【完結】PERSONA3 Re;venger   作:清良 要

138 / 504
第百三十八話 後篇 修学旅行二日目-交際祝賀会-

夜――ホテル・談話室

 

 沖縄の海を満喫してホテルへと戻ってきた一同は、夕食をとってから最終日の予定について教師から連絡を受けると、入浴等の寝る準備を済ませて消灯前点呼を取った。

 その後、教師らは地酒の美味い店で酒盛りをするとのことで、何かあれば旅のしおりに書いてある緊急連絡先の携帯にかけてこいと言われており。海水浴中、湊を膝枕して肌が艶々になっていた佐久間が上機嫌で「飲むぞー!」と先頭をきってホテルを出ていった。

 生徒としては教師のそんな姿になんだかなと思わなくもないが、実際に何か起きれば教師よりも湊を頼った方が確実なので、ロビー横の一階売店にいた生徒らは「いってらっしゃい」と素直に見送っていたりする。

 そうして、九時を過ぎた頃に何やら色々な物を持って順平や友近が男子貸し切りフロアの談話室にやってくると、そこには既に寝間着のジャージ姿の女子らと着流し姿で煙管を咥えた湊が貸し切り状態でくつろいでいた。

 

「うおっ、有里君ってば寝るとき着物なのか。ホテルの浴衣じゃなくて自前でってすげぇな」

 

 普段は結っている長い髪をただのポニーテールにし、着物で煙管を吹かしている姿は実に様になっている。

 だが、その格好を初めてみた順平が驚きの声をあげれば、同じ部屋なのに知らなかったのかとゆかりが不思議そうに尋ねた。

 

「君ら、同じ部屋で見てたんじゃなかったの?」

「いや、有里君ってば昨日とか部屋に帰って来てねえもん。朝食食べに下りたら食堂にいたし。どんな服装で寝てるかとか分かんねえって」

「……貴方、昨日は何してたの?」

「佐久間と櫛名田に誘われて一緒にバーみたいなとこにいたぞ。俺はコーラ以外はサンドリヨンとかサラトガ・クーラーしか飲んでないが」

 

 実は昨夜、ゆかりと別れた湊は携帯に電話を貰って、ホテルから少し歩いた場所にあるバーに行っていた。

 地元の人間だけでなく観光客などもいてそれなりに繁盛しているお洒落なバーだったが、低いテンションで酒呑みに付き合うのはかなり辛い。

 三時を過ぎた頃になってようやく一段落ついて、二人を連れ帰りホテルの部屋に放り込んでおいたが、今度は談話室でビールを飲んでいてグロッキーになった生徒が出たと言われ、湊がその生徒らに適切な処置を施し終えて状態が落ち着いた頃には既に四時を回っていた。

 もう後は何もすることはないなと部屋に戻って少しでも休もうと思ったところ、沖縄の海で日の出を見ようとビーチに出ていた生徒が波打ち際で遊んでいた際、深くなっている場所に落ちて波にさらわれてしまったと呼び出された。

 潮の流れには向きがあり、そこは沖に出る流れだったためにさらわれてしまったようだが、横に泳いで流れから出れば戻ってくる事も可能だ。

 海に来たならそれくらいの知識は持っておけと思いつつ、貴重品を全てマフラーに収納してから薄暗い海の中を泳いで救出し、飲んでいた海水を吐かせた後はシャワーを浴びさせて水分補給をするように言って部屋まで運んでおいた。

 それが終わったときには六時前になっていたことで、もう休む暇もないなと風呂に入り直し、食堂で朝食を摂っていたところを下りて来た順平たちが目撃したのである。

 生徒の健康管理に同行している櫛名田が酒を飲んでいたせいで湊ばかりが働くことになったが、これらの話は教師に報告されずに直接湊に言いに来ていたので、実際は教師のせいではなく生徒が湊を頼り過ぎて起きたことだった。

 

「えっとぉ、談話室以外の飲酒って禁止じゃなかったん?」

「サンドリヨンとかはノンアルコールカクテルだ。酔っ払いの外国人もいたし、まぁ、二人が変なのに絡まれないように一緒にいただけだな」

 

 そんな事を知らない彼らは、カクテルの名前を知っているなんて相変わらずお洒落だなと思いながら、全員で輪になる様に琉球畳の上に腰を下ろす。

 湊を基準に時計周りでゆかり、風花、チドリ、美紀、友近、順平、渡邊、西園寺という順で、男子らは持ってきた遊び道具を広げながら湊らに話しかけた。

 

「男女混合で遊ぶって事でお菓子とジュース以外にも色々と持ってきたッスよ」

「まぁ、オレとともちーはトランプとUNOしか持ってなくて、ほとんどはナベが持って来てくれたんだけどな」

 

