頼名はペルソナに覚醒した日から、予定をなんとか合わせながらハム子ネキとタルタロス探索を進めたりすることで、レベルを20まで上げることに成功していた。
そんなある日の事……。
「物理しかないのが結構辛い!」
「本当に申し訳ない……!」
影時間を終えたハム子ネキと頼名がそう話していた。
「こればっかりは先輩のせいじゃないんだけど……。実際、先輩の確定クリティカルにはかなり助かってるし」
「そうならいいんだけど、実際物理耐性を持ってるシャドウもだんだん増えてきたからね。今はまだゴリ押しで何とかなってるけど、早いうちに属性貫通スキルは持っておきたいね」
うーん、と二人して頭を抱える。
「ショタおじに聞いてみる? 貫通スキルを身に着ける方法」
「そうだね、あまり頼ってばかりな気もして悪いけど、ハム子ネキの負担になるわけにはいかないからね。ダメ元で頼ってみよう」
というわけで翌日。星霊神社にて。
「貫通を覚える方法ねぇ……。キワミニキは参考にならないしなあ。技術として得たものが相性に反映された稀有な例だし。それに、烈日ニキの前世からしても無効っていうことが分かってなさそうだしね」
ただの技術を魂に刻む程度に昇華できる化け物がキワミニキであった。
「うん、攻撃が効いていないのか、って感じる敵はいたけど、それはただ相手が僕たちの遥か格上だったからって理由だったしね。何かあればぜひ教えてくれると助かる」
「そうだな……いいことを思いついたぞ!」
「なんだいそれ、ゴームズネタかい?」
「違うよ。何なら君をファイヤー! させてもいいんだからね」
「勘弁してよ。それで、一体どうするんだい?」
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【耐性貫通】異界デスリレー【覚えたい】
1:烈日ニキ
そういうわけで皆には迷惑かけてしまう。すまない。
2:名無しの転生者
ええ……
3:名無しの転生者
上層が一部封鎖されたからなにかと思ったらお前か……
4:キワミニキ
貫通を覚えるといってもね……それで、一体何するんだ?
5:烈日ニキ
ショタおじが異界の一部をいじって、僕をそこに閉じ込める。中にいる悪魔は物理耐性・無効・吸収持ち。僕のスキルは全部物理だから……かなり苦しい戦いになるね
6:名無しの転生者
あほなん??????
7:名無しの転生者
誰がそこまでやれといった!?!?
8:名無しの転生者
どうして救世の銘を背負ったやつはこうも苦行に身を投げるんですか???
9:烈日ニキ
異界は一本道で大まかに耐性・無効・吸収の順で並んでる。仮に道中で僕が死んだらショタおじの手で最初の地点まで戻されて蘇生される。これを繰り返せば、僕の魂に貫通が刻まれる……らしい
10:名無しの転生者
とんでもない荒療治で草ァ!
11:名無しの転生者
ってか何でそんな烈日ニキ贔屓なん?
12:烈日ニキ
>>11 まあそう思うよね。僕も聞いたよ。こんなにしてもらったらまずくないかって。ショタおじ曰く、『万象が物理攻撃になるやつに貫通持たせないほうがバカだ』って。なので、僕はバカを卒業させてもらうことにしたよ
13:名無しの転生者
それはショタおじの言う通りやな
14:名無しの転生者
ほな頑張って
15:烈日ニキ
まあ何回かやり直せば貫通できるんじゃないかな? 僕の命にさほど価値は無いし。それじゃあ、しばらくは雑談に使ってていいよ
16:名無しの転生者
持ちネタとばかりに自虐セリフねじこんでんじゃねーよ!
