【完結】PERSONA3 Re;venger   作:清良 要

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第四百一話 プレゼント選び

12月24日(木)

午後――ショッピングモール“ミルキーウェイ”

 

 七歌やアイギスたちとのクリスマスパーティーなどより、仕事やニュクスの分析に時間を使いたかった湊だったが、前日に言っていたように三時前に待ち合わせ場所へ向かった。

 理由を付けてドタキャンする手もあったが、もしも、それを実行に移せばアイギスが会社までやって来たことは容易に想像出来る。

 アイギスやラビリス用に発行していたIDはゲスト用だったため、今はもう使うことは出来ない。

 そんな状態でアイギスが湊への面会を求めて突撃してくれば警備の人間も仕事をしない訳にはいかないので、いくら知り合いだろうと退かないと判断した時点で拘束しに動いていたはずだ。

 元対シャドウ兵器の少女が格闘技を修めている程度の人間に負けるとは思えない。

 仮に数の力で何とか取り押さえられても、やはりどうするかの判断は湊に求められたはずで、どちらにしても仕事が一時的に中断するなら、この一回で満足させれば良いだろうと最終的に付き合う事にしたのが湊の参加を決めた理由だったりする。

 十分前に待ち合わせ場所に着くように移動したが、湊が着いた時には暗いグレーのコートを着たアイギスが待っていたので、青年は冬休み前で暇だったのかと失礼な事を考えたりもした。

 勿論、それを本人に告げたりはしていないので、湊が約束通りに来てくれた事を相手は喜び、クリスマスプレゼントを買うためにと近場にあるショッピングモールへと移動してきた。

 

「随分と賑わっているようですね」

「色々あって便利だからな。適当に見て回れるって事で買い物する場所に選んでるやつが大勢いるんだろう」

 

 二人が来たショッピングモールはEP社が出資して作った施設で、EP社傘下のブランドや日本でここにしか出店していない海外ブランドのショップもある。

 特定の店を見にいくために予定を立てているでもなければ、適当に見て回るのに打って付けな場所なのは間違いなく、湊の予想はほぼ正解と言って良かった。

 アイギスもショッピングモールがどういう場所かは知っており、普段、七歌たち寮生らと一緒に出掛けるのはポロニアンモールである事が多いため、いつもとは違った物と出会えるかもしれないと少々の期待に胸を躍らせる。

 今日のパーティーではそれぞれプレゼントを用意し、全員で交換するというイベントを組んでいる。

 だが、全員で行なうプレゼント交換とは別に、個人でプレゼントを贈り合ってはいけないというルールは存在しないため、アイギスはパーティー用のプレゼントを探す前に湊への個人的なプレゼントを探そうと彼に欲しいものを尋ねる事にした。

 

「本日のパーティーでは皆さんでプレゼントを持ち寄って交換するそうです。ですが、個人で贈る事は禁止されていないので、今日は八雲さんへ何かプレゼントしようと思います。八雲さんは何か欲しいものはありますか?」

「…………休み、かな」

「……企業の代表であれば、自分の裁量である程度自由に取られればいいのでは?」

 

 戸籍上は高校二年生である青年に何か欲しい物はないかと尋ねて、まさか家事や育児に疲れた主婦のような答えが返ってくるとは思わなかったアイギスは、思わず真顔になって自由に取れば良いのではと言葉を返してしまう。

 確かに湊は大企業のトップだ。やる事は多いだろうし、病院の経営もしているとなれば無気力症患者の受け入れに奔走する必要もあるに違いない。

 ただ、どれだけ企業が大きくても、代表一人に仕事が集中するのはあり得ない。

 企業が大きいからこそ、仮に代表に何かあっても会社が回るように出来ているはずなのだ。

 会社を人の身体で例える事はあるが、代表は脳の中の一部分であって脳全体ではない。

 眠っている時に脳の一部は休んでいるが、それで死ぬ者などいないように、湊が休んだって会社も病院もちゃんと回るだろう。

 アイギスがその事を指摘しつつ尋ねれば、隣を歩く黒マフラーの青年は以前エリザベスにもらった魔眼封じの眼鏡をかけながら答えた。

 

