイメージに近い。一般的に死霊術と聞くと、哀れな死者の魂を使役しているという印象を受ける。
しかし『死霊』も先の2つと同じく、『死霊』しか存在しないスキルツリーだ。効果は「自身から中距離以内にある死体をアンデッド化し、5分間其の行動を任意に操作できる。5分経過すると土に
此処に来て初めて感じたが、関係のありそうなスキルツリーが
ときおり
時間切れだ。そろそろ考察に結論を出して、行動に移らなければならない。
此れまでの考察でレアが思いついた可能性は、大まかに言って3つ。
ひとつ、『精神魔法』の『支配』が条件のひとつである。
ふたつ、『調教』『召喚』などのスキルツリーには先がある。
みっつ、『死霊』『調教』『召喚』には関連性がある。
しかし、ひとたび検証のために経験値を稼ごうとするなら、つぎ込んだ経験値と同格かやや格上のエネミーを倒すべく移動しなければならないが、微妙系のスキルばかり取得した状態で適正難易度のエネミーと効率よく戦えるかといえば、難しいだろう。
覚悟はしているとはいえ、少ない投資で済むなら其れに越したことはない。
ゆえに最もコストが
合計60ポイントを消費し、其れらのスキルを取得する。すべて取得してからあらためて各スキルツリーを確認してみたが、取得可能スキルが増えているといったことは無かった。
(まぁ、想定内想定内。まだ慌てる時間じゃない)
此の時点で取得条件を満たしているくらいなら、とっかに見つかっているはずである。
となれば、次は『精神魔法』だ。
『支配』まで取得するなら、『自失』で10ポイント、『恐怖』と『魅了』でそれぞれ40ポイント、最後に『支配』で60ポイントと、計150ポイントを費やす必要がある。
考えてみれば、見当外れで失敗した場合は微妙系スキルだけで経験値稼ぎをしなければならない、と覚悟していたが、『精神魔法』を此れだけ取れば立派な『精神魔法』特化ビルドと言える。
『精神魔法』の判定には
ならばもはやためらう必要はない。
レアは150ポイントを消費して一気に『精神魔法』ツリーの『支配』までを取得した。
考察が正しければ、此れで何かしら取得可能スキルが増えているはずだ。
(さて、まずは『調教』から確認を......)
『調教』スキルツリーには新しいスキルは増えていなかった。
『召喚』スキルツリーにも新しいスキルは増えていなかった。
そして『死霊』スキルツリーにはーー『
(きた!此れだ!やっぱり方向性は間違っていなかった!)
興奮のまま、思わず経験値を支払った。
新たに取得した『魂縛』の効果は「死亡してから1時間以内の死体の魂を奪う。また『死霊』発動時に対象にした死体に魂が残っていた場合、対象の『死霊』への抵抗を封じる。魂のストックを持っている場合、ストックを消費して、【アンデッド】系、【ホムンクルス】系、【ゴーレム】系を『精神魔法∶支配』の対象に選択できる」というものだった。
(強い!......のか?此れは......)
単体で見れば、効果は「死体の魂を奪う」だけであり、使い道が不明である。なんならただのフレーバーテキストにさえ見える。
しかし此のスキルを取得している時点で、最低でも『死霊』と『支配』は取得しているはずであり、其の2つのスキルのネックである「成功率が低い」や「生物しか対象にできない」をフォローするというのは、十分に有用だと言える。魂のストックとかいうのがいまいちよくわからにいが、おそらく『魂縛』で奪った死体の魂のことだろう。
ただし取得に必要な経験値は60ポイントと、スキルツリーのふたつめのスキルにもかかわらず『支配』と同等の重い取得コストだった。
此のスキルに的を絞って経験値を支払おうにも、『支配』から『死霊』まで揃えると其れだけで170ポイントが必要であり、初期経験値だけでは取得できない。
リセマラが容易だったクローズドテスト時には先天的な特性というシステムが無かったことを考えれば、現時点で此のスキルまで取得しているプレイヤーは少ないはずだ。あると知っていなければまずやろうとしないであろうビルドである。おそらく『魂縛』の存在を知っているプレイヤーなど
さらにもうひとつ、『魂縛』が奪えるのは死亡してから1時間以内の死体の魂であるという点。
此の事実と『死霊』の仕様を考えるに、どうやら此の世界で死亡した者の魂は、1時間は死体に残っているようだと考えられる。
思いがけず、
何しろ、『支配』と『死霊』を強化するパッシブスキルを手に入れることができた。すでに
