たった1人の“彼”の物語【更新停止中】   作:Lee-ra

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更新頻度月一かもとは言いつつも、何とか書ききりました。

ポッケの口調おかしい可能性大です。
ポッケの口調の要修正、他誤字脱字あれば指摘お願いします。

あと、章の名前は取り敢えずなところあるので、また変えるかもです。




第1話 出会い

 

 

 

──風が、荒れ果てた土の上をかすめていく。

河川敷の、誰も寄りつかなくなった簡易的なレース場。

かつては、フリースタイルのレース場として人が集まり、声を張り上げ、ウマ娘たちがぶつかり合っていた。だが今は、もうそんな面影はなく、ペンキで塗られた看板は既に色褪せ、今でもただ1人に使われているコース以外は草が生い茂っている。

 

 

──俺はひとりで走る。

観客席なんてない。白線も柵もない。

ただ、泥が削れた道筋を、何度も踏み固めた痕跡だけが“コース”を形づくっている。

 

トゥインクルシリーズに比べれば、何もかもが色褪せている。

派手さも、栄光も、夢もない。

それでも僕は、俺は足を止めない。

理由なんて、とっくに忘れた。ただ、体の奥底が走ることを欲しているから。

 

──孤独のままに。

 

 砂を蹴る音。草を踏みつける音。

 早朝、息が白くなるほど冷えた空気を肺に流し込み、吐き出す。

 耳に届くのは、自分の足音と心臓の音だけ。

 誰も見ていない。誰も待っていない。それでいい。

 

けれど。

 

「へぇ……こんなとこにもフリースタイルのレース場があったのか。けどここはもう閉業してんのか」

 

 突然。背後から声が落ちてきた。

 俺は無意識に足を止めそうになったが、無視して走るのを続けることにした。

 

「ん?まだこんなとこ使ってるやつがいんのか。おーい!!お前!!」

 

 彼女は走ってる俺に気づいたのか、手を振りながら声をかけてきた。

だが、それでも俺が無視を続けたためか、彼女はコースに入り、走ってる俺の横までやってきて一緒に走り始めた。

 

 なんだこいつ。……もう追いつかれた。速くね?

 

 流石に無視出来なくなり横を見れば、そこにいたのは、首から輝くプリズムのネックレスを下げている、明るい茶色の髪のウマ娘。

 爽やかな笑顔で、それでいて底知れぬ余裕を滲ませた眼差しで、興味深そうにこっちを見ている。

 

「……誰?」

 

「やっと反応してくれたか。オレはジャングルポケット。周りからはポッケって呼ばれてる」

 

 彼女は口元を吊り上げて笑いながらそう言った。

 

「ジャングルポケット……あぁ、巷で噂のダービー馬さんか。レース見てないから姿初めて知った。……そんな世代最強さんがこんなとこに何の用で?」

 

「お、オレのこと知ってくれてんのか。なに、ただの日課のランニングだ。たまには違う道を走ってみよ、ってなって偶然この辺りを通りかかっただけだ。そしたらお前を見つけた、ってわけ」

 

 ここまで話して俺は、彼女が嫌悪するような表情もせずただ俺と喋ってくれていることに気がついた。

 

「……何でそんな興味津々そうな目をして俺と話せる?俺のことを見て何も思わないのか?」

 

「何のことだ?お前が男ってことか?確かに男のウマ娘なんて珍しいな、とは思ったが別にそれ以外特にねぇよ。それ以上にお前がここで走ってる理由を知りたいだけだ」

 

……俺が男だと知って引かない?……なぜ?

 

「……どうして?なんでそんなあっさりしていられる?俺は男だぞ?ウマ娘のくせに。なぜ引かない?」

 

「どうしたも何も、別にそんなん気にすることじゃねぇだろ。そうなのか、で済む話だ。お前はお前だろ」

 

 

『君は君のままでいい』

 

 

 かつて姉が話してくれたことを思い出す。その言葉がどれだけ俺の支えになったことか。

 そして今、別のウマ娘に再び同じ言葉を言われた。目の前の彼女も、俺を、僕の存在を認めてくれるっていうのか……?

