【完結】PERSONA3 Re;venger   作:清良 要

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第四十四話 後篇 地下交戦-不完全な獣-

――ホテル・地下駐車場

 

「小狼っ!!」

 

 バンッ、と大きな音を立てながら非常口の扉を開いてイリスが現れる。いくら連絡をしても通信に出ない湊を心配し、騒ぎの起こっていたホテルから脱出すると、少し離れた場所にある地下駐車場まで下りてきたのだ。

 近くには燃え盛る車と、その周囲に転がっている男たちの死体がある。うち一体が見覚えのある卵のような体型をしていることから、湊はターゲットを仕留めたのだろう。

 だが、その依頼を終えた本人はどこにいるのだろうか?

 警戒して銃を構え辺りを窺うと、拳に大量の血液を付着させた赤髪の巨漢の姿を発見した。

 そして、その足元に広がる血溜まりの中に“ソレ”を見つけてしまった。

 

「……しゃ、お……らん?」

 

 うわ言のように湊の名を呟き一歩一歩近付いてゆく。目を見開き、唇を震わせ、顔が青ざめている様子は正気を失っているようにしか見えない。

 イリスは血溜まりなど依頼の中で何度も見てきた。血の臭いに顔を不快に歪めることはあっても、それ自体に恐怖を抱くことはなかった。

 人としては異常であり、決して慣れていい事ではない。だが、精神に異常を来さぬよう“慣れる”というのは、人の死を商売に含んでいる者としてある意味で“まとも”だったのだ。

 だが、そんな者でも、目にした身内の変わり果てた姿は、正常な思考を奪うだけの衝撃を与えるに十分だった。

 右腕がひしゃげ青紫色に腫れあがり、腹部が歪に陥没している。さらに、頭部から下は全て血に濡れていた。

 仮に息があっても床一面を血の海にする出血量だ。急いで病院に担ぎ込んだところで助からぬだろう。

 

「オマエ……オマエぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 腹の底から絶叫したイリスは銃を仙道に向けた。

 全身の血液が沸騰しているのかと思うほど身体が熱い。視界も部分的にホワイトアウトしていて、構えた銃も腕ごと震えている。

 それを理解していても感情を抑えることが出来なかった。こんな商売だ。いつ自分が殺される側に回ってもおかしくはない。

 湊との仕事の中で同業者も片付けてきたし、二人揃って生きて来られたのは運が良かったに過ぎない。

 だが、何故その報いを先に受けたのが少年だったのか。少年はただ少女の世界を守ろうとしていただけだ。

 そのために、自らこんな血生臭い世界に堕ちたというのに、何の目的もなく人を殺した金で生きてきた自分が生き残ってしまった。

 

「殺すっ、絶対に殺してやるっ!!」

 

 引き金を引くも弾丸は外れる。手先どころか腕が震えているのだ。そんなもので当たる方がおかしい。

 引き金を引き切っても弾は最後まで当たらず、弾倉が空になってしまった。

 

「くそっ」

 

 舌打ちをしてイリスは銃を投げ捨て予備の銃(サイドアーム)に手を伸ばす。

 しかし、そこで仙道が動きを見せた。イリスが絶叫し、銃を撃ち続けても湊の前に立っていたというのに、急に後ろに跳んで構えたのだ。

 頭に血が上っていても敵が怪訝な動きを見せた事は把握出来る。

 手に持ったブリガディアのスライドを引き、初弾を薬室に送りこみながら相手の視線の先を追う。

 とそこで、イリスはさらに驚きに目を見開いて動きを止めた。

 

「……小狼?」

 

***

 

 歓喜し浮き立つような気持ちで戦っていた。最後に相手を仕留める瞬間まで、久しく味わっていなかった“死合い”に心が躍っていたのだ。

 だが、湊はまだ自分を追い詰めるほど完成してはいなかった。

 一般人の中ではまず達人の域に入っていただろう。相手の使う中華武術の型にどこか懐かしさも感じたが、一度殺してしまえば一緒だ。

 壊れた物はもう動かない。鬼と呼ばれたナギリならばもしかしてとも思ったが、結局、ナギリは既に人に戻ってしまっていた。

 

「殺した……はずなんだがな……」

 

 しかし、最後の一撃の瞬間、湊は満身創痍でありながら自ら拳に頭突きを合わせてきた。

 岩を砕き、鉄を曲げる一撃だ。人の柔らかい骨では、衝突した瞬間に折れるか砕けてしまい。普通ならば、まず助からない。

 だというのに、湊は額が割れて血を噴き出しはしたが、仙道の指をへし折り頭が砕かれる事を防いだ。

 理由としては、初めに肘と拳をぶつけあった事が、骨にダメージを与えていたんだと考えられる。

 その後も仙道はアドレナリンの分泌で痛みに気付かず、ヒビの入った拳で湊を攻撃し続けた。

 そして、最後の瞬間、湊の頭突きで骨が折れて威力が分散し、湊の頭部を吹き飛ばす事が叶わなかったという訳だ。

 故に、湊に息があることは百歩譲って認めよう。

 