「……俺がやった方が早いだろ」

「それはダメな発想です。以前テレビで見ましたが、中間管理職の方やプロジェクトリーダーの方で、下の人間に仕事を振るより自分でやった方が早いと頑張りすぎた方が心の病を患っていました」

「安心していい。仕事中は心を無にしてる」

「むしろ、ダメですが?」

 

 心を無にしても仕事を続けられるなど、それは頭か心が既に麻痺している証拠だ。

 湊が心の病になるとは思えないが、だからといって今の状態を続けることは推奨出来ない。

 彼が仕事をし過ぎてしまう人間だということは周りも分かっているはず、EP社で彼のストッパーになれそうなシャロンやソフィアもそれとなく休むように言っていると思うものの、それで止まるようなら彼は世界を敵に回してはいない。

 やはり自分が傍にいて今日のように無理にでも休ませなければならない。少女がそのように決意を固めていると、湊は女性ものの服を置いている店の前で立ち止まった。

 何か見たいものがあるのだろうかとアイギスも立ち止まれば、湊は彼女の方へ視線を向けて口を開く。

 

「何か見たりするのか?」

「いえ、特に何かをと決めてはいません。パーティー用のプレゼントはどなたに当たっても良いように性別を選ばない物にしますし。八雲さんへのプレゼントは男性向けの物にする予定ですので」

「……そうか。なら、小物中心に見て回るとするか」

 

 先ほど欲しいものを聞いたときの反応から察するに、湊にあげるプレゼントは選ぶのに時間がかかりそうなので、アイギスはパーティー用の物を先に選んでしまうことにする。

 湊自身もその方向で良いと思っているのか、プレゼント向きの小物を扱っている店の方へ歩いて行く。

 女性の扱いに慣れているのか、湊はちゃんとアイギスの歩くペースに合わせて進んで行くが、今日はクリスマス・イヴという事もあって混雑していた。

 もし、ここではぐれたとしても彼はきっとすぐに見つけてくれるだろう。

 風花やチドリなど探知型の能力を持ったペルソナ使いに共通している事だが、彼女たちはペルソナを召喚せずともある程度はその力を使うことが出来る。

 特定の施設内で知っている気配を探るだけなら、一分もかからず見つける事が出来るに違いない。

 だが、アイギスにとって彼と二人で過すこの時間は何よりも大切だ。余計な事に彼との大切な時間を使うのは非常に惜しい。

 だからこそ、はぐれてしまわないようしっかり確保しておくべきだと、アイギスはコートのポケットに手を入れている彼の左腕に自分の右腕を絡ませ、周りにいるカップルのように腕を組んで歩く事にした。

 

「これではぐれる心配はありません」

「……そうか。歩きづらいだけだと思うが」

「一人の時よりも体積が増したためか、他の方々が避けてくれるようになったので大丈夫かと」

 

 一人でいた時よりも、二人で腕を組んだ状態の方が塊としての体積は当然増えている。

 周りからすれば縦にも横にも大きい巨漢が歩いているようなもので、その分、威圧感もあって周りの人も避けてくれているのだろうとアイギスは予想した。

 しかし、実際は馬鹿みたいにルックスの整った男女のカップルがいる事に気付き、思わず視線を奪われていた者たちが慌てて邪魔をしないよう道を開けているだけだ。

 二人を見ている者の中には、眼鏡をかけているがあれは“皇子”だと気付いている者もいる。

 以前、トップアイドルの少女と噂になって以来ゴシップらしい物がなかっただけに、クリスマス・イヴに女性と歩いていれば当然目立つ。

 ただ、それに気付いたとしても隣にいる美少女を見れば、やはり彼クラスになるとトップアイドル並みに見目麗しい少女といるのが自然だと思えて、プライベートならそっとしておこうと見て見ぬ振りをしてくれた。