 ここに来るまでに打ち解けたらしく、順平は渡邊のことをあだ名で呼びながら、拳サイズのサイコロやら割りばし立てのような物や謎のカードの束などを並べてゆく。

 気になった湊が手を伸ばして試しに一枚めくってみたところ、カードには『AがBに膝枕』と書いてあった。

 そのカードを他の女子らに見せると、途端に微妙な表情を浮かべてカードと割りばし立てが、所謂“王様ゲームセット”であることを察した。

 湊が引いたカードを女子に見せていると気付いた渡邊は、パッとカードを取り返して山札に戻してシャッフルし始める。

 

「あ、フライングはダメっすよ会長。これは引いてのお楽しみなんですから」

「この王様ゲームセットって三千円するんだってさ。オレっち、売ってるのも見たことないぜ」

「これは巌戸台の隣の駅からちょい歩いたとこにあるトイザウルスで買ったんさ。こっちの赤裸々トークサイコロは何種類かあるんだけど六百円でオレ的に超オススメ」

 

 彼が手に持っている拳サイズのサイコロには、各面にトークテーマのようなものが書かれている。きっと、転がして出た面のトークをしなければならないルールなのだろう。

 湊の感性ではサイコロや王様ゲームセットといった、こんなパーティーグッズにお金を使う意味が分からない。けれど、友人の多い彼は大勢で楽しむためにわざわざ買い集めたに違いない。

 変わったやつだと思いつつも、こういった場を楽しませるために全力を使う者は嫌いではなかったので、湊は他の者たちに缶ジュースを配りつつ彼らが準備を終えるのを待った。

 そうして、全員が飲み物を手にした状態で準備も完了したようで、順平が音頭をとってカップル誕生祝いが始まる。

 

「んじゃ、とりあえず有里君と岳羽さんの交際を祝してカンパーイ!」

『カンパーイ!』

 

 こんな学生同士の催しにテーブルマナーもなにもない。それぞれが持っていたジュースの缶をぶつけてから飲んでゆく。

 食堂にいた人間に知られた時点で学校中に広まるのは避けられないと諦めたのか、ゆかりもやや迷惑そうにしながらも、友人らの祝ってくれる気持ちはありがたいのか素直にジュースを飲んで置かれたお菓子を食べている。

 湊はどことなくボンヤリとしているが、別に眠そうという訳ではないので、パーティーゲームを始める前にトークをしたいと西園寺が湊らに話しかけた。

 

「ゲームとか始める前に、まどか二人の話とか聞きたいなぁ。ていうか、付き合う事になったのに名字呼びのままなの? 私とミッチーみたいに親密な呼び方とかしないの?」

「あー、そういや有里君って吉野さん以外は基本的に名字呼びだよな。同じ部活の女子たちは名前で呼び合ってるのに、なして名字呼びのまま?」

 

 西園寺と同じように疑問に思った順平も便乗して尋ねてみる。部活メンバーは佐久間を除いて女子同士は基本的に名前呼びだ。チドリは名前よりも“貴女”や“アンタ”といった呼び方をしていたりもするが、名字と名前ならば名前で呼ぶので条件は一緒である。

 けれど、湊はチドリ以外の誰に対しても名字呼びばかり。西園寺は名前で呼んでと最初に言ったが無視され、“湊君”と名前で呼んでいる羽入のことも名字で呼んでいる。

 付き合う事になったのなら呼び方も一緒に変えればどうだと思ったのだが、湊が答えた他者を名字で呼ぶ理由に一同は驚愕した。

 

「……結婚したら名字で呼べなくなるだろ?」

『そんな理由だったの!?』

「いや、ただ大して親しくないから名字で呼んでるだけだ」

 

 チドリも含めた全員が驚いたが、青年はシレッと冗談だと言ってジュースに口を付ける。女性陣など、“結婚”という単語が出てきて頬を染めたというのにいい度胸である。

 ここ数日で何度も騙されていた男子はまたかと疲れた様子だが、逆に今度は部活メンバーでも大して親しくない人間に含まれてしまうのかという疑問が湧く。

 もしかすると地雷かもしれないが、恋人を同じ親しくない人間ポジションに置いておくのは第三者から見ても可哀想に映る。

 故に、意を決した風花が大切な友達のために湊に尋ねた。

 

「えっと、恋人は親しくないってカテゴリに含まれないはずだから、ゆかりちゃんの呼び方は変えるんだよね?」

「……お前らの事を名字で呼んでるのは慣れが理由だぞ? いまさら、名前で呼ぶのも違和感あるからな」

「え? あ、そうなんだ。それじゃあいいかな?」

 

 長年呼んでいた名前を変えると確かに違和感があるかもしれない。別に親しくないと思っている訳でもなくそういった理由ならば、風花としても納得できるので別にいいかなと引き下がる。

 しかし、ここで話を聞いていた渡邊がグイッと前に出て、湊とゆかりのことを見ながらカップルなんだからあだ名で呼ばなければと力説する。

 