レアはいくぶん楽な気分になり、もはや最悪此れ以上何も進展がなくても構わないというくらいの心持ちで、再度『調教』を確認した。
『調教』は相変わらず『調教』のみのスキルツリーであった。ひとつしか無いならツリーでも何でもないし『調教』だけスキルツリーという言い方は変えたほうがいいのではないか、などと考えながら続けて『召喚』のスキルツリーを開いた。
『契約』というスキルが取得可能になっていた。
其の効果は「一度召喚に成功した対象の魂を契約で縛る。次回以降の召喚時、契約済みのキャラクターを召喚対象に選択でき、其の場合対象は召喚に抵抗しない。『死霊∶魂縛』により魂を奪ったアンデッドとして契約者リストに追加できる」というものだった。
『魂縛』と同様、基本スキルの『召喚』の純粋強化である。加えて取得条件になっている『魂縛』にさらに追加効果をも持たせている。非常に強力なスキルだ。此処まで揃えるのに最低でも310ポイントもの経験値を消費するだけのことはある。
此の時点でレアは『精神魔法』『死霊』『召喚』の3枚看板で戦っていけると言っていいだろう。支払った経験値はかなりの量だが、十分元は取れていた。
先の考察がかなりの部分で的を
レアはもはや、『調教』にも新しいスキルが出現していることを疑っていなかった。
そしてレアの確信の通り『調教』のスキルツリーで新たに取得可能になっていたスキルは、果たして『使役』だった。
レアのテンションは最高潮になった。
断言してもいい。現時点で、『使役』を取得しているプレイヤーは自分だけだと。
此処に至るまでに必要だった経験値は実は390ポイントである。プレイヤー初期所持ポイントの4倍近い。此れだけの経験値を実用性の低い『召喚』や『調教』やらにつぎ込むプレイヤーなと他にいるはずがない。
そして今だからこそわかることだが、レアの取得してきたスキルの組み合わせは最高効率だった。
『使役』の取得条件は『調教』『契約』。
『契約』の取得条件は『召喚』『魂縛』。
『魂縛』の取得条件は『死霊』『支配』。
『調教』『召喚』『死霊』こそ先立って取得していたが、『精神魔法』以降はまさにトントン拍子だった。いや、逆に先に
運が良かった。まさに一生分の運を使い切ってしまったかのように感じる。
いや、運だけではない。十分に考察はした。此れは自分自身の才覚の
取得した『使役』の効果は次のようなものだった。
「対象をテイムし、自身の
まさに此れまでのビルドの集大成とも言うべきスキルだった。
そしてスキルの詳細を確認し終えたタイミングで、システムメッセージが聞こえた。
《保留中のタスクが解決可能です。【個体名∶ケリー】をテイムできます》
どうやら必要なスキルや条件が不十分で処理が解決できない場合、保留中という扱いになるようだ。さすがにずっと保留中というわけにもいくまいし、時間制限のようなものはあってもおかしくないだろうが、食事の準備から片づけ程度の間なら待ってくれるらしい。
レアはケリーのテイムを実行した。
スキルの発動はなかったので、相手のほうからテイムされることを望んでいる場合には、『使役』を発動しなくても所持しているだけでテイムに成功するのかもしれない。
テイムに成功した瞬間、ケリーが跳ね上がるように顔を上げ、
「すまない、待たせたね。わかったと思うが、たった今ケリーはわたしの眷属になった。此れで名実ともにわたしは君のボスだ」
「はい、ボス!ありがとう!」
確認すると、ケリーの能力値やスキル構成も自分のものと同様に見られるようになっている。経験値の項目はぜろになっているが、此れは説明にあったとおりレアのものと共有だからだろう。
レアの所持経験値が増えているのは、ケリーのテイムに成功したことによる経験値の取得があったためか、ケリーの持っていた未使用経験値が統合されたからの
ケリーのスキルは近接戦闘に特化したビルドで、スキルだけでなく能力値にもかなりの経験値を振ってあった。というか、現在のレアの総経験値量よりだいぶ多かった。まともに戦えばキャラクタークリエイト直後のプレイヤーではまず勝てないだろう強さだ。
「はぁ......。今までにない不思議な感覚だ......。ボスを感じる......安心する......」
一方のケリーはマタタビを
他の3人も
《ネームドエネミー【山猫盗賊団】の討伐に成功しました》
《パーソナルエリア【山猫盗賊団のアジト】がアンロックされます》
《【山猫盗賊団のアジト】をマイホームに設定しますか?》
(ハウジングシステム!そういうのもあるのか!)