『――――』

 

 だが、ひしゃげていた腕が、ゴキゴキと鈍い音を立てて治ったこと。口から大量の血を吐きながら幽鬼のように立ち上がったことで見えた腹部が、何事もなかったかのように正常に膨らんでいること。その二つについてはまるで理解が追い付かない。

 どんな達人であっても、このような回復速度はあり得ないし血液を失えば死ぬ。けれど、相手にはその常識が通じない。

 自身の強さも人間業とは言えぬ領域にあるが、生物の域はまだ出ていないというのに、相手はその通常の生物としての域を超えている。

 

「フフフ……貴様、まさか真に悪鬼の類いか!」

 

 相手の纏う異常な気配に、本能が危険を感じ全身に鳥肌が立つ。

 しかし、こんな敵と相見えることは二度とないだろう。

 自分を殺すことの出来るような強者と戦いたい。化け物だろうが知ったことか。欲望が本能を凌駕し、仙道は潰れていない拳を握りしめ、敵の動きに備えた。

 すると、今まではぐらぐらと不安定に揺れていた湊の身体がピタリと止まった。

 肩を落としだらりと垂らした腕、そのわずか上に視線を向けると、今まで俯いていた顔がゆっくりとあげられてゆく。

 ギギギと油の切れた古い機械のような鈍い音がまるで聞こえてくるかと思えるほど遅い。だが、そこにあった瞳がギョロリと仙道を捉え、裂けて見えるほど口を吊り上げ嗤っていたのを見た瞬間、姿がぶれて湊がその場から消えていた。

 

「っ!?」

『グキャキャキャキャキャキャッ』

「くっ!?」

 

 消えたと思った次の刹那、負傷した右腕の側面から現れた敵に身体が勝手に反応していた。

 両手にそれぞれ形状の違うナイフを持ち、湊は不快な笑い声を上げながら跳びかかってきた。それを腕で弾き、空中に浮いた相手へ即座に回し蹴りを放つ。

 

「はぁっ!」

『ギャハハハハハハハッギャハハハハハッ』

 

 だが、攻撃は空振りに終わる。

 浮いた状態、それも地面から一メートルは離れていた。だというのに、湊は空中で上体を逸らし躱すと、右手に逆手で持っていたナイフを仙道に向けて()()した。

 

(弾道ナイフかっ!?)

 

 柄から発射された刀身は、ぎりぎりで捻って回避した仙道の首を掠める。

 湊の使ったナイフは、通称スペツナズナイフと呼ばれる、強力なスプリングの力で刀身を射出できる奇襲向けの武器。

 ただのナイフかと思いきや、あのような不安定な体勢から反撃してきた事に胆を冷やしたが、仙道は過去のどの戦いよりも、いま目の前にいる化け物との戦いを驚喜していた。

 着地は転がってそのまま勢いを次の動作に利用するため隙が少ない。どういう訳か、見た目以上に武器を所持してポンポンと使い捨てている。

 今も刀身を射出した柄は放り投げて、マフラーから刃が大きめのカランビットナイフを取り出し、嗤って飛び跳ねながら柱の陰に消えた。

 左手には初めに取り落とした物とは種類の違うファイティングナイフを持っていたため、よくまぁ刃物ばかり集めたものだと感心するところだ。

 

「フハハハッ! 滾る、この歓喜に震える身体を流れる血潮の全てが滾っておる! ナギリの鬼よ! もっとだ。もっとわしを楽しませてくれ!」

『クキャキャキャキャキャッ』

 

 攻撃時には不気味にずっと嗤い続けているため、現れてからは場所の特定がしやすい。

 天井を伝っているダクトやパイプ、ケーブルなどを利用して移動していた湊が降ってくると、後ろに跳びのき素早く攻撃に転じる。

 

「ハアァァァァッ!」

 

 それは着地した相手も同様で、着地後コンマ以下の反応で仙道にナイフを構えて突進してくる。

 

『ギャハハッギャハハハハッ』

 

 仙道は肘で突き、身体を捻って拳を振るい、膝で蹴りあげ、振り上げた足で地面を踏み抜き、鋭い突きを放つ。

 受けた湊は、頭部を下げながら滑り、ナイフで敵の伸びかけた腕を逸らし、その場で宙返りをして、突きには頭突きで返す。

 両者がぶつかり合うと、周囲にドゴンッ、という衝突音が響いてお互い後方に弾け飛んだ。

 攻めているのは仙道だが、相手は見てから全てに反応しそれらを捌ききる。

 一撃でも掠れば筋肉が断裂して動けなくなるというのに、相手の距離で戦い続けるなど正気の沙汰ではない。

 それが仙道にさらなる興奮を与えていた。

 

***

 

 イリスは呆けたように佇み異次元の戦いを見ていた。

 湊が生きていた。その事は飛び上がるほど嬉しいことだ。

 だが、

 

―――――“アレ”は何だ?