「いやいや、ここはいっちょ親しげなあだ名とかで呼ばなきゃ。岳羽ゆかりだから……そう、ゆかりっちとか!」

「なんであだ名の方が長いんだ」

 

 呼び易くするためのあだ名ではないのか。それで文字数が増えては本末転倒だと湊が聞き返すも、腕組みをしながら頷いて順平も悪ノリで渡邊の考案した名に賛同してくる。

 

「オレはいいと思うぞ、ゆかりっち。ほれ、呼び易いじゃん?」

「ならお前らが呼んでやれ」

 

 そんな馬鹿みたいな名前で呼びたくない。気に入ったなら自分たちだけで使え。湊から冷たくそう言われれば、順平たちは残念がりながらつまらなそうにする。

 

「えー、せっかく考えたのにー。なぁ、ゆかりっち?」

「ちょっと、変な名前で呼ばないでよ」

「彼氏の許可は貰ってるよ?」

「本人に無許可でしょうが!」

 

 彼氏となった湊がいいと言っても、ゆかり本人が全く許可してないのに呼んでいいはずがない。

 しかし、順平たちは自分らで考えた呼び方が結構しっくりきて気に入ったのか、さらに調子に乗って他の女子のあだ名も考え始めた。

 

「このノリだと吉野さんはチドリンだな」

「……セクハラ」

「へ? い、いや、チドリンってあだ名考えただけ」

「セクハラ、首吊るか切腹して死んで」

 

 けれど、すぐさま彼らは悲しい現実に引き戻される。そう、湊は他の女子と親しいが順平たちはそこまで親しくなかったのだ。

 あだ名で呼んだだけで冷たい視線を向けられ、自害せよ、と言われた順平と渡邊は二人揃っていじけながらチビチビとジュースを飲む。

 哀愁漂うその姿に心優しい風花と美紀は同情的な視線を送り、唯一、あだ名の話に乗っかっていなかった友近が助け船を出すべく、輪の真ん中に置かれていたサイコロを手にとって話題転換を行った。

 

「ま、まぁ、呼び方は本人同士で決めるってことでゲームとか始めようぜ。赤裸々トークサイコロだっけ? それ順番に転がしていこうか」

 

 友近が手にした赤裸々トークサイコロの面は全部で六つ。

 初恋の思い出、

 恥ずかしい話、

 忘れられない恐怖体験、

 激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム、

 感動ヒストリー、

 大人の世界、

 といった風に、それぞれにトークテーマが書かれており、転がした本人が出した面の話をしなければならないシンプルなルールだ。

 大体のものは意味が分かるのだが、何やら変なものが混じっていることで湊が首を傾げていると、サイコロの持ち主である渡邊が親切に説明してくる。

 

「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームってのは、まぁ、簡単に言えば激おこぷんぷん丸の最上級って意味っすよ」

「……誰だ、それ」

 

 そんな愉快な名前の人間など知らない。そもそも人間かどうかも怪しい名前だ。話を聞いたせいで余計に意味が分からなくなっていれば、渡邊の代わりに今度はゆかりが意味を教えてくれた。

 

「激おこぷんぷん丸ってのは、すごく怒ってる状態を表す言葉なの。常用語じゃなくて一種のギャル語だから、あの面が出たらすっごくムカついたエピソードを話せばいいって感じかな」

「……なるほど」

 

 また無駄な知識を得てしまったと僅かに後悔しているのか、湊が暗い表情を浮かべて無感動な声で理解した事を告げると、説明したゆかりは湊ならばそう思うだろうなと苦笑する。

 けれど、それぞれの面の意味を理解したならゲームを開始できる。誰からやろうかと持っていた友近が尋ねれば、元々の持ち主である渡邊が挙手してトップバッターに決まり、ジュースやお菓子にぶつからないよう気を付けながらダイスロールした。

 

「おーし、感動ヒストリーだな。それじゃあ、オレが会長を慕うようになった感動の物語を皆に話そう」

 

 自分がどうして同級生である湊を会長と呼んで敬語モドキまで使って敬っているのか、その理由を話そうと普段よりも真剣な様子で皆の注目を集めた渡邊は、背筋を伸ばして静かに話し始めた。

 曰く、それは一年生の二学期まで遡る。当時まだ恐いもの知らずのやんちゃボーイだった渡邊は、放課後の部活帰りに山井らと一緒にマイボールをドリブルしてふざけながら帰っていたらしい。

 帰宅時刻のポートアイランド駅前でそんな事をしていれば迷惑でしかない。だが、当時の彼らはそんなことも考えずにドリブルで切り返したりしていた。

 人が多い上に微妙な凹凸があるアスファルトの道で、技術的に未熟な一年生が完璧にボールを扱い切れる訳がない。

 案の定、人にぶつかって飛んでいったボールは、歩いてきた人間の足に当たってさらに遠くへと転がり路地裏の方まで行ってしまい。渡邊は蹴った人間らに文句を言いながら走ってボールを取りに行った。