とはいえ、今気にするべきは其処ではなかった。ケリーたち4人は、どうやら4人でひとつのユニークボスだったらしい。
つまりレアは、初期スポーン位置がユニークボスの初期配置のすぐそばだったということになる。
たしかに魔物アバターの推奨環境と思われる選択エリアは洞窟とか火山とか遺跡とか、ちょっとしたボスが居てもおかしくなさそうな場所ばかりだったが、まさか本当に直近の場所にスポーンするとは思っていなかった。
魔物アバターの序盤難易度の異常な高さが
魔物種族を選んだ場合に初期経験値が多めに
レアはスタートダッシュのために超倹約ビルドをし、デメリットをごまかすために魔物の領域でスタートをし、魔物の領域だからと特に慎重に行動し、出会ったボスはレアの得意な人間型で、不意打ちでボスを倒すことができ、あえてトドメをささず、其れが奇縁につながりテイムの情報を
此れまでの行動は、何か1つでも違うことをしていたらこうはならなかったのではないかというくらいの神懸かったものだったと言える。
ならば流れに逆らわず、此処にマイホームを設定するのもきいだろう。薄暗い
マイホームに設定すると、ハウジングメニューを利用できるようになった。
早速ホーム全体を確認してみる。奥の地底湖までホームに含まれていた。異常な広さ、と思ったが実質広間と狭い通路だけなのでそうでもない。
「ところで君たち、【山猫】って名前なの?」
「いや、あたしらは猫の獣人であって山猫じゃあないけど」
「そういう意味ではなくて」
「?」
どうやら、特に名前のある集団ではないらしい。まあなんでもいい。
何にしろ、ケリーたちが実はユニークボスだったという事実が判明したことで、いくつかレアが疑問に感じていたことが解決された。
想定以上の大量の経験値を入手できたこと。
眷属にしたケリーたちが思いのほか強かったこと。
そして今、レアの取得経験値がまた増えていたこと。
此れはおそらく、ボスであるケリーたちのテイムに成功した際の成功報酬がメインだろう。
現在のレアの所持経験値は320ポイント。
ケリーたちに使うにしても、眷属込みの戦闘での経験値取得のルールがどうなっているのかを検証してからのほうがいい。加えて、積極的に試す気にはならないが、眷属が死亡した際にデスペナルティは受けるのかどうかも確認してからが望ましい。クローズドテストの
というか、改めて計算してみると、今ある320ポイントをすべてレアにつぎ込んでもケリーのほうが強い。彼女らのボスになったことだし、レア自身も少しは強化しておいたほうがいいだろう。現在のビルドはMNDと相性がいいので、とりあえず200ポイントをつぎ込んでMNDを伸ばし、40ポイントを使って『精神魔法』の『混乱』と『睡眠』を取得した。
一応ボス戦だったと考えれば、此れでリザルトも終わったというところか。
今度こそ、次の冒険に向けて動き出さなければ。
まずは、此のホームを拠点らしくする必要がある。プレイヤーのログアウトは眠っている状態になるという仕様のため、快適にログアウトするためには寝床が必要だ。
ベッドとまでは言わないが、せめて地面の硬さと冷たさをやわらげられるものが欲しい。最悪は地面に直接でも仕方がないが、文明的であろうとする努力は怠るべきではない。とは言え此処は洞窟の中。
〜〜〜登場人物〜〜〜
プレイヤー
種族∶エルフ→ハイ・エルフ→ダーク・エルフ→魔精→
名前∶
性別∶女性
年齢∶20代後半
先天的な特性
《美形》→《超美形》→《翼》・《魔眼》・《角》
《アルビニズム》
《弱視》
ステータス
取得経験値∶0ポイント
『召喚』20→『契約』60
『調教』20→『使役』60
『死霊』20→『魂縛』60
『精神魔法』
『自失』10↘
『魅了』40→『支配』60
『恐怖』40↗
『混乱』20
『睡眠』20
レアに逢う前
プレイヤー
種族∶ゾンビ→
所属∶低位不死者→高位不死者
名前∶
性別∶女性
年齢∶
先天的な特性
《物理耐性》∶10000ポイント
経験値を振り、ポイントに応じて、被物理ダメージを軽減する。
《LP自動回復》∶10000ポイント
経験値を振り、ポイントに応じて、LPを自動的に回復する。
《低位不死者》
陽に当たると継続ダメージ。日陰で減少。
被光、聖属性ダメージ4倍。
月明かりに当たると全ステータスにボーナス∶小
闇系魔法強化∶小
被闇系魔法耐性∶小
クリティカル耐性∶小
LP自動回復系スキルの効果増加∶小
暗視
肉体系、精神系の状態異常を無効化するが、ただし、精神系の状態異常は、本人が認めた相手からの精神系スキルは有効。
食事、睡眠不要。ただし、階位が上がると、食事や睡眠も行える。
《腐乱体》
五感機能低下。
ヘドロのような芳ばしい香りを常に放っている。言うまでもないが超臭い。周囲に吐気をもたらす。
被火属性ダメージ2倍。
《拳》∶10000ポイント
経験値を振り、ポイントに応じて、威力が上がる。
《筋力強化》
《鑑定》
経験値を振り、ポイントに応じて、結果が変わる。
《高位不死者》へと、進化を遂げ、スキルが追加。
《物理無効》∶10000ポイント
対象の攻撃スキルが此方のスキルに振られている経験値の半分以下の場合、被物理ダメージを無効化する。
《不死者の王族》
