実験艦"星海"転移 ー日本も居るよー   作:空軍系AC乗り

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 パ皇編、完結です。

 続きをドゾー

 倍の量でー!(4407文字)


第十一話

ーパーパルディア皇国 工業都市デュロー

 

 

 

 上空に浮かぶ巨大な戦艦の腹が開き、何かが降ってくる。地に降り立ったそれらは、六本の脚で大地を踏み締め、背負った砲門が正面を睨み、光の刃先を持った前脚二本のブレード*1を振り(かざ)す。

 

 それは、地を這う鉄の甲虫とも呼ぶべき存在だった。それらが、多脚戦車と呼ばれるそれらが、次々と地上に降り立つ。

 

 背に8つの砲身を束ねたものを載せる多脚戦車、近接装備を持たず、長大な砲身を背負う多脚戦車。脚部全てに近接装備を持つ、砲身を背負わない多脚戦車。様々な種類の多脚戦車が瞬く間に地を埋め尽くす。

 

 

 

 

 

 それらの多脚戦車が、一人の人間の胴体を半ばから切断する。

 

 

 

 

 

 その瞬間、人々は我先にと逃げ出す。デュロから逃亡を開始する。

 

「何なんだよあれ!!」「嫌だ、死にたくない!」「何で俺達がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ!!」「俺達は何もしてないじゃないか!!」

 

 上空に浮かぶ戦艦から、砲門が閃光を走らせ、その度に人が地形もろとも消滅する。不可視の光線が人間を一体一体焼き殺していく。轟音を響かせた砲門から、亜光速の弾が人を地形ごと吹き飛ばす。

 

 戦艦から次々離陸した戦闘機が、砲門で、ミサイルで、機関砲で、レールガンで、人を殺害していく。

 

 地上の多脚戦車達が、ブレードで人間を切り裂く。機関砲が次々と人間を穴だらけにする。放たれたミサイルが人間をバラバラの部位に吹き飛ばす。砲撃が家屋ごと粉々に砕く。

 

 それはもはや蹂躙だった。処刑だった。

 

 その戦力のほとんどを皇都に集められた為にこの場には軍が存在しなかった。居たところでどれ程の影響を与えられたのかは不明だが。

 

 誰かが多脚戦車に向かってマスケット銃を放つ。

 

「まさか軍を辞めたばっかりでこんなことになるとは思わなかったよ…!」

 青年の撃った弾は多脚戦車に正確に命中する。いや、命中する軌道をとっていた。

 

 だがその弾は多脚戦車を前に、不自然に逸れていった。他の誰かも同様に撃つ。だがやはり逸れていく。

 

「何で…当たっただろ…当たった筈だろうが!!」

 余りの理不尽に叫ぶが、その声は砲声に掻き消されて二度と聞こえなくなった。

 

 工業都市デュロから人間の気配が消失するまで、砲声は、攻撃の音は続いた。やがてデュロは静寂を取り戻す。機械の駆動音だけを残して。

 

 

 

 

 

ーパーパルディア皇国 皇都エストシラントー

 

 

 

 

 

 軍の最高司令官アルデは、新たな緊急報告を受け取っていた。

 

「ほ、報告です!」

「どうした、今度は何だ…」

 疲れた声でアルデが聞きの体制になる。

 

「未知の勢力がデュロに侵攻!デュロが…滅ぼされました!!」

「…は?滅んだ?いや、というか未知の勢力とは?日本ではないのか?」

 

「デュロに侵攻中の敵勢力は、日の丸を掲げておらず、また今まで確認された日本製兵器と似ているようで全く違う形であり、何より…空中に浮かぶ戦艦が存在するとの事です!!」

 

「…は?何だその冗談のような勢力は…いや待て、まさか…魔信中継に流れてきたアレか?」

 

「?それはどのようなものでしょうか?」

 

「あぁ、貴様は知らんのか…確かあそこにあった筈…」

 アルデは資料室を探り、最近の方の資料の中から魔写を取り出す。

 

「これだ。」

「…っ!?これです!!コイツが、デュロを…故郷を…!!」

「少し落ち着け。そうか…未知の海魔にでも襲われて欺瞞映像でも作ったのかと思えば…事実だったか…」

 

「…いや、それ所ではないか。」

「ひとまず皇帝陛下に報告だ。」

 そう言った瞬間、また新たに報告が入る。

 