 しかし、そこは地域でも有名な不良の溜まり場だ。うす暗くなり始めたばかりだというのに、大勢の不良らがたむろして、その一部の者が渡邊のボールを蹴って遊び始めていた。

 それを見た渡邊は内心ではかなりビビりつつも、そのボールは自分の物だから返してくれと不良たちに告げる。

 相手は急に来た中学生に面倒くさそうにしていたが、小さな声で何か話して笑いだすと、次の瞬間、ほら返してやると言ってボールを蹴って渡邊にぶつけ始めた。

 大人が蹴ったボールを至近距離で受けられる訳もなく、ぶつけられた渡邊はバランスを崩して転倒するも、不良たちは返って来たボールを再度蹴って渡邊にぶつけるのをやめない。

 何度もぶつけられる内に顔面に当たり鼻血が出ても相手は一向にやめようとせず、痛みと恐怖に丸まって泣き続けていると突然ボールが飛んでこなくなり、直後、男の絶叫が路地裏に響いて何事だと思った渡邊は顔をあげた。

 するとそこには、今までボールを蹴っていた不良の頭を掴んで壁に叩きつけている湊がいた。仲間をやられてキレた不良が襲いかかってくるも、後ろ回し蹴りでこめかみを捉えて一撃で沈める。

 相手が鉄パイプで殴ってこようと躱しながら腹にひざ蹴りを入れ、木製バットで襲いかかられれば拳で圧し折りながら相手をそのまま殴り飛ばす。

 そんな風に次々と仲間がやられ、途中で勝てる相手ではないと逃げようとする者には、近くにあったドラム缶を蹴り飛ばしてぶつけ逃がさぬようにし、その場にいた十数名の不良を全員捕えてしまった。

 そして、湊が不良らを倒している内にボールを回収していた渡邊の元へやってくると、ハンカチを手渡して大丈夫かと尋ねてきた。

 

「あんときはまだ不良系の生徒としか思ってなかったからさ。助けてくれた上に、病院に行った方がいいとか言ってタクシー呼んでマジびっくりしたんだよね。不良たちは会長が呼んでおいた警察に回収して貰って、オレは会長に付き添われて病院で検査したら鼻の骨にヒビ入ってたんだよ。ああいうのって、医者に言われると自覚して痛くなり始めるもんなんだよな」

 

 駆けつけた警察に不良たちを任せると、湊は先に病院へ連れていくと言って渡邊をタクシーに乗せて病院に向かった。

 検査の結果、鼻血は止まっていたが鼻の骨に僅かにヒビが入り、身体の打ち身も内出血が酷いので早期に病院へ連れてきたのは正解だったと医者に言われ。そのまま家に帰ろうと思っていた渡邊はまたしても湊に感謝することになる。

 

「まぁ、最終的には不良たちに払わせたけど、そんときはタクシー代も治療費も会長が立て替えてくれて、連絡聞いて駆けつけた親と揃って土下座する勢いで感謝しまくりでさ。後で会長の話を色んな人に聞いてみると、会長ってオレ以外にも何人も助けてて、こういう人をヒーローって呼ぶのかなってそれ以降ずっと尊敬してるってわけ」

 

 あのまま助けて貰えていなければ、自分はこの場にいなかったかもしれない。死ぬまではいっていなくとも、バスケが出来なくなっていた可能性は十分あったので、それも含めて渡邊は湊のことを尊敬して今でも感謝していた。

 だが、他の者が話を聞いて感心していても、助けた本人は一切覚えがないのか首を捻って静かに呟いた。

 

「……覚えてないな」

「湊は普段から人助けし過ぎなのよ。謝礼を払いたいって電話がよくかかってきて困るってクマモンが言ってたわよ」

「悪いな。知らない人に物を貰うなと親に躾けられているんだ」

 

 湊は人を助けても名乗らずに去っていくが、助けられた人は湊が月光館学園の制服を着ているのを見ている。そのため、学校には頻繁にお礼の電話や謝礼を払いたいといった電話がかかってきており、対応に追われる職員室では相手が好意で言っているだけあって断ることに疲れていた。

 けれど、湊は別に礼が欲しくてやっている訳ではないので、基本的にそういったものを受け取るつもりはない。

 助けられた側はそれでは気が済まないのだろうが、本人がこういった性格をしている以上、もう何も言えないので、他の者も苦笑するだけで次のトークに移ることにした。

 

「じゃあ、次は会長の番ってことで」

「順番は適当なんだな」

 

 最初にトークをした渡邊がほとんど正面にいる湊にサイコロを渡したことで、湊は時計周りとかではないのかと不思議に思いつつサイコロを転がす。

 男子らは“大人の世界”という十八禁な話を聞きたそうにしているようだが、彼らの希望通りにはいかず。サイコロは“恥ずかしい話”の面を上に向けて止まった。

 