 まぁ、仮に二人の写真をマスコミに送った者がいたとしても、不思議な勢力がその会社に圧力をかけてゴシップ記事が世に出ることはないだろう。

 頭は良いくせに常識がない事でそういった心配をしていない幸せな発想の二人は、腕を組んだまま進んで目についた雑貨屋のところで立ち止まる。

 

「八雲さん、パーティー用のプレゼントを探すためにここへ寄っていきましょう」

「……好きにするといい。けど、何を選ぶか方向性は決めてるのか?」

「誰に当たるか分からないので、無難な物に落ち着く予定です」

 

 二人が入った店はタオルやブラシのような実用性のある小物から、スチームパンク風な写真立てなど色々な物が揃っている。

 見ているだけでも楽しめるので、アイギスはどれが良いだろうかと手に取って確認しつつ選んでいく。

 

「じゃあ、ダース売りの鉛筆とかでいいだろ。非常に実用的だ」

「天田さん以外はシャーペンを使っているので、鉛筆はあまり喜ばれないと思います。絵を描かれるチドリさんなら使うかもしれませんが、その場合は画材屋でそれ用の物を選んだ方が良いと思います」

 

 頭用のマッサージ機だというタコを模した商品を見ていれば、湊が遊びのないつまらない物を候補に挙げてきたため、高校生がほとんどなので鉛筆は止めた方がいいとアイギスはやんわり止める。

 彼は女性だけでなく子どもたちにもプレゼントを配ったりした経験があるので、真面目に選べば予算内でしっかりと良い物を選べるはずなのだ。

 ゆかりと付き合っていた頃にファッションの勉強もしており、今もソフィアの勧めで海外のセレブ向け高級ブランドの流行を把握して服を選んでいる。

 本人の感性をメインに選んでも奇抜に見えていない以上、流行を取り入れつつ上品に見せるだけのセンスを持っているのは間違いない。

 そんな彼が一ダースの鉛筆をプレゼントに選ぼうとしたのは、間違いなくやる気が無いからだ。

 まぁ、仕事をしたがっていた彼を無理矢理に誘い出した事は確かなので、原因となった少女も強くは言えないのだが、それでも貰った人間が彼のセンスを疑うような事態は避けたい。

 全力で選べとは言わないが、少なくとも無難な物を選ぶ程度にやる気を出すにはどういった言葉をかければいいか。

 棚に置かれている商品を見ながらアイギスが考えていれば、湊は近場にあった物を適当に取りましたといった雰囲気で尋ねてきた。

 

「じゃあ、これでいいな」

「バスボムの詰め合わせですか。女性も多いですし、実用的でもあるので非常に良いかと」

 

 湊が手に取ったのは五色のボール状入浴剤が入ったギフトセットだった。

 それぞれ香りが異なっているようで、気分によって選べる部分も含めて悪くないチョイスに思える。

 成分表を見て問題が無いことを確認したアイギスは、最初からこれを選んでくれれば小さく悩まずに済んだのにと思わなくもない。

 けれど、これなら男女どちらに当たっても使えるのでプレゼントとして適切だと彼に返した。

 

「皆さん身体を動かすので、こういった疲労回復アイテムは良いと思います」

「……今月に入ってまともに戦ってないだろうに」

「逆に八雲さんが戦いすぎなんです。確かにわたしたちは悩んでいて、それでシャドウを放置してしまっていましたが、今日のパーティーで皆さんの選んだ答えをお伝え出来るはずです」

 

 湊が選んだプレゼントは後で買う事にして、アイギスも引き続きプレゼントに良さそうな物を探しながら会話する。

 パーティーは六時頃から始める予定で、食事やプレゼント交換などを含めれば終わるのは九時頃になるだろう。

 そのタイミングで皆がどちらを選んだのか伝えるため、湊には最後まで付き合って貰う事になるが、明日からは七歌たちもタルタロスへ向かう予定だ。

 流石に彼のようにほぼ毎日戦うという事は出来ないが、それでもニュクスとの戦いに加えて、幾月やストレガたちとの決着も控えている。

 同等の力を持つ敵が殺すつもりで来る以上、こちらも手加減は出来ないがそれでも命を奪うつもりはない。

 相手は人間。シャドウのような化け物ではなく、敵には敵の戦う理由が存在する。

 それでも、七歌たちも自分たちの求める未来のために戦うと決めたのだ。

 