 

 顔を血で濡らしながら敵の蹴りを喰らい、吹き飛びつつもナイフを投げている。

 相手がそれを躱したときには、頭から地面に落ちる途中で手を突き、後ろ向きにハンドスプリングを決めて、切り返すと即座に無手で敵に跳びかかっていった。

 敵の肘を避け手刀を掻い潜り、掌を腹部に当てたと思えば、一拍置いて敵の巨体が大きく後退していた。

 相手は歯を食いしばり両足で踏ん張って持ちこたえたようなので、あの密着状態から助走もつけずに敵を押し退けて見せたことになる。

 あれは今まで湊が見せていた普段の戦い方ではない。

 が、獣の動きかと思えば、理に適った動きも見せているので、相手の内面には人と獣が同居しているように思える。

 

(なんだ、どうなってる? あの出血量だぞ? ってか、壊し屋のヤツ、小狼をナギリって呼んでなかったか? ナギリって、あのナギリか?)

 

 状況は考えられる限り最悪の方向に進んでいる。いまは自身が起こした騒ぎの対処にホテルの者らは追われているが、時機に警察などがやってきてホテルから少し離れた地下(ここ)の騒ぎにも気付くだろう。

 湊が爆破した車の炎は隣の車にも引火して燃え拡がっている。原因は吹き飛んだパーツが突き刺さった事だと思われるので、これ以上の拡大はないと思うが、それでも消火のために救急隊が呼ばれるかもしれない。

 警察と救急隊がやってくればマスコミと野次馬に周囲を囲まれる。そうなれば、あんな暴走状態の人間を連れて車まで戻り逃走出来る気がしなかった。

 

「ラアァァァッ!」

『グキャキャキャッ』

 

 両者が拳を衝突させ湊だけが吹き飛んでいる。体格差で考えれば当然の結果だが、潰れた拳で殴り人を吹き飛ばすなど人間業ではない。

 今の湊の身体操作や反応速度は人間離れしているが、戦うにつれ仙道もまた速さと強さを増しているように思える。

 

「止まれよ、小狼……」

 

 イリスの言葉は両者の戦いの喧騒に呑まれ消えてゆく。

 上限無く強さを増していく両者の戦いを止める術をイリスは持たない。

 だが、間違いなくこのままでは、湊はチドリや桜の待つ場所に帰れなくなる。

 

「止まれって……小猫に、チドリに会えなくなるんだぞ……」

 

 先ほど、腰のホルスターに戻した予備の銃に手をかける。両者の間に自分が割り込む事など出来ない。

 湊にジークンドーやシラットを教えたのは自分だが、体術に関してはとっくに湊の方が上をいっていたのだ。

 まして、人の域を超えつつある戦いの渦中に、多少武術の心得のある人間が飛び込んだところで何が出来ようか。

 しかし、それでもイリスは自分に出来る方法(射撃)で湊を止めることにした。

 

「その御霊(みたま)、わしが喰ろうてやるぞ鬼よ!!」

『ギャハハッギャハハハハッ』

 

 距離を取った武神と戦鬼が血の付いた拳を握りしめ距離を詰める。

 これが決まればどちらかが死ぬ。命のやり取りをしてきた者のみが感じ取れる、そんな気配を察したイリスは湊の動線を予測し銃口を向けた。

 二人が同時に震脚で地面を踏み砕き、活歩で地面すれすれを滑るように移動する。両者とも空中で腰溜めに手を構えた。後は、着地の瞬間に再び震脚で地面を踏み抜いて突きを放てば終了だ。

 故に、身動きの取れないこの時をイリスは待っていた。

 

「止まれぇぇぇぇぇっ!」

 

 地に足が付く直前、湊の肩を狙ったイリスの銃が火を吹く

 

「――――ドラスティックお邪魔致します」

 

 はずだった。

 この場に似つかわしくない妙な声が聞こえてくると、両者が丁度ぶつかる中間地点の傍にあった非常口の扉が吹き飛んだ。

 凄まじい速度で飛来する物体に当たらぬよう、戦っていた二人が後退し距離を取る。

 血沸き肉躍る極上の死合い。それを邪魔した無礼な者に、血管が浮き上がるほどの憤怒の表情で殺気を籠めた視線を仙道が送る。

 

「何用だ、無粋な。ナギリとの死合いを妨げるとは、貴様、余程の覚悟があってのことであろうな?」

 