「……恥ずかしい話か。特にないな」

「ミッチー、子どもの頃のちょっとしたエピソードでもいいんだよ?」

「幼少期から近所でも評判の優良少年だったんだ」

 

 確かに湊の言っていることは嘘ではない。他の子どもよりも精神年齢が高く、人助けを頻繁に行っていたので近所の住人からはいい子として認識されており、田舎で子どもが少ないこともあって湊はチドリと一緒に非常に可愛がられていた。

 一応仕事での失敗は多く経験しているが、日常でのポカはあまりしたことがないので話せるようなエピソードもない。

 そのことを正直に告げるもゆかりなどは信用していないらしく、青年の家族である少女に相手が隠している恥ずかしい話はないかを尋ねた。

 

「こんなこと言ってるけど、チドリはなんか有里君の恥ずかしエピソード知らない?」

「……こんな風にすかしてるけど、こう見えて湊はマザコン。自分の知る中で一番綺麗な人を聞かれたら迷わず母親をあげるレベル」

「そうなの? お母さん大好きとかミッチー可愛いよ!」

 

 楽しそうに言いながら西園寺が湊の右腕に抱きつくが、対象的にマザコンと呼ばれた青年の表情は暗い。

 チドリに両親のことを聞かれてどんな人だったか話した覚えはあるものの、自分の知る中で一番綺麗な人は誰かなど訊かれたことなど一度もなく、仮に訊かれてもアイギスか母親で悩むので迷わずという訳ではない。

 そのため色々と言いたい事はあったのだが、青年が口を開くよりも先に、湊がマザコンであると聞いて苦笑していた風花があることに気付いて不思議そうな顔をする。

 

「あれ? でも、有里君のご両親って事故で……」

「死んでるぞ。まぁ、墓の場所は知らないからお参りしたこともないが」

 

 少女の質問に答えるように話すが、実際は墓の場所は知っている。エルゴ研を出るまでは知らなかったが、英恵と再会してから実家の土地の端にある一族の墓地に眠っていると聞いたのだ。

 さらに昨日水族館で会った七歌も実家の墓にいるのでお墓参りに来いと言っていたため、仮に英恵から聞いていなくとも知る運命にあったのだろう。

 青年の持つ両親に対する想いか、それとも両親が息子に来て欲しいと願っているのかは分からない。それでも、親子を結ぶ何かしらの縁がまだ存在する事に、湊がちょっとしたおかしさを感じて心の中で苦笑していれば、クッキーに手を伸ばしていた美紀が墓の場所を知らない理由を聞いてきた。

 

「何で場所を知らないんですか?」

「俺は事故から半年間意識不明で寝続けてな。気付いたら自分の物を何も持たずに施設にいたんだ。実の祖父や伯父からは忌み子として死を望まれるほど嫌われていたし。そんな相手に連絡を取れる訳もなく、ずっとそのままで生きてきた」

 

 青年が答え終えると場の空気が重く沈む。両親が目の前で死んだだけでなく、事故後も色々と周りに翻弄されながら生きていたと言われてしまうと、流石に普通の少年少女では何と声をかけていいのか分からない。

 まして、血の繋がりのある祖父や伯父に死を望まれるなど、正常な一般家庭ではまず起こり得ない事だ。

 湊の本来の実家がそれなりに由緒ある家柄だというのは聞かされているが、詳しく聞けば聞くほど謎が深まって行くようで、知らぬ方が身のためという言葉が頭を過ぎった事で他の者たちはこれ以上聞くのを控えることにした。

 そうして、重くなった場の空気を何とか変えるため、順平は湊の話を気にしていない風を装いながら明るい口調で場を仕切り直す。

 

「そ、そっか。けど、有里君が自信持って綺麗だっていうそのお母さんには興味あるな。写真とかあれば見てみたかったぜ」

「……あるわよ、写真」

『……え?』

 

 自分の物など何も持たずに施設で目を覚ましたと湊が話していたので、てっきり写真などないとばかり思っていた。

 だが、その期待をいい意味で裏切ったのは、青年本人ではなくその家族の少女であった。

 予想外の言葉に皆がキョトンとしている目の前で、チドリは貴重品を入れているポーチからスケジュール帳を取り出し。一番後ろのメモなどを少し挿める収納部分に挿んでいた写真を抜き取って皆に見せた。

 そこに写っているのは幼い湊と共に幸せそうな笑顔を浮かべる両親。綺麗な庭園のような場所で、色取り取りの花をバックに写る美男美女と可愛らしい少年の姿に、写真を見た者たちは呆けたように賛美の言葉を口から漏らす。

 