「……戦いはきっと厳しい物になると思います。全員無事が望ましいけど、それが難しい事も分かっています」

「なら、戦わなければいい。君たちが何もしなければ、俺が“終わらせる”」

 

 棚を見ているアイギスの後ろから淡々とした声で青年が答える。

 彼が戻ってきた日の戦いで証明されているが、敵の最大戦力と思われる理と玖美奈を相手にしても湊は一人で勝てる。

 そこに幾月やストレガが加わったところで、湊が苦戦するとは思えない以上、彼にとって本当の意味で敵となり得るのはシャドウの王であるデスと母なる存在ニュクスのみなのだろう。

 綾時に戦う意思はない事は確認しており、湊もそれが分かっているからアイギスと彼の戦いは止めるに留めた。

 けれど、三十一日を過ぎて彼が向こう側に還れば、次に会ったときは綾時の存在は薄れデスになっているに違いない。

 決戦となれば特別課外活動部のメンバーも全員参戦しているだろうが、ストレガたちとも戦うとなれば戦力は分散される。

 ストレガだけなら巨大ペルソナであるテュポーン以外は一対一で押さえられる。

 幾月の力は未知数だが、実際に戦っていたのが理と玖美奈である事を考えれば、幾月がそれ以上の力を持っているとは考えづらい。

 であれば、相手と同じワイルドの力を持つ七歌、死亡前の湊とほぼ同等の最大出力を放てるチドリが理たちと戦えば湊とデスの戦いを邪魔する者はいなくなる。

 しかし、もし七歌たちが参戦しなければ、湊は制限を取っ払ってストレガたちを全員殺して回り、一人でデスとニュクスを相手する事だろう。

 今の湊の力は風花やチドリでも測定しきれない。七熾天のブーストによって文字通り上限無く力を増すのだ。種としての限界を持つ人間など相手になる訳がない。

 ただ、相手は神だ。人を超えただけの存在が勝てるかどうか分からない。

 そもそも、綾時も湊も戦ってどうにかなる相手ではないと言っていたのだから、勝つための方法があるのかも不明だ。

 アロマオイルの瓶を棚に戻したアイギスは、彼の方へ振り返って口を開く。

 

「わたしたちは、貴方だけに押し付けるつもりはありません。皆、それぞれ悩んだ末に選んだんです。だから、その答えを聞いてください。今夜には話しますから」

「……ああ。分かった」

 

 湊がしっかりと頷いて返せば、アイギスも満足したように笑顔になってプレゼント選びを再開する。

 一緒にプレゼントを買いに出掛けている以上、同じような物を選ぶのは避けるべきだろう。

 参加者はコロマルを除いて学生ばかり。そして、天田以外は受験生と来年受験生になる者たちなので、ここは勉強の疲れを癒やせるグッズにしようと疲労回復グッズのコーナーへ移動する。

 

「これなんてどうでしょう? 電子レンジで温めれば繰り返し使えるアイマスクです」

「……まぁ、使える物だとは思う」

「もし、八雲さんが当たれば使ってくれますか?」

「肉体的な疲労はツクヨミやマーリンがいるから回復スキルでどうとでもなる」

 

 言われてみれば確かにそうなのだが、そういう反則での解決法を想定していなかったアイギスは、やや責めるように目を細める。

 

「そういった力を抜きで考えてください」

「ある物を使わない方が不自然だ。目が良いやつに老眼鏡を渡したりはしないだろう?」

「もういいです。八雲さんに当たらないことを祈ってこれにします。仮に当たったとしても、八雲さん個人へのプレゼントも用意するので大丈夫です」

 