 突然の乱入者は青い服を着たエレベーターガールのような女性だった。

 その後ろには、似たような服を着た者がさらに二人ほど立っている。力の管理者である、エリザベス、テオドア、マーガレットの三人だ。

 顔には楽しげな笑みを浮かべているが、妙な気配を感じる。存在の違和感、何がおかしいのかは分からないが、今の湊に似た存在自体が人間とは異なっているかのような気配。

 そんな違和感を撒き散らす者たちは、テオドアを除きおかしそうにクスクスと笑うと、先頭に立っていたエリザベスが分厚い本を持っていない手で、床に四つん這いになって不気味に嗤ったままの湊を指さす。

 

「あらあら、随分と異な事を仰るのですね。ナギリ、とは、そこに転がっている獣のことでしょうか?」

「クカカカカッ、貴様にはアレが獣に見えるか? あれは鬼よ。多くの人を喰らいて理を外れた純粋なる化け物だ」

「いいえ、残念ながら今のあれは獣です。鬼本来の力が見たいのであれば、もうしばらく待たれた方がよろしいかと。八雲様はまだ二次性徴すら終えていませんから」

 

 女の言葉を聞いた仙道は、目を普段より大きく開けて驚いた様子を見せている。

 なにやら、気になる部分があったらしい。少し考え込む素振りをみせると、顔をあげて口を開いた。

 

「……やつはまだ元服すら終えていないのか?」

「はい。ジュニアハイスクールに通う一年生です……テオドア」

「はい」

 

 話している途中に跳びかかってきた湊を、テオドアが回し蹴りで後退させる。

 着地してすぐにナイフをマフラーから取り出し切りかかってくるが、テオドアはそれを本で挟んで受け止め、湊の顎に膝を喰らわす。

 

「ふむ……ならば、確かにいま狩るのは惜しいな。だが、お主たちならば、アレを人に戻せると?」

「勿論です。ですが、それにはあなた方がいると不都合があります。そのため、お二人には早急にこの場を立ち去って頂きたいのです。鎮圧後は家まで送り届けますので、お連れ様は先にあの方の家へ向かってください」

「本当に大丈夫なのか? アイツ、あれだけ血を流してるんだぞ?」

 

 イリスが差した方向には大きな血溜まりが出来ていた。さらに、戦闘中にも血を流し続けているため、常人なら既に失血死していてもおかしくないのだ。

 その点を心配して尋ねたのだが、その質問には長女であるマーガレットが刃物のような鋭さを感じる少々冷たい笑みを浮かべて答えた。

 

「問題ありません。あの方の血は常人とは成分が異なっています。今頃、体内の水分を使い常人レベルまで血を薄めて活動しているはずです。ナギリの血は常人の何倍も濃く、また滋養強壮の効果もあるのです。そのため、一舐めであろうと発狂しそうになりますから、死にかけているとき以外は口を付けないよう忠告しておきます」

 

 スッポンの血に滋養強壮効果があると聞いたりするため、他の動物の血にも同じような効果があっても不思議ではない。

 しかし、血が濃いから、失血しても薄めて大丈夫になるというのは意味が分からなかった。

 無論、現に仙道に続けてテオドアとも戦えているので健康状態は問題ないのかもしれない。

 それでも、『常人とは違うから』で、様々な問題が解決するとはにわかには信じられなかった。

 

「オマエら、アイツの生まれ……ナギリのことは詳しいのか?」

「いえ、私共が存じているのは、あの方の事だけでございます。ナギリに関しては、龍より生まれた一族の御伽草子に記述があるというくらいしか」

「御伽草子、昔話ってことか。それがアイツの生まれに繋がってるのか?」

「はい。といっても……あら、あれは拙いですわね」

 

 話している途中でエリザベスの視線の先を見ると、テオドアと戦っていた湊が距離を取って大きな銃を構えていた。

 イリスが密かに買い与えた重機関銃“GE M134”、通称ミニガンだ。

 ミニガンなどという名前だが、本体だけで18キロあり、弾は四千発一セットのベルト給弾式なので総合的に成人男性一人分並みの重量になる。

 そんな一人で担いでの運用を想定していない武器を、子どもが一人で使おうとしているわけだが、一秒間に最大で百発もの弾丸を放つため、まともな盾があっても防ぐのは至難の業。

 それを、こんな乗用車(ばくはつぶつ)の多い狭い場所で使うなど、正気の沙汰とは思えなかった。

 

「ばっ、こんなところでそんなもん撃ったらっ!?」

「はぁ……ヨシツネ、全て防ぎ切りなさい」

《ハッ!!》

 