「うわぁ……有里君のお母さん本当に綺麗……」

「やっべー、両親揃ってマジで美形じゃん。てか、え、二人ともめっちゃ若くね?」

「ミッチーってお母さん似なんだね。でも、お父さんにも似てて両親のいいとこ取りなんだぁ」

 

 柔らかな笑みを浮かべ優しそうだがどこか芯の強さを思わせる長身の男性と、胸部が豊かな可愛らしさと美しさを絶妙なバランスで合わせ持った溢れんばかり生命力を感じさせる女性。

 その二人の愛の結晶たる少年は、瞳の色こそ現在と異なっているが、紛れもなく二人の子であると誰が見ても分かるほど両親のいいところを受け継いでいた。

 こんな人が母親ならばマザコンになるのもしょうがない。一番美しいと思うのも納得だと感じながら一同が写真を見ているとき、輪から少し外れていた湊は、自分の両親が写っている写真をチドリが持っていたことを疑問に思って尋ねていた。

 

「……なんでチドリが持ってるんだ?」

「前に貴方のおばさんが家に来たときに貰ったの。湊に譲ろうとしても受け取ってくれないから、それなら私が貰っておくって言ったら普通にくれたわ」

「まぁ別にいいが、あんまり人に見せないようにしてくれ。変なのに目を付けられたら困る」

 

 昨日は七歌と出会って生存と居場所がばれてしまった。彼女経由で九頭龍と桐条に情報が行く事も考えられるので、何があっても白を切り通せるよう、持っておく分には構わないが人に見せないようにしてくれと頼んだ。

 言われた少女はそれに頷いて返し、他の者から写真を返して貰うと丁寧に扱いながら大切にしまった。

 トークテーマである恥ずかしい話に合致した内容だったかはともかく、ここにいるメンバーにはお母さん大好きっ子と認識されたことで湊の番は終了だ。

 次は誰がやるのかと周りを見渡したところで、丁度視線が合った美紀にサイコロを渡せば、彼女はどの面が出るか不安そうにしながらサイコロを転がした。

 

「初恋の思い出、ですか。えっと、初恋というか今でも心に残っている男の子の話でもいいですか?」

 

 彼女が出したのは“初恋の思い出”の面だった。けれど、まだ初恋と言えるようなはっきりとした感情を男子に抱いたことがないので、とある思い出の男子とのエピソードについて語り始める。

 

「相手の名前は知りませんし、顔もほとんど覚えてないんですが、昔、私や兄がいた孤児院が火事になったことがあるんです。もうすぐ夜中という時間もあって寝ていたんですが、建物が燃えているから逃げろと突然起こされ、何が何だか分からないまま、子どもたちは煙で前が見えない中を必死に走って外に出ました」

 

 その男子との出会いは七年前に遡る。当時の美紀は一人でお人形遊びをしているような人見知りする少女で、気を遣った兄と荒垣に誘われなければ人とほとんど会話することもなかった。

 両親が死んで知らない人の沢山いる慣れない施設にいたことが原因だが、そのせいか美紀は施設に来た頃よりも段々と恐がりで臆病な性格になっていた。

 

「でも、私は恐くて逃げられなかったんです。皆が出ていって一人取り残され恐怖に震えていると、炎が私のいた部屋にまで来て自分は死ぬんだと思いました。暑さと煙で意識が朦朧として、ああもう駄目だと思ったとき、一人の男の子が炎の中を突っ切って現れたんです」

 

 兄や荒垣に手を引かれなければ外に出ることも出来ない少女が、火事だから逃げろと言われたところで逃げられるはずもなく。案の定、取り残されて死を待つだけとなった。

 だが、幼い命が失われようとしていたとき、まるでヒーローのように一人の少年が現れたのだ。

 

「自分と歳の変わらない子が炎の中を進んで助けにきたということが信じられなくて、死ぬ直前に変な幻を見ていると思いました。ですが、その子は私にもう大丈夫だと言ってくれて、恐かった私は安心したことと助けに来てくれた嬉しさから涙を流してしまいました」

 

 どうやって少女の元まで辿りつけたのか分からない。けれど、幻でも何でもなく少年は確かに存在して、死を待つ恐怖に怯えていた少女に安心させる言葉をかけてくれた。

 もしも人の持つ運の総量が決まっているのだとしたら、あの日に全てを使いきってしまっていてもおかしくないほどの奇跡。

 そんな奇跡と遭遇した少女は、そのまま助けに来た少年に背負われて無事に助け出される事となる。

 

「彼はその後、私を背負ったまま二階の窓を突き破って脱出し。近くにいた大人に私の状態を告げて救急車を呼ぶように言うと去って行ってしまいました。彼がいなかったら私は死んでいたでしょうし。助けてもらったお礼も言えてないので、その思い出の男の子にいつか会ってありがとうと伝えたいというのが私のお話です」

 