 使えないなら誰かに譲っても構わないので、アイギスはこれにしようと決めてレジへと向かう。

 バスボムのギフトセットを持っている湊も後ろからついてきて、プレゼント用の袋に入れて貰ってそれぞれで会計をする。

 買い終えた二人は店を出て、手に持っていると邪魔になるからとアイギスはリストバンドの中に、湊はマフラーの中に仕舞い込んでおく。

 どちらも行き先は湊のマフラーの中にある異空間なのだが、アイギスが仕舞い込んだ物を湊は取ったりしないので問題はない。

 最初の目的を達成した二人は、残り時間を確認しながらさらに移動する。

 

「では、次はメインイベントであるお互いへのプレゼント選びです」

「……ギフト券でいいぞ。前にそれで随分と喜ばれた事がある」

「今日の八雲さんは小粋なジョークが多いですね。本気であれば勿論、却下ですが」

 

 施設案内の看板を見ながら金券ショップを指さす青年に、アイギスは間髪入れず答える。

 大切な人へのクリスマスプレゼントに金券を渡す人間がどこにいるというのか。

 綺麗な微笑みを浮かべるアイギスも、次は怒りますよと視線だけで湊に忠告し、湊に何を選ぶべきかと考える。

 無難なところで言えば服やファッション小物になるのだが、ソフィアが色々と口を出して集めさせているのか湊はファッションに関するアイテムは多数持っていた。

 黒いマフラーと無の鎧を変化させている靴以外、毎日別の物を身に付けても数年大丈夫なくらいに蓄えがある。

 そんな彼に改めてそういった品を贈っても意味がないように思えるので、アイギスは非常に難しい問題だと悩んだ。

 

「八雲さんは服を沢山持っていらっしゃるので、そういった物は避けるべきですね。面白い雑貨や家電などが狙い目でしょうか」

「まぁ、何でもいいが。アイギスはバッグと財布と靴ならどれがいい?」

「特に拘りはありませんが、強いて言えばバッグでしょうか。あと、これは独り言ですがわたしの左手薬指のリングサイズは六号です」

「……知ってるよ」

 

 鞄や財布など定番のプレゼントを贈ろうと思っていた湊に対し、アイギスはシレッと素敵なリングが欲しいと伝える。

 彼女の生体ボディを作ったのは湊なので、人工骨格から計算した指の太さも分かっている。

 人間と違って骨がほとんど変形しない以上、作ったばかりの頃の指の太さから変わっていないとすれば、少女のリングサイズは青年もしっかりと把握出来ていた。

 年配の方だけでなく、同世代の女子たちからも羨ましがられる細くて長い指。

 そこにシンプルながらも拘りを感じる上品なデザインの素敵な指輪が光っていれば、個人的には大満足なのだがとアイギスはチラチラと彼に視線を送った。

 そんな視線の意味を理解しつつ受け止めていた青年は、小さく溜息を吐くと移動するぞと少女に声をかける。

 

「……女性物のバッグを扱っている店はあっちだ」

「そうですか。ジュエリーショップは少し外れた場所のようですね」

「流行色も良いが、やはり個人の好みもあるからな。容量やデザインで気に入った物があれば言ってくれ」

「青い石が好きです。八雲さんの魔眼の色が密かに綺麗だと思っていまして」

 

 会話をしているようで噛み合っていない二人はお互いに頑固で中々譲らない性格だ。

 基本的には大人の中で過してきた湊が問答する時間が無駄だと折れる事もあるが、プレゼント選びに折れる必要はないため彼も譲らないだろう。

 そういった時には原始的な解決法を取る事もあるのだが、ここは大勢の人間が集まっているショッピングモール。

 武力を持って相手を屈服させるにはギャラリーが多過ぎる事は二人も分かっている。

 故に、別の比較的平和な手段でお互いに解決を目指すだろう。

 ここを出るまでまだ一時間以上の猶予がある。二人は移動しながらどういった手段で自分の意見を通すか考え続けた。

 そして、とある解決策によって勝敗が決すると、二人はお互いへのプレゼントをしっかりと買ってから他の者たちの待つ巌戸台分寮へ向かった。

 


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