 溜め息を吐いてマーガレットは本の上に浮いたカードを破壊すると、三メートル近くありそうな人型のペルソナ、塔“ヨシツネ”が現れた。

 仙道とイリスは驚いているが、ヨシツネは湊の正面に立つと両手に太刀を構えて向き合った。

 両者が対峙すると、途端に湊の持っているミニガンがヨシツネとその後ろにいるテオドアを狙って火を吹く。

 

『ギャハハハハハッ』

《ハァァァァァァァッ!!》

 

 バラバラバラと薬莢の散らばる音と、太刀で弾丸を弾く甲高い音が辺りに響く。

 人間ならば痛みを感じる前に死ぬような連射速度も、ペルソナでもかなりの速さを誇るヨシツネならばなんとか耐えられていた。

 そして、その間にエリザベスは再びイリスと仙道に声をかける。

 

「まぁ、こういう訳ですから、お二人はいま直ぐにこの場を離れてください。我々としても、あの方の成長のために必要な方を巻き込み殺したくはありませんから」

「それに、直にここへも人がやってくるでしょう。私どもと八雲様は特別なルートで脱出することも出来ますが、お二人はそこを通る事は出来ません。そのための気遣いとも思ってください」

 

 お前たちがいると本気を出せない。暗にそう言われれば、イリスは頷くことしか出来なかった。

 仙道はナギリとはまた違った意味で化け物である三人の戦いを見たがっていたようだが、いま最も興味を抱いているのは湊だ。

 エリザベスたちが“八雲”と呼んだ事で、幾月の研究所で出会った結城理と同姓同名であることは理解した。そして、偽物という意味も大凡だが理解した。

 けれど、そんな些細な事はどうでも良い。鬼としての力を見せたのは湊だ。ならば、自分は理よりも湊との戦いを何より望む。

 

「……よかろう。わしは護衛対象が死んだため、一度大陸に戻る。次に相見えたとき死にたくなくば、ナギリも戦いに身を置けと伝えてくれ」

 

 仙道の言葉にイリスは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

 しかし、それで満足したのか、仙道は扉の吹き飛んだ非常口へと走って去って行った。

 その背中を見て、次に、戦っている湊に視線を送ってから、イリスはエリザベスに声をかける。

 

「……頼む」

「畏まりました。道中お気をつけて」

 

 頷いて返すとイリスも仙道と同じ非常口から去って行った。

 

 ***

 

 弾を撃ち切った湊はミニガンをマフラーに仕舞った。

 ナイフを使い捨てるようにしていたというのに、銃火器はしっかり回収する辺りに理性が欠片ほどは残っているように思える。

 いくらか弾を喰らいながらも、テオドアを守り切ったことでヨシツネが消えると、湊は再び徒手格闘でテオドアと戦い始める。

 回し蹴りがくれば素早くしゃがんで相手の足を刈る。それを跳んで避けた相手が踵落としを決めてくれば、横に転がり回避する。

 人間を遥かに超えた怪力を持つ力の管理者が相手だ。相殺なり、カウンターを狙えた仙道を相手にするよりも警戒して戦うのは非常に賢い選択と言える。

 だが、彼本来の戦い方に比べれば、獣が必死に立ち回っているようにしか見えない。

 

「……無様ね。見るに堪えないわ」

 

 組んでいた右手をこめかみに当て、眉を顰めてマーガレットが呟く。

 すると、クスリと笑みを浮かべてジッと湊に視線を送っている妹が同意する。

 

「そうですね。あまり幻滅させないで頂きたいのですが、今日はまだ死んでおりませんでした。よって、私も幾許かの情けをかけ一撃で仕留めようかと」

 

 小さく笑うと、エリザベスがマーガレットの隣から消えた。

 直後、床が連続で爆発し、その爆発が湊へと迫ってゆく。

 異変を察知した湊は切り返し逃走を図ろうとするが、そこには冷笑を浮かべたエリザベスが立っていた。

 

「――――伏せ」

 

 呟きの余韻が消える間もなく、轟音が地下の空間を包む。

 嗤ったまま上げられた湊の顔面にエリザベスが拳を振り下ろすと、湊は仰向けに床に埋め込まれていた。

 自分で伏せと言っておきながら、相手を仰向けにしてどうするのだろうか?