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そういうことで、頼名にとっての地獄が始まった。
DIEジェスト、1周目。
「くそっ、やっぱりあからさまに攻撃の通りが悪い! そこをどけ、ヤクシニーッ!」
「アークエンジェルか。だけど! この程度ならッ!」
「なっ、ヌエ――」
――丸かじり。
2周目
「まさかヌエがあの速度で立体機動をしてくるとは……。ピンボールみたいに弾まれたらこのレベルじゃ当たらないぞ……次こそ!」
「耐性ゾーンはここで終わりか……一応早くクリアは出来てるみたいだけど……そこだ!」
「奇襲で何かと思えば、物理無効のオセか……! いざ勝負ッ!」
5周目。
「そういえば3週目あたりで耐性貫通は取れた感じがするな。他の悪魔と同じように耐性持ちを倒せてる。けど無効が高い壁だな……!」
7周目
「あれ? 貫通より先に僕に物理無効が付いているな??? まあ、技を受けすぎたし、僕も元から物理属性だからなあ」
「さて、これでお前の物理攻撃は怖くないぞ、オセ!」
9周目
「よくもジオンガで殺してくれたなッ! これでえええっ!」
「よし、何とか無効持ちも倒せたぞ! この調子で……!?」
「なんでスライムがここに……!? アナライズが通らないし、とりあえず攻撃してみるか。それしか方法がないし、横は通れないし」
――【物理貫通】【物理反射】【オートタルカジャ】【オートタルンダ】
13周目
「ようやくアナライズ出来た。物理貫通・反射もちのスライムが一体どこに居るんだ! さてはショタおじだなァッ!」
18周目
「血で鍛えよう……!!!」
(よし、これで反射の壁も乗り越えられた。なら後は……吸収!)
「って、またスライムかッ!」
24周目
(くそっ、無効と反射はまだ分かる。感覚としては物理エネルギーが即座に0になるか、弾性係数1で跳ね返ってくるようなものだからな。ただ、問題は吸収だ。物理エネルギーから生命エネルギーへの転換なんて、どうやれば打ち破れるんだ……!?)
ショタおじ謹製の物理吸収スライムに、頼名は手を焼いていた。彼の前世には、バリアを張る敵や攻撃を反射してくるものはあれど、吸収するものは見かけたことがなかった。その結果……。
28周目。彼の意識は無となり、吸収スライムに延々と攻撃を仕掛けていた。度重なる吸収による無効化、そして本来の頼名の実力であれば当たるはずもないスライムの攻撃によるよる死亡という事実が彼の思考から希望を奪い去っていた。
そして、臨界点に達した絶望、そして怒りが彼に力を与えた。
「――数多の火種の怒りに、この身を燃べようッ!!!」
未だレベル不足ではあるが、この一瞬、カスライナへの不完全な変身を遂げた頼名が、ついに物理吸収の貫通スキルを得た。そして……。
「……抜け殻が!」
彼の持つ直剣がスライムの体を突き刺し、彼は無感情にその剣を以てスライムの体を両断した。
「とうとう出来たみたいだね、貫通が……あれ!?」
「……あア、神主、か。この身に与えられた罪過も、終わりを迎え――」
「クリアできたけどおかしくなっちゃった!? パトラァッ!」
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334:烈日ニキ
ただいま。そういうわけで何とか貫通は入手できたよ
335:名無しの転生者
なんか一日くらい経ってないか? 一体何回で?
336:烈日ニキ
ちゃんと記憶が残ってるわけじゃないけど、ショタおじ曰く28周だって
337:ホヨバ解説者
……ここでも完全数か!
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「えっ、一日で貫通覚えちゃったの!? さすがにそこまでするとは思ってなかったんだけど!?」
ハム子ネキに一部始終を伝えると、頼名はドン引きの反応を示される。
「どうしてそんな化け物を見る目で……。ペルソナを使い分けてるハム子ネキもとんとんでしょ」
「えー、ちょっと心外かも」
――烈日ニキ、物理貫通に覚醒。
そういうわけで早いけど烈日ニキが貫通を学習してしまいました。ここらへんでテコ入れしてないと何にも通じなくなる時がくるからしょうがないと思う。