《闇のオーラ》∶10000ポイント
状態異常付与∶毒、呪い、衰弱。
スキル経験値に応じて状態異常確率上昇∶毒、呪い、衰弱。
10経験値
《
魔力を可視化する魔眼の1種。
属性が色で分かり、保有量や濃度が高ければ色が濃く、低ければ色が薄く見える。
《魔法耐性》∶10000ポイント
経験値を振り、ポイントに応じて、被魔法ダメージを軽減する。
《王家の権威》∶10000ポイント
リーダーの時、メンバーの全ステータスを上昇。
上昇率は、振られた経験値ポイントに応じ、
取得経験値∶123450ポイント
ステータス
装備・武器
色あせた護りのレイピア・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
【
【
色あせた護りの指輪・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
装備・防具
色あせた護りの冠・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
色あせた護りのドレス・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
色あせた護りのグローブ・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
色あせた護りのブーツ・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
装備・収納
色あせた護りのベルトポーチ・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
装備・装飾
色あせた護りのネックレス・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
色あせた護りのイヤリング・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
色あせた護りのバングル・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
装飾・見た目
色あせた護りの下着・レア∶Ex.品質∶S+.耐久∶―
スキル
『隠蔽』50↘
『隠密』50→『認識阻害』60
『迷彩』50↗
プレイヤー
種族∶→スケルトン→
所属∶低位吸血鬼→高位吸血鬼
名前∶リオ・D・ジャネイロ
性別∶女性
年齢∶15歳
先天的な特性
ステータス
取得経験値∶543210ポイント
スキル
『召喚』20→『契約』60
『調教』20→『使役』60
『死霊』20→『魂縛』60
『精神魔法』
『自失』10↘
『魅了』40→『支配』60
『恐怖』40↗
『隠蔽』50↘
『隠密』50→『認識阻害』60
『迷彩』50↗
リオの眷属
名前∶デ・ハビランド
性別∶男性
ステータス
『調教』→『使役』
『精神魔法』
『自失』↘
『魅了』→『支配』
『恐怖』↗
プレイヤー
種族∶スケルトン→
名前∶
性別∶
年齢∶
先天的な特性
ステータス
『フレアアロー』
『ウォーターシュート』
『アイスバレット』
『サンダーボルト』
『エアカッター』
『召喚』20
『調教』20
『死霊』20
『精神魔法』
『自失』10↘
『魅了』40→『支配』60
『恐怖』40↗
『吸血魔法』
『霧』+『雷魔法』→『ライトニングシャワー』
『霧』→『死の霧』→『魔の霧』
『霧散化』
『闇魔法』
『 』↘
『 』→↘
『光耐性』
『 』→↗
『闇の
ブランの眷属
種族∶リザードマンスケルトン→
コウモリ↘
コウモリ→モルモン
コウモリ↗
コウモリ↘
コウモリ→モルモン
コウモリ↗
コウモリ↘
コウモリ→モルモン
コウモリ↗
モルモンのスキル
『変身』
『
『
ヴァーミリオン
名前∶スカーレット
性別∶女性
名前∶マゼンタ
性別∶女性
名前∶カーマイン
性別∶女性
名前∶アザレア
性別∶女性
猫の獣人・
名前∶ケリー
性別∶女性
年齢∶
ステータス
スキル
『俊敏』
『軽業』
猫の獣人・
名前∶ライリー
性別∶女性
年齢∶
ステータス
スキル
『
『弓』→『
猫の獣人
名前∶レミー・
性別∶女性
年齢∶
ステータス
スキル
『
『弓』
猫の獣人・
名前∶マリオン
性別∶女性
年齢∶
ステータス
スキル
『
『氷魔法』
『魔法適性∶氷』20
『
種族∶
名前∶
性別∶オス
先天的な特性
『嗅覚が特に鋭い』
『聴覚が特に鋭い』
ステータス
スキル
『氷魔法』
『錬金』
名前∶
性別∶メス
名前∶ミゾレ
性別∶オス
名前∶ヒョウ
性別∶オス
名前∶アラレ
性別∶メス
名前∶フブキ
性別∶メス
名前∶コゴメ
性別∶メス
名前∶ザラメ
性別∶メス
ホムンクルス・機甲型
リビングメイル
名前∶
リビングウェポン
名前∶
名前∶
名前∶
名前∶
名前∶
ホムンクルス・機巧型
名前∶アイリス
性別∶女性
ホムンクルス・機甲型(武器類・武具類)
武器∶
武器∶
武器∶
ステータス
名前∶シナモン
性別∶女性
ホムンクルス・機甲型(武器類・武具類)
武器∶三毛にゃんこグローブ【STR+66・VIT+36】(
ステータス