 だが、ある意味で、いまの湊は犬の服従のポーズを取っているようにも見えた。

 それに気付いたエリザベスはサディスティックな黒い微笑を浮かべたまま、意識を失っているであろう相手に言葉をかける。

 

「あらあら、自ら服従の構えを見せるとは、随分と物分かりが宜しいのですね。もっとも……私はそういった性癖を持っておりませんので、貴方に何もしてあげることが出来ないのですが」

 

 言いながらも、エリザベスはブーツの底で湊の顔を踏みつけている。

 下は固い地盤しかないため、これ以上は埋まる事は出来ない。それを理解してやっている相手がそんな趣味はないと言ったところで、誰も信じることは出来ないだろう。

 だが、

 

『グキャキャキャキャッ』

「っ!?」

 

 笑い声が聞こえると、エリザベスは片足を掴まれ握り砕かれた。

 痛みは我慢できるが、あの一撃を受けて意識を手放していなかったことに衝撃を受ける。

 骨を砕かれた足で相手を踏みつけ、拘束が緩んだところで無事な足を使って距離を取る。

 戻ってきたエリザベスにテオドアが即座に回復魔法をかけた。

 

「姉上、動けますか?」

「ええ、問題ありません。ですが、まさか骨と腱を持って行かれるとは思っていませんでした。私の一撃を喰らってまだあそこまで動けるとは」

「……また新しい仮面を手に入れたようね」

 

 三人の見つめる先、起き上がった湊の前に淡い光が集束していた。それは段々と形作られ、光が消えたときには一枚のカードが姿を見せた。

 空中で回転しているカードの数字は“XXI”。左上に天使、右上に鷲、左下に牛、右下にライオン、中央には踊り子が描かれている、最後のアルカナ。

 絵柄を見た三人は湊がカードを砕くよりも速く、全書よりカードを引きぬきペルソナを召喚していた。

 

「マサカド!」

「ベルゼブブ!」

「ルシフェル!」

 

 臨戦態勢のペルソナがそれぞれの前に現れる。命令を受ける前に力を溜めており、いつでも放てる状態だ。

 

『クキャキャキャキャッ!』

 

 湊がカードに噛み付き砕いた。途端、大気と大地が振動し、空間が歪むほどの力の顕現が始まる。

 最初に見えたのは、車がすれ違ってもまだ十分な余裕のある通路を埋め尽くすほど凄まじく巨大な、黒い鱗に覆われた鼻先、さらに頭から生えた銀色の角が天井を削り徐々に姿を現してくる。

 だが、頭部だけでこの大きさだ。全長がいったいどれほどになるか想像もつかない。

 影時間でもない現実の世界で、そんな物を呼び出されては拙いと、力の管理者たちは一斉に攻撃を放った。

 

『――――メギドラオン!』

 

 放たれた三条の極光は、一つの巨大な奔流となって地下の空間を埋め尽くした。

 

***

 

 力の管理者と湊の戦闘は、光の奔流に呑まれた湊が意識を失ったことで決着となった。

 三人が全力でメギドラオンを放った地下駐車場は半壊。半壊で済んだのは、湊の呼び出したペルソナと衝突した際、ほとんどのエネルギーを相殺したためだ。

 もっとも、地下駐車場の天井が崩落したことで、上に建っていた立体駐車場が落下したため、あのホテルは当分営業停止になってしまうだろう。

 原因を調べたところで何も分からない。誰が今回出た損害を補償するのかも揉めそうだ。

 そんな事も知らずに、エリザベスの膝に頭を乗せて広い後部座席で寝ている少年をバックミラー越しに眺め、マーガレットは溜め息を吐いた。

 

「はぁ……私たちが駆り出されるほどの事態だっていうのに、呑気に寝ちゃって」

「何事もなかった、とはいきませんでしたが、あの程度の被害で済んだ事は僥倖でしょう」

 

 ベルベットルームから持ってきたリムジンを運転しているテオドアは、前を向いたまま苦笑しつつ姉を宥める。

 本日の被害総額は軽く見積もっても一億では済まないだろう。

 だが、怪我人という点では、湊と戦った者以外はこけたことで身体のどこかをぶつけた程度なのだ。

 死者が出てもおかしくない大事故で、たったそれだけの被害で済んだ事は僥倖に他ならない。

 弟の言葉を自分でも理解していた姉は、フンと鼻を鳴らして流れてゆく窓の外の景色を眺め出した。

 そうして、車内が静かになると、湊の頭を撫でていたエリザベスがぽつりと呟いた。

 

「……たった一人で世界に辿り着いた。一体どういう事なのでしょう」

 

 妹の呟きが耳に届いた姉は、窓の外を眺めたまま言葉を返す。

 

「どういう事も何もないわ。あのペルソナの当てはまるアルカナが世界だっただけで、ユニバースの力が目覚めた訳ではない。その子の中に“世界”に適合する部分が存在するというだけよ」

「ペルソナ全書にも登録されない、黒蛇の創造神及び文化英雄ですからね。顕現が不完全でなければ、たった一撃で止めることは出来なかったでしょう」

「ウロボロスに伏羲、ザルティスにユルルングルやアンラ・マンユなど世界中に蛇神の神話は存在します。ですが、銀の瞳と角を持った黒蛇となると、語られる神話だけでは判断がつきません」

 