「ほ、報告です!!」

「何だ、どうした。また何か問題が起きて…」

「例の空中戦艦がエストシラント上空に現れました!!」

「…なっ!?まずい、今すぐルディアス陛下に避難していただかねば!!」

 

 

 

ーパーパルディア皇国 皇都エストシラント上空ー

 

 

 

 エストシラント上空に、空中戦艦が浮かんでいる。都市の外周は、多脚戦車に囲まれており、脱出しようとした人間が虐殺されていく。

 

 エストシラントより外の集落や都市は、外周を囲む多脚戦車達から生産された多脚戦車が、次々と襲い、滅ぼされていく。

 虐殺されて瓦礫だけとなった集落の中から、瓦礫が次々消えて行き、多脚戦車が更に増える。

 

 空中戦艦が浮かぶ横に、小型の、100m程の艦艇が4隻程浮かんでいる。

 

 4隻の艦艇は、それぞれ4方向に散っていき、その方向に存在する都市群を、上空からの砲撃で滅ぼしていく。

 

 誰から見てもこの世の終わりとしか思えない光景。不思議なのは未だエストシラントが侵攻されないことだ。

 

「ルディアス陛下!ご無事ですか!?」

「あ、あぁ…私は無事だが…何だアレは?」

 

「何処の勢力のものかは未だ判明しておりません。ですが、あれは我々を滅ぼす気でいるのは間違いないようです…。」

「ここに居ては殺されてしまいます。秘密の経路がありますから、そこから脱出を!」

「あ、あぁ…分かった。……これは、何なのだ?悪夢か何かなのか…?」

 

「これは現実でございます、陛下。」

「いや、それは分かっている。分かっているが…」

 エストシラントの外で次々と人間が殺され、消えていく。瓦礫となった家屋が作り替えられ、多脚戦車となる。

 一部の瓦礫とならなかった家屋だけが、そこに集落があった事を伝えるだけとなる。まさに悪夢のような光景だった。

 

 その時、外周の多脚戦車から、一部の多脚戦車がエストシラントに侵攻し始める。

 上空の戦艦からも、戦闘機が投入される。

 

「ま、まずい!陛下!お早く避難を!!」

「あ、ああ!」

 

 ルディアスは、城に設置された脱出路から都市外に逃亡を測る。

 

 

 

ーパーパルディア皇国 レミールsideー

 

 

 

「何だ、何なんだあの地獄のような光景は!?日本か?日本の攻撃なのか!?!?」

 彼女は、連日日本に捕えられる悪夢を見ていた。だが、現実に現れた光景は、さらなる地獄としか言いようのない光景だった。

 

「レミール様!皇帝陛下も別ルートで避難されました!貴方様もお早く避難を!!」

 

 レミールの従者が避難を促す。そんな中、破壊音が聞こえだす。

 

「まずい、レミール様!早く避難を」

 次の瞬間、屋敷の玄関扉が破壊され、多脚戦車が侵入する。ちょうど玄関にいたレミールは、目の前で斬り殺される従者を見て、絶叫する。

 

『Pi』

 

 彼女の意識は、極度の恐怖により暗転する。最後に聞こえたのは、奇妙な機械音だった。

 

 

 

ーパーパルディア皇国 エストシラント郊外ー

 

 

 

 皇帝ルディアスは、従者やアルデと共に秘密の経路を必死の思いで駆け抜けて行く。

「まもなく地上です、陛下。」

 

 ようやく日の目を見れる。その安心感から、今まで体を動かしていた気力が無くなり、歩くことしか出来なくなる。

 

「陛下!?」

「すまぬ。少し安心したら、足が震えてな…歩くのには問題ない。」

「それでしたら良いのですが…」

 

「…そう言えばレミールはどうしたのだ?」

「レミール様は別ルートで脱出し、国外で合流予定です。」

「そうか…」

 安堵のため息を吐くルディアス。まもなく、地上の光が差し込む通路に差し掛かる。

 

「私が先に安全を確かめて参ります。」

 従者が先に見て、アルデがそれに続き、最後にルディアスが続く。

 

「あの鉄の甲虫共は見当たりません。出ても大丈夫かと。」

 周りには瓦礫も何も無く、殺風景な景色が広がっていた。

 

「これで、取り敢えずは安心か…」

 ルディアスがそう呟いた時…

 

『Pi』

 

 周辺の景色に溶け込んでいた多脚戦車複数が姿を現す。

 

「まずい、陛下!逃げ」

 従者が斬り殺される。

 