 初恋の思い出と言ったら普通は幼い頃の可愛い恋愛話を想像する。けれど、思いの外ドラマティックな美紀の話に他の者らは驚き、彼女がいまここにいるのはその少年のおかげなのかと何とも不思議な気持ちになった。

 中でも風花は彼女が無事にここにいることを喜んでいるが、思い出の少年についても大変興味があるらしく、美紀の方へ近寄って目を輝かせながら詳しい話を聞いている。

 

「美紀ちゃんはとっても大変だったみたいだけど、危険を顧みずに男の子が助けに来てくれるなんて素敵なお話だね。その子って格好良かったのかな?」

「そうですね。意識が朦朧としていたのであんまり覚えていませんが、助けに来てくれたというシチュエーション補整を除いても結構格好良かった気がします。そう考えるとやっぱりあれが初恋なのかもしれないですね」

 

 機会がなかったというのもあるが、今まで誰にも話した事のなかった自身の初恋の相手のことを話すのは恥ずかしいのか、美紀は照れたように頬を僅かに染める。

 その様子を見て順平らは、その男子も惜しいことをしたな、と言って学内でもトップクラスの才色兼備な少女とのフラグ未回収なことを笑って茶化した。

 だが、他の者がそんな風に美紀の初恋について話していたとき、赤髪の少女が顎に手を当てて何やら考え込んでいた。そして、何か気になることがあったのか、顔をあげて美紀と視線を合わせると火事の詳細について質問してくる。

 

「……ねえ、その火事って七年くらい前の話?」

「え? えっと、そうですね。大体それくらいになります」

 

 確かに火事はそれくらい昔にあった。しかし、どうして彼女がそれを知っているのか不思議に思っていると、チドリはさらに質問を続けてくる。

 

「場所は巌戸台で、時期は秋頃?」

「はい、そうです。当時のニュースや新聞にも結構大きく取り上げられたらしいですよ」

 

 子どもたちが暮らしていた都内の孤児院で火事があっただけに、そのニュースは地方ローカルではなく全国区のニュースや新聞で取り上げられた。

 よって、チドリが身近で起きた火災事故としてそのことを知っていても不思議ではないのだが、質問して答えを聞いていたチドリの視線が、とある青年の方へ向いていったことで美紀は何やら嫌な予感を感じていた。

 そう、他の者も美紀とチドリの会話で薄々感づき始めているようだが、自分たちのよく知る者の中に平気でそんな事をしそうな者がいるのだ。

 ただ、もしもその予想が正しければ、美紀は本人の前で相手を褒めて自分の初恋だと言ってしまったことになる。

 これは恥ずかしい。顔から火を噴き、穴があったら入りたいレベルである。そうして、美紀は笑顔が引き攣ってきていることを感じながら待っていると、誰にも話していない少年の詳しい容姿についてチドリが口にしてきた。

 

「……その男子って長い髪で黒い着物きてたでしょ」

「あの、もしかして、そういう事ですか?」

「ええ、近くで火事が起きてるって知ったら急に車から飛び降りて行っちゃったのよ。私や桜が危ないことするなって怒っても、一人助けたって満足気にしてて話を聞かなかったのを覚えてるわ」

 

 呆れ気味に話すチドリに対し、美紀はまさかの本人登場に恥ずかしさから手で顔を隠してしまう。

 湊を見ていると似ているような気はしていたのだが、あのときの少年は蒼い眼をしていたと記憶していたのだ。

 意識が朦朧としていたことによる記憶違いの可能性にも気付いてはいたが、本人の前で幼い頃に抱いた淡い恋心を伝えてしまった事実は変わらない。

 耳や首まで真っ赤にして照れている美紀と、そんな様子を普段通りの表情で眺めている湊を見ながら、友近やゆかりはこの世界は意外と狭い範囲で回っているのだなと思わず感心する。

 

「すげぇ、世間って狭いとかってマジであるんだ」

「確かにすごい事はすごいけど、そんな小さい頃から命懸けで人助けたりとかおかしいでしょ……」

「いやいや、やっぱヒーローになる人ってのは昔から逸話を持ってるもんしょ。会長、マジかっけーっスわ」

 

 周りの者はそんな風に好きに言っているが、気になるのは湊が美紀を助けた相手だと認識していたかどうかである。

 美紀はまだ復活していないので、ならば代わりに自分が訊いておくかとチドリが尋ねる。

 

「湊は知ってたの? この人が自分の助けた相手だって」

「まぁ、入学式で会った時点で気付いてたな。ついでに、一年の夏休みに真田先輩が試合を挑んできたとき言っていた、“守る者にとって弱さは罪なんだ”ってのは当時真田を抱きしめて泣いていた先輩に俺が言った言葉だ。まぁ、ちゃんと覚えていてボクシングチャンプになるほど強くなっていたのは少し驚いたな」

 