 目覚めたペルソナはエリザベスのペルソナ全書に記録されるのが常だった。

 しかし、あの戦いの最後に召喚されかけた黒蛇は、全書には存在しない世界のアルカナに属している。

 ベルベットルームの主たるイゴールに言えば、本をバージョンアップして登録出来るようになるかもしれないが、それが出来るようになるまでは、あのペルソナは湊しか名を知ることが出来ない。

 加えて、ペルソナの容姿は召喚者のイメージに左右される部分もあるため、神話で語り継がれる容姿とは異なっていることも多い。

 タカヤのヒュプノスなどが良い例であり、神話のヒュプノスは穏やかで心優しい有翼の美青年だが、タカヤのペルソナはどんな偏見を持っていたのかグロテスクな印象を持つ拘束された青年になっている。

 湊の黒蛇も同じようにイメージから黒蛇の姿を取っている可能性も捨てきれないので、本人が起きるまでは正体不明の創造神か文化英雄という扱いになった。

 創造神と文化英雄のどちらかであるという事が確定しているのは、力を司る者であるが故に見ただけで理解出来ることらしい。

 もっとも、性質が創造神であったりするだけで、何かを創造するようなスキルを有している訳ではないが。

 そうして、九体目のペルソナの事を考えながら、俯いて湊を見つめていたエリザベスは、脇に置いていた折れた刀に目を落とした。

 

「五年も使っていた愛刀を投げたまま放置し、崩落に巻き込まれ折ってしまうとは……」

「そんなに貴重な物なの?」

「ええ、何故これが蔵に眠っていたのかも不明ですが、表に出れば国宝か重要文化財に指定されたことでしょう。雑に扱うくらいならば、譲ってくだされば宜しかったのに」

 

 大人びた雰囲気を少し崩し、拗ねたような様子で湊の額を指でぐいぐいと押すエリザベス。

 日本刀に造詣が深い彼女は、湊に依頼してまで日本刀を収集していたりする。

 その候補の中には湊の愛刀だった姫鶴一文字も当然はいっていたというのに、依頼に出す前に雑な扱いで落盤に巻き込まれ折れてしまうとは、あまりに刀が可哀想でならなかった。

 心の中で「丁寧に扱え、このバカたれ」と子どものように罵りつつ、エリザベスは車が桔梗組本部に到着するまで、寝ている湊の顔で遊び続けた。

 

――地下協会・関東支部

 

 ホテルの駐車場を出た仙道は、車で三十分ほど走ったところにある地下協会の支部にやってきていた。

 護衛対象が死んでしまったため、その報告を本部にしようと思ってきたのである。

 部屋を借り、室内に置いてあった電話で番号を押していくと、受話器から若い女の声が聞こえてきた。

 

《あら、仙道。こんな時間に何の用かしら?》

「ああ、急に連絡して済まない。だが、いくつか報告があってな。まず、わしが護衛していたアロイスなんだが、先ほど殺された。二人組に襲われ、逃走しようと車に乗り込んだところで車を爆破されてな」

《ふーん、別にわたくしが頼んだ依頼じゃないからどうでもいいわぁ》

 

 言葉通り、心底興味がないというのが伝わってくる。一応、相手の父親経由で頼まれ護衛していたのだが、それを理解していても気にしていないようだ。

 そんなお嬢様の難儀な性格に苦笑しつつ、仙道は自分が話したかった本題に移る。

 

「では、次だが、実は面白いやつをみつけた。ナギリの末裔らしくてな。お主の一つ下だが、あのまま戦っていればわしが負けていたやもしれん。仕事の名前か分からんが、シャオランと呼ばれていた」

《わたくしの一つ下? それであなたが生きているという事は、相手は死にましたの?》

「いや、生きておる。少々、横槍が入ってな。二次性徴も終えていないというし。暫く様子を見て、また再戦するつもりだ」

 

 今日の戦いで潰れた拳が治るまで一ヶ月以上は掛かるだろう。それからまた調整をして、ベストな状態へ仕上げるには三ヶ月は要する。

 しかし、湊の成長を考えれば、もう一年ほどは待たねばならないだろう。

 獣のような理性の働いていない状態で自身と対等に渡り合った相手だ。成長し理性がある状態で、己が力と技巧の全てを駆使して戦ったならば、どれほどの死合いが出来るのだろうか。

 電話の相手にもこの心躍る気持ちを分かち合いたいと思うほど、仙道は湊のことを想っていた。

 

「お主も知れば会いたくなるはずだ。やつもお主と同じように試験管で生まれたようだからな」

《“ジーンリッチ”と言ってくださる? それに実験器具から生まれた訳ではないわ。優秀な精子と卵子をかけ合わせ、さらに手を加えてから母体に産ませたの。勿論、これは世間からはタブーとされているから秘密裏にだけど、そのシャオランとやらは遺伝子をどういじったのかしら?》