 

「んで、どうしてお前はこんなとこで1人で走ってんだ?もっと良い場所あんだろ」

 

「……別に。ただ1人で走りたいから。それだけ」

 

「へぇ……さっきから見てたが、お前の走りちょっと面白ぇな。無駄に真っ直ぐで、それでいて妙に荒っぽい」

 

面白い──?

何が面白いんだ、こんな孤独な走りが。

 

「……からかいか?」

 

「まさか」

 

 ポッケは笑いながら、走るのをやめ、その場に腰を下ろした。気づけば俺も走るのをやめて同じようにその場に座っていた。

 

「オレ、昔はフリースタイルで走ってたんだ。けど、フジさん──フジキセキの走りを生で見てさ。ああ、オレもあの舞台に立ちたい。強ぇ奴と走りたい、って思って、フジさんに憧れて、そして何より“最強”になりたくてトゥインクルシリーズに出るようになった」

 

それは、彼女にとっての“始まり”だった。

 

「でもよ、今でもフリースタイルで走る感覚は好きだ。皆が“走りたいから”走る。競いはするから勝ちはしたいが、勝っても負けてもそこにそれ以上の意味はねぇ。だからこそ──純粋に“走る”ことだけを試される」

 

ポッケは俺を真っ直ぐに見た。

 

「なぁ、お前。誰かと一緒に、単に“本能のまま”走ったこと、あるか?」

 

喉が詰まった。

昔一度だけ他のウマ娘とレースはしたことがあったが、そこでも俺は否定され続けた。

それ以来、俺の走りは、いつも独りだ。

誰とも並び立たず、誰とも競わず、ただ孤独に走ってきた。

全力で、“本能のまま”走るなんてなおさらだ。

 

「……無い」

 

「やっぱりな」

 

彼女は笑う。

 

「なら、まず試しにどうだ?今度トレセン学園近くでフリースタイルのレースがある。ダチが走る、ってもんで久々にオレもちょっと顔を出すつもりなんだ。お前の走りを、そこで見てみたい。全てを忘れて、思うがままに走るお前を」

 

俺は言葉を失う。

人と走る──その響きは、胸の奥をざわつかせた。

怖い。けれど。

確かに、心のどこかが熱を帯びている。

 

「……考えておく」

 

ようやくそれだけ答えると、彼女は満足そうに笑った。

 

「おう!来るの期待してるぜ」

 

ランニングに戻るのか、彼女は、ジャングルポケットは俺に背を向けて走り出した。

 

風が再び吹き抜ける。

俺は胸の奥のざわめきを抱えたまま、その場から動くこともできずに、その場に立ち尽くした。

 

「そうだ、お前の名前聞いてなかったな!なんて言うんだ?」

 

すると彼女は別れ際振り向いてそう言った。

 

……俺の名前、か。

 

 

「アル……いや」

 

 

 

 

 

──エクリプス。

 

 

得体のしれない闇の様だと、周りからはそう呼ばれてる。

 

 

 

 

 

 

 

──まるで、希望も他も、全てを呑み込む闇だと。

 

 

 

 

 

 





何とか一話は書き切りました。
ただ、文書くの初めてなので、色々おかしいところ満載だと思います。
なので、ポッケの口調や性格、誤字脱字以外にも、ここはこうしたら良いとかあれば是非教えてくださると助かります。

二話以降も投稿できるように頑張ります。

もはや免罪符のように使ってますが、自己満なので話のテンポ早すぎ遅すぎ等はどうかご了承ください。その時に思いついたところまで書いてるようなものなので。
ただし、それを許容したとしても流石にやりすぎ、などあれば教えてください。


アンケートは参考程度

一話あたりの文の量と投稿頻度どうするか良いか

  • 現状量(約2300字)で週一〜半月に一回
  • 約5000字で月一更新
  • 10000字程度で不定期
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