 当時の説教臭い台詞を真田がしっかり覚えていたのは意外だった。さらに、その言葉を胸に刻みながら、あの事故のような無力に泣くことは二度とすまいと鍛え続け、無敗のまま中学のボクシングチャンプになっていたのは素直に感心した。

 苦笑してそんな風に語る姿からすると、本当に湊は入学当初から気付いていたらしい。気付いて言わなかった理由は不明だが、きっと恩着せがましくなると思っただとか、もしくは美紀が事故のことを思い出さないように気を遣っていたのだろう。

 助けてもらった上に気まで遣わせていたとなれば、これは日を改めてお礼をしなければならないかもしれない。顔を覆っていた手を離して、昼食を御馳走するなどでいいのだろうかと美紀が考えていれば、何やら名案を思い付いた顔をして渡邊がヒソヒソと話しかけてくる。

 

「真田さん、チャンスだぜ! ほら、ここで告っちゃいなよ! この感動の再会ってシチュを考えたら会長もOK出すって!」

「いや、あの、あくまで昔の話ですし、この集まりの主旨を忘れていませんか? 有里君とゆかりさんが付き合うからお祝いで集まったんですよ?」

 

 ヒソヒソと小さな声で話しかけてきたが、全員が近い位置に集まっているせいで丸聞こえである。

 こんな事で付き合い始めた二人がギクシャクしてはまずいからと美紀がフォローを入れるも、今度は順平も渡邊の言葉に乗っかって美紀と湊が付き合うべきだと茶化し出す。

 

「うわ、そうだった。こんな美味しいタイミング二度とないんだけどなぁ。有里君、こっそり真田さんとも付き合っちゃいなよ!」

「……お前ら、妬ましいからって破局するように仕向けるのはやめろ」

『あ、ばれた?』

 

 けれど、そんな二人の馬鹿な考えは青年にお見通しだった。ゆかりと付き合いだしたというのに、美紀の初恋の相手にまでなっていれば、同い年の男子として嫉妬せずにはいられない。

 本気で言った訳ではなく冗談半分で茶化しただけだが、ばれればしょうがないとばつが悪そうに頭を掻いて二人は笑う。

 そんな分かり易い反応を見せた二人に湊は嘆息しながら、助けて貰った恩人と再会して戸惑っているらしい美紀の方を向くと自分から話しかけた。

 

「……真田、今度映画に行こう。真田先輩との試合の特典のやつだ。お礼だとかはまたそのときにゆっくり聞く」

「あ……はい。では、その時にまたお礼させて貰いますね」

 

 お礼はまた聞くから今は旅行を素直に楽しめ。言外にそう告げていると察した美紀は、青年にまたしても気を遣わせてしまったことを申し訳なく思いつつも、今はその言葉に甘えておこうと笑顔で頷いた。

 命の恩人との数年越しの再会という感動的なシチュエーション。その状況で二人が日を改めて会う約束を取り付けるのは自然だ。

 だが、二人は年頃の男女で、助けられた少女は助けてくれた相手に恋心を抱いていた。これで二人で出掛けて何も起こらないと思わない方がおかしい。

 一応、二人のことは友人として信用しているので、早まった行為に走ったりはしないとは思うが、自分を無視されているようで面白くないと、とある少女が青年をジトっとした視線で見つめながら他人行儀な口調で言葉をぶつけた。

 

「仮とは言え彼女の前で他の女子とデートの約束ですか。随分といい御身分ですね」

「これは浮気に入るのか?」

「さぁ? 自分で考えたら?」

 

 聞くまでもなく分かるだろう。そう思ってもゆかりが考える時間を与えれば、青年から返っていた言葉は彼女の思っていたものと違っていた。

 

「……まぁ、セーフだな」

「自分に甘い男って最低よね」

「他人にも甘いってよく言われるよ」

「……否定出来ないのが悔しい」

 

 彼は確かに他人にも甘い。厳しいときには冷たいと思うほど突き放すが、基本的には平等に優しく青年ばかりが苦労を負っているようにすら思える。

 そう考えると美紀とのデートも、相手に気持ちの整理をつかせるために行うのだろう。これではデートしては駄目だなどと言えないではないかと、ゆかりは青年との交際は大変な気苦労を負うことになりそうだと今さらになって後悔し始めるのだった。

 その後、他の者たちも順にサイコロを振って出た面のエピソードを話し終えると、湊を除く男子たちが心待ちにしていた王様ゲームへと移行し。四つん這いになった風花の上に座るという命令を下された順平が相手を潰さぬよう空気椅子で耐えたり、命令を実行に移すべきかどうか悩んだ末にゲームだから別にいいかと湊が美紀の胸に手の甲で触れたり、渡邊のリークにより実は西園寺には二つ年上の草食系のび太系男子の高校生彼氏がいることが発覚するなど、夜遅くまで修学旅行の夜を一同で楽しんだ。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。