「いや、遺伝子はいじっておらん。クローンだったか? 確か、そういうものだ。何より、ナギリは優秀な個体を何代にも亘って自然交配している。今更、いじるところなどありはしまいて」

《ふーん、クローンねぇ……》

 

 急に静かになった相手にわずかに嫌な予感がする。

 相手は頭は良いのだが、かなり我儘な性格だ。

 その日のリボンの色が気に入らなかったからと、支度を手伝っていたメイドを銃で撃ち殺したこともあれば、暇だから面白いものがみたいと足を撃ち抜いたSPを池に突き落とし、相手が溺れて死ぬのを笑いながら眺めていたこともあった。

 常軌を逸した行動だが、相手は周囲を黙らせそれが許されるだけの権力を持っている。

 電話の女の名は、ソフィア・ミカエラ・ヴォルケンシュタイン。ヨーロッパに本拠地を置き、表裏どちらの世界にも通じている巨大組織“久遠(くおん)安寧(あんねい)”のトップの娘である。

 また、彼女自身も“神子(みこ)”と呼ばれ、千里眼や神通力を使えると崇めている者もいる。

 先ほどは興奮して話していたが、相手が必要以上に興味を持ってしまうのは拙い。湊で遊んでみたいなどと言い出せば、己の待ちのぞむ戦いが出来なくなるからだ。

 そうして、相手の言葉を待って考えていると、少ししてようやくソフィアは口を開いた。

 

《ねぇ、そのシャオランって可愛いのかしら?》

「む? ふーむ、顔は整っていたが、分類するのなら美しいになるのでないか。まぁ、男だが」

《美しい。あゝ、とても良い響きだわ。ふふっ、わたくしもシャオランと言葉を交わしてみたい。ねえ、どうすれば会えるかしら?》

 

 嫌な予感は的中する。ソフィアは湊に興味を持った。

 言葉を交わしてみたいと言ったが、いま二人は国際電話で話していて、その言語は英語だ。

 イリスも湊も日本語でしか話していなかったので、湊が英語を理解出来るか不明である。

 無論、ソフィアは流暢に日本語でも話せるので、湊が仮に英語を話せなくとも意思疎通は簡単に出来るだろうが。それでも、仙道はソフィアが必要以上に湊に干渉する事を嫌がった。

 

「あやつの周囲は嗅ぎ回るな。時期が来ればやつも大陸へと渡ろう。そこでなら、お主が人を寄越そうが、自ら出向こうが自由だ」

《あら、随分と相手を守ろうとしますのね。でも、わたくし、そのシャオランが欲しくなってきましたの。わたくしが欲しいって言ったら絶対なのよ》

「……人間にも熟成というものが必要だ。お主が欲するは、磨きかけの原石か? それとも、完成された至高の宝物(ほうもつ)か? ナギリは戦いを続けることで完成に至る。お主が真にナギリを望むのならば、やつには戦いをくれてやれ」

 

 こういっても駄目なのなら諦めるしかない。本部への帰還を後回しにし、ソフィアが接触しようとする前に不完全だろうと湊と決着をつけねばならない。

 “久遠の安寧”の主な産業は兵器開発と医療。多くの産業を手掛けている桐条でも、撤退しつつある兵器産業は勿論、医療分野においても久遠の安寧に一歩譲っている。

 そんな組織で、トップである父や幹部ですら顎で使うソフィアなら、湊によりレベルの高い戦闘を経験させることが出来るだろう。

 相手を止めつつ、自分の望みのための布石も打つ。仙道は受話器を握る手にじんわりと汗を掻くのを感じながら、相手の言葉を待った。

 

《……まぁ、それもそうですわね。会いに行くより、相手から来てもらった方が都合も良いですし。準備だけしておきますわ》

「ああ、感謝する。では、わしも少ししたら其方に戻る」

《ええ、どうぞご自由に。言えば空港に迎えくらいは寄こします》

「うむ。それではな」

 

 通話が切れたことを確認に受話器を電話に戻すと、仙道は深い息を吐いた。

 仙道はフリーの壊し屋のように思われているが、実際は、久遠の安寧に雇われている傭兵だ。

 雇われている理由は、ただ依頼を受けるよりもコンスタントに戦える依頼が回ってくるためで、対象は組織にとって邪魔になる者が殆どであり、その分腕も立つ者が多い。

 そういった立ち位置のため、他の構成員と違って実質トップであるソフィアとも対等な立場でものを言えたりする。

 けれど、相手の堪え性のなさと、その歪んだ本性も理解しているので今回ばかりは無理かと思った。

 己の存在を賭けて戦える者になどそう会えるものではない。無事にことが運ばれたことに安堵し、部屋を出て怪我の治療を受けると、仙道は部屋でゆっくりやすみ。翌日、飛行機で日本を発っていった。

 

 

 


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