「…私が道を切り拓きます!陛下はその間にお逃げ下さい!!」

 アルデが決死の覚悟で武器を構える。

 

「くっ…すまん、アルデ!大義であった!!」

 ルディアスが唯一囲まれていない場所から逃げ出す。

 

「…私もここまで、か。」

 そう呟きながら、多脚戦車に突っ込むアルデ。機関砲に撃たれ、蜂の巣となり死亡した。

 

 ルディアスは必死に逃亡する。やがて、機械の駆動音も聞こえなくなる。

 

「逃げ切った、か?」

 

 周囲には何も無い。瓦礫一つない殺風景な景色だ。

 

 ルディアスが安心し切った、その時。

 

『Pi』

 

周囲の風景に同化していた多脚戦車が一斉に姿を現す。今度は完全に囲まれている。

 

「な…」

 

 鋭い痛みが全身を駆け抜けると同時に、ルディアスの意識は暗転する。最後に聞いたのは、甲高い機械音だった。

 

 

 

 

 

ーパーパルディア皇国 東部沿岸デュロー

 

 

 

 

 

 日本の強襲上陸部隊が、デュロに上陸する。何の妨害もなく、誰もいない無人の街が彼らを出迎える。

 

「偵察からも聞いていたが…どういう事だ?」

 

 瓦礫も無ければ人も居ない。争いの跡らしき物こそあれども、血痕一つとしてない。

 

 部隊は一旦拠点を無人のデュロに構築し、一路エストシラントを目指す。

 

 

 

 道中は静かだった。まるでこの国から人がまるっきり消えてしまったかのように。

 無人の荒野が続く。所々に無人の家屋がポツリポツリと存在するだけで、人に全く会わない。

 

「確か、この辺りは街があったよな?」

「はい、つい最近打ち上げた衛星でも2日前には比較的大きな街があったのが確認されています。」

「じゃあ…何で家屋が(まばら)になって、人が一人もいないんだ?」

「…不明です。」

 

 エストシラントとデュロの丁度中間にあたる街。そこには(まばら)に家屋が存在する、無人の街となっていた。やはり争いの跡があるが、血痕といったものは一つもない。

 

 そのまま、補給線の維持のためにその街でキャンプを設営し、作業を行う。

 

 彼らはエストシラントへと辿り着く。やはりここも無人の街だった。

 

「まさか…奴等もう逃げ出してるんじゃないだろうな?」

「それにしてもこんな直ぐに住民丸ごと、居なくなれるもんでしょうか?」

「どうだろうな…」

 

 念の為エストシラントを包囲し、皇城へと向かう。

 

 道中で隊員が何もない場所で転ぶ。

「って」

「どうしたんだ?何もない場所で転ぶなんて。とうとう年か?その若さで?」

「いや…何か金属っぽい硬いものに引っかかった気がするんだが…気のせいか?」

 

 

 

 

 

『…Pi』

 

 

 

 

 

 やがて皇城へと辿り着く。やはり無人で、制圧、もとい調査を開始する。

 

「!皇城の中庭にてルディアス、及びレミールを発見!」

 

 中庭にロープで縛られたレミールとルディアスを発見する。気絶していて、まるで恐ろしいものを見たかのように二人揃って悪夢にうなされているが、血色は良い。どうやら長い間放置されているなどでは無いようだ。

 

「どうします?」

「…取り敢えずこの二人は後方に連れてけ。引き続き皇城の制圧を行う。」

「調査の間違いじゃないです?」

「…一応制圧だ。俺たちは戦争を終わらせに来たんだからな。」

 

 結局、城内に残された資料を押収したくらいで。人は一人も居なかった。

 

 その後、レミールは本国に連れ帰り死刑に、ルディアスは発狂してまともな精神状態ではなかったため本国の病院で治療を行っている。

 日本は、戦争状態であったパーパルディア皇国で、何が起きたのか調査する事となる。

 謎の失踪を国民単位で起こしたパーパルディア皇国を…

*1
実体剣にビームを纏わせたイメージ





 あい!

 一旦完結です!謎の失踪()を遂げたパーパルディア皇国民…イッタイドウナッタンダー

 今回を節目として、連載小説に変えようと思います。気が向けば今後も投稿していくつもりです。
 それでは、オタッシャデー!

 …あ゛、パイさん出すの忘れてた。リストラじゃないかこんなの!

 あ、